家畜ふん堆肥中の除草成分(クロピラリド)による生育障害の発生の対応について

近年、外国の飼料生産等に使用された除草剤(成分名:クロピラリド)が残留した輸入飼料を給与した家畜のふん尿に除草剤成分が残留し、これらを原料とした堆肥の施用によりトマト・ミニトマトやスイートピー等の一部の品目に生育障害が発生したと疑われる事例が全国各地で確認されています。

 

クロピラリドの特徴

クロピラリドは、主に広葉雑草を枯らす除草剤成分の名称です。日本での農薬登録はありませんが、アメリカ、カナダ、オーストラリア等では、麦類、牧草、トウモロコシ等に登録があり、輸入飼料に残留している可能性があります(人や家畜の健康への影響はないと考えられています)。
クロピラリドは堆肥中で分解されにくいため、クロピラリドが残留した堆肥を使用すると、耐性の弱い植物ではごく低濃度(数ppb、10億分の1の単位)でも縮葉、生長点の萎縮、果実の変形等の生育障害を引き起こす可能性があります。

区分 作物名
特に弱いもの(例)  トマト、ミニトマト、大豆、えだまめ、さやえんどう、そらまめ、
きく、ヒマワリ、コスモス、アスター、スイートピー
弱いもの(例)  ピーマン、ナス、さやいんげん、にんじん、しゅんぎく、ふき、ひゃくにちそう

作物別生育障害の発生のしやすさ一覧[PDFファイル/247KB]

堆肥中のクロピラリド残留状況を確認する方法 

使用する堆肥中のクロピラリド残留状況を確認する方法として、生物検定があります。
生物検定は、使用する堆肥と土を混和した培土を用いて、さやえんどう等のクロピラリドに敏感な植物を植え付け、生育障害の発生程度からクロピラリドの残留状況を確認する方法です。

生物検定の方法[PDFファイル/365KB]

畜産農家の皆様へ

 牛又は馬の排せつ物に由来する堆肥(排せつ物を含む)を販売・譲渡する場合

    1. 提供先と次の情報を共有しましょう
      1 クロピラリドに関する情報(輸入飼料を給与した牛又は馬の排せつ物に由来する堆肥には、クロピラリドが含まれている可能性があるため、堆肥の施用に当たっては作物の種類や施用量に留意する必要がある)
      2 堆肥の原料に関する情報(家畜の種類や用途)
      3 給与飼料に関する情報
    2. 生物検定を実施した場合は、その結果を伝達しましょう

畜産農家の皆様へ(チラシ)[PDFファイル/942KB]

 堆肥製造業者・販売業者の皆様へ

 家畜由来の堆肥を販売・譲渡する際には、情報を共有しましょう。

  輸入飼料、小麦ふすま及び大麦ぬかを給与した牛又は馬に由来する堆肥(排せつ物を含む)を、耕種農家や販売業者に販売・譲渡する際には、牛又は馬に由来する堆肥は、クロピラリドが含まれている可能性があるため、使用に当たっては作物の種類や施用量等に留意する必要があることについて情報を共有しましょう。

 堆肥製造業者・販売業者の皆様へ(チラシ)[PDFファイル/472KB]

園芸農家・育苗業者の皆様へ

クロピラリド耐性の弱い作物を栽培する際、

  1. ポットで栽培する場合は、家畜由来堆肥の利用を控えましょう。
  2. 施設で栽培する場合は、
    1 家畜由来堆肥の投入量を低減しましょう。
    2 家畜由来堆肥を施用する場合は、土壌とよく混和しましょう。

被害を未然に防止するために堆肥の情報を確認しましょう。

堆肥や培土を買うときは、原材料に関する情報(家畜の種類や輸入飼料を給与しているかどうか等)を必ず提供元に確認し、提供元が生物検定を行っている場合は、結果の提供を求めましょう。特に、クロピラリドが作物生産に及ぼす影響が高まるおそれがあるときには、十分に注意しましょう。

  生育障害が出ないことが確認できないときは、生物検定によって、生育障害のおそれがないことを確認して堆肥や培土を使用しましょう。あるいは、耐性の強い作物のほ場に施用しましょう。

堆肥の施用量を遵守しましょう。

県の施肥基準や地域の栽培暦を参考に、堆肥の施用量及び施用方法を適正に守りましょう。

園芸農家・育苗農家の皆様へ(チラシ)[PDFファイル/809KB]

被害が発生した場合の対応

クロピラリドが原因と疑われる生育障害が確認された場合は、最寄の振興局(地域普及課・農業振興普及課)にお知らせください。

参考情報

クロピラリドに関する詳しい情報は、農林水産省ホームページ(クロピラリド関連情報)(外部サイトへリンク)をご覧ください。

このページの掲載元