Q2.諫早湾干拓事業の防災効果とは?

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「ガタ土」の堆積、海面より低い干拓地

 筑後川などの有明海の各河川から火山灰等の砂や泥が有明海に流れ込み、特に目の細かい泥が有明海の反時計回りの潮流にのって諫早湾にまで運ばれて堆積(ガタ土)し、このガタ土による干潟が毎年10メートルも前進していました。
  干潟は、放っておけば、排水樋門の前に堆積して排水を阻害し、大きな水害をもたらす可能性があり、排水のためのミオ筋(海の中の水路)を確保するため、かつては、人力でガタ土を排除しておりました。さらに堆積が進むと、ミオ筋の確保は困難となるため、堤防を作り、干潟を乾燥させ、農地に変えてきました。これが干拓です。
  ガタ土は、その先に次々と堆積し、また干潟を形成し、排水不良を起こすため、再度、「干拓」を行い、この地域では、600年以上にわたって干潟・干拓を繰り返し、約3,500ヘクタールの農地にまで広げてきました。このため、この農地の多くは海水面より下にあり、水害の危険性を常に背負っています。(干拓の歴史【PDF:399KB】)

集中豪雨の発生しやすい地形、災害の発生

 また、この地域は、雲仙山系、長崎半島の山々、多良山系に囲まれ、その間を東シナ海からの湿った空気が流れ込み、集中豪雨が発生しやすい地域であるとともに、台風の常襲地帯でもあります。しかも、諫早湾奥部は高潮の発生しやすい地形になっています。このため、当地域は昔から水害の危機にさらされてきた地域であり、昭和32年の諫早大水害では、死者・行方不明者630名にのぼる大水害となりました。
 また、諫早湾の満潮と台風が重なると、低気圧により海面が上昇し、たびたび高潮被害が引き起こされてきました。(集中豪雨と高潮被害【PDF:293】)

日本最大級の干満の差、低平地からの排水の困難さ

   一方、有明海は干満の差が日本でも最大級で、大きいときは、その差は6メートルにも及びます。諫早湾干拓事業により潮受堤防が設置される前は、この地域の海岸堤防の前で、満潮、干潮の水位変動が繰り返されていたため、周辺の低平地からの排水は潮位が下がった干潮時にのみ行われ、排水時間に制限がありました。

諫早湾干拓事業による防災効果

 潮受堤防設置後は、潮受堤防排水門からの排水によって、調整池の水位を背後地の最低標高(マイナス0.8メートル程度)よりも低い標高マイナス1メートルの水位で管理することにより、有明海の潮汐に関係なく、常に周辺地域からの排水が可能となりました。(洪水被害防止・常時排水の改善【PDF:1432KB】)
 これにより、洪水被害については、潮受堤防設置前後の同等の大雨のケースを比較しても、湛水時間や湛水被害が大幅に改善されています。また、周辺低平地からの排水については、旧海岸堤防の排水樋門前のガタ土排除の必要がなくなるとともに、常に排水ができることにより周辺農地の排水が改善されるなどの効果がいかんなく発揮されております。また、高潮災害についても、潮受堤防設置後は全く発生しておりません。(高潮被害の防止【PDF:379KB】)

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  • 諫早湾干拓課
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    長崎県長崎市尾上町3番1号
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