閉会中の委員会活動

離島・半島地域振興特別委員会

現地調査

委員会名 離島・半島地域振興特別委員会
目的 離島振興対策現地調査
日時 平成28年10月11日(火)~14日(金)(4日間)
調査先 島根県(隠岐郡隠岐の島町、隠岐郡海士町、松江市、大田市)
出席委員 委員長 山本啓介、副委員長 近藤智昭、委員 中山功、委員 坂本智徳、 委員 堀江ひとみ、委員 松島完、委員 前田哲也、委員 友田吉泰、委員 坂本浩
概要

隠岐の島町役場

隠岐ハイブリッドプロジェクトや、世界ジオパークを活用した地域振興策について説明を受け質疑を行った。

○隠岐の島町(島後)について
 

■位置:島根半島の北東約80kmの海上に位置し、隠岐諸島の中で最も大きな島。
■面積:242.95平方km(琵琶湖の約36%)で、その約80%が森林。
■地形:ほぼ円形に近い火山島で、500m級の山々が連なり、これを源とした2河川流域に比較的広い平野が開けている。周辺の海岸全域は、大山隠岐国立公園に指定され、雄大な海洋風景や急峻な山並みを有し、風光明媚である。
■気候:一般的に裏日本型気候に属しているが、対馬暖流の影響を受け、厳寒期を除き通年温暖。

●隠岐ハイブリッドプロジェクトについて
 
 中国電力が平成27年9月~平成31年3月まで実証実験を行っている。 
 ハイブリット蓄電池システムは島前地区の西ノ島町に変電所を設置し、海底ケーブルで島後地区の隠岐 の島町へ送電し、蓄電している。これにより、隠岐諸島の電気をコントロールすることを目的としている。
<主な機能>  
 再エネの発電利用及び隠岐諸島全体の電気の使用量を予測/蓄電池の充電・放電を制御 /内燃力発電機の発電量を制御 等
<発 電 量>  
 隠岐諸島約9000世帯(一般家庭の使用量)の約半分の電力を賄う

●ジオパークを活用した地域振興の取組みについて

<広報活動の強化と住民の意識改革>  
 公民館単位で島民を対象とした学習会を行っている。ジオパークへの認識を深めるため小・中学校でジオの授業を行い、生徒が公民館で発表会を行っている。近年このような活動の成果として、島内出身者のUターンが増え始めている。  
 このことは、島民がジオパークの認定を受けたことで、隠岐の島町への誇りを持ち、そこに住むことのすばらしさへの認識が深まってきていることの表われである。9/9を「ジオの日」に認定し、その日は各自治会単位で、地域清掃活動を行い、その後、全員が海岸清掃を行っている。また、清掃後、参加者が楽しめるイベントを開催している。島の9割の自治体が参加した実績がある。
<伝統文化等の活用>  
伝統文化「隠岐民謡/いぐり凧/牛突き など」をイベントとして実施し、併せて、保存・伝承に繋げる。
<観 光 客>  
海外からの観光客はヨーロッパからの来島される方が多い。アジア地区からの来島がない。
<宿泊施設>  
島内1200名の収容が可能。
<知 名 度>  
ウルトラマラソンの成功に伴って国内の知名度が上がってきた。また、フランスの雑誌「ブルーガイド」に紹介されたことをきっかけにフランスからの観光客が増えた。
<関係団体との連携>  
ジオパーク推進協議会は学術的な面だけではなく、観光部門と連携して、観光客誘致に取り組んでいる。

《隠岐の島町役場》

海士町役場

 島まるごとブランド化、隠岐島前高校魅力化プロジェクト、移住・定住対策ついて説明を受け質疑を行った。

 

○海士町について

■位置: 島根半島の北東約80kmの海上に位置し、隠岐諸島の4つの有人島の1つの島。
■面積: 33.52平方km、周囲89.1km。
■特徴:名水百選(天川の水にも選ばれた豊富な湧水に恵まれ、時給自足のできる半農半漁の島。後鳥羽上皇はこの島にご配流の身になられ、19年余り在島の末、生涯を終えられた。
■平成の「大合併」時には、島嶼間の合併を望まず、単独町制を決断し、現在は生き残りを懸けた攻めの戦略を行い、全国的に注目を浴びている。

●島まるごとブランド化について 
  
「さざえカレー」、「岩がき」、「フクギ茶」、「隠岐牛」などヒット商品を増やすことで海士町ブランドを全国的に響かせることで、島を丸ごとブランドにする。  
「さざえカレー」などのヒット商品には、島外の若者の意見をきっかけに商品化されたものがある。

●隠岐島前高校魅力化プロジェクトについて  

・実践的なまちづくりや商品開発などを通して地域づくりを担うリーダー育成を目指す「地域創造コース」。少数人数指導で難関大学にも進学できる「特別進学コース」の2つのコースを新設。  
・小さい学校だからできることがあるとの考えを基に、島全体が1つの学校と捕らえ、地域で教育を行う。補えないところは、ICTを活用する。
・学校連携型の公営塾「隠岐國学習センター」を創設し、従来の塾の枠を超えた高校との連携により、生徒の学習意欲を高め、学力に加え社会人基礎力も鍛える独自のプログラムを展開している。

●Iターン者との意見交換会(Iターン者 20代の女性2名)
(iターン者の意見)
・iターンは、移住者にとって「自分探し」、「自己研鑽」としての人生のある期間 の生き方としての選択の一つでもある。  
・田舎移住に関しては、周囲の同世代について言えば、一定の興味を持っている人たちはいるが、その数は少ないと感じている。その他、多くの率直なご意見を伺うことが出来た。


《海士町説明》

《海士町長との意見交換会》

《Iターン者との意見交換会》

《隠岐國学習センタースタッフの方々》

島根県庁

 ふるさと教育推進事業について、説明を受け質疑を行った。

 

●ふるさと教育推進事業について

(目指すところ)
・ふるさと教育では、地域の自然、歴史、文化、伝統行事、産業といった教育資源を生かし、学校と家庭と地域が一体となり、ふるさとに誇りを持ち、心豊かでたくましい子どもを育てる。

(中心的な取組)
・(第1期)平成17年度~平成19年度   
 -ふるさとに関する授業を年間35時間以上実施することの定着化   
 -各教育事務所館内で「ふるさと教育フェスティバル」を開催  
・(第2期)平成20年度~平成22年度   
 -ふるさと教育の具体的な方法論(学社連携・融合)を検討   
 -公民館との連携を深め、地域の教育資源を生かした木養育活動を展開  
・(第3期)平成23年度~平成25年度   
 -ふるさと教育を継続的に進めるための体制づくり   
 -「子ども教育は地域の大人の責務」という意識の醸成   
 -ふるさと教育を学校教育全体で進める体制の構築と量的・質的充実   
 -地域医療教育の実施  
・(第4期)平成26年度~平成28年度   
 -小中9年間を通した発展性・系統性のある「ふるさと教育」   
 -中学校区の「ふるさと教育」を支援する地域の体制づくり   
 -企業と連携した「ふるさと教育」の推進

《島根県庁説明》

株式会社 石見銀山生活文化研究所

 

1998年に、株式会社石見銀山生活文化研究所を設立して、アパレルブランドの「群言堂」、宿泊・飲食設備「他郷阿部家(たきょうあべけ)」をつくり、古民家の再生事業も手がけている。石見銀山本店のほか、首都圏には、直営レストラン、服飾・雑貨店の「Re:gendo(りげんどう)」や、喫茶店「Ichigendo(いちげんどう)」を展開し、150名以上の雇用を生み出している。全国に向けて、デザインや地域の生活文化などを発信している。創業者を中心とした地域文化を発信する活動が、後に石見銀山が世界遺産登録に至った一つのきっかけとなった。

(コンセプト)
【復古創新】  
古いものを再生して、これからの未来のモノをつくっていこうという事。古いものを捨ててしまうのではなくて、古いものを新しくしていき、新しいものを作りだすこと。 地域に根差したものを時代に合わせていきながら、日本人らしい考え方を伸ばしていくこと。

(松場社長コメント)  
地方には誇るべきものが数多くあり、それが地方の力であり、これから地方が大逆転する時代が来ると思っている。また、人が物質的な幸せよりも如何に幸せに生きるかという経済が動くべきだと考えており、ソーシャルビジネス(社会が豊かになる経済)をこれからも動かして生きたいと考えている。


《会社説明》

《松場社長と委員》

現地調査

委員会名 離島・半島地域振興特別委員会
目的 離島振興対策現地調査
日時 平成28年8月30日(火)~8月31日(水)(2日間)
調査先 平戸市度島町
出席委員 委員長 山本啓介、副委員長 近藤智昭、委員 中山功、委員 坂本智徳、
委員 堀江ひとみ、委員 松島完、委員 前田哲也、委員 友田吉泰、委員 坂本浩
概要

度島町関係者との意見交換

平戸市国民健康保険度島診療所長、市役所関係者から、離島の医療、福祉の現状について説明を受け、意見交換を行った。

(1)度島について
 




《度島浦公民館にて》 

■平戸島の北方4kmに位置し、北東から南西に向かって細長い形をしており、東西3.5km、南北1kmの長さである。面積は3.49km2、人口は758人。(平成28年4月1日現在)
■人口は逓減傾向を示しており、平成17年から平成27年の10年間で約20%減少している。平成27年度末の高齢化率は約33%であるが、平戸市全体の高齢化率約37%と比べると低い。
■地元を住みよいところとしていくためには、住民自らが自治意識を持ち、まちづくりへ積極的に参画することを目的として、まちづくり協議会を設立。子育ての悩みやお年寄りの介護の問題など住民の生活に直結するさまざまな地域課題の解決に向けて取り組む。

 ●平戸市国民健康保険度島診療所長から、 離島の医療体制、勤務医の労働環境の現状や医師不足についての説明を受けた。
  ―・診療所の概要  
   ・夜間・休日等の急診体制   
   ・救急搬送等の対応
   ・代診体制
  特に、医師不足対策として、医師の出張及び休暇の際の代診体制の充実を提案された。

●平戸市職員から子育て・高齢者対策について説明を受けました。
 子育て部門、高齢者対策部門にそれぞれ関連する意見交換を行った。
  ―・延長保育施設設置  
   ・高齢者介護デイサービスの充実
   ・学童の拠点の設置  
   ・要介護者の病院等への移動手段の確保
   ・安心して出産できる環境の整備など

医療施設や子育て等福祉関連施設を視察し、施設関係者や市関係部署職員に設備や利用状況について説明を受けた

 

 医療施設や子育て等福祉関連施設を視察し、施設関係者や市関係部署職員に設備や利用状況について説明を受けた。


《度島診療所》

《ふれ愛センター》

《へき地保育所》

《度島小中学校》

「県立松浦高等学校支援事業」及び「離島の就学支援・複式学級について」、市関係部署職員の説明を受けた後、松浦市長、市議会議長、市関係部署職員との意見交換会を行った。

 




《松浦市役所》

●県立松浦高等学校支援事業
  1. 支援の目的長崎県立松浦高等学校(以下「松浦高校」という)に通学する生徒の保護者の負担軽減を図り、もって松浦高校の生徒を確保することを目的に松浦高校の保護者等で構成される団体(長崎県立松浦高等学校PTA)が行う支援事業に対して補助金を交付する。
  2. 内容
    <在学する生徒の保護者に対する支援>   
    (1)生徒確保支援事業      
    ①入学準備金 ②下宿費補助金 ③航路通学費補助金   
    (2)進学及び就職支援事業    
    ①模擬試験  ②就職模擬試験 ③資格試験 ④補習受講費用   
    <部活動強化や市長が特に必要と認める事業への支援>   
    (3)部活動強化対策事業    
    (4)市長が特に必要と認める事業  
  3. 支援実績   
    平成25年度 9,124,802 円   
    平成26年度 9,242,435 円   
    平成27年度 10,742,008 円
  4. 入学志願者数
    平成25年度 101人
    平成26年度 109人
    平成27年度 91人
    平成28年度 96人

●離島の就学支援・複式学級について   

 離島の就学支援について、離島ではない鷹島などを含め、生徒の進学、就職先の状況について青島中学校、福島中学校、鷹島中学校について説明を受けた。

 複式学級については、少子化、人口流出による統廃合の状況について、平成22年9月に松浦市学校適正配置等検討委員会に諮問し、現在の状況に至るまでの経緯について説明を受けた。

青島小中学校を視察し、校長、市教育関係部署職員と複式学級について意見交換会を行った。

 

●地域
青島は、松浦市御厨港から6.5kmの地点に浮かぶ周囲6kmの玄界灘に面した小島である。世帯数85戸、人口226名。(平成28年4月1日時点)
家庭や地域社会の学校教育への関心が高く、学校行事等への参加率が高い。また、PTA活動も活発で、学校教育への協力を惜しまない。

●実態
小学校は、児童数11名。完全複式の3学級となっている。中学校は生徒数3名。1・2年複式、3年生の2学級である。保育所から小・中学校時代をほとんど変わることなく全員一緒に生活することにより、仲間意識が強く、思いやりの心に満ち、協力的である。児童生徒数の縦の秩序も学校の内外を問わず確立されているために集団としてのまとまりが強い。
生活面では、純朴で素直である。友達同士で明るいあいさつを交わし合い、来校者への気持ちよいあいさつも評価が高い。さらに自分への厳しさや積極性を身につけるようにすることが今後の課題である。
学習面では、少人数であるために、個別指導は徹底しやすいが、全体で自他の考えを磨き合う学習が十分には出来ない。小学校は極少人数複式授業、中学校では少人数のよさを生かした個に応じた指導の充実を図り、主体的に学ぼうとする意欲を高め、学び方を身に付けることが今後の課題である。

●学校生活における他地域の児童・生徒との交流
 ・青島小学校:鷹島小学校との交流(プール使用)【年間1回】
          授業、給食、レクリエーション、遊び
 ・青島中学校:御厨中学校との交流【学期に1回、年間3回】
          授業、給食など青島中学校の教員が授業をする場合もある。

●教職員の環境  
家族世帯で住める職員住宅が少ないため、大半が島外から通勤している。


《意見交換》

《校長説明》

《校内視察》

《青島港》