閉会中の委員会活動

観光振興等対策特別委員会

現地調査

委員会名 観光振興等対策特別委員会
目的 観光振興等対策現地調査
日時 平成29年8月29日(火)~31日(木)(3日間)
調査先 大阪府、兵庫県
出席委員 委員長 里脇 清隆、副委員長 川崎 祥司、委員 野本 三雄、委員 渡辺 敏勝、
委員 徳永 達也、委員 髙比良 元、委員 友田 吉泰、委員 吉村 洋、委員 山本 由夫
概要

1.大阪府庁(大阪府大阪市)

 大阪府庁咲洲庁舎において、IR誘致に向けた取組み、課題等についての調査を行った。

○IR誘致に向けたこれまでの取組み状況について
 
  • 2015年に来阪した外国人旅行者は416万人で来日外国人のうち36.3%の人が来阪している状況の中で、インバウンドを取り込むために、大阪府の成長戦略に「IR立地促進」を掲げて取組みを行っている。
  • H26.10月から府、市、関西の経済3団体で「夢洲まちづくり構想検討会」を立ち上げ、夢洲全体のまちづくりの検討を行い、H29.8月に「夢洲まちづくり構想」をとりまとめた。
  • H29.3月からは有識者や経済団体から構成された「IR推進会議」を立ち上げ、「大阪IR基本構想」やギャンブル依存症対策について検討するなど官民連携を図っている。
  • H29.4月からは「大阪府、大阪市IR推進局」を発足し、夢洲へのIR誘致を図るため、大阪府、大阪市が一体となって共同組織を設置している。
○府民の理解を深めるための取組みについて
 
  • H29.6月から、府民の理解を深めるため3クールに分け「府民理解促進セミナー」を開催した。1クール目は、府民になぜ大阪にIRを誘致するのかなどIRに関する基本的事項の説明などを行い、残り2クールは今年度中に実施予定としている。1クール目は約100名の方が参加され、IR反対という方は少なかった。
○官民連携状況
 
  • 官民連携については「IR推進会議」を通じて経済団体と連携事業を図っている。
○ギャンブル依存症対策について
 
  • 「大阪モデル」として、セミナーの開催、医療提供体制の整備、ギャンブル等依存症者の家族を対象とした相談支援、社会復帰の支援、大阪アディクションセンターの積極的な活用による依存症者への対応力の向上を図っている。
  • 大阪アディクションセンターは依存症の本人及び家族をとぎれなく支援するための相談・治療・回復ネットワークで、保健所、精神医療センター、弁護士会、自助グループなどが課題や成果をヒアリングや研修会等を通じて依存症関連機関連携会議と共有している。

大阪府庁咲洲庁舎にて
 

2.千日前道具屋筋商店街

 インバウンドの受け入れで交流人口の増加を各個店の売上げに結び付けている商店街の取組みについての調査を行った。

○商店街の現状について
 
  • 大阪は飲食店の商売が多く、それに伴い調理器具も使う。当商店街は調理器具の専門店街であるためある程度の集客があったが、バブルがはじけたときに違う集客活性化を行う必要性を感じ、検討していたが、2000年頃から「まちづくり」、「ひとづくり」、「ものづくり」をキーワードにし、店同士の強いネットワークを利用し、例えばマップを作成する際も「ひと」を感じ取れる違った角度で商売をし始めた。
  • 2年前からキッズ対象の取組みを行っている。修学旅行で年間60件程度の訪問があり、1日体験販売やお金の大切さなどを学んでもらっている。
○インバウンド対策について
  (1)銀聯(ぎんれん)カードの導入
 インバウンドのうち4割はアジアから来ており、特に、中国人が利用する銀聯(ぎんれん)カードを導入した。
(2)指差しシートの作成
 買い物によく使われる会話を1枚のシートにまとめて翻訳し、それを指差しすれば会話ができるようなシートを作成した。
(3)iPad免税チャートアプリの開発
 iPadで免税の手続きができるようにしたもので英語、中国語、フランス語、韓国語に対応している。大阪外国語大学の方と共同で1年間かけて開発した。アプリ上でリアルタイムに通訳と会話しながら手続きが進められ、店主は外国語対話の心配がない。
(4)ムスリム対応
 主にインドネシアの方を対象にしており、ムスリムの方は食べるところがないと困っているため、これを押さえたパンフレットを作成した。対象とした方はほとんど英語で通じるためパンフレットは日本語と英語だけとしている。
(5)留学生の受け入れ
 留学生のうち日本で就職できず帰国している方が8割いるが、その対策として、インターンシップで受け入れを行い接客をしてもらっている。
 

千日前道具屋筋商店街にて

指差しシート、ムスリム対応パンフレット

3.姫路市役所

播磨圏域中枢都市圏広域観光連携事業の取組みや姫路市の観光振興の取組みについて調査を行った。

○磨圏域連携中枢都市圏広域観光連携事業について
  (1)播磨圏域連携中枢都市圏広域観光連携事業とは
 「播磨圏域連携中枢都市圏構想」は、姫路市が中心となって播磨圏域の市町村が連携し、経済の活性化、居住地の利便性維持向上、人口流出抑制など播磨圏域の持続的な成長を図ることを目指し、播磨圏域が目指すべき将来像などを具体的に取りまとめた「播磨圏域連携中枢都市圏ビジョン」を策定した。
 そのビジョンのひとつの事業に「広域観光連携事業」があり、圏域全体の魅力を向上させるための観光素材の発掘、充実及び活用を図っている。
(2)平成28年度の取組み状況
 ・インバウンド観光の推進として、英語・タイ語・マレー語・インドネシア語による広域観光パンフレットを作成し、旅行博での配布や商談会での情報提供などを行った。
 ・広域観光パンフレットやHP等を活用し大規模イベントでのPR活動、テレビでの広域観光ルートの紹介を行った。 
(3)官民連携、市町村との連携状況
 播磨圏域を構成する市町村で、訪日外国人観光客への訴求性の高い着地型観光プログラムの掘り起こし、情報発信事業を実施した。
(4)姫路城プラスワンの広域観光ルートについて
 最初に姫路城に来ていただいて次どこ行くかとなったときのルート6パターンを紹介したパンフレットを作成しPRを図っている。
(5)課題について
 インバウンドの推進にあたり、外国語対応が十分できていない。
(6)今後の展望
 広域対応型MICEの推進(合宿のための補助金の充実を行いMICE利用の促進を図る)
○姫路市の観光振興の取組みについて
 

(1)姫路城等のPR方法
 コンベンションビューローによる国内外へのPRと関西広域連合やせとうちDMOなどの広域連携を通じた情報発信を行っている。
(2)観光客の受入体制の整備状況
 観光案内所で一元的に情報提供を行ったり、観光レンタサイクルからの移行した「姫ちゃり」を整備し、サイクルステーションをあらゆる場所に設置して無料で貸し出しを行っている。
(3)他団体との連携状況
 コンベンションビューローを中心とした官民連携、播磨圏域連携中枢都市圏広域観光連携事業で、関西広域連合、せとうちDMOなどと連携をはかっている。また、県とは兵庫県外客誘致促進委員会で連携を図り観光客誘致促進を行っている。

 

姫路市役所にて

4.神戸ユニバーサルツーリズムセンター

 バリアフリー観光の取組みについて調査を行った。

○ユニバーサルツーリズムへの取組み
  (1)現在の障がい者などが抱える課題
 障がい者等が旅行をする際に、手すりなどハード面ではバリアフリー化の整備が万全でも、当事者たちが解決しなければならない問題が解決されてないと本当のバリアフリーになっていない。
 例えば、神戸から介助者も同行し旅行した場合、高額な旅費がかかったり、介助する人が旅先で、介助する状況に変わりはなく負担は変わらない。また、障がい者が女性で介護者が男性の場合、入浴は一緒に入れないなどの問題が出てくる。
(2)神戸ユニバーサルツーリズムセンターの取組み
・地域内のネットワーク(移送サービス関連、医療福祉関連、宿泊関連、観光関連)や地域外のネットワーク(各県にあるツーリズムのネットワーク)をつなぎ解決していく仕組みの構築
・ひとりひとりにあった旅行プランを作成、移動サービス、介護サービス、宿泊・観光施設など必要なサービスを着地(観光地)で行う手配をしている。そうすることで、日常的に介助する人もいっしょに旅行を楽しむことができる。
・ユニバーサルホスピタリティ研修の開催、大学連携による人材育成
(3)兵庫県との関わり(兵庫県観光振興課から説明)
・全国にユニバーサルツーリズムを広めたいとの思いで、2年前から神戸ユニバーサルツーリズムセンターを通じて、まず、兵庫県で6つの拠点を作って広めていこうという方針の下に4段階に分けて事業を行っている。
・観光に携わる一般の業界(宿泊業、土産店など)はユニバーサルツーリズムを理解しているところは少ないため、まず、第1段階で理解促進のために、核になる人をつくる。第2段階で普及啓発で広めていく。第3段階で旅行会社などを招聘し情報発信を行う。第4段階で旅行者に対してマップ作成やHPなどで情報発信を行う。
・H29年度は1,475千円予算を計上し、神戸ユニバーサルツーリズムセンターに事業を行ってもらっている。
(4)実績
 旅行業第2種を取得してから、情報発信がさらにできるようになり、年間600名の利用者があった。今後、高齢化社会になるため、減ることがないニーズである。
 
神戸ユニバーサルツーリズムセンターにて

5.NESTA RESORT KOBE

  グランピング施設(手ぶらで行ける豪華なキャンプ)を通じた観光振興対策の調査を行った。

○施設の概要
 
  • 平成27年に閉業した「グリーンピア三木」の土地や施設を利用し、広大な敷地にホテル、グランピング施設、ウォーター施設、スポーツ施設、スパ施設、アトラクション施設などのリゾートを新しくつくりあげている。
  • 年間約30万人の来客数があるが、目標はハウステンボス来客数を目安に300万人としている。
  • グランピング施設は日帰り客用として1棟(張)貸しで8名~20名のテント、グランプキャビン(屋内棟)、宿泊施設として4~8名宿泊できるプレミアムキャビン(屋内棟)が準備されている。また、1棟(張)あたり30,000円~80,000円となっている。
  • 夏休み中は満室で秋ごろまで予約は入っているが、冬などのオフシーズンは稼働率は低い。
  • 手ぶらでキャンプができるようになっており、食材は有料で提供している。一般的なグランピング施設では見栄えよく食材を皿盛りするが、衛生管理上、真空パックでの提供をしている。
  • ターゲットは関西圏で一般的なグループ、家族であるが、スイートキャビンや現在建設中のプール付建物を売りにしてラグジュアリー層も取り込む取組みをしている。
 

NESTA RESORT KOBE グランプバーベキューパークにて

 以上のほか、姫路城の世界遺産としての観光振興に対する取組み状況などについて現地調査を行った。

現地調査

委員会名 観光振興等対策特別委員会
目的 観光振興対策現地調査
日時 平成29年5月30日(火)~31日(水)(2日間)
調査先 対馬市
出席委員 委員長 里脇 清隆、副委員長 川崎 祥司、委員 中山 功、委員 渡辺 敏勝、委員 髙比良 元、委員 友田 吉泰、委員 山本 由夫
概要

1.対馬市役所

対馬市の「観光振興に関する取り組み、課題」、「インバウンドに対する取り組み、課題」、「日本遺産に対する取り組み、課題」、「国際航路の現状等」について調査を行った。

○対馬市の概要
 
  • 位置
    北緯34度42分~34度5分、東経129度30分~129度10分の位置にあり、福岡までの距離(海路)138km、韓国までの距離49.5kmである。
  • 人口
    31,803人、世帯数 15,133世帯、面積708.65平方キロメートル(平成29年2月末現在)
  • 産業
    就業人口は15,507人で内訳として、第一次産業は21.7%、第二次産業は12.3%、第三次産業は66.0%となっている。第一次産業の77.4%は漁業に携わっており一本釣り(イカ・ブリ)、延縄などが盛んである。その他、林業は木材生産からしいたけ栽培へ推移、農業については、平野部が少ないため野菜、米などの生産量が少なく島外へ依存している状態である。
①観光振興及びインバウンドにおける取り組み、課題について
 

○現状と課題

<現状>

  • 釜山からの国際航路利用者、特に韓国人の入国者数が平成24年から増加している。

<課題>

  • 認知度が低い、外国人観光客のマナーアップが必要、自然、歴史など対馬独特の観光素材の活用・整備が必要、島内交通、食、宿泊施設等受入態勢の充実を図る必要がある。


○観光施策の概要・取り組み状況

<国内に向けた取り組み>

  • 情報発信と対馬ファン獲得事業、受入体制整備、観光情報発信事業
  • 対馬市福岡事務所、よりあい処つしま、対馬市応援団を活用した情報発信
  • 朝鮮通信使ユネスコ記憶遺産登録、日本遺産登録を契機とした誘客・PR活動
  • 案内情報設備整備事業(観光案内板、Wi-Fi) など

<インバウンド(韓国)に向けた取り組み>

 
  • 観光客おもてなし事業(観光案内所設置、ガイド育成他)
  • 受入施設グレードアップ、魅力発信・観光客誘致、ニーズに対応したパンフレットの作成
  • 国際交流イベント(港まつり、国境マラソン、海道音楽祭)
  • 大陸と日本を繋ぐ博物館建設事業 など

意見交換の様子

対馬市役所前にて
②日本遺産に関する取り組み、課題
 

○実施した取り組み

  • 平成27年度、平成28年度にそれぞれ日本遺産に関する講演会を市内で実施。
  • 各箇所に日本遺産に認定された旨の認定板を設置。
  • 厳原港、比田勝港に電光案内サインを設置。

○今後の取り組み

  • バスツアーの開催
  • 島内外に向けて周知活動を行う。
日本遺産 現地調査(金石城跡、万松院)
③国際航路の現状等について
 

○出入国者数の推移

  • 対馬市への出入国者数は平成24年に国際航路運行会社が3社に増えたこともあり、以降増加傾向になり平成28年には525,927人(出国者+入国者)となった。さらに、平成29年に入っても依然増加傾向が続いている。
  • 厳原港における出入国者数は、平成24年に驚異的な伸びを示したが、それ以降は横ばいであった。しかし、船が大型化されたことや比田勝港が過密化したことにより、平成28年からは再び増加傾向に転じ163,882人となっている。
  • 比田勝港は船の大型化と共に、運航ダイヤが過密化してきている。平成28年1月に供用を開始した比田勝港国際ターミナルはすでに増築に向け動き出している。

2.(一社)対馬観光物産協会

対馬のウェルカムゲートとして、観光客と市民の交流の場所を提供している協会について、概要、取組み、現状、課題について調査を行った。

○対馬観光物産協会の概要
 
  • 設立:平成25年10月1日 役員数:会長、副会長3名、理事9名、監事2名 職員数:11名
  • 会員数:414事業所および個人
○インバウンド誘客に向けた取り組み
 

韓国内での観光展への参加

  • 韓国アウトドアメーカーとの対馬キャンプイベント等の開催
  • 韓国パワーブロガーの招致 など
○来島後の対応
 
  • 韓国語対応の案内所(厳原港・比田勝港・ふれあい処つしま)
  • 飲食店等の韓国語メニュー化
  • 観光パンフレット韓国語版の作成 など
○課題
 
  • 入出国時のCIQ、ターミナルおよび周辺道路の混雑
  • レンタカー、サイクリング等による事故の増加(国のルールの違いで、事故が発生している。)
  • 観光消費額の伸び悩み(カード決済の整備がすすんでいない。) など
ふれあい処つしま 現地調査

3.対馬いづはらペンション

 市開発用地のホテル公募で採択された当施設について現地調査を行った。

○ 施設の概要
 
  • 平成29年1月27日オープン
  • 部屋総数 26室、宿泊定員 72名
○宿泊客への対応
 
  • 食堂を併設していないため、観光客は市内の食堂や居酒屋等の利用が多く、送迎は市内消費に貢献するため積極的にしておらず、タクシー利用の案内を行っている。
  • ゴミ排出を減らすため、アメニティはボディソープ以外は置いていない。
○今後の課題
 
  • バーベキュー施設の要望が多いが、周辺環境へ配慮する必要があり検討中。
意見交換会の様子

 以上のほか、厳原港において「厳原港の国内及び国際定期航路の現状」、半井桃水館において「施設の概要、インバウンド向け体験メニューについて」、対馬市内の免税店にて「インバウンドの現状」について調査を行った。

半井桃水館にて