閉会中の委員会活動

観光振興等対策特別委員会

現地調査

委員会名 観光振興等対策特別委員会
目的 観光振興対策
日時 平成30年8月20日(月)~23日(木)(4日間)
調査先 マカオ、香港
出席委員 委員長 山田 朋子、 副委員長 ごう まなみ、 委員 田中 愛国、 委員 小林 克敏
委員 髙比良 元、 委員 麻生 隆、 委員 髙橋 勝幸
概要

1.ギャンブル依存症回復センター

 (目的) 
 特定複合観光施設(IR)誘致を進めていくうえで、準備すべきギャンブル依存症対策について調査しました。

 (マカオのギャンブル産業 概要)
・事業6社 (カジノ41箇所 / カジノテーブル6,586台 / スロットマシン17,205台)
・マカオ労働者40万人(うちカジノ事業従事者56,000人)
・2012年にカジノ施設への入場規制年齢を18歳から21歳未満へ引き上げた。(プレー目的だけでなく、業務目的でも入場不可)

 (センター 概要)
 当センターはゲーム産業の発展に伴う潜在的な問題への対応として、2005年後半にマカオ特別行政区社会福祉局に設立された。
2016年からギャンブル中毒問題やその家族に対するカウンセリングサービスを提供するとともに、地域社会の予防活動を行っている。

【センター事業実施内容】
〈1 対面カウンセリング 〉
  依存症患者の方々が自分の行動を変えたり、自分の感情をコントロールしたり、家族との関係を改善したり、健康的なライフスタイルの再構築を行う。
〈2 電話カウンセリング 〉
  カウンセリング用ホットラインは、市民にカウンセリングサービスの提供を行う。
NGO(民間人や民間団体のつくる機構・組織)と協力して24時間対応可能。
アフターフォローが出来ないことが課題。
毎月2000人(インターネット相談含む)が利用している。
〈3 ファイナンシャルカウンセリング〉
  経済面で助言サービスを必要とする方に行う。(予約制)
〈4 コミュニティ認識活動〉
  ポスター、パンフレット、モバイルアプリケーション、TV広告など多種メディアを使用して、ギャンブル中毒によって引き起こされる問題について意識を高める。
〈5 コミュニティレベルでの講義と活動〉
  個人的な財務管理と賭博中毒の防止に関する教育活動を行う。  
子どものころから正しい金銭感覚を身につけることを目的として、学校に出向いてイベントを行う。
〈6 コミュニティ教育特別プロジェクト〉
  「個人向けプラン」、「若年者向けプラン」、「ゲーミング産業従業員向けプログラム」のように、異なるグループ向けにギャンブル防止計画を策定するために民間福祉機関に助成を行う。
〈7 責任ある賭博認識〉
  他の関係機関と協力して、責任あるギャンブルに関する一般市民の意識を高める活動を行う。 
責任あるギャンブル、ゲームのリスク、問題の評価、自己排除の要求、助けを得る方法などの情報を提供するために、カジノやカウンセリングセンターに配置される「責任あるギャンブル情報キオスク(※注1)」の開発や、異なる団体向けにギャンブル予防計画を策定するために民間福祉施設に助成を行う。
※注1 電話相談やギャンブル依存症の自己判定などが出来る無人機。年間6万人が利用している。
〈8 プロフェッショナルトレーニング〉
  2014年以降、ゲーム検査監督局、マカオ大学、マカオ工科大学と協力して、「ギャンブルカウンセリングにおける専門職認定のためのトレーニングコース」をはじめ、ソーシャルワーカー向けのその他の継続教育コース マカオのカウンセリングを行う。
 
〈 ギャンブリング回復センター 現地調査 〉

2.シティーオブドリームス

  〈概要〉
  • 2009年に完成。敷地面積80万㎡(うちカジノ3万㎡)
  • 現在、宿泊4施設(完成当時2施設)。宿泊施設を増設する理由はリピーターが多いため、絶えず新しいものを提供することでリピーターが飽きないようにするため。
  • カジノ施設は他社施設と特徴の違いを出すことが難しいため、ホテルや飲食店などを多く取り込み他社との違いを打ち出すことで集客へつなげるようにしている。
  • 人気のアトラクションはウォーターダンスショーでこれまでに1200万人を集客している。
  • カジノ以外の宿泊事業、レストラン事業などの価格帯は高く富裕層をターゲットとした高級志向である。
  • 家庭向け、子供向け施設にも注力している。例えば、ワーナーブラザーズと提携した施設を建設したり、今年は5万㎡のVR施設をオープンする。当初投資額は当時のレートで24億米ドル。その後、宿泊施設などを増設し続けている。

〈現在の状況〉
  • ここ10年間、マカオのギャンブル産業は成長しているが、ギャンブル依存症の患者数は年々減少している。
  • 現在、日本国内のIR関連の法律について、ギャンブル依存症に関する法制度など自社独自に情報収集を行っている。併せて、日本のビジネスパートナーの選定も行っている。
  • 日本におけるIRはマカオと同様ではいけない。日本の文化や環境を取り入れた施設設計を考えている。
  • 想定する日本のIRに向かって、具体的にはギャンブル依存症予防、入場ゲートにおける入場者の識別システムなどの研究を行っている。

〈 シティ オブ ドリームス 現地調査 〉

3.JETRO 香港事務所 (日本貿易振興機構)

  〈1 香港の概要〉
  • 1国2制度から1国1.5制度になりつつある(中国本土の影響が大きい)。
  • 中国大陸語(簡体)の使用頻度が25%から50%に増加した。
  • 男女共に日本を抜き世界一の長寿国。
  • 2037年まで中国本土からの移民を年間15,000人を受け入れるため、人口が増える。
  • 大陸語(中国本土)に対する冷ややかな対応。
    →大陸文化が香港を侵食することへの心情の表れ。
     ※一例として、香港大学の学生は、中国本土からの学生がその大半を占める。
  • 香港は現金支払が原則。
    (理由)香港ではモバイル決裁(アリペイなど)を利用した場合、データーが中国政府に漏れることを懸念している。
  • 人件費が東京と比較して1.3倍超高い。 
    →物価が高い(ラーメン1杯約1,230円、日本米2キロ 約2,850円)。
  • 香港の土地面積は東京の半分で、60%は山地(うち40%は自然保護区)。
  • 香港は学歴主義。一般家庭でも海外留学させているケースが珍しくない。それを可能にしているのは、所有している不動産の価値が高騰しているからである。

〈2 香港における日本企業の状況〉
  • 香港に出店した日本企業の中には、賃料の負担が大きいため撤退する企業も多い。
    また、賃料のリスク回避のため、輸出を行う企業が多い。 
    (不動産賃料を東京と比較するとオフィス賃料約1.8倍、マンション賃料約1.7倍。)
  • 香港は日本から空輸で4時間以内の地理的利点がある。輸入手続きがないため、日本の朝発送して夕方香港の店で出すことが可能。鮮度が高いと高価値で取引される。
  • 香港の入国者全体の4分の3が中国本土の旅行客。中国本土の旅行客は、香港で大量に購買する。香港に売り込むことは中国大陸へ売り込むことになる。
  • 香港人に対してビジネスを行う場合は、名刺に簡体を使ってはいけない。簡体を使うと中国大陸に向けて営業していると受け取られ、香港人の心象がよくない。

〈3 香港人の特徴〉
  • 日本へのリピート率が30%超である。物価が高いため、香港で日本食を食べることを想定すると日本では2倍の食体験ができる。
  • 日本で観光する場合、レンタカーを利用する。他国人と楽しみ方が違い、体験型観光を好む。
  • 中国本土の人と間違われることを嫌がる。
  • インターネットでの購入をあまりしない。現物を自分の目で確認して購入する。
  • 温かいものを食べる。最近は日本式コンビニおにぎりなど冷たいものも食べるようになった。
  • 外食率が高く、家庭で米を調理することは少ない。米を販売するのであれば、業務店へ直接売り込むほうが効率的。
  • 購入の際、値切りの文化がある。大阪の文化に似ている。香港では、説明責任が十分に果たされていないものは値切られる。
  • 化学調味料はアウト。天然の原材料由来の成分は高額で取引される。香港のデザートは砂糖がほぼ使われていないので甘くない。香港人はお土産にフルーツを渡すと喜ぶが、羊羹などの砂糖が入った甘味は好まない。
  • 高価な贈呈品を送る文化があり、1万円のシャインマスカットや10万円以上の酒(ワインなど。日本酒は手ごろな値段なので該当しない。)などがそれに該当する。日本からの輸出品は高額なものが少ない。

〈4 香港市場への活路〉
  • 販路拡大を図るのであれば、製造業者が自社製品のこだわりの製法等、直接現地で説明をすることが望ましい。業者任せのセールスでは十分に製品の良さが伝わらない。また、同様に来日した観光客に対しても、自社製品の説明を十分にできた企業が売り上げを伸ばしている。
  • 香港の物価は高い。土地代が高いことも理由の一であるが、フルーツなどには価格を盛って販売する。
  • スーパーで販売することは効果的で仕入れの3倍で販売される。レストランにいたっては6倍になる。
  • 真珠は日本からの輸入が多い。香港から世界に輸出される。中国で真珠の需要が高い。  
    (理由)中国のファーストレディーが真珠を高く評価しているため、中国本土でも根強い人気。
  • 香港への輸出野菜は3ヶ月間連続納品しなければならない。産地連携でなければ対応は不可能であり、欠品は許されない。現在、JAが産地を取りまとめて出荷している。九州は対応できている。
  • 隣県連携することによりフルシーズン対応できるツアー商品(入国と出国が別の空港)を企画することが可能となる。また、取り扱える物産を増やすことができる。
  • 金融機関と自治体などが協力する枠組みをつくり、企業と共に現地にアンテナショップを運営することも効果的な手法。
  • 長崎県は他県と比べてロビー活動がうまく行っていない。
  • 香港の広告媒体は活字が効果的。角川香港ウォーカーなど。中国とインターネットの利用方法に違いがある。
  • 香港に現地事務所を設置している九州の県は、福岡、佐賀、熊本、宮崎、鹿児島、沖縄。(長崎、大分以外は設置している。)

〈 JETRO 香港事務所 現地調査 〉

4.LIN &Partners Distributors Limited

  〈1 会社概要〉
 〔会 社 名〕 LIN &Partners Distributors Limited(以下、リン社)
 〔設   立〕 昭和43年(1968年)
 〔従業員数〕 約280名
 〔事業内容〕 ・工芸品、キッチン用品、家庭用品等の輸入、卸、小売 
        ・香港で生活雑貨店「LIFE KAN」等を8店舗経営
        ・象印マホービン㈱の香港、マカオの販売代理店

〈2 本県との関わり〉
  • 平成2年から県貿易公社が香港そごうを介しリン社と波佐見焼の取引開始
  • 平成3年のそごう民事再生手続以降は、リン社と県貿易公社が直接取引
  • 平成27~29年度に、県から県貿易公社への委託事業により、リン社の店舗で「波佐見焼フェア」を実施。「波佐見焼フェア」に合わせ、県が現地情報誌で県産品及び波佐見焼フェアのPRを実施
  • 平成28年度から、お茶、清酒を県貿易公社がリン社に輸出し、リン社の店舗で販売
  • 平成29年度から、調味料(チョーコー醤油)、島原手延そうめん、五島手延うどんを県貿易公社が  輸出し、リン社の店舗で販売

〈3 香港人の購入傾向〉
  • 焼物(器)に関しては、高価な観賞用は中国本土からの旅行客が購入し、香港人は日常使いの茶器を購入する傾向にある。香港の住宅はあまり広くないため観賞用は好まれない。
  • 香港のレストランで使用される食器は中国製品が多く、日本製は家庭用として利用されている。
  • 香港人が好む食器は、食文化の違いから、日本で焼き魚などを盛り付けるような平たい皿ではなく、油で調理した料理をご飯にかけて食べるのに適した窪み(深さ)があるものが好まれる。
  • 香港人は価格が同じ場合は大きな器を好む。小さな器は損をしたように感じる。
  • ペット用(猫など)の食器の需要が若者層を中心に伸びてきている。

〈 LIN &Partners Distributors Limited 現地風景 〉

 以上、観光振興に対する取組み状況などについて現地調査を行った。

現地調査

委員会名 観光振興等対策特別委員会
目的 観光振興等対策現地調査
日時 平成30年5月29日(火)~30日(水)(2日間)
調査先 佐世保市、熊本県
出席委員 委員長 山田 朋子、委員 田中 愛国、委員 下条ふみまさ、委員 麻生 隆
委員 髙橋 勝幸
概要

1.長崎国際大学(佐世保市)

 長崎国際大学の13名(うち留学生5名)の学生と、「若者の目線で観光地を考える」をテーマに意見交換会を行いました。

○長崎県内の観光地についての、学生から下記の意見や感想及びアイデアがでました。
 
  • 県内観光地は他県と比較すると、海と一体となっているところが多い。
  • Wi-Fiの環境整備を進めてほしい。
  • 写真撮影スポットがあってほしい。撮影した写真をSNSなどで情報を発信拡散することが望ましい。
  • テーマパークがあることは大きなメリットがある。
  • 熊本県など周遊型観光が可能であるが、短い滞在期間で、長崎県内の観光地を移動することは難しい。
  • 平和公園は外国人には魅力的である。一方で多言語対応がされていない。
  • 絶景が少ない。
  • お笑い芸人を活用した広報を試みてはどうか。
  • ロケ地の活用がうまくいっていない。
  • テーマに沿ったルート作成が進んでいない。
  • 観光客に対して、県民のおもてなし意識をもっと向上させたほうが良い。
  • 鯨を食する文化は珍しく、食べても美味しい。
  • 佐世保市に入港するクルーズ船客は、滞在時間が短いために佐世保の景勝地などに行くことができない。
  • 長崎、佐世保の観光地がネット上で、上位に上がってこない。地元でもっと情報発掘をして、紙媒体をはじめ、ネット上の動画、写真で情報を発信したほうがよい。
  • 外国人観光客へのガイドブックはもっと簡単で単純のほうがいいと思う。
  • 日本の歴史を好む外国人は多くいるので、紹介の仕方を工夫すると喜ばれる。

長崎国際大学にて

2.佐世保市 現地調査

 佐世保市リーディングプロジェクトの一環として整備計画がある現場及び関連のある現場の視察調査を行いました。

○クルーズ船入港体制整備(浦頭港及び三浦岸壁)
   浦頭地区において、国、クルーズ船社と連携し、「国際旅客船拠点形成港湾」として港湾設備の整備を行う 。佐世保港が日本に寄港するクルーズ船のゲートウェイ機能を有した拠点港として発展することを目指す。
浦頭港 現地調査(浦頭引揚記念資料館駐車場)

国際ターミナル/三浦岸壁 現地調査
○一般国道202号(浦頭拡幅)
   車線数に対して交通量が多く、ピーク時間帯に混雑し、快適な通行が確保されていない。
 佐世保港(浦頭地区)において、クルーズ船の停泊可能な岸壁改修整備が事業化され、今後観光周遊による交通量が増加すると見込まれる。

浦頭港へ続く道路と一般国道202号の合流箇所 現地調査
○俵ヶ浦半島開発(つくも苑跡地活用)
   つくも苑跡地を活用し、丘の造成、花畑、園路、駐車場等の整備を行うことにより、九十九島等の自然景観を眺望できる良好な自然環境を有する風致公園として整備する。
 つくも苑跡地に観光公園を整備し、クルーズ船観光客をはじめ多くの人を呼び込み、南九十九島観光の周遊性の向上を図る。

つくも苑跡地 現地調査
○特定複合観光施設(IR)誘致
   人口交流の増加と誘客効果を拡大することで、佐世保市をより稼げる地域とし、新たな人の流れを作り出す起爆剤として、国による依存症対策等のリスク対策が確実に実施されることを前提とし、ハウステンボスエリアへの地方創生型の統合型リゾート(IR)の誘致に取り組む。

ハウステンボス 現地調査
○佐世保市役所
   前日に視察した現場について佐世保市から事業計画を踏まえた説明を受けました。

佐世保市役所にて

2.熊本空港の復興に向けてのコンセッション化について

 長崎空港の24時間化の議論に必要な事項が運営民営化である。そのことを踏まえて、熊本空港が新たなるターミナル建設を「コンセッション方式」(運営権を民間に売却する仕組み)で行うことを目指しているため先進的事例として説明を受けました。

○地方航空路確保について
   国は地方航空路を確保することを約束することは考えていない。収支計画を重視する。
 このことについては、国に対し、地方航空路を確保してもらえるよう熊本県は働きかけを行っていく。
○24時間化について
 

 地元から反対があっており、今後の課題。

○空港アクセスについて
 

 利用者の6割が自家用車を利用している。バス等朝夕などのラッシュ時には通常40分かかるところが60~90分を要することもあり定時性に乏しい。

○募集要項における地元企業の優遇について
 

 優遇はしない。県外企業であっても、今後長い期間空港事業を行なっていくのであれば、県内企業と変わりはない。

○県との開業後の関わり方について
 

 空港経営には県は関わらない。しかし、協定を結ぶ予定。

熊本県庁にて

 以上、観光振興に対する取組み状況などについて現地調査を行った。