閉会中の委員会活動

環境生活委員会

現地調査

委員会名 環境生活委員会
目的 環境生活行政現地調査
日時 平成30年8月1日(水)~8月2日(木)  (2日間)
調査先 諫早市、南島原市、島原市、大村市
出席委員 委員長 里脇清隆、副委員長 山本由夫、委員 八江利春、委員 渡辺敏勝、
委員 瀬川光之、委員 徳永達也、委員 外間雅広、委員 川崎祥司、委員 坂本浩
概要

1.国土交通省九州地方整備局雲仙復興事務所(大野木場砂防みらい館)(南島原市)

 直轄砂防事業による溶岩ドーム崩壊に対するハード・ソフトの「防災・減災」対策の状況等について調査を行った。

(1)事業概要
   雲仙普賢岳は、平成2年11月に約198年ぶりに噴火活動を再開し、噴火に伴う火砕流や土石流の災害により、流域が荒廃し、被害が拡大。
 当該事務所は長崎県の要請により、直轄砂防事業として平成5年4月に開設され、「水無川」「中尾川」「湯江川」の3河川にて土石流対策を実施。
(2)平成30年度施設整備の概要
  ①赤松谷川1号砂防堰堤付近の土砂掘削
 発生する土石流に対し、容量確保に向けた掘削(除石)を無人化施工で実施。
②おしが谷12号床固工改築
 床固工を1m嵩上げすることで土石流を貯める容量を確保する計画に変更。
③赤松谷川2号砂防堰堤の補強
 土石流により掘り下げられた堰堤下流部の補強
(3)無人化施工の取り組み
   現在でも、溶岩ドーム崩壊や土石流による被害が想定されることから、人の立ち入りが制限されている区域(警戒区域)が設定されており、無人情報化施工システムを用いて、安全な場所から建設機械を遠隔操作する「無人化施工」を用いて工事を実施している。
(4)砂防事業によるストック効果
   砂防施設が整備され安全が確保されることにより、人口増加、商業や産業の発展、観光交流、雇用の増加などにつながり、長期にわたり経済を成長させる効果がある。
  • 最も被害が大きかった安中三角地帯では、宅地が再建され噴火前より世帯数が増加。
  • 水無川流域に被害をもたらした土石流の堆積土砂を安徳海岸埋立事業に利用。
  • 安徳海岸埋立地に島原復興アリーナを整備、健康増進に貢献。
  • 砂防工事で発生した巨石を利用し、農地が整備され島原半島の農業が発展。じゃがいもなどの生産高が向上している。
  • 無人化施工のさきがけとなり、火山災害や大規模土砂災害現場で活躍。東日本大震災の福島原発対応などに貢献。

雲仙復興事務所 調査状況
(大野木場砂防みらい館)

「定点」での 見学の様子

2.長崎県環境保健研究センター(大村市)

 長崎県環境保健研究センターを訪問し、「大村湾環境総合対策事業 人工砂による浅場造成」について調査を行った。

(1)大村湾の現状と課題
 
  • 生活排水対策や工場事業場排水対策などにより、水質は改善傾向にあるものの水質環境基準の達成を目指し、湾奥部を中心に更なる対策が必要。
  • 湾内の埋立が進み、浅場が少なくなったことで海を浄化する生物の生息場が失われている。
  • 再生砂などを活用して、海を浄化する生物の生息場づくりを本格的に展開。
(2)再生砂による浅場づくり実証試験事業
  【平成26年度】
・競艇場横水路に、1.5×12mのテラス式干潟を増設し基礎的実証試験を実施。
・1ha程度の造成を行う候補地を選定(大村市森園公園地先)
・事前調査、計画業務実施
【平成27年度】
・1ha程度の浅場を造成(~28年度)
【平成28年度】
・事後調査を実施

→事業効果を見極め、湾内展開につなげる
(3)事業概要
  【造成事業の目的】
 廃ガラスなどの再生砂を用いて浅場を造成し生息環境を整え、生物による湾の環境改善効果を引き出す。


浅場造成地 調査状況(森園公園地先)

【造成状況】
第1期 大村市森園公園地先
造成期間 H28.1~6
造成面積 1ha
再生砂量 約3,000m3
工事費用 64,230千円

第2期 時津町 﨑野自然公園地内
造成期間 H30.3~7
造成面積 1,164m2
再生砂量 約410m3
工事費用 13,080千円

  【森園浅場 事後モニタリング調査結果(H28.9~H29.3)】
・造成した再生砂は、ほとんどエリア内に留まっており、流出していない。
・造成前と比較して単位面積あたりのアサリの個数の増加が認められた。
※マスコミや県外の研究機関などからの取材や問い合わせあり。


 以上のほか、日本フードパッカー株式会社において「食肉処理場の衛生管理」、島原半島ジオパーク協議会及びがまだすドームにおいて「ジオパークの取組み」、サムコテクシブ株式会社において「工場排水処理による環境保全への取組み」について調査を行った。

現地調査

委員会名 環境生活委員会
目的 環境生活行政現地調査
日時 平成30年5月15日(火)~5月17日(木) (3日間)
調査先 秋田県、青森県
出席委員 委員長 里脇清隆、副委員長 山本由夫、委員 田中愛国、委員 渡辺敏勝、
委員 瀬川光之、委員 徳永達也、委員 外間雅広、委員 川崎祥司、委員 坂本浩
概要

1.秋田市総合環境センター(秋田県秋田市)

 秋田市総合環境センターを訪問し、「廃棄物発電施設の概要」や「秋田市における次世代エネルギーパークへの取組み」について調査を行った。

(1)秋田市総合環境センター施設概要
 
  • 秋田市では、多様化するごみに十分対応でき、溶融物を資源として有効活用ができる「ガス化溶融炉」を採用。資源ごみを除いたごみは、高温溶融処理され、スラグやメタルとして再資源化されている。
    (溶融スラグはコンクリートやアスファルトの骨材等として利用される。)
  • 埋立処分が必要となるのは少量の溶融飛灰のみとなり、最終処分量の極小化並びに最終処分場の延命を図っている。
  • さらに、ボイラーで燃焼ガスの熱エネルギーを回収し、蒸気タービン発電機で発電し、施設内の必要電力を全て賄うだけでなく、余剰電力を外部に供給(売電)している。(全体の約4割を売電)
  • また、センターの敷地内の一般廃棄物最終処分場跡地には、メガソーラー発電所が建設され、年間平均182万 kWhの電力を発電している。事業期間20年間累計で、約15,600トンの二酸化炭素を削減。 二酸化炭素を大量に排出する化石燃料から、再生可能エネルギーである「太陽光」への転換をすすめている。


    秋田市総合環境センター調査状況



    敷地面積 432,000㎡
    竣  工 平成14年3月 新設
    平成24年3月 能力増強
    処理能力 460t/24h
    (230t/24h×2炉)
    処理方式 シャフト炉式ガス化溶融炉
    工場棟 地上6階 地下1階
(2)あきた次世代エネルギーパークへの取組み
  ◆次世代エネルギーパークとは
 自治体が企業等と連携し、再生可能エネルギーをはじめとした次世代のエネルギーに関する新たな取組みを見学・体験できるような施設整備などを行い、地球環境と調和した将来のエネルギーのあり方に関する理解の増進を図る計画を、資源エネルギー庁が認定するもの。平成19年度から27年度までに全国で63件が認定されている。
◆秋田市の取組み
 秋田市は、平成26年10月30日に認定を受けている。
 豊かな風況を生かした風力発電施設や、森林資源を活用した木質バイオマス関連施設をはじめ太陽光発電施設や地中熱利用施設など、多種多様な再生可能エネルギー施設を一体として見学することができるよう、見学体制や広報体制を整備している。
 市内外から多くの来訪者があり、市としては、この取組みを通じて、来訪者に将来の環境やライフスタイルを考えるきっかけを与え、ひいては、低炭素社会、脱化石燃料社会への実現へとつなげていくことを目指している。
 また、学校での授業や社会見学等に組み込むことで、再生可能エネルギーについての教育を推進し、将来の人材育成や、地域の環境活動の活性化につなげていく考え。

2.白神山地ビジターセンター(青森県中津軽郡西目屋村)

 白神山地ビジターセンターを訪問し、「世界自然遺産 白神山地の保全と活用」について調査を行った。

(1)白神山地ビジターセンター施設概要
   世界の自然遺産として登録された白神山地の自然環境及び自然と共存する人々の暮らしを紹介することにより、自然保護思想の普及を図るとともに、自然環境その他に関する活動及び交流の場を提供するため設置。
・設置年月日 平成10年10月24日
・職員数 9名
・敷地面積 27,108㎡  建物等面積 3,178.5㎡
・施設概要 映像体験ホール、展示ホール、情報・図書コーナー、会議室等、展示林(外構)
・入館者状況 年間5万人以上(H28年度は東日本大震災の影響により、5万人を若干下回っている)
・H30事業計画 白神山地の優れた自然環境の保護・保全を図るため、野外体験や講座等を通じて世界自然遺産としての普遍的な価値を理解してもらうよう各事業を展開。
自然体験事業、文化継承事業、情報発信・交流事業
(2)白神山地の保全と活用について
 


白神山地ビジターセンター調査状況

◆白神山地の概要
  • 屋久島(鹿児島県)とともに、日本初の世界自然遺産として、1993年に登録。
  • 青森県南西部と秋田県北西部の県境にまたがる約130,000haに及ぶ広大な山岳地帯の総称。
  • このうち世界自然遺産に登録されたのは、中心部16,971haで、原生的なブナ林が残されている。
  • 人為の影響をほとんど受けていない原生的なブナ天然林が東アジア最大級の規模で分布。その価値は地球的に見ても極めて重要であると評価されている。
  • 特別天然記念物のニホンカモシカや天然記念物のクマゲラなどが生息。
◆保護管理のための体制
  • 行政機関と学識経験者が連携し、地域連絡会議及び科学委員会を設置し、管理計画を定めて適切な保護管理を行っている。
  • 県が委嘱した6名と国が委嘱した31名の巡視員が、白神山地の自然環境の状況把握と適切な利用の推進のため、遺産地域内を定期的に巡視。入山者のマナー向上、動植物の保護に努めている。
◆課題
  • 上記保全活動等により、現在のところ、世界遺産としての価値が損なわれるような大きな問題は生じていないが、地域の過疎化や少子高齢化が進むと、保全活動だけでは地域は守れなくなる。
  • 地域が持続し活性化することが必要。
  • 観光入込客数は、近年、減少傾向にある。
◆保全と活用の両立
  • 平成25年(世界自然遺産登録20周年)、白神山地の保全と地域の持続的発展の両立を目指し、白神山地の多様な価値を見つめ直し、暮らしや学術研究、産業との関係性を再構築する取組みを進める。
  • 現在は、情報発信の強化や受入環境の整備、次世代育成等に取り組んでいる。
◆今後の展望
  • 白神山地をしっかりと未来に継承することが目標。
  • 白神山地の保全と適正な活用に向けて、白神山地及び周辺地域の自然や文化資源の活用による民間主導の自律的な推進体制の構築を目指す。

3.スターゼンミートプロセッサー株式会社
青森工場三沢ポークセンター(青森県三沢市)

 スターゼンミートプロセッサー株式会社 青森工場三沢ポークセンターを訪問し、「食品の品質管理への取組み」について調査を行った。

(1)会社概要
  ・スターゼン株式会社(本社:東京都)のグループ会社
・設  立   昭和61年4月
・本  社   東京都港区港南五丁目1番30号
・事業内容   国産食肉の処理加工・販売など
・他の工場   阿久根・加世田・石狩・青森(三戸)・郡山
【青森工場三沢ポークセンター】
・敷地面積   116,774.13㎡
・1日の最大豚肉処理加工頭数  2,300頭(日本最大級)
(2)食品の品質管理への取組み
 


スターゼンミートプロセッサー株式会社
青森工場三沢ポークセンターの調査状況

◆HACCP方式による衛生管理
  • 国際規格SQFを導入
     S・・・Safe(安全)
     Q・・・Quality(品質)
     F・・・Food(食品)
    安全で高品質な食品をつくるためのシステム
  • 安全危害と品質危害を防止するために重要管理点、重要品質点を設定し、食品を取り扱う工程管理を徹底。品質の安定に寄与している。
    年1回審査(3年に1回は無通告審査)

◆工場で想定される危害の対策
生物的危害 ・・・ 細菌汚染・増殖
  対策→清潔な取扱い、低温管理
化学的危害 ・・・ 医薬品の残留、洗剤・薬剤の混入
  対策→適正に飼養された豚の受け入れ、工場内での薬品の管理
物理的危害 ・・・ 金属異物の混入、毛髪の混入、その他異物の混入
  対策→入室手順の遵守、施設・設備からの異物混入防止(整理整頓、清掃の徹底)、異物の除去(金属検出機等)


 以上のほか、秋田港(秋田県秋田市)において「重要港湾施設の管理と整備」について調査を行った。