閉会中の委員会活動

総合交通対策特別委員会

現地調査

委員会名 総合交通対策特別委員会
目的 総合交通対策現地調査
日時 平成30年8月22日(水)~23日(木)(2日間)
調査先 長崎市、大村市、佐世保市
出席委員 委員長 浅田眞澄美、副委員長 宮本法広、委員 野本三雄、委員 吉村庄二、
委員 坂本智徳、委員 堀江ひとみ、委員 前田哲也、委員 大久保潔重、
委員 山本由夫、委員 里脇清隆
概要

1.NPO法人長崎バリアフリー推進協議会(長崎市)

 「ユニバーサルツーリズムの取組み」について、現地調査を行った。
 長崎バリアフリー推進協議会では、「すべてのひとにやさしい長崎のまちづくり」に取り組んでおり、ユニバーサルツーリズムの受け入れ体制強化を進められています。

■観光施設を実際に車椅子で移動して、バリアフリー調査や検証を実施
 ・高島体験型バリアフリー観光調査(車椅子でシュノーケリング等)
 ・長崎から雲仙へバリアフリー体験型観光(ホースアシステッドセラピー体験等)
 ・軍艦島上陸をストリートビューで調査(車椅子でクルーズ船に乗船)
 ・出島表門橋をストリートビューで調査(導線調査等)
 ・ジュピター船内までの導線と船内バリアフリー対応調査(船内へのスロープ検証等)
 ・松ヶ枝市営駐車場~グラバー園近隣・大浦天主堂ルート検証調査
 ・亀山社中バリアフリー導線調査
■調査・検証結果
・車椅子での生活となって、シュノーケリングできる日が来るとは思わなかった、「感動した」。子供たちに体験してもらいたい。
・施設内はバリアフリーになっているが、導線がバリアフリーではない。(階段、小さい段差等)
・車椅子利用者のための導線案内表示がない。
・どこに行けば車椅子を借りられるのではなく、観光案内所で車椅子が借りられるようになると便利になる。

《小さい段差を体験》

《JINRIKI体験》

2.キングタクシー株式会社(長崎市)

  「ユニバーサルデザイン車両の導入等」について、現地調査を行った。
 キングタクシーでは、高齢者、車椅子、ベビーカー利用の親子連れなど誰もが利用しやすいよう、国の定めるユニバーサルデザインタクシーに適合する「ジャパンタクシー」を県内で初めて導入しています。

■現状
 長崎市交通圏でのユニバーサルデザイン車両の導入状況(H30.6月末現在)
  全体23台(全車両の1.64%)  キングタクシー2台(全車両の4.44%)

■メリット
 車体価格は現行のタクシー専用車より1.5倍割高だが、1台あたり年間約70万円の燃料費削減が期待できる。

■課題
・国の補助金が交付決定される前に購入すると補助が付かない。
・車椅子での乗降には、スロープの設置等時間がかかり、交通渋滞の原因となる。
 また、乗務員の研修も必要である。
・タクシー料金は、一般のタクシーと同じ料金。車椅子乗車までの準備や
 乗務員教育を考慮すると、今の料金体系では厳しい。


《車椅子乗車のためスロープ設置》

《UDタクシーに乗車》

3.長崎空港ビルディング株式会社(大村市)

 「地域・2次交通対策」について、現地調査を行った。
 長崎空港ビルディングでは、空港から主要都市までのアクセス向上や多言語によるアクセス案内標記などに取り組まれています。

■現状
 


<2017年度乗降旅客数>
 国内線合計 3,104千人
 国際線合計 53千人
 国内・国際線合計 3,158千人

※離島累計142千人で、有人国境離島法による運賃低廉化の効果もあり、前年度比106.7%

 

交通手段

方面

便数/1時間あたり※

所要時間

バス

長崎駅 長崎新地経由

45往復/3往復

約43分

昭和町・浦上経由

25往復/1.7往復

約61分

住吉・道ノ尾経由

12往復/0.8往復

約67分

大村駅・諫早駅

上り21便、下り20便/1.4便

約47分

諫早駅・島原駅

4往復/0.3往復

約119分

佐世保駅

16往復/1.1往復

約89分

連絡船

ハウステンボス

16往復/1.1往復

約50分

時津

5往復/0.3往復

約25分

乗合ジャンボタクシー

佐世保駅みなと口

13往復/0.9往復

約55分

■課題
・JR大村駅までのバスの連結がうまくいっていない。JRのダイヤを合わせてもらうと助かる。

4.西肥自動車株式会社(佐世保市)

 「大野地区まめバス事業」及び「運転免許証返納割引」について、現地調査を行った。
 西肥自動車、大野地区交通対策協議会、佐世保市と協働して、地域の足を守り利用促進に取り組まれています。また、運転免許証返納から1年未満の方を対象に、西肥バス乗り放題定期券「リフレッシュパス65」の販売価格を1,000円割引く取り組みを行っています。

(1)大野地区まめバス事業
  ■概要
 ・交通空白地区を運行できる小型バスによる公共交通
 ・「才牟田線」、「岩下・瀬戸越線」の2路線を運行
 ・運賃 大人310円、小児160円
 ・旅客定員12名
 ・平成30年3月九州運輸局交通政策関係表彰受賞
■輸送人員
 平成24年度5,614人 平成25年度7,386人 平成26年度8,122人
 平成27年度8,509人 平成28年度8,182人 平成29年度7,711人
■課題
 ・利用者が固定化し、利用者数は頭打ち
 ・市の欠損補助363万円(H29)
(2)運転免許証返納割引
  ■目的
 高齢者ドライバーによる交通事故が社会問題となる中、高齢者の移動手段を自家用車からバスへの移行支援
■概要
 運転免許証返納から1年未満の方を対象に、65歳以上限定で西肥バス全線乗り放題定期券「リフレッシュパス65」の販売価格を1,000円割引
■販売価格
 1年定期券34,800円を33,800円、4ヶ月定期券17,400円を16,400円で販売
■販売実績 ※H29.9~H30.7
 リフレッシュパス65(通常)2,337枚  返納割引利用23枚
■課題
 通常のリフレッシュパス65が定着し、周知不足もあり利用者が少ない。
《西肥自動車にて》

5.NPO法人ほほえみ佐世保(佐世保市)

 人工透析患者通院支援事業について、現地調査を行った。
 ほほえみ佐世保では、佐世保市内の病院を中心に、人工透析を必要とする内部障害者の透析施設への通院支援を行っている。

  ■現状
・H30.4月現在、登録ボランティア(送迎者)数8名、登録利用者数42名
・ボランティアは自宅周辺の利用者を中心に病院まで送迎
・ほほえみ佐世保は、ボランティアと利用者を電話連絡でコーディネート
・利用料金 6km未満500円
■課題
・高齢化により介護が必要な患者が増えている。
・ボランティアの確保が難しい。
・ボランティアは1泊2日の講習を受講する必要があるが、受講する時間がない。
《ほほえみ佐世保にて》

6.ラッキー自動車株式会社(佐世保市)

 柚木地区乗合タクシー事業について、現地調査を行った。
 高齢者等の交通手段を確保することを目的に、自宅と主要バス停間の移動手段として予約制乗合タクシー「ほたる号」を平成30年3月から運行している。

  ■概要
・柚木地区を4エリアに分割、エリアごとに定めた主要バス停と自宅間を運行
・運行便数 1日5往復(行き5便、帰り5便、平日のみ)
・利用料金 1人310円 ※乗合割引100円引き、子ども割引160円/1人
・車両 ラッキータクシーの車両(セダン型)
・メーター料金と利用料との差額(欠損分)を市が補助
■利用者数
 平成29年度48人 1便あたり1.02人
■現状・課題
・4つのエリアのうち、2つのエリアは利用実績がない。
・タクシーも地域公共交通という認識を深めていく必要がある。

《乗合タクシーほたる号》

《県北振興局にて》

現地調査

委員会名 総合交通対策特別委員会
目的 離島地域航路・航空路対策、地域・2次交通対策、医療・福祉・高齢者等交通弱者対策現地調査
日時 平成30年6月5日(火)~7日(木)(3日間)
調査先 沖縄県、鹿児島県
出席委員 委員長 浅田眞澄美、副委員長 宮本法広、委員 吉村庄二、委員 堀江ひとみ、
委員 前田哲也、委員 大久保潔重、委員 山本由夫、委員 里脇清隆
概要

1.沖縄県庁

 沖縄県職員から、離島航路・航空路対策及び地域・2次交通対策について説明を受けた後、意見交換を行った。

(1)陸上交通の利用改善
自動車から公共交通への転換、離島を含むバス路線の確保
 ①公共交通利用環境改善事業 H30年度事業費298百万円(国費198百万円)
 ・ノンステップバスの導入補助 100百万円(補助上限14百万円/台)
 ・多言語対応機器等導入補助 58百万円(9/10補助)
 ・公共交通利用促進に関する広報活動 45百万円
 ・IC乗車券システム拡張利用等検討 12百万円 など
(2)離島交通の確保・負担軽減
離島航路(船舶)・航空路の確保、離島の割高な交通コストの低減
 ①離島航路運航安定化支援事業 
  H30年度事業費680百万円(国費604百万円)
  航路事業者が船舶を確保する際の建造費又は購入費を補助
  ・久高航路 H29~30 60,995千円(国64%、県8%、市8%、事業者20%)
  ・粟国航路 H30~31 618,367千円(国80%、県10%、市10%)
 ②離島交通ヘリコプター活用支援事業
  H30年度事業費31百万円(国費25百万円)
  航空路線がない離島(又は運休している粟国路線)において、船舶の欠航時等におけるヘリのチャーター料金に対し、市町村と協調補助
  ・対象離島:座間味、渡嘉敷、渡名喜、粟国 補助率:1/3
 例)座間味(那覇~慶良間 約43キロ、約15分)5人乗りチャーター料金9万円
   県補助3万円、村補助3万円、利用者負担3万円
 ③沖縄離島住民等交通コスト負担軽減事業 
H30年度事業費2,084百万円(うち国費1,485百万円)
  航路はJR地方線並みの運賃まで低減、航空路は新幹線運賃相当並みまで低減
  ・対象航路:24航路 割引率:3割~7割 対象者:離島住民
  ・対象路線:11路線 割引率:4割(5割) 対象者:離島住民(高校生)
  ※高校や中核病院のない小規模離島や人口減少が著しい久米島は離島住民以外も対象
(3)その他
  • 平成30年度内閣府の沖縄振興予算3,010億円、うち沖縄振興一括交付金1,188億円
  • 沖縄県は観光業が好調で外国人観光客、国内観光客とも増加、那覇空港の需要が高まっており、滑走路増設等那覇空港の機能強化を図っている。

2.南城市役所

  南城市職員から、デマンド交通及び地域公共交通再編について説明を受けた後、意見交換を行った。

(1)デマンド交通「おでかけなんじい」について
   既存の路線バスで対応できないエリア、時間帯の移動を補完するため、平成25年度からドアtoドアのデマンドバス「おでかけなんじい」の実証運行を開始、平成28年度から本格運行。

利用対象:観光客及び南城市民(年齢制限なし) 利用料金:1回300円
導入台数:10人乗り4台 運行時間帯 8時~20時
 ①運行便数 1日概ね31便
 ②平均乗車人員 2.7人/便
 ③登録者数 4,731人(H30.2月)
 ④利用者数 84.1人/日(H29有償)
 ⑤収支見込 H29年度23,900千円の赤字、収支率47% ※市補助8,500千円
課題:平均乗車人員が10人乗りに対し2.7人であるにも関わらず、遠距離利用等により予約を断るケースが増えており、利用状況が飽和状態となっている。
(2)南城市地域公共交通再編について
   平成34年度前後に地域高規格道路「南部東道路」供用が予定され、平成30年度に新庁舎供用及び大規模公共駐車場が一部供用され、中核地における新たなまちづくりが展開されている。それに合わせて、自立・持続可能な公共交通体系を構築するため、平成29年3月に「南城市地域公共交通網形成計画」を策定、平成31年10月を目標に、公共交通の再編を実施。
 <公共交通再編の考え方>
公共交通網のハブの整備
3箇所に分散しているバスターミナルを中核地の1箇所に集約
定時・速達性の高い幹線バスの導入
南部東道路を経由し、中核地に整備するバスターミナルと市外を結ぶバスを定時・速達性の高い幹線バスとして整備
ハブとまちの拠点等を結ぶ支線バスの導入
まちの拠点等とハブを結ぶ支線バスを導入、支線バスでの対応が難しいエリアは、デマンドバスで対応

《おでかけなんじい》

《南城市役所》

3.株式会社しまバス

 しまバスの職員から、ご長寿パスの発行等交通弱者対策の取組について説明を受けた後、意見交換を行った。

(1)ご長寿パスの概要
  70歳以上の方を対象とした定期券で平成28年5月に販売開始。
例)奄美市名瀬に居住している方
 ・しまバス全線乗り放題
 ・料金 免許返納カードなし5,000円/月、免許返納カードあり4,500円/月
 ・利用人数 H28:1,111人→H30:2,287人
 ・売上額 H28:3,333千円→H30:6,860千円
(2)今後の課題と展開
   ・大型2種免許所有者の人材不足
 ・社員の高齢化(平均年齢55歳)
 ・車両設備の老朽化
 ・利用者の少ない路線を切り離し、その路線はジャンボタクシー等で運行
(3)その他
 


《しまバスとの意見交換》

 自力で経営改善に努めながら、交通弱者の足の確保等に取り組まれていた。人材不足や社員の高齢化、車両の老朽化など行政と連携した取組も検討する必要がある。

4.奄美市役所

 奄美市職員から、ご長寿応援券及び地域公共交通網形成計画について説明を受けた後、意見交換を行った。

(1)ご長寿応援券について
   市議会での一般質問をきっかけとして、平成27年度に地方創生関係交付金を活用し、高齢者交通機関利用ニーズ調査を実施し、平成28年度から事業開始。
 ・予算規模:32百万円
 ・対象者:75歳以上高齢者、70~74歳で運転免許自主返納者
 ・事業目的:5千円の補助券を交付し、外出機会の増加などによる高齢者生活
  活性化と介護予防を図る。
 ・対象者数:平成29年度6,762人
 ・発行数・率:平成29年度4,847人、71.7%
 ・利用種別割合:バス利用22.8%、タクシー利用70.6%、健康・入浴6.7%
(2)奄美市地域公共交通網形成計画について
   ・対象区域:奄美市全域
 ・計画期間:平成30年4月~平成35年3月
 ・将来イメージ
  ①公共交通不便地域における新たな公共交通サービスの検討
  ②路線バスとコミュニティバスの役割分担の明確化
  ③重複区間の解消等によるバスネットワークの効率化
  ④バスターミナル、乗り継ぎ拠点の整備

5.日本エアコミューター株式会社(JAC)

 JACの職員から、離島航空路線の維持拡充施策について説明を受けた後、意見交換を行った。

(1)会社概要
   昭和58年、奄美群島の離島路線維持のため、東亜国内航空(当時)と奄美群島の市町村の出資により奄美空港内に設立。
 ・運行機:ターボプロップ機三機種17機
 ・就航路線:21路線
 ・運行便数:77便/日(38.5往復)
(2)グループの枠を超えた地域航空会社間の共存共栄
  ①小規模航空会社の課題
 ・予備機を持たないため、特に重整備時に長期間の減便や欠航
 ・予備備品や器具配備、管理体制、乗務員や整備士の養成体制等が大きな負担
 ・機材更新(免許取得)に係る人的リソース不足
 ・機材更新に係るノウハウ不足
②グループの枠を超えた連携
 ・新機種導入準備の協力
 ・整備業務の管理の受委託
 ・予備部品等の総合管理
 ・予備機、予備部品の共用(機種の統一)
※JALやANAは機材更新のノウハウを培っているが、大手航空会社のサポートをしっかりやらないと地域航空の支えもできない。
(3)JACの支援協力
 
天草エアラインの機材更新に際して協力支援、約6ヶ月間の全面運休を回避

機材更新に伴うパイロットの訓練などで全便運休が見込まれていたが、人的リソース(パイロットや整備士)、技術ノウハウ(マニュアル作成等)を支援協力
北海道エアシステムへ予備機を貸出し、重整備期間中の減便を回避

機材整備により1機少ない体制となる予定だったが、JACの同型機を貸出すことで、通常体制を維持

《新型プロペラ機ATR》

《JACの職員の皆様と》

6.社会福祉法人クオラ

 クオラ及びさつま町役場職員から、高齢者の移動支援施策について説明を受けた後、意見交換を行った。

(1)さつま町概要
   鹿児島県北部の山間地域にあり、人口21,853人、高齢化率38.7%
(2)訪問型サービスDの内容
   ①目的:高齢者の外出機会を確保、介護予防及び自立支援の推進
 ②利用条件
  ・要支援1・2認定者、チェックリスト対象者
  ・バス停から遠く、近くに送迎できる支援者がいない
  ・行先は、通院・買い物・金融機関などに限定(利用の可否は判定会議)
 ③利用料金等
  ・1回30分以内で料金は510円
  ・利用登録者:H29末で76人
 ④利用実績
  ・187.7件/月、最高は237件/月
 ⑤町からの補助金
  ・1台あたり年間324千円
(3)課題
 


《クオラでの意見交換》

  • 年間275万円の収入(H29)と少なく、運営は厳しい。地域貢献として事業実施。
  • 需要拡大した場合、現行体制での対応が難しい。
  • 職員の高齢化に伴う訪問介護員の確保。
(4)対応策
 
  • 介護職員確保のため、ベトナムで事業説明会実施
  • 1人が複数の仕事を担当