閉会中の委員会活動

離島・半島地域振興特別委員会

現地調査

委員会名 離島・半島地域振興特別委員会
目的 離島半島地域振興対策及び有人国境離島法対策現地調査
日時 平成30年8月21日(火)~24日(金)(4日間)
調査先 北海道
出席委員 委員長 宅島寿一、副委員長 大場博文、委員 八江利春、委員 徳永達也、
委員 山田博司、委員 久野哲、委員 外間雅広、委員 西川克己、委員 山本啓介
概要

1.離島キッチン札幌店

 (1)概要

①事業主体

NPO法人 利尻ふる里・島づくりセンター

②開設日

平成29年9月29日

③所在地

札幌市北区北11条西1丁目1-25

④取扱商品

全国離島の加工食品、工芸品と離島の加工食品を使用した飲食メニュー
153事業者/289品目(平成30年8月現在)

⑤参加離島

北海道-利尻島、奥尻島、礼文島、焼尻島、天売島、厚岸小島
長崎県-対馬、壱岐島、五島列島、小値賀島
ほか全国の離島多数

⑥事業目的

日本中に点在する離島を結びつけ、離島パワーを結集するハブ機能と、離島の持つ問題を解決していくことを目的とするアンテナショップ

⑦事業内容

物販コーナー、飲食コーナー、店舗内イベント開催、催事の出展、BtoB事業、離島のPR

⑧他の店舗

神楽坂店、福岡店、日本橋店(離島百貨店)
※事業主体は別組織

(2)離島百貨店について
  平成30年12月設立予定。現在、参画自治体を募集中。
  Webサイト、全国4つの実店舗、離島ファンクラブの活用を提供する。
  ①参画における活用プラン
   地域商社としての活用、移住促進のための求人サイト、観光案内所、ふるさと納税
  ②活用により見込める効果
   PR・認知度UP効果、交流人口増加、生産者支援と販路拡大・売上UP効果


《離島キッチンでの意見交換》

《離島キッチン店舗内》

2.北海道庁

 北海道職員から、(1)有人国境離島法の活用について、(2)北海道における集落対策の取組について、(3)移住対策及び実績について説明を受けた後、意見交換を行った。

(1)有人国境離島法の活用について
   ①特定有人国境離島地域:礼文島、利尻島、奥尻島
   ②有人国境離島地域:焼尻島、天売島、小島
   ③特定有人国境離島地域社会維持推進交付金を活用した取組

市町村名 種別 H30事業内容 H30内示額
(H29実績額)単位:千円
礼文町
利尻町
利尻富士町
奥尻町

輸送コスト支援事業

農水産物を本土に移出するための輸送費および必要な原材料等を移入する輸送費の低廉化

64,572
(84,939)

滞在型観光促進事業

地元ガイドが同乗する町内ツアーの造成、シェフが地元業者に現地で技術指導する「アドバイスレクチャー会」の開催、短編動画映像の制作、モニターツアーの実施、模擬ウニ獲り体験、宿泊滞在ツアー商品の販売

21,433
(15,409)

雇用機会拡充事業

特産品のネット販売、民博事業の実施、日本酒バーの創業、居酒屋の創業、ゲストハウスの創業、スローフードカフェの創業、キッチンカー導入

28,356
(18,676)

 

 

114,361
(119,024)

   ④特定有人国境離島地域の最近の動き
   (礼文町)
   ・北のカナリアパークでアウトドアレストランの実証実験実施
   ・「ふるさと応援体験道場・礼文番屋」オープン
   (利尻町)
   ・利尻昆布酢を新たな特産品へ
   ・「離島キッチン」が札幌にオープン
   (利尻富士町)
   ・利尻島フォトブック「利尻ノススメ」を作成
   ・バックカントリーツアーが人気
   (奥尻町)
   ・「おくしり食堂」オープン
   ・奥尻高校に島外から16名入学

(2)集落対策の取組について
 ①平成25年3月に「北海道における集落対策の方向性」を策定。
 ②全庁的なサポート体制強化に向け、知事を筆頭とした「集落対策専門部会」、本庁実務 者レベルの「過疎地域・高齢化集落問題検討チーム」、本庁と振興局の実務者レベルで構成する「集落対策連絡会議」を設置。
 ③意識醸成や人材育成・ネットワークの構築、担い手確保・起業支援、サポート体制強化のための各種事業を実施。
 ④3つのモデル地区において集落総合対策モデル事業を実施。

(3)移住対策及び実績について
 ①北海道体験移住「ちょっと暮らし」の実施
  H29実績 利用件数:2,099件、利用者数:3,949人
 ②「ふるさと移住定住推進センター」の設置
  →相談対応機能の強化(札幌・東京)
 ③地域おこし協力隊員の配置拡大
  H29実績 142市町村593名
 ④NPO法人住んでみたい北海道推進会議(会員数:217団体)
 ・「北海道暮らしフェア」の開催
 ・移住・交流受入体制づくり

3.利尻富士町役場

 (1)有人国境離島法について
 ①特定有人国境離島地域社会維持交付金の活用
 ・航路・航空路運賃低廉化事業
  →航路はJR運賃並み、航空路は新幹線運賃並みに低廉化。準島民は2名認定。
 ・輸送コスト支援事業
  →漁家所得の向上及び水産業の生産高の向上につながっている。
 ・雇用機会拡充事業
  →「島民も観光客もうれしい創作和食料理店創業事業」の1件を採択。
 ・滞在型観光促進事業
  →滞在型観光モニターツアー、ファミリー層滞在促進事業の実施。

(2)産業振興について
 ①漁業振興に向けた取組
 ・サケ資源増大のための種卵移植と稚魚生産放流
 ・ウニ・ナマコ・アワビ資源の増大のための育成と放流
 ②漁業後継者(担い手)育成の取組
  漁業者の減少と高齢化は深刻な状況であり、新規漁業就業希望者の受入体制整備が必要な状況。
 ・町単独の担い手対策として、40歳以下の新規漁業後継者に磯舟または報奨金を贈呈。
 ・担い手支援制度(研修機関参加報償金、免許取得報償金、家賃補助金、実施研修奨励金)
 ・漁業体験研修「漁師道」(先輩漁師宅に2週間住み込み)→国の漁業研修制度活用
 ・地方創生加速化交付金「漁師を目指す若者を確保し育成するモデル事業」
 ・地方創生拠点整備交付金「漁業担い手支援住宅整備」作業倉庫付4棟整備

4.利尻町役場

(1)ウニ種苗生産センター
  ウニの種苗生産と中間育成を行う施設を見学しながら、センターでの取組やウニの特性等について説明を受けた。
 ・施設完成:平成6年9月
 ・種苗出荷数:年間400万粒
 ・ウニ資源の増大を図り、ウニ漁業の安定経営と沿岸漁業の飛躍的な発展に資することを目的としている。
 ・生まれてから約1年飼育し、20ミリになったものを出荷・放流している。
  (放流から2年後、漁獲される。)
 ・ウニの餌となる昆布も隣にある施設内で、役場職員が育てている。

(2)有人国境離島法の活用について
 ・輸送コスト支援事業
  事業者:利尻町水産品輸送協議会(構成:漁協、商店、役場)
  交付実績:平成29年度 事業費5,203千円、交付金額4,162千円
 ※交付金の活用については、4分の1の町負担が重みとなっているとの意見あり。


《利尻富士町役場》

《利尻町ウニ種苗生産センター》

5.稚内市役所

 【稚内市の概況】
  人口:34,376人(平成30年7月末現在)
  面積:761.47平方キロメートル
  年平均気温:6.9℃(平成29年実績)
  平均風速:年間を通じて毎秒4.8メートル

 【移住対策の取組】
(1)ちょっと暮らし移住体験推進事業
 ○目的
  稚内市への移住を検討している方に、生活体験住宅を貸し付けることにより、定住促進等を図り、地域の活性化に資する。
 ○概要
  市街地と郊外に移住体験住宅を整備し、移住希望者に1週間から1ヶ月の間、貸し出す。
  体験住宅(戸建て)5棟、ウィークリーマンション3室
 ○実績
  平成29年度 10組 21人 実日数135日 延べ日数277日 住宅数3棟
 ○成果と課題
  平成27年度から事業を開始し、移住に結びついたのは2名のみ。
  今後、移住者を増やすためには、働く場所の提供、地域特性を活かした体験メニュー、移住可能な住宅の紹介、移住に関わる負担の軽減、周知方法の工夫、体験希望者のニーズの把握などが必要と考えている。

このほか、島の駅 海藻の里・利尻において「島の情報発信」について、稚内港国際旅客ターミナルにおいて「CIQ体制」について、有限会社丸二永光水産及び株式会社カネニ台丸谷において「水産業の現状」について調査を行った。

現地調査

委員会名 離島・半島地域振興特別委員会
目的 離島振興対策及び有人国境離島法対策現地調査
日時 平成30年6月7日(木)~8日(金)(2日間)
調査先 壱岐市
出席委員 委員長 宅島寿一、副委員長 大場博文、委員 八江利春、委員 山田博司、
委員 久野哲、委員 外間雅広、委員 西川克己、委員 山本啓介
概要

1.有人国境離島法の雇用機会拡充事業採択事業者

 平成29年4月1日に施行された有人国境離島法の雇用機会拡充事業に採択された事業者の中から以下の事業者を訪問し、事業の概要説明を受け、法律の活用事例や今後の方向性等について意見交換を行った。

事業者名 事業概要
①株式会社シーガルイン

マリンスポーツ等の体験型サービスの充実、島の自然を最大限楽しむことのできる拠点整備等により、観光客ニーズに沿ったサービスを提供し、交流人口の拡大及び島の活性化に繋げる。

②壱岐オリーブ園株式会社

新たな農産物としてオリーブを栽培し、オイルの搾油のほか、葉のパウダーによるお茶や新たな商品の開発を行い、島内はもとより、ネット通販等を利用した島外市場への販路開拓を図るとともに、収穫体験など観光コンテンツとしての取り組みも推進する。

③株式会社なかはら

低塩分地下水を使用した陸上養殖事業によりトラフグ養殖を行う。技術的に魚に対するストレスが低く、海面養殖より歩留りが高いことから、一定の生産性が担保されており、施設の増設によりさらなる出荷量の増加を目指す。

④一般社団法人壱岐みらい創りサイト

3DCADを活用し、首都圏、九州都市圏からの住宅関連の耐震、省エネ性能積算業務の需要を取り込むとともに、島内で島外へ外注している同事業の受注。及び、島内住宅建築業者向けの「エコ住宅設計、耐震性能/省エネ性能積算」に関する有料研修を行う。

⑤重家酒造株式会社

壱岐島での日本酒復活を目指すための設備機器導入を行い、日本国内のみならず、世界各国に発信・販売する。

⑥株式会社ペンシル

非属人的な業務を壱岐事業所となるPIC壱岐のmリト従業員に切り出し、オペレーション業務に特化した部門として運用する。壱岐での事業に携わる主婦や高齢者目線の意見をウェブマーケティングに取り入れつつ、ユーザビリティの将来的には壱岐の特産物の電子商取引事業も展開する。

⑦株式会社LIG
(ゲストハウスLAMP壱岐)

壱岐島の魅力や最新情報等をLIGのブログにて発信し、ゲストハウス運営により壱岐島の世界観を堪能できる空間を提供する。

⑧みなとやゲストハウス

自身が経営するゲストハウスですでに実施している「釣り体験」や「ウニかき体験」等の体験アクティビティと組み合わせ、収穫した魚やウニなどの島の特産品を使った特別メニューがオーダーできる食堂を開設し、交流人口の拡大を図る。


<株式会社シーガルイン>

<株式会社ペンシル>

2.Iki-Biz(壱岐しごとサポートセンター)

 業務内容やこれまでの実績等について、代表から説明を受け、意見交換を行った。

○販路拡大や情報発信、新商品・新サービス、起業、新分野進出等を無料でサポートする。
○開所してから受けた相談件数が715件、事業者数は171事業者。リピート95.9%。
○壱岐の特徴は、公務関係の業務が多いこと。また、相談者の年齢も、高齢者含む全年齢から相談があっている。
○行政は、プロジェクトマネジメントができていないと感じる。委託会社に丸投げではなく、執行管理を行い、委託先をコントロールしていくことが必要。
○販路拡大や情報発信、新商品・新サービス、起業、新分野進出等を無料でサポートする。
○開所してから受けた相談件数が715件、事業者数は171事業者。リピート95.9%。
○壱岐の特徴は、公務関係の業務が多いこと。また、相談者の年齢も、高齢者含む全年齢から相談があっている。
○行政は、プロジェクトマネジメントができていないと感じる。委託会社に丸投げではなく、執行管理を行い、委託先をコントロールしていくことが必要。

3.壱岐テレワークセンター

 事業概要やこれまでの実績等について、代表から説明を受け、意見交換を行った。

○平成29年9月に壱岐市と富士ゼロックス長崎株式会社の官民共同により開設。
○総務省「ふるさとテレワーク推進事業」、内閣府「地方創生拠点整備交付金事業」、「特定有人国境離島交付金事業」を活用。
○TELE(離れた場所から)+WORK(ヒトが集い働く)
○サテライトオフィス、フリーアドレス席、コワーキングスペース、プレゼンテーションスペース、コミュニティスペースがあり、無料または格安で利用可能。
○壱岐に在住の自営業者や主婦、国境離島交付金を活用して壱岐に進出した企業等の利用実績がある。
○平成30年3月には短期滞在者向け住宅(シェアハウス)も完成しており、併せて視察した。


<壱岐テレワークセンター>

<シェアハウス>

4.こころ医療福祉専門学校壱岐校


<視察の様子>

 学校概要やこれまでの実績等について、校長から説明を受け、意見交換を行った。

○平成28年12月1日開校
○設置学科 社会福祉専門課程「介護福祉科」
○定員 1学年36名(2年制)
○在校生 38名(うち海外からの留学生25名)
○壱岐校の3つの存在意義
・地元で学びたい学生たちの時間的・経済的負担の軽減
・地域の介護福祉事業への貢献(介護人材の輩出含む)
・島内人口流出の抑制及び交流人口増加の一助に資する
 (島内での進学、学び直し、就職が可能)

5.マリンパル壱岐

 業務内容やこれまでの実績等について、事務局長から説明を受け、意見交換を行った。

○昔みかん選果場があった場所に、出荷者35名でスタートした直売所+観光案内所。
○年間売上は2億円。2階に図書館、1階にイートインスペースも設置。
○地域商店にあるものは置かず、仕入れ販売しないことが当初からの地元との約束。
○出荷者は個人登録しており、販売手数料は常温10%、冷蔵12%、冷凍15%としている。
○POSレジを導入しており、売上・在庫状況が出荷者へメールで自動配信される。
○出荷者の中には、農協や給食センターに納める人もいる。
○売上のほとんどが島内だが、島外の居酒屋等から、採れたものを何でも箱に詰めて送ってほしいなどの声もある。

このほか、一支国博物館、あまごころ本舗も訪問した。