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知事のページ - 長崎県知事 中村法道

平成23年1月13日 臨時記者会見

 ●会見内容●

諫早湾干拓事業に関する質問状の提出について

諫早湾干拓事業に関する質問状の提出について


○知事  それでは、私の方から、まず最初にご報告をさせていただきます。先ほど、県議会の閉会あいさつの中でもお話をさせていただきましたが、さきの福岡高裁での諫早湾干拓事業に係る控訴審判決につきましては、潮受堤防の締切りと漁業被害について、合理的な根拠があると私どもは考えられないわけでありますが、因果関係が、さきの最高裁決定(平成17年に、工事差止仮処分事件において、因果関係が認められないとの最高裁決定が確定している)と異なる方向性で認められたということ。
 そして、潮受堤防が防災上、あるいは営農上果たしている役割が評価されていない。これは、防災機能は限定的なものにとどまる、営農上必要不可欠とは言えないというような考え方が示されておりました。
 さらには、開門に伴う漁業、自然環境への影響が一切評価されていないということなど、地元にとっては到底納得できないような重大な問題を含んだ判決内容であると考えております。
 仮に開門が行われるということになれば、これまでも繰り返し申し上げてきたところでありますが、まず第一に、地域の防災機能に重大な支障を生じかねない。
 第二に、干拓地の営農、あるいはその背後地の営農に重大な影響を及ぼす。これは、まずは農業用水の確保ができなくなる。潮風害、塩害の危険性があると考えており、そうした問題があると思っています。
 そしてまた、最もこの諫早湾干拓事業の影響を被る地域である諫早湾内の漁業に対して非常に大きな被害をもたらす可能性があるということ。
 そして4点目に、絶滅危惧種を含む淡水系の生態系に壊滅的な打撃を与えると。
 そういうさまざまな問題を引き起こしてくるということをこれまで説明してきたところでありますが、ご承知のとおり国においては、本来これは国営事業でありますので、この間一貫して諫早湾干拓事業の有効性を直近まで主張して、裁判で争ってこられたところでありましたが、地元に対して一切説明がないままに、今回、上訴を断念し、その機会を放棄されたということであります。国の主張や考え方が変わらないのであれば、当然ながら上訴されるべきものであったと考えておりますが、そうした経過について、大変残念であり遺憾に思っております。
 仮に、私どもは、開門がなされるということであれば、まず第一に、開門することによって漁場環境が再生をし、漁業被害を解消することができるということが明確な根拠をもって判断されてしかるべきであると思っておりました。開門するとどういう効果がもたらされ、周辺漁場環境の改善につながっていくのかといった筋道が一切明らかになっていない、そういう中で判断されたということが1点。
 それからもう一つは、開門すると必ず、水産業、農業、防災、環境に対する重大な影響被害が懸念されるところでありますが、そうした一つひとつの課題に対して、どういう影響が生じ、それを回避するために具体的にどういう対策を講じていくのかという明確な方針が得られた中で判断をされてしかるべきであると思っていました。
 そうした論議、説明等がなされないまま、今回、上訴を放棄され、開門の方向性が示されたわけでありまして、私どもにとりましては極めて重大な信頼関係を壊す行為ではないかと考えております。
 開門については、地元関係者の理解を得ることが前提とされてきたわけでありますが、そうした、先ほど申し上げた課題について、事前の説明、報告もないままに判断されたわけでありますので、まさに違背行為ではないかと考えているところであります。
 したがって、今回、国が上訴を放棄されるに当たり、今回の判決内容並びにその理由や根拠等についてどんな評価をされ、そして、常時開門を行う場合の影響・被害、防災対策等についてどういう具体的な対応策をもって判決の受入れを判断されたのか、その点について、今日、ご同席をいただいております諫早市長さん、雲仙市長さんと一緒に検討させていただき、今回、菅総理に対して質問状を提出することとしたところであります。
 質問状の内容については、お手元にお配りしておりますとおり23の項目についてお尋ねをしております。
 なお、この質問状は、本日、官邸に配達証明付き郵便にて送付いたしました。
 回答は、文書によって1月末までにいただきたいと考えているところであります。
 とりあえず、私の方からは以上、報告、説明とさせていただきます。

○記者(長崎新聞社) まず、知事や市長が、首相に対して質問状という形でそういったものを送られるというのはかなり異例なことだと思いますけれども、どうしてこういった手段をとられたのでしょうか。

○知事  これは、先ほども申し上げましたように、仮に開門されるとなると、具体的な影響・被害を生ずる可能性があって、そのことについては繰り返し説明をして、慎重に判断をしていただき、地元の同意を前提に検討していただくということを要請してきたわけでありますが、そうした要請が省みられることなく一方的に方向性が示されたわけであります。(上告を放棄すると)判断された後、この間の結論に至った経過等について会って説明したいというお話がありましたが、私どもは、経過についてご報告をいただくということは重大ではなくて、むしろどういう考え方でそういう結論に至られたのか、また、繰り返し主張をさせていただいたにもかかわらず、まだ十分ご理解いただいていないのではないかと思っています。こう考えまして、やはりそのことを判断いただく前にご検討いただくべき内容等も含んだ形で、改めてご質問をさせていただき、ご回答をいただく中で、多くの国民、県民の皆様方にも、この実情を正確に理解していただきたいと考えたところであります。

○記者(時事通信社) この質問状の回答は、農水大臣が直接こちらに伺って回答したいというふうなことになるのか。それとも向こうからは紙で受け取るつもりでいるのか。どういった考えでいるんでしょうか。

○知事  今回、紙でお出ししましたので、紙でご回答いただきたいというお願いをしておりますが、今日お出ししたばかりでありますので、国の方でご検討された上で、どういうご対応をいただけるのかというのはまだわかっていません。

○記者(長崎新聞社) 回答について大臣、副大臣がこちらに持ってこられた場合はお会いするという形になるのでしょうか。

○知事 それはこちらからお尋ねした質問についてご回答いただけるということであれば、当然お会いをしてご回答をいただくということになると思います。

○記者(長崎新聞社) こういった質問を出すということは、やはりかなり地元の事情について全国に理解されてないという危機感、そういったものがあるということなんでしょうか。

○知事 これまで、繰り返し、繰り返し申し上げてきたにもかかわらず、いわゆる無駄な公共事業の代表であるといった議論があったり、あるいは今回の菅総理の判断についても、新聞報道でありますが、65%の方々がこれを指示しておられるというような報道にも接しました。
 ということは、諫早湾干拓事業に係るこれまでの経緯、地元ならではの問題点、懸念される事項等がご理解いただけてないのではないかという思いを強くいたしました。
 したがって、これまでほぼ申し上げてきた内容でありますが、より判決の中に触れられている内容として、私どもの考え方と全く違う考え方でもって判決が出されている部分があります。そういったものを明らかにすることによって、そしてまた、それに対する国の考え方をお示しいただく中で、この諫早湾干拓事業が抱えている地域ならではの課題、問題点について、できるだけ幅広い方々にもご理解をいただく機会になればという思いであります。

○記者(時事通信社) 質問状に「政府全体として責任ある回答を」というふうに書いてあるんですが、これは農水省だけではなく、もっと幅広いところの関係省庁で考えてもらいたいというふうなことですか。

○知事  諫早湾干拓事業は、農林水産省の事業として展開されましたが、内包する課題は、先ほど申し上げたように、農林水産業だけではなくて防災上の問題、環境に及ぼす影響の問題、さまざまな課題があるわけであります。
 また、法律上の解釈の問題であるとか、特にこの中にも入っておりますが、(国は、事業着手前に予測される損失について、本県だけでなく佐賀、福岡、熊本の関係漁協・漁連に対し、)一たん漁業の影響補償を行った。そのことについて一定の法令判断が示されて因果関係を認めた上で、影響補償と個別の漁業者の漁業行使権とはまた異なるんだというような判断がなされております。これは非常に大きな課題を含んでいるのではないだろうかと思っております。
 県もいろんな公共事業をやってきましたが、例えば、港湾事業などでも漁業影響補償等は行ってきているわけです。その補償契約を締結するのは漁協でありますが、漁協と締結した漁業補償が個々の漁業者にとっての漁業行使権を制約するまでには至らないんだという判断になると、これは全く別の問題もまた生じてきかねない要素をはらんでいる内容でありますので、そういったさまざまな内容について、どういったご判断をなされて今回の結論に至られたのかということをお尋ねしたいと思っているところです。

○記者(長崎新聞社) 今回、農水省は上告する方向で、最終的に首相判断で見送られたということですが、そういった中で経過というのは首相が判断されたものなので、それを説明してくださいと言ってもなかなか難しい状況なのではないかと思いますが。

○知事 私どもは、当然ながら、地元に対して重大な影響、被害を生ずる内容を含んだ判断でありますので、当然、事前にご説明なり、ご報告があってしかるべき課題であったと思っておりますが、そういうことでなくて判断されたわけでありますので、一切うかがい知るところがないわけです。
 したがって、どういう考え方に基づいてそういう結論に至られたのか、そのことをまず十分お聞きする必要があると考えて、ここにそのご質問をさせていただいているということです。

○記者(読売新聞社) その質問状の回答があった場合なんですが、それは今後どういう形で活かされるとか、例えば、農水大臣と面会するかどうかということの判断材料になるんでしょうか。。

○知事 それは農林水産大臣からどういった内容で話したいということになるのかだろうと思います。これまでもこうした結論に至った経過なり、今後のことについて相談したいというお話がありましたが、結論を得られた経過、あるいは今後のことについてお話をするような状況ではないと判断をいたしております。
 したがって、こういう形でご質問をし、それについてご回答をいただくということであれば、当然お会いをする必要があると思っております。

○記者(読売新聞社) この質問に対する回答があって、それが納得できるような内容であれば、農水大臣から面会の申し出があった場合に会うということでしょうか。

○知事 まずはご回答をいただくということであれば、当然、お会いしなければいけないだろうと思っております。その後のことについては、回答の内容次第であります。

○記者(長崎新聞社) 質問状を出すというのは、知事のご発案なんでしょうか。それともどなたかのアドバイスとか要望があったのでしょうか。

○知事 皆さんと一緒にいろいろこの間、相談をさせていただきました。訴訟を検討しようというお話があったり、どういう形でこれから対応をしていけばいいのか、そういった中で公開した形でこうした質問状を出させていただくというのも一つの方法ではなかろうかということで検討をさせていただいてこういうことになったわけです。

○記者(長崎新聞社) 訴訟に向かう上で一つのステップになるんでしょうか。

○知事 必ずしも訴訟のためのということは考えておりません。正直申し上げて、これまで申し上げてきたこと、地域の実態というのをどの程度ご理解いただいた上でご判断いただいたのかということをまずお知らせいただきたいというのが、こうした質問の主な内容と趣旨になっております。

○記者(長崎新聞社) 同時に訴訟をする上でも必要なものであるわけですか。

○知事 訴訟に対してどういう影響をもたらすかというのは、今のところ、全く想定しておりません。

○記者(長崎新聞社) 1月末に回答の期限を切られたのはどうしてでしょうか。

○知事  既に一定のお考えのもと、結論を出された話であります。その状況をお示しいただきたいという質問でありますので、さほど時間がかかるようなことではないと思っておりまして、そういう形にさせていただきました。

○記者(長崎新聞社) 環境アセスがまだ中間報告も出ていないことなどを理由に答えられないとか、もしくは県や諫早市、雲仙市が納得できないような回答が返ってくるような気がするんですが、そういうふうにはお考えではありませんか。

○知事  それはご回答をいただかないとわかならい話です。確かに、現在、環境アセスメントが実施されている最中に一定の方向性をお示しになられたということが私どもにとっては一番疑問に思うところでありますし、これからの環境アセスメント自体、どういった方向性で進めていこうとしていらっしゃるのか。これまでは環境アセスメントの結果を科学的、客観的に検証しながら慎重に検討するというお話であったにもかかわらず、その最中にこうした決定をされたということでありますので、今後進めようとされる環境アセスメントは、本来の環境アセス手続きに基づいて本当に客観的にやっていただけるのかということ自体も疑問が生じます。

○記者(長崎新聞社) 上告を断念したことに対する気持ちとかは、これまでも伺っているんですが、この質問状を出さざるを得なくなったことについては、どのようにお考えでしょうか。

○知事 私どもが、さまざまな点について危惧をし、また、こうした問題点があるからということを説明してまいりました。それについて説明があり、回答があった上で、一定、方向性が示されたのであれば、それはそれとして評価すべきところもあるのだろうと思いますが、全くそうしたことについての方針なり考え方についての話はありませんでした。
 したがって、改めてそれをお聞きすることが、まずはすべてのスタートになるのではないかと思っています。
 したがって、改めて私どもが問題点であり、大きな課題だと思っている点について、文書をもってお示しをし、それについての回答をいただく必要があると考えております。

○記者(読売新聞社) 文書での回答ということですが、上告を求める知事が2度にわたって上京された経緯がありましたが、直接、総理と面会して、この理由について、上告を断念した理由について聞くというようなことを検討されたんでしょうか。

○知事 その点については、これまで、こうした理由をもって開門を避けていただくようにという要請をしてきたわけであります。最後の最後まで要請をいたしましたが、結果としてそれに応じず結論が出されたわけであります。こういう考え方で開門するんだというご説明もありませんでした。結論が確定した後で、こうした判断に至った経過、今後の取り扱いについてご相談したいというお話がありましたが、それは少しお話が違うのではないか。まだ我々のこうした疑問点についてお答えいただく、あるいは一つのそうした結論に至った状況について、個々の諸課題についてどうお考えになっているのかということはお話をいただいておりませんので、改めて、我々が訴えてきた疑問点、問題点についてお考えをお示しいただくのが先ではないかと考えております。

○記者(読売新聞社) 国の方から、要するに、理由を一方的に説明を受けるのではなくて、こちらから、県として疑問点をまず質問して、それについて答えてもらうという違いがあるわけですね。

○知事  そうです。

○記者(共同通信社) この質問状と別にして、これまで首相が上告断念を表明した日と、あと、12月に知事が定例会見をされた日と、2回、農水大臣から面会のアプローチがあったやに知事からお聞きしていますが、その後、農水省からはあったのでしょうか。

○知事 年明けにも事務的なお話はありました。

○記者(共同通信社) それは農水大臣が長崎に来られてお会いしたいというようなアプローチがあったと。それについても知事は開門ありきの話では会うことはできないと。

○知事 先ほども繰り返し申し上げたように、今回、こういう結論に至った経過について報告をし、そしてまた、今後の取り扱いについて相談をしたいというような趣旨のお話でありましたので、昨年末から申し上げておりますように、いまだ、地元としてはそうしたお話をお受けできるような状況ではないということでお断りをさせていただいてきておりました。

○記者(共同通信社) あと、先日、知事が上京された次の日に会見された時に、農業公社による訴訟も一つの手段だ、選択肢であるというふうなお話をされましたが、それについては今もそのお考えにお変わりはないという理解でよろしいんでしょうか。

○知事 まだ明確に意思決定をしたわけではありませんが、地元の関係団体の皆様方と今後の対応方針等について協議をする場がありました。それぞれ農業者の方々、漁業者の方々、あるいは地域住民の方々も、いろいろな課題について懸念をされており、また、心配をされており、何としても開門がなされてはならないという強い意見ばかりでありました。
 そうであれば、今後、どう対処すべきであるのかといった中で、やはり訴訟をもって結論が出された話でありますので、それについては訴訟をもって取り組んでいく必要があるのではないかという話がなされたのは事実であります。
 したがいまして、漁業者の皆様方、農業者の皆様方を含めて、具体的にこれからまた訴訟可能性について検討した上で取組を進めていくということになろうかと思いますが、今の時点で明確にこういう枠組みで訴訟をするというところまで決まった状況ではありません。一つの方法だろうと考えております。

○記者(西日本新聞社) この質問状を国と県との間の関係じゃなくて、公開質問状という形にした理由については。

○知事 それは冒頭申し上げたように、この間の国とのやりとり、あるいは諫早湾干拓事業に対する幅広い方々の受け止め方、やはりどうしてもこの諫早湾干拓事業に係る地元の事情というのが十分ご理解いただけていない。これは非常に専門的な分野もありますし、地域ならではの課題もありますし、そういったところが十分ご理解いただけてない中で、例えば先ほど申し上げた「無駄な公共事業の典型である」とか、あるいは判決の中にも触れられておりますように、「天気、気象予報によって閉めてしまえば災害を防げるではないか」とか、もう非常に実態を理解していただいてないような議論のもとに話が進んできている状況にあるわけですね。
 いま一度課題を整理し、仮に開門されるとすればこんな問題点がある、それについてどう評価されたのか、そこを国からご回答いただき、そのことをまた幅広い国民の皆様方にも理解をしていただくきっかけになればという考えによるものです。

○記者(西日本新聞社) 県側の考えているような懸念だとかというのは、いまいち世の中に広がっていないというような認識でいらっしゃるんですか。

○知事  やはり諫早湾干拓事業のこれまでの経緯、現状、開門されることによって生じるさまざまな課題と、それともう一つは開門について漁場環境の改善に結びつくのではないかという期待感があるのも事実でありましょう。しかしながら、そうした部分について十分科学的な分析がなされて、間違いなく環境改善に役立つんだといったような議論の経過もないわけですね、判決を見ますと。
 したがって、我々にとっては、仮に開門されるということになると、相当の対策経費が必要になってくる。なおかつ、相当の対策経費を投入して、また被害を懸念しながら開門して、その効果が得られるのかどうか。これはさきの農林水産省の中長期開門調査の時も莫大な経費をかけて調査を行っても、この具体的な因果関係を証明するということは難しいんではないかということで調査が見送られた経過があるわけでありますので、そうした経過等についてもほとんどご存じないんではないかと思うんです。一番ご存じなのは農水省の方々なのであります。改めて、そうした点についてどうお考えになられて今回の判決を評価されたのか、その辺について、やはりしっかりとしたお考えをお聞かせいただきたいと思います。

○記者(西日本新聞社) それによって長崎の懸念がすごく重大であることだとか、首相の判断の根拠とか裏付けが不十分であるというようなことを世論に喚起するというような意味も込められているんでしょうか。

○知事 それは、漁業者の方々が漁業不振にあえいでいて、長崎だけだだをこねるんじゃなくて、一度ぐらい開門してもいいんじゃないかというような、非常に第三者的にはそういう議論もあると思うんです。私自身もそういった声も聞くことがありました。そこはやはり開門した時にどういう問題が出てくるのかというのをご理解いただいてないからそういう話になるんだろうと思うんです。単純に高潮被害を防止するための堤防であるとか、そういったものであればいろんな選択肢があると思うんですが、今回の諫早湾干拓事業の潮受け堤防というのは、まさにいろんな複合的な役割を担った堤防であります。そしてまた、地域ならではの特別な状況、大潮・小潮があって、潮汐の移動が大幅な形で変動していく、そういった特別な要因を抱える地域であるとか、周辺の漁業がどういう形で展開されているのか、これまでの調査の中で具体的にどういった被害が実際に生じた経過があるのか、そういった部分について、やはり幅広い方々にご理解いただいて、それで今回の問題をお一人おひとり十分実態を踏まえていただいた上でご評価をいただきたいという思いがあります。

○記者(NBC) 今回、質問状を上げましたけれども、この質問状を出されて回答が来るまで、そのほかの形で国に対して何らかのアプローチを図るということは、今考えていらっしゃらないんですか。

○知事  考えておりません。

○記者(長崎新聞社)  先ほど公社の方が訴訟としてやるかもしれないというような話についてお考えは変わっていないかという質問に対して、知事は「まだ明確に決まったわけではない、一つの方法である」と少しトーンダウンしたような感じにも受けとれたのですが、そうではないのでしょうか。

○知事  いえ、決してそういうことではありません。これは農業振興公社だけではなくて、実際干拓農地において営農を展開されている方々もいらっしゃるわけでして、非常にやはり風評被害の面を含めて心配されております。数多くの取引業者の方々と安定的な取引が実現できるよう努力されてきたんですが、「本当に農業用水がなくなったらどうなるんですか」というような話がもう既に出ているような状況でもありますので、先ほど選択肢の一つであると申し上げたのは、やはり関係団体の皆様方と協議をさせていただきながら進んでいこうとしておりますので、今の方向性は従前と全然変わっておりません。トーンダウンしたわけではありません。

○記者(長崎新聞社)  進んでいる、こちらはこちらの方で準備をしているわけですね。

○知事  はい。

○記者(読売新聞社)  すみません、関連してなんですが、その訴訟の準備という点では、例えば営農者一人ひとりですね、漁業者一人ひとりが原告になる資格というか、原告となれるかどうかという、そういったところの検討も必要かと思います、それはまだ現時点で被害が発生してないからですね。そういったところの検討というのはされているんでしょうか。

○知事  それは開門されることによって具体的な影響を被る、被害を被る立場である人たちはたくさんいらっしゃるわけでありますね。諫早湾内で漁業を営んでおられる方々、これは開門されると漁場環境が相当荒廃する可能性があります。
 農業を営んでおられる方々、これは今回の新干拓地にとどまらず、後背地を含めて排水条件が整備されているので、従前の水稲中心の栽培から畑作、施設園芸に大きく転換して積極的に取り組みを進めておられる方々が数多くいらっしゃるわけです。農業用水が確保できないということになると、もう致命的な課題を抱えるということになりますので、そうした方々は少なくないと思っております。そうした方々は、やはり開門されることによって、目の前に被害が想定されるような状況に直面しているわけでありますので、原告としての適格性を審査するというような難しい判断は必要ないのではないかと思います。

○記者(長崎新聞社)  訴訟はまとまって起こされるような形になっていくのか、それとも複数の訴訟が提起されることになっていくのか、どちらなんですか。

○知事  そこまではまだ具体的には組み立てておりません。

○広報広聴課長  すみません。知事は次の時間がありますので退席をさせていただきますけれども、今日、両市長もお見えになっておりますので、一言ずつお願いをしたいと思います。まず、諫早市長から。

○諫早市長  諫早市長です。知事がおっしゃったとおりなのですが、今度の判決の中身でも、今、知事も触れられましたけれども、背後地、干拓地でございますから、基本的には海抜ゼロメートル以下にこの背後地というものはございまして、そこには既に多くの人が住んでいるわけです。その点について、判決は何も触れられておりませんし、防災効果も限定的なものと。今、地元ではそういうもんじゃないよという憤りが非常に強いです。そういうことで背後地の問題、それから今度の高裁の裁判の中で、私ども背後地に住んでいる人、それから行政、漁民、諫早湾内の漁民が証人として申請をしていただけなかった。その実情を訴える場さえ奪われてしまったというようなことで、非常に不満もあり、不安もありというようなところでございます。
 一つは3月には環境アセスが終了をし、5月には中間報告があるというふうにお伺いしておりましたので、もし判決が一審と同じような判決が出れば、上告、上訴は当然のことという理解をこれまでもしてきたところでございます。そういったところで、今回、リーダーシップと言われていますけれども、そういうことでこういう結論になったと、裁判の結論ですけれども、そういうことで確定をしたということは非常に不満でもあり、不安でもあるというようなことでございます。
 これは県も一緒ですけれども、政権もかわりましたし、私どもは首相のリーダーシップで、第三者の中立的な委員会を、有明海の疲弊の原因を探す第三者の中立的な委員会ができるんじゃないかと、ずっと訴えてまいりましたけれども、そういうことで受け入れをしていただけなかった。
 いろんな政府・与党の検討チームというのは、昨年3月から約2カ月ですか、活動されましたけれども、その中でも筑後川大堰とか、ノリの酸処理の問題とか、三池炭鉱の問題とか、熊本新港の問題とか、雲仙普賢岳が影響しているんじゃないかとか、いろんなことが言われていますけれども、そういった疲弊の原因、諫早湾干拓だけじゃないだろうというようなことを言われていまして、そういったものが、やはり一つの省庁だけでは難しいんではないかということで、私どもとしては内閣直属の、または環境省が主体になった中立的な委員会をつくって、そこで検証をしていただけないかというような思いで訴えを続けてまいりましたけれども、これも聞き入れていただけなかったということで、非常に残念な思いをしているということでございます。
 その質問状について、中身については、もう知事がおっしゃったとおりでございます。地元の特別な理由というのは、低平地に人が住んでいるということです。干拓というのは埋め立てと違いますから、海底が陸地になりますから、そこに住んでいる人が800世帯以上いるというような事実をどう考えておられるのか。開門をすると、その人たちにつきましては、非常に身体、財産の危険性が迫ってくるのではないかというふうに思っておりますから、そういう意味では非常に残念な確定であったというふうに思います。

○雲仙市長  これは国がやった事業でありまして、県や市がやった事業ではない。それが完了したわけですから、うちからも13経営体という経営者が意欲を持って入植していったわけでございますし、また、うちには背後地に1,200戸、450ヘクタールの住居や農地がございます。こういった方々は、少なくとももう完了したということで、安心・安全は守られたと思って、非常にしっかりした新しい生活を始めよう、あるいはまた農地の展開を始めようと思っていたわけでありますから、ここに対しまして、少なくとも地元に対する説明もなく、リーダーシップといいますか、首相の決断でやられた。
 ですから、12月20日に知事ともども我々は、上告を断念しないでくださいということをお願いに行ったわけでありますけれども、その時にも明確な答えもなく、説明もなかったわけであります。
 ですから、少なくともフロントでやっております地方自治体の我々、一番住民と身近に接している我々にすれば、その説明をきちっと皆さん方に理解していただかなければならないということでありまして、その説明をまずするためには国から、回答を引き出すということが必要でありますので、今回、この行為に走ったわけであります。

○知事  最後に、ぜひ報道機関の皆様方にお願いがあります。
 確かに今回の福岡高裁判決について、県の動きとして、こうした形で質問状を出したということも一つのニュースかもしれませんが、どういった点について地元が心配をし、どういったことを懸念しているのか、ぜひ、この質問状の内容についてもできるだけ報道をしていただきますようにお願いをしたいと思っております。
 地元がどういう状況にあって、何を一番心配しているのか、仮に開門した場合にどういう状況になるのかということを含めて、やはり多くの皆さん方に実情をご理解いただくということも非常に大切なことだと思っておりますので、ぜひ報道方よろしくお願いを申し上げたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

○広報広聴課長  どうもありがとうございました。

★発言内容については、わかりやすいように一部変更している部分があります。
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