裁決手続きの概要について

このページを印刷する

裁決手続きの概要[PDFファイル/308KB] 

裁決までの手続きの流れ

裁決までの手続きの流れ 

※収用委員会とは

収用委員会は、土地収用法に基づいて各都道府県に置かれています。

収用委員会の委員は、法律、経済又は行政に関してすぐれた経験と知識を有し、公共の福祉に関し公正な判断をすることのできる者のうちから、県議会の同意を得て知事が任命します。収用委員会は、知事やその他の機関から指示を受けない独立した行政機関です。

収用委員会は、公正、中立な立場で、審理や調査を行い、損失の補償額のほか、事業の施行者(起業者)が土地などの権利を取得する時期、明け渡しの期限などを判断(裁決)します。

1 裁決申請・明渡裁決の申立て

公共事業の施行者(起業者)が、土地収用法に基づいて収用委員会に対して行う手続きには、土地の所有権などを取得したり、使用するための「裁決申請」と、建物などの物件を公共事業の計画場所から撤去して土地の引渡しを受けるための「明渡裁決の申立て」との2つがあります。

<土地調書・物件調書への異議の付記>

事業の施行者(起業者)は、裁決申請にあたっては土地調書を、明渡裁決の申立てにあたっては、物件調書を作成して添付しなければなりません。これらの調書は、その後の裁決手続きにおいて補償額の算定の基礎となるものです。

この土地調書及び物件調書には、土地所有者及び関係人(注)の署名押印が必要ですが、土地所有者等は、調書の記載事項に不満があれば、その内容を記載して署名することができます(これを「異議の付記」といいます)。異議を付記した事項については、収用委員会において審議が行われます。異議を付記しなかった事項については、記載の内容が真実でないことを立証してから、異議を述べる必要があります。

なお、土地所有者等が署名押印を拒否した場合などは、市長又は町長(又は委任された市又は町の職員)が立会い、署名押印します。

(注)「関係人」とは、土地に関して所有権以外の権利(例えば、賃借権、地上権、抵当権など)を有する者、その土地にある建物などの物件について権利を有する者をいいます。

 

2 裁決申請書・明渡裁決申立書の受理

裁決申請又は明渡裁決申立てがあったときは、収用委員会はその申請書又は申立書及び添付書類が法令に適合しているかどうかの審査を行い、適合している場合は受理することになります。受理したときは、土地所有者及び関係人に、申請又は申立てがあった旨を通知します。

3 公告・縦覧

収用委員会で受理された申請書又は申立書の写しは、土地の所在する市長又は町長へ送付され、市又は町で2週間の縦覧に供されます。この縦覧期間中、どなたでも申請書等を閲覧することができます。

縦覧期間及び縦覧の場所は、市又は町で公告されます。

縦覧期間中に、土地所有者及び関係人等は、収用委員会へ意見書を提出することができます。

<意見書の提出>

収用委員会では、事業の施行者(起業者)からの申請書・申立書及び土地所有者や関係人から提出された意見書に基づいて審理を行います。(申請に係る土地について、自己が土地所有者又は関係人であると主張する方等も意見書の提出ができます。)

土地所有者の方などで、収用又は使用する土地の範囲や権利関係、損失の補償、明渡しの期限などについて意見がある場合は、縦覧期間内に収用委員会へ意見書を提出してください。

損失の補償に関する事項については、縦覧期間経過後も意見書を提出することができます。なお、損失補償以外の事項については、縦覧期間が経過した後は、収用委員会が相当の理由があると認めるときに限り、意見書は受理されます。

意見書の様式については特に決まりはありませんが、意見書には作成の日付及び提出者の住所・氏名を記載のうえ、押印してください。(最後のページに意見書の参考例を掲載しています。)

意見書には、意見の内容を証明する証拠、その他の資料を添付することもできます。

土地所有者等が、損失の補償に関して次のような請求又は要求を行うときは、縦覧期間中、又は審理の際に提出する意見書によって行う必要がありますので特にご留意ください。

  1. 残地の収用請求(残地の買取の請求) (土地収用法76条1項)
  2. 残地収用の請求があったときの権利の存続請求 (同法76条2項)
  3. 全部移転の請求 (同法77条後段)
  4. 移転困難な場合の物件収用の請求 (同法78条)
  5. 土地の使用に代わる収用の請求 (同法81条1項)
  6. 替地による補償の要求  (同法82条)
  7. 耕地の造成の要求 (同法83条1項)     
  8. 工事の代行の要求 (同法84条1項) 
  9. 移転の代行の要求 (同法85条1項) 
  10. 宅地の造成の要求 (同法86条1項)

 

4 裁決手続き開始の決定及び登記

市長又は町長による裁決申請書の縦覧期間が終了すると、収用委員会は裁決手続きの開始を決定してその旨を公告し、申請の土地を管轄する登記所(法務局)に対して裁決手続開始となった旨の登記を依頼します。

 この登記があった後に権利を取得した者は、相続人などを除き、権利の変動を事業の施行者(起業者)に対して主張することができなくなります。起業者及び収用委員会は、登記の時点での権利者を当事者として扱うことになります。

 

5 審理

収用委員会は、裁決手続開始の決定の後、審理を開始します。

審理は、事業の施行者(起業者)、土地所有者及び関係人等から裁決を行うのに必要な事項について意見を聞くために開くもので、原則として公開で行われます。

起業者、土地所有者等には、あらかじめ審理の期日及び場所を通知します。代理人が出席される場合は、委任状が必要です。収用委員会に対して書面で代理権限を証明してください。

審理に誰も出席されない場合であっても、再度、審理を開かないで終わることがありますので、ご留意ください。

審理では、収用委員会は、概ね次のことについて意見を聞きます。

  • 収用又は使用しようとする土地の区域
  • 損失の補償
  • 起業者の権利取得の時期
  • 明渡しの期限

<意見の陳述>

土地所有者等は、審理において、概ね次のようなことについて、意見を述べることができます。

  • 縦覧期間中に提出した意見書に記載した内容の説明
  • 損失補償に関する事項
  • 収用委員会から提出を求められたり、説明を求められた事項など

また、意見の内容を証明する資料などを提出することもできます。なお、事業認定に関する不服など収用委員会の審理と関係のない事項については、意見書に記載したり、口頭で述べることはできません。  

※収用委員会では、審理の公正かつ円滑な進行を図るため、意見の申立てが相当でない場合にはこれを制限したり、審理の進行を妨げる者に対しては、退場を命じることがあります。

 

6 調査・鑑定

収用委員会は、必要があると認めるときは、事業の施行者(起業者)や土地所有者等に出頭を命じて審問し、又は意見書や資料の提出を命じることができます。また、必要に応じ土地や建物を確認するために現地調査をしたり、補償金額の算定の参考にするために、鑑定人に土地や物件を鑑定させることもあります。 

<参考人の審問の申立て等>

事業の施行者(起業者)、土地所有者及び関係人は、その主張を証明するため、収用委員会に対して資料を提出するほか、必要な参考人を審問すること、鑑定人に鑑定を命ずること又は土地若しくは物件を実地に調査することを申し立てることができます。また、審理において収用委員会が出頭を命じた参考人又は鑑定人を自ら審問することを申し立てることができます。

なお、それぞれの申立てについては、収用委員会が、その申し立てが相当であると認めた場合に行われます。

 

7 和解

裁決申請後であっても、事業の施行者(起業者)と土地所有者等は、任意の話し合いを継続することができます。話し合いで解決することを和解といいます。

裁決すべき事項について、起業者、土地所有者及び関係人の全員の合意があったときは、それら全員から収用委員会に対して和解調書の作成の申請をすることができます。収用委員会は、和解の内容を審査したうえで、和解調書を作成します。和解調書が作成されると、収用又は使用の裁決があったのと同様の効果を生じ、当事者は、和解の成立及び内容について争うことができなくなります。

なお、収用委員会として和解の可能性があると判断するときは、審理の途中においても、起業者、土地所有者及び関係人に和解の勧告をすることがあります。

裁決前に当事者間で合意が成立し、起業者が事業に必要な土地等の権利を任意で取得した場合は、裁決申請は取り下げられることになります。

 

8 裁決

収用委員会では、審理において当事者双方の主張を聞き、審理で明らかになった意見の対立(争点)について、必要な調査、検討を行い、裁決を行います。なお、損失の補償の具体的な内容等については、土地収用法及び土地収用法第88条の2の細目等を定める政令に基づいて裁決されます。

裁決は、裁決申請及び明渡裁決の申立てに対する収用委員会の最終的な判断で、裁決書という文書により行います。

裁決される主な事項は、次のとおりです。

 【権利取得裁決】

  • 収用又は使用する土地の区域
  • 土地又は土地に対する所有権以外の権利(賃借権等)に対する損失補償
  • 権利取得の時期

 【明渡裁決】

  • 土地の明渡しに伴う損失補償
  • 明渡しの期限 

裁決があると事業の施行者(起業者)は、権利取得の時期までに土地所有者等に対して補償金の支払いを行い、土地の所有権を取得します。また、賃借権など所有権以外の土地に関する権利は消滅することになります。

誰が権利者か分からなかったり、権利の内容が確定できない場合などは、これらを不明として裁決がされます(不明裁決)。この場合、補償金は供託所(法務局等)に供託されることになります。

また、土地所有者等が補償金の受領を拒否しても、起業者が供託所に供託すると、支払われたのと同様の効果が生じます。

 

裁決に不服がある場合

1 損失の補償についての不服

  ● 当事者訴訟

裁決のうち、損失の補償に関して不服がある場合、裁決の正本の送達を受けた日から6か月(土地収用法第94条による裁決の場合は60日)以内に、裁判所へ訴えを提起することができます。  

この訴えは、長崎県(収用委員会)を被告とするのではなく、土地所有者又は関係人が不服のあるときは事業の施行者(起業者)を被告とし、起業者が不服のあるときは、土地所有者又は関係人を被告とします。 

 

2 損失の補償以外についての不服

裁決のうち、損失の補償以外の内容に関して不服がある場合は、審査請求又は取消訴訟の提起ができます。

  ● 審査請求

裁決書の正本の送達を受けた日の翌日から起算して30日以内に国土交通大臣に対して審査請求をすることができます。

  ● 取消訴訟

裁決書の正本の送達を受けた日から3か月以内に、長崎県を被告として、裁決の取消しを求める訴えを裁判所に提起することができます。

 

意見書参考様式(記載例)

意見書の様式は特に定めはありませんが、意見書には作成の日付、提出者の住所・氏名を記載し、押印が必要です。

 

【例】

                                              平成  年  月  日 

  長崎県収用委員会 御中

                                        住所 長崎県○○市○○

                                        氏名 長崎 太郎    印

 

意見書

 

  ○○市(県)が提出している「 (事業名) 」にかかる裁決申請及び明渡しの申立てについて、下記のとおり意見を提出します。

 

 1 裁決の申請等に係る土地の所在 ○○市○○町○○番○○外

 2 意見

 (1)土地の補償金について

  起業者は、土地補償金について、1平方メートル当たりの単価を○○○円と見積もっているが、私は、○○○○の理由により、1平方メートル当たりの単価として○○○円を要求する。

 (2)残地の収用請求について

  土地の収用をされると、残地を従来どおり○○に利用できなくなるので、残地も収用してもらいたい。

 

  【備考】

※意見書には、上記例のように項目ごとに分けて記載してください。

※意見書の送付先:長崎県収用委員会

             〒850-8570 長崎市尾上町3番1号(長崎県土木部用地課内) 

 

裁決手続きに関するお問い合わせ

この「裁決手続きの概要」は、手続きの流れ等について、簡単にまとめたものです。 分からない点などございましたら、長崎県収用委員会事務局までお問い合わせください。 

  長崎県収用委員会事務局

   〒850-8570 長崎市尾上町3番1号(長崎県土木部用地課内)

   電話 095-894-3123 

   ファクシミリ 095-894-3465

このページの掲載元

  • 用地課
  • 郵便番号 850-8570 
    長崎県長崎市尾上町3番1号
  • 電話番号 095-894-3121
  • ファックス番号 095-894-3465