障害のある人もない人も共に生きる平和な長崎県づくり条例 平成29年度活動報告書 平成30年8月 長崎県福祉保健部障害福祉課 はじめに 本県では、障害のあるなしにかかわらず、誰もが社会を構成する一員として、あらゆる社会活動に参加できる共生社会の実現を目指して、障害のある人に対する差別を禁止し、差別をなくすための 施策を推進するための事項を定めた、「障害のある人もない人も共に生きる平和な長崎県づくり条例」を制定しています。 この報告書は、条例全面施行から4年目にあたる平成29年度、1年間の相談活動実績をまとめたものです。 相談窓口にどのような相談が寄せられ、問題の解消のために何が求められているのかを県民の皆様に知っていただくことで、障害のある人に対する差別をなくし、共生社会を実現するためにできることは何なのか考えていただくきっかけになればと思います。   目次 T 条例の仕組み 1 条例の目的 2 障害のある人とは 3 差別の禁止 4 相談体制 5 問題解決のための調整機関 6 問題解決までの流れ U 相談活動の実績 1 相談者 2 相談方法 3 相談分類 4 相談分野 5 対応方法 6 活動回数 7 連携 8 圏域別の相談件数 V 相談事例 1 不均等待遇に関する相談事例 2 合理的配慮に関する相談事例 3 その他の相談事例 T 条例の仕組み                                   1  条例の目的 この条例は、障害や障害のある人に対する県民の理解を深め、障害のあるなしにかかわらず、誰もがあらゆる社会活動に参加できる共生社会の実現を目指しています。   2 障害のある人とは 身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、難病を原因とする障害など心身の機能の障害があり、これらの障害と社会的障壁によって、継続的又は断続的に日常生活や社会生活に相当な制限を受ける状態にある人を「障害のある人」と規定しています。            3 差別の禁止 不均等待遇を行うこと 不均等待遇とは、障害や障害に関することを理由として、区別、排除、制限したり、条件を課すなど、障害のない人と異なる取扱いをすることです。特別な事情がないのに不均等待遇を行うことは差別に当たります。 合理的配慮を怠ること 合理的配慮とは、障害のある人が障害のない人と同等に権利を行使したり、同等の機会や待遇を受けるために必要な現状の変更や調整を過度な負担が生じない範囲で行うことです。障害のある人の求めがあった場合に、特別な事情がないのに合理的配慮を怠ることは差別に当たります。 4 相談体制 差別に関する相談窓口として、各市町に地域相談員を176名(平成30年3月31日現在)、長崎県障害福祉課内に広域専門相談員を2名配置しています。相談を受けた地域相談員と広域専門相談員は、当事者それぞれの話を十分に聴き、問題解決に向けて取扱方針を決定し、その方針に基づき連携して対応します。地域相談員は、各市町が委嘱している身体障害者相談員・知的障害者相談員・精神保健福祉相談員で承諾が得られた方に委託しています。 地域相談員の内訳(平成30年3月31日現在) 身体障害者相談員104名、知的障害者相談員58名、精神障害者相談員10名 5 問題解決のための調整機関 地域相談員や広域専門相談員による問題解決が困難な場合は、障害のある人やその関係者からの申し立てにより、「障害のある人の相談に関する調整委員会」(以下、「調整委員会」という。)が助言・あっせんを行います。調整委員会は、申立てのあった事案について専門的な見地から公正・中立な判断をし、当事者双方の事情や意見を検証して、解決に向けた助言やあっせんを行います。 6 問題解決までの流れ 差別に関する問題が発生したら、県の相談窓口である地域相談員又は広域専門相談員が相談を受け付けます。相談員が調査や調整等を行い問題の解決を図ります。相談員による解決が困難な場合は、申立てにより調整委員会による助言・あっせんを行い解決を図ります。特に悪質な差別があったと思われる事案を解決するための手段として、知事による勧告・公表を用意しています。 U 相談活動の実績                                 1 相談者 本人21件(51%)家族4件(9%)支援関係者15件(35%)友人・知人3件(5%) 障害区分 肢体不自由3件 視覚障害5件 聴覚障害2件 内部障害1件 知的障害3件 精神障害14件 発達障害2件 難病4件 その他9件 計43件 ※区分については、相談者へ確認し分類しています。 相談者は、障害のある「本人」が21件と最も多くなっています。次いで、「支援関係者」が15件、「家族」が4件、「友人・知人」が3件でした。障害区分では、「精神障害」が14件と最も多く、次いで「身体障害」が計11件、「難病」が4件、「知的障害」が3件、「発達障害」が2件となっています。「その他」の9件の内訳としては、対象が障害全般に関するものが5件、障害区分が特定できなかったものが4件です。今年度から障害区分に「難病」を新たに設置しています。昨年度までは、ご本人からの申し出により、難病を起因とする障害又はその他に分類をしていました。 2 相談方法 障害のある人に対する差別に関する相談は、電話、面談、手紙、ファックス、メールにより受理しています。相談は、障害の特性や状況に合わせて相談者が伝えやすい手段でできるようにしていますが、電話による相談が38件と大半を占めています。 受付時の相談方法 電話 38件、 面談 4 件、手紙 0 件、ファックス 0 件、メール 1件、 計 43件 3 相談分類 平成29年度、1年間に相談窓口に寄せられた相談は43件でした。結果として、「差別に関する相談(特定相談)」が2件(不均等待遇0件、合理的配慮の欠如2件)、「その他の相談」が41件でした。平成29年度に調整委員会へ申立てが行われた事案はありませんでした。   相談分類別の件数 主訴として、不均等待遇5件、合理的配慮の欠如4件、その他34、計43件でした。結果としては、不均等待遇0件(0%)、合理的配慮の欠如2件(5%)、その他41件(95%)、計43件でした。 「その他の相談」には、調整を望まない事案や相手方の特定が困難な事案の他、条例の周知・啓発に関わること、意見・要望など多様なものがあります。   相談分類と障害区分 主訴 (肢体不自由)その他3件、計3件 (視覚障害)その他5件、計5件 (聴覚障害)不均等待遇1件、合理的配慮の欠如1件、計2件 (内部障害)その他1件、計1件 (知的障害)その他3件、計3件 (精神障害)不均等待遇1件、合理的配慮の欠如1件、その他12件、計14件 (発達障害)その他2件、計2件 (難病)不均等待遇2件、合理的配慮の欠如2件、計4件  (その他)不均等待遇1件、その他8件、計9件 結果 (肢体不自由)その他3件、計3件 (視覚障害)その他5件、計5件 (聴覚障害)合理的配慮の欠如1件、その他1件、計2件 (内部障害)その他1件、計1件 (知的障害)その他3件、計3件 (精神障害)その他14件、計14件 (発達障害)その他2件、計2件 (難病)合理的配慮の欠如1件、その他3件、計4件  (その他)その他9件、計9件   「差別に関する相談(特定相談)」で、結果として「合理的配慮の欠如」に分類される相談は、障害区分の「身体障害(聴覚障害)」で1件、「難病」で1件ありました。主訴として「不均等待遇」に分類されるものは5件ありましたが、条例による調整を望まない事案や、お話をお聞きしていく中で、障害を理由とする差別には該当しないと判断したものなどがあり、結果として「不均等待遇」は0件となっています。「その他の相談」は結果として、「身体障害」全体で10件、「知的障害」で3件、「精神障害」で14件、「発達障害」で2件、「難病」で3件、「その他」で9件でした。   4.相談分野 条例では、日常生活や社会生活での10の個別分野における差別行為の禁止を特に定めています。 (差別の禁止が規定されている10の個別分野) 福祉サービスの提供、医療の提供、商品及びサービスの提供、労働及び雇用、教育、建築物の利用、交通機関の利用、不動産取引、情報の提供等、意思表示の受領 相談分野の分類ごとの件数  福祉サービスの提供6件、医療の提供1件、商品及びサービスの提供1件、労働及び雇用3件、教育1件、建築物の利用3件、交通機関の利用1件、不動産取引1件、情報の提供等1件、意思表示の受領1件、その他24件、計43件  10分野のうち、「福祉サービスの提供」の分野が6件と最も多く、続いて「労働及び雇用」、「建築物の利用」の分野がそれぞれ3件となっています。「医療の提供」、「商品及びサービスの提供」、「教育」、「交通機関の利用」、「不動産取引」、「情報の提供等」、「意思表示の受領」の分野については、それぞれ1件となっています。「その他」の分野には、条例に関する問い合わせやリーフレットの送付依頼、行政機関や福祉サービスへの意見・要望、生活全般における悩みや困りごとの相談などがありました。   5 対応方法 対応と相談分野の関係  (相手方との調整) 商品及びサービスの提供1件、意思表示の受領1件 (関係機関引継ぎ) 福祉サービスの提供3件、医療の提供1件、労働及び雇用1件、その他2件、計7件 (助言) 福祉サービスの提供1件、教育1件、建築物の利用1件、交通機関の利用1件、情報の提供等1件、その他3件、計8件 (相談窓口の紹介) 福祉サービスの提供1件、労働及び雇用1件、不動産取引1件、その他2件、計5件 (情報提供・資料送付) 建築物の利用1件、その他11件、計12件 (傾聴主体) 福祉サービスの提供1件、労働及び雇用1件、その他6件、計8件 (その他) 建築物の利用1件、計1件 対応と相談分類の関係 (合理的配慮の欠如)相手方との調整2件、計2件 (不均等待遇)0件 (その他)関係機関引継ぎ7件、助言8件、相談窓口の紹介5件、情報提供・資料送付12件、傾聴主体8件、その他1件、計41件 相談者の同意に基づき、相手方から聴き取り調査を行い、双方の意向を確認した後に条例における対応方針を決定し、調整や対応を行っています。「差別に関する相談(特定相談)」2件においては、全てが「相手方との調整」を行った後に、それぞれの対応により事案の終結に至りました。「その他の相談」においては、相談内容をお聞きした結果「関係機関引継ぎ」として他の関係機関に対応を依頼したものが7件、「助言」が8件、「相談窓口の紹介」が5件、「情報提供・資料送付」として条例の考え方や資料を提供した事案が12件、「傾聴主体」としてお話をお聞きすることで気持ちが落ち着かれたり、意見や要望をお聞きした事案が8件、「その他」が1件でした。 6 活動回数 ( 相手方との調整) 2件、平均活動回数7.5回 ( 関係機関引継ぎ) 7件、平均活動回数2.9回 (助言) 8件、平均活動回数2.4回 (相談窓口の紹介) 5件、平均活動回数1.6回 (情報提供・資料送付) 12件、平均活動回数1.3回 (傾聴主体) 8件、平均活動回数1.4回 (その他) 1件、平均活動回数2回 活動回数(対応回数)は、事案や対応方法によって大きな差がありますが、平均すると2.1回となりました。問題の解決・終結までに時間を要する事案や、複数の機関と連携した事案においては、活動回数(対応回数)が増加する傾向がありました。 7 連携 他機関との連携 問題解決のために、必要な場合には、他の機関等と連携を図って対応を行っています。対応をしていく中で、他機関等と連携し解決に至った件数は、11件でした。  主な連携先は、県の他部局・担当課、市町の担当課、障害者団体、相談支援事業所などです。複数の機関と連携を図った事案もありました。 地域相談員との連携 相談活動 地域相談員が「差別に関する相談」を受けた際は、広域専門相談員と連携して問題の解決を図っています。地域相談員自身の相談で広域専門相談員に対応を依頼し、終結した事案は1件でした。   地域相談員研修会 県内8地区で延べ13回地域相談員研修会を開催し、条例や相談活動業務の流れ、障害特性の特徴についての研修を行いました。 相談員通信 地域相談員と広域専門相談員の連携の一助として、相談員通信を年に1回発行しています。内容は、相談実績データ、条例に関する時事の話題、相談対応時に留意したいことなどについて掲載しました。       8 圏域別の相談件数 相談者の居住地域を障害保健福祉圏域(8圏域)で分類しています。 長崎圏域 23件 県北圏域7件 県央圏域7件 県南圏域1件 五島圏域0件 上五島圏域0件 壱岐圏域0件 対馬圏域2件 その他3件 合計43件 「その他」の3件は、匿名の相談で相談者の居住圏域が特定できないものなどです。 V 相談事例                                  寄せられた相談のうち、分野ごとに主なものについて、その内容、解決に至るまでの経緯を記載しています。 また、対応に当たった広域専門相談員のコメントも添えています。 1 不均等待遇に関する相談事例 (1)建築物の利用 (事例) 公園の障害者用トイレについて ( 相談者) 障害のある人の知人(県ホームページのメールフォームから匿名での相談) (相談内容) 公園の障害者用トイレが施錠されてあり、障害のある知人が利用できなかった。同伴者が公園の管理事務所に連絡をしたところ、「いたずらをされるので施錠している。介助者を伴って女子トイレにある洋式トイレを使用してほしい。」という回答であった。障害のある知人は男性であり、この酷い対応は障害のある人への差別ではないか。 (対応) 匿名での相談で、当事者や相手方との調整ができなかったが、相談のあった公園の管理事務所に状況確認を行った。 (結果) 当該トイレ設備の破壊行為などのいたずらが続き、当時は利用者がいなかったため施錠をするに至ったこと、また、障害のある人が男性であることを認識していなかったことが判明した。管理事務所は、相談者の意見や条例の趣旨を踏まえ、当該トイレの補修を行い、施錠せず利用できるようにした。 (コメント) 障害者用トイレは、設置されている場所によっては利用者が少ない場合もあるかもしれませんが、障害のある人にとって障害者用トイレ(多目的トイレ)は切実に必要なものです。外出先でトイレに行きたいときに行けない、このことがどれほど困ることであるかを理解し、同様の事例が起きないように利用する全ての人が思いやりの気持ちとマナーを守って行動していくことが望まれます。 (2)医療の提供 (事例) 病院職員から心ない発言をされたことについて (相談者) 難病を原因とする障害のある人 (相談内容) 病院を受診したときに、病院職員から心ない発言をされた。難病の治療を続けている者にとっては、傷つく言葉であった。病院側に謝罪してもらいたい。 (対応) 相談者からの同意を得たうえで、病院の患者相談窓口へ相談内容を伝え、病院内での条例の周知や障害のある人への理解を深めてもらうために条例のリーフレットを送付した。 (結果) 病院職員の発言は、相談者に対して言ったものではなく、障害があることを理由としたものではなかったが、実際に相談者に不快な思いをさせたことに対して病院から直接謝罪をされた。また、患者への対応を見直し、院内で条例の周知を行うために、条例のリーフレットを活用するということであった。病院の患者相談窓口に相談内容を引き継ぎ、病院側から謝罪があったことで相談者は了承された。    (コメント) この相談では、病院職員の何気ない発言が相談者を傷つけることになってしまいました。難病を原因とする障害のある人は、長期間の治療と療養生活を余儀なくされています。その痛みや苦しみを想像して、気持ちに寄り添うことで、声かけや行動等が配慮のあるものになってくるのではないでしょうか。 2 合理的配慮に関する相談事例 (1)意思表示の受領 (事例) 医療機関において手話通訳を遮られたことについて ( 相談者 ) 聴覚障害のある人、手話通訳者 (相談内容) 手話通訳者を同伴して病院を受診した際、担当医師が診察の途中で手話通訳を遮ったため、必要な情報を得ることができなかった。情報保障としての手話通訳を遮ることは差別であり、合理的配慮の不提供にあたるのではないか。同じようなことが繰り返されないように県に間に入って対応をしてもらいたい。 (対応) 病院に条例の趣旨と相談内容を説明し、事実確認を行った上で、病院としての今後の対応について検討を依頼した。 (結果) 実際に担当医師により手話通訳を遮る行為があったことが確認され、情報保障としての手話通訳への理解が不足していたことが判明した。今後同じようなことがないように、病院事務局から 担当医師だけでなく院内全体に、県条例や障害者差別解消法についての周知を行った。また、院内の勉強会で、条例や障害のある人への理解を深めたいという申し出があり、後日、県政出前講座を実施した。相談者へ、病院が合理的配慮の提供を怠ったことを認め、病院全体として条例や障害のある人への理解を深める取り組みを行うことを伝え、対応を終了した。    (コメント) 病院の担当医師の行為は大変残念なものでしたが、この条例は差別を行った人と差別された人を分けて、一方的に非難したり制裁を加えようとしたりするものではなく、話し合いによって解決を図ろうとするものです。病院側が、条例の趣旨を理解し、同じようなことのないように病院全体として取り組みを行い、それを相談者が受け入れたことは、共生社会の実現に繋がるものであると思います。 (2)商品及びサービスの提供 (事例) 民間事業所の窓口カウンターでの対応について (相談者) 相談者 難病を原因とする障害(肢体不自由)がある人 (相談内容) 身体障害があり、窓口のカウンターで立った状態では、書類の記入などの手続きができない。日頃から利用している近所の民間事業所で、座った状態で手続きができるように配慮を申し出たところ、民間事業所の職員から「低いカウンターのある別の支店を利用してほしい」と言われた。民間事業所が合理的配慮の提供を行うことは義務ではないのか。 (対応) 民間事業所の責任者に条例の趣旨と相談内容を伝え、事実確認と障害の特性について説明を行った上で、障害に配慮をした対応を依頼した。 (結果) 相談者の歩行障害は難病に起因するもので、障害の程度が一定ではないが、民間事業所側はこのことについて認識不足で、相談者の配慮の申し出に戸惑っていたことが判明した。別の支店を利用してほしい」という発言については、民間事業所側としては設備の整った支店の情報提供を行ったものであるということで、相談者の受け止め方と食い違いはあるが、今後も当該事業所を利用することに問題はなく、座った状態での手続きも職員に周知した上で対応するということが確認できた。相談者へ、民間事業所に条例の周知を行い、椅子に座った状態で手続きができるように障害への配慮がされることになったことを伝え、対応を終了した。    (コメント) 合理的配慮の申し出があった際には、双方の理解を深めるために、良く話し合いを行うことが大切です。見た目ではわかりにくい障害などへの理解は一般的にはまだ十分ではありません。配慮を申し出た側は、なぜこのような配慮が必要であるかを伝え、申し出を受けた側もわからないことは率直に訊ね、事業所として可能な配慮の方法を提案し、双方の理解を深める必要があると考えます。 3 その他の相談事例 (1)その他 (事例) 県庁舎内の案内表示について (相談者) 支援関係者 (相談内容) 県庁の総合案内では、来庁者に対して案内等を行っていると思うが、目的の部署まで同行案内を依頼したいと考える障害者や高齢者の中には遠慮して要請しづらい方も多いのでないか。職員への声かけがしやすくなるような案内表示を設置してもらいたい。 (対応) 他の自治体庁舎の案内表示の状況確認を行い、総合案内を担当する課へ相談し、案内表示を設置した。 (結果) 他の自治体庁舎の状況確認で、「お困りの方は気軽にお声かけください」、「担当課までのご案内が必要な方はお声かけください」等の案内表示をしている自治体があることがわかった。県庁の総合案内に従来から設置していた、筆談が必要な方に向けての耳マークの表示などと並べて職員への声かけがしやすくなるような案内表示を設置した。    (コメント) 新県庁舎では、障害のある方、高齢の方を含むすべての人が利用しやすいような施設整備に努めていますが、不便に感じる部分があったり、何らかの手助けがないと施設を利用しにくいこともあると思います。そのような時は、総合案内や近くの職員にお気軽にお声がけください。相談だけでなく、障害のある人に関わる様々なご意見もいただいています。関係各課や機関と情報共有、連携を図り、対応をしています。 (2)その他 (事例) 災害時の避難支援について ( 相談者) 身体障害のある人 (相談内容) 肢体と聴覚に障害があり、同居している娘も肢体に障害がある。親子ともに障害があるため、災害時にどこに避難するのか、移動はどうするのか不安に思っている。避難を呼びかける放送も聞き取れない。差別の相談ではないが、どこで相談すれば良いかわからなかった。 (対応) 相談者が居住する市町の障害のある人に対する災害時の支援を調べ、担当課へ対応を引き継いだ。 (結果) 相談者が居住する市町では、災害時の避難に支援が必要な人を手助けする体制づくりに取り組んでいる最中であることがわかった。相談者の同意を得て、市町の担当課へ相談者の情報を提供して、相談者が不安に思っていることを解消できるように、今後の対応を依頼した。    (コメント) 近年、大規模な災害が多く発生し、災害の恐怖を身近に感じるようになりました。今一度自分でできる備えや、災害時の避難行動や避難場所の確認、地域や行政の支援はどのようなものがあるのかなどを確認しておきましょう。どこに相談すればよいのかわからないという相談も多くあり、差別とは関係のないものでも相談者にとっては深刻な困りごとの場合があります。相談者の心情に寄り添い、話を丁寧にお聞きして、関係機関に引継ぎを行ったり、適切な相談窓口を紹介したりしています。 おわりに 本県では、平成26年4月1日に「障害のある人もない人も共に生きる平和な長崎県づくり条例」を施行し、条例施行後4年目となる平成29年度は、前年度の活動経験も踏まえ、相談活動や条例の普及啓発に努めてきました。また、国においては、平成28年4月1日から「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」が施行されました。 本県の条例もこの法律も、全ての県民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現という目的は同じです。今後も相談制度の適切な運営を図るとともに、法律と併せて、条例の更なる普及啓発に努めてまいります。 相談・問合せ先 長崎県福祉保健部障害福祉課 広域専門相談員  〒850−8570 長崎市尾上町3−1 電話 (095)895−2450 ファックス (095)823−5082 メール s04100@pref.nagasaki.lg.jp