お知らせ
厚生労働省の「小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業」が改正され、令和4年4月1日から、妊孕性温存療法により凍結した検体を用いた生殖補助医療等(以下「温存後生殖補助医療」という。)に要する費用が助成対象となりました。 それに伴い、長崎県小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業実施要綱を下記のとおり変更しましたので、お知らせします。
妊孕性(にんようせい)温存治療について
「妊孕性(にんようせい)」とは、男女問わずに生物が子孫を残すための繁殖力、すなわち妊娠する力のことを言います。がん等の治療(薬物療法、放射線治療、手術)によっては、妊娠しにくくなったり、妊娠できなくなったりすることがあります。
しかしながら、生殖医療(卵子凍結、胚凍結、精子凍結など)の進歩により、妊孕性(にんようせい)を温存しながら、がん等の治療に取り組むことが可能になりつつあります。将来子どもをもつことを希望される場合、がん等の治療の前に、担当の医師に伝えましょう。
妊孕性(にんようせい)温存治療の詳細については、主治医や生殖医療の専門医、病院のがん相談支援センターへご確認ください。
事業の目的
本事業は、将来子どもを産み育てることを望む小児・AYA 世代のがん患者等が希望をもってがん治療等に取り組めるように、将来子どもを出産することができる可能性を温存するための妊孕性(にんようせい)温存療法及び温存後生殖補助医療に要する費用の一部を助成し、その経済的負担の軽減を図るとともに、患者からの臨床データ等を収集し、妊孕性(にんようせい)温存療法及び温存後生殖補助医療の有効性・安全性のエビデンス創出や長期にわたる検体保存のガイドライン作成などの妊孕性(にんようせい)温存療法及び温存後生殖補助医療の研究を促進することを目的として実施するものです。
費用の一部助成を長崎県、妊孕性(にんようせい)温存療法及び温存後生殖補助医療の有効性・安全性のエビデンス創出や長期にわたる検体保存のガイドライン作成などの妊孕性(にんようせい)温存療法及び温存後生殖補助医療の研究の促進を一般社団法人日本がん・生殖医療学会が主体となって実施します。
助成対象者
妊孕性温存療法の助成対象者は、以下の全ての要件を満たす方が対象です。
(1) 助成対象となる治療の凍結保存時に43 歳未満の方
(2) 以下のいずれかの原疾患の治療を受ける方
- 「小児、思春期・若年がん患者の妊孕性温存に関する診療ガイドライン」(日本癌治療学会)の妊孕性低下リスク分類に示された治療のうち、高・中間・低リスクの治療
- 長期間の治療によって卵巣予備能の低下が想定されるがん疾患:乳がん(ホルモン療法)等
- 造血幹細胞移植が実施される非がん疾患:再生不良性貧血、遺伝性骨髄不全症候群(ファンコニ貧血等)、原発性免疫不全症候群、先天代謝異常症、サラセミア、鎌状赤血球症、慢性活動性EB ウイルス感染症等
- アルキル化剤が投与される非がん疾患:全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、多発性筋炎・皮膚筋炎、ベーチェット病等
(3) 県が指定する医療機関(以下「妊孕性温存療法指定医療機関」という。)の生殖医療を専門とする医師及び原疾患担当医師により、妊孕性温存療法に伴う影響について評価を行い、生命予後に与える影響が許容されると認められる方。ただし、子宮摘出が必要な場合など、本人が妊娠できないことが想定される場合は対象外となります。また、(2)の治療前を基本としていますが、治療中及び治療後であっても医学的な必要性がある場合には対象とします。
(4) 指定医療機関から、妊孕性温存療法を受けること及び国の「小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業実施要綱」に基づく研究への臨床情報等の提供をすることについて説明を受け、本事業に参加することについて同意した方。対象者が未成年患者の場合は、できる限り本人も説明を受けた上で、親権者または未成年後見人による同意を得ることとします。
(5) 長崎県内に住所を有する方
温存後生殖補助医療の助成対象者は、以下の全ての要件を満たす方が対象です。
(1)原則として、夫婦のどちらかが妊孕性温存療法を受けた後に、温存後生殖補助医療を受ける場合で、温存後生殖補助医療以外の治療によっては妊娠の見込みがない又は極めて少ないと医師に診断された方(原則として、ご夫婦又は事実婚関係にある方々が対象となります。)
(2)温存後生殖補助医療の治療期間の初日における妻の年齢が原則43 歳未満であるご夫婦
(3)県が指定する医療機関(以下「温存後生殖補助医療指定医療機関」という。)の生殖医療を専門とする医師及び原疾患担当医師により、温存後生殖補助医療に伴う影響について評価を行い、生命予後に与える影響が許容されると認められる方
(4)温存後生殖補助医療指定医療機関から温存後生殖補助医療を受けること及び本事業に基づく研究への臨床情報等の提供をすることについて説明を受け、本事業に参加することについて同意した方
(5)長崎県内に住所を有する方
指定医療機関
県内の指定医療機関は次のとおりです。
医療機関 | 妊孕性温存療法 | 温存後生殖補助医療 |
長崎大学病院 (長崎市坂本1丁目7番1号) |
○ | ○ |
(実施可能な医療) ・胚凍結 ・未受精卵子凍結 ・卵巣組織凍結 |
(実施可能な医療) 左記を用いた生殖補助医療 |
※県外の指定医療機関については、各都道府県の担当課へお問合せください。
対象となる治療(費用)及び助成上限額
この事業による助成の対象となる費用は、妊孕性温存療法及び初回の凍結保存並びに温存後生殖補助医療に要した医療保険適用外の費用です。ただし、入院室料(差額ベッド代等)、食事療養費、文書料等の治療に直接関係のない費用及び初回の凍結保存費用を除く凍結保存の維持に係る費用は助成の対象外となります。
この事業の助成対象となる妊孕性温存療法及び温存後生殖補助医療に係る治療及び治療毎の1回あたりの助成上限額については、次のとおりです。なお、卵巣組織凍結に係る治療については、助成対象に組織の再移植も含み、卵巣組織凍結及び再移植については、1回の手術を1回と定義します。
妊孕性温存療法による治療毎の1回あたりの助成上限額については、下表のとおりです。
表1
(1)胚(受精卵)凍結に係る治療 | 35万円 |
(2)未受精卵子凍結に係る治療 | 20万円 |
(3)卵巣組織凍結に係る治療(組織の再移植を含む) | 40万円 |
(4)精子凍結に係る治療 | 2万5千円 |
(5)精巣内精子採取術による精子凍結に係る治療 | 35万円 |
助成回数は、対象者一人に対して通算2回までとします。なお、異なる治療を受けた場合であっても通算2回までとします。他の都道府県において助成を受けている場合も助成回数に合算されます。
申請を行う費用について、他制度の助成を受けている場合は、本事業の助成の対象外とします。
温存後生殖補助医療による治療毎の1回あたりの助成上限額については、下表のとおりです。
表2
表1-(1)で凍結した胚(受精卵)を用いた生殖補助医療 | 10万円 |
表1-(2)で凍結した未受精卵子を用いた生殖補助医療 | 25万円※1 |
表1-(3)で凍結した卵巣組織再移植後の生殖補助生殖補助医療 | 30万円※1~4 |
表1-(4)、(5)で凍結した精子を用いた生殖補助医療 | 30万円※1~4 |
※1 以前に凍結した胚を解凍して胚移植を実施する場合は10万円
※2 人工授精をする場合は1万円
※3 採卵したが卵が得られない、又は状態の良い卵が得られないため中止した場合は10万円
※4 卵胞が発達しない、又は排卵終了のため中止した場合及び排卵準備中、体調不良等より治療中止した場合は対象外
助成回数は、初めて温存後生殖補助医療の助成を受けた際の治療期間の初日における妻の年齢は40歳未満である場合、通算6回(40歳以上である場合は通算3回)までとします。ただし、助成を受けた後、出産した場合は、住民票と戸籍謄本等で出生に至った事実を確認したうえで、これまで受けた助成回数をリセットします。
他の都道府県において助成を受けている場合も助成回数に合算されます。
申請を行う費用について、他制度の助成を受けている場合は、本事業の助成の対象外とします。
助成申請に必要な書類
妊孕性温存療法に係る申請書類
助成対象の妊孕性温存治療に係る費用の支払後、長崎県医療政策課へ下記書類を提出してください。
①事業参加申請書 (妊孕性温存療法分)
②妊孕性温存療法実施医療機関証明書(妊孕性温存療法を行う医療機関で記入)
③妊孕性温存療法実施医療機関の連携医療機関証明書
※助成対象の治療の一部を指定医療機関とは別の機関で実施し、当該医療機関に対し支払いを行った場合で、当該費用も含めて助成を求める場合に提出。
④原疾患治療実施医療機関証明書(がん治療を行う医療機関で記入)
⑤対象者の住民票謄本(続柄の記載があり、個人番号の記載のないもので、発行から3ヶ月以内のもの)
⑥夫婦であることを証明できる書類 (胚(受精卵)凍結に係る治療の場合)
・法律婚:両人の戸籍謄本
・事実婚:両人の戸籍謄本、両人の住民票、
両人の事実婚関係に関する申立書 様式第1-5号 [Wordファイル/15KB]
温存後生殖補助医療に係る申請書類
助成対象の温存後生殖補助医療に係る費用の支払後、長崎県医療政策課へ下記書類を提出してください。
①事業参加申請書(温存後生殖補助医療分)
②温存後生殖補助医療証明書(温存後生殖補助医療を行う医療機関で記入)
③温存後生殖補助医療実施医療機関の連携医療機関証明書
※助成対象の治療の一部を指定医療機関とは別の機関で実施し、当該医療機関に対し支払いを行った場合で、当該費用も含めて助成を求める場合に提出。
④対象者の住民票謄本(続柄の記載があり、個人番号の記載のないもので、発行から3ヶ月以内のもの)
⑤夫婦であることを証明できる書類
・法律婚:両人の戸籍謄本
・事実婚:両人の戸籍謄本、両人の住民票、
両人の事実婚関係に関する申立書様式第3-4号 [Wordファイル/13KB]
患者アプリ番号とは
助成対象者自身で自然妊娠を含む妊娠・出産・検体保存状況及び原疾患の転帰等の情報入力や閲覧可能な専用スマートフォンアプリに登録すると得られる会員番号のことです。
患者アプリ(日本がん・生殖医療学会)[PDFファイル/3MB]
申請の期限
申請は、助成対象の妊孕性温存治療又は温存後生殖補助医療に係る費用の支払日の属する年度内(3月末日まで)に行ってください。
ただし、妊孕性温存治療後、期間を置かずに原疾患治療を開始する必要があるなどのやむを得ない事情により、当該年度内に申請できない場合は翌年度に行うことができます。
申請書の申請方法
申請方法:郵送及び持参
送付先及び受付窓口:〒850-8570 長崎市尾上町3-1 長崎県 福祉保健部 医療政策課 がん対策班
受付時間:月曜日から金曜日(祝祭日、年末年始を除く。)9時から12時、13時から17時45分まで
※郵送により申請を行う場合は、簡易書留等、記録が残る方法で送付してください。
注意事項
※医療機関によっては、申請書類の発行に費用がかかる場合がありますが、その費用は自己負担となります。(助成対象外)
※本事業は、妊孕性温存治療及び生殖補助医療に要した医療費を申請に基づき、長崎県が助成するものであり、がん等の治療及び妊孕性温存治療、またがん治療後の妊娠等、その医療内容について長崎県が保証し、または責任を負うものではありません。
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- 医療政策課
- 郵便番号 850-8570
長崎市尾上町3番1号 - 電話番号 095-824-1111
- ファックス番号 095-895-2573