令和5年度国民参加による気候変動情報収集・分析委託業務
長崎県気候変動適応センターでは、環境省の「令和5年度国民参加による気候変動情報収集・分析委託業務」を受託し、「ビワ栽培における凍霜害に関する気候変動影響調査」、「バレイショ秋作における干ばつに関する気候変動影響調査」、「自然災害に対する気候変動影響や防災・減災の取組等に関する調査」、「県民ワークショップ」、県内で生じている気候変動の影響について、情報を収集・分析しました、また、調査結果を踏まえて、将来的な気候変動影響の予測計算に向けた計画作成を行いました。
業務内容
「ビワ栽培における凍霜害に関する気候変動影響調査」
調査概要
収量や過去の気象データの情報収集と並行して、圃場の温度分布の観測を実施し、地形等による環境条件の影響について調査を行った。
調査結果と概要
- 露地栽培が多い「なつたより」、「茂木」の生育段階が幼果の状態のときに、マイナス3℃以下の寒波が重なることで大きな被害が発生している。
- 主な栽培地域である長崎半島の中でも気温の地域差がみられ、海洋に面している「大崎」よりも、谷状の地形が多い「北浦」の方が最低気温が低い傾向がみられた。
- 圃場での気温測定結果から、放射冷却時は標高が低いほど最低気温が低い傾向がみられ、降雪時は風速が大きければ地域差は少ない傾向がみられた。
資料
「バレイショ秋作における干ばつに関する気候変動影響調査」
調査概要
収量や過去の気象データ等の情報収集により、ばれいしょ栽培の作付期間(9月から11月)に生じる干ばつの発生状況を調査した。
調査結果と概要
-
無降水期間(1mm以下/日)は直近数年間は主に10月から11月に発生し、干ばつ自体が生育に与える影響の他、干ばつ後の降雨により生理障害が発生するなど、生育段階と降水量(土壌水分量)により、様々な影響が生じる。
- 干ばつが与える影響は、降水量と土壌水分量の関係、土質や排水性、生育段階(地上部・地下部)や日照等様々な要素と関係がある。これらの要素を総合的に評価できる生育モデルは確認できず、現段階では栽培地域毎の将来的な収量予測は困難と判断された。
資料
「自然災害に対する気候変動影響や防災・減災の取組等に関する調査」
調査概要
県内の自然災害における気候変動影響及び将来的に懸念される自然災害と将来予測計算のニーズについて把握するため、各市町防災担当部署へアンケート調査を行った。(回答数18市町)
調査結果と概要
- 気候変動影響として、「洪水氾濫の増加」、「土砂災害の増加」、「強風被害」について、回答者の過半数が実感すると回答した。
- 将来的に懸念される災害として、大雨による「土砂災害」が最も多く、次いで大雨による「洪水氾濫」が挙げられ、将来予測計算として、「土砂災害の発生頻度予測」の回答が比較的多かった。
- 防災体制における課題として、「避難所運営における人員不足」が最も多く、次いで、「庁内防災組織の人員不足」が挙げられた。
主な理由として、少子高齢化による人員減少、災害経験者の不足などが回答された。 - 今後、優先席に力を入れたい取組として、「住民に対する防災意識や知識の普及啓発」の回答が最も多く、大規模災害時における
自助・共助の重要性を訴える回答が多くみられた。
資料
自然災害における気候変動影響と防災の課題・取組の調査結果[PDFファイル/1MB]
「県民ワークショップ」
目的
地域住民からの気候変動の影響や適応策に関する情報収集および気候変動を「自分事」として捉えるための意識啓発のため。
実施内容
実施地区 | 佐世保地区 | 島原半島地区 |
開催日 | 令和6年1月29日 | 令和6年2月26日 |
参加人数 | 17人 | 10人 |
結果概要
- 様々な職種(農水産業、観光業、大学生など)の方による情報共有により、気候変動の影響が実感される場面が多様化しているように感じられ、問題意識を持っている方が多かった。
- 気候変動の影響として、「暑さ」や「自然災害」など、生活に密接する問題から、「農作物」、「水産物」「生態系」に関わる問題など幅広い問題が挙げられた。適応策としては、具体的な対策が多く挙げられた他、個人の意識変化として「気候変動を受け入れたうえで、前向きに生きることができるように対策を考える必要がある」という声が挙がった。
- 適応策にかかるお金、時間の大きさで分析し、分類することで、取組の主体が明確化され個人が取組める適応策がはっきりしたことで、気候変動対策を「自分事」として捉える意識が向上された。
このページの掲載元
- 環境保健研究センター
- 郵便番号 856-0026
長崎県大村市池田2丁目1306番地11 - 電話番号 0957-48-7560
- ファックス番号 0957-48-7570