【卒論紹介】イチゴ「恋みのり」における花芽早進化技術の検討(12月8日)
1.はじめに
  イチゴは11~12月出荷すると高単価が期待できるが、年内収量を確保するには、株冷等の花芽早進化技術を行う必要がある。そこで、長崎県 で近年栽培面積が増加している、「恋みのり」において花芽早進化技術を行い、生育や収量への影響について検証した。

2.材料および方法
 1)試験の実施場所  農業大学校園芸学科野菜コースイチゴハウス長崎型高設栽培
 2)供試品種     「恋みのり」
 3)試験区の設定
   株冷Ⅰ型  株冷期間:2022年8月24日~9月 6日、定植:2022年9月 7日
   株冷Ⅱ型  株冷期間:2022年8月31日~9月13日、定植:2022年9月14日
   冷水処理  実施期間:2022年8月31日~9月13日、定植:2022年9月14日
     ※株冷:15℃の冷蔵庫に入庫。冷水処理:8℃の冷水を18:00にクラウン部に散布。
   慣行区   定植:2022年9月22日
 4)調査項目及び調査方法
  ①生育調査  第1葉小葉長・第1葉葉柄長・草丈を1か月おきに測定。
  ②収量調査  株冷Ⅰ型・株冷Ⅱ型・冷水処理・慣行区のイチゴの個数と重量を調査。
         頂果房の収穫開始日、収穫期間。

3.結果
  表1 頂果房の出荷開始日、年内収量および所得
  

  花芽早進化を行った区は、慣行区よりも44~30日、早く出荷開始できた。年内収量も、慣行区に比べ大幅に確保できた。
  農業所得は、株冷Ⅰ型>冷水処理>慣行区>株冷Ⅱ型の順となった。

4.考察
  花芽早進化技術を行うことで11月中旬から収穫でき、単価の高い時期に出荷できた。株冷Ⅰ型、株冷Ⅱ型、冷水処理および
 慣行区(普通ポット)と4段階に分けたことで、定植時期や収穫時期が分散化され、労力を分散できた。冷水処理は花芽早進化
 の効果はあったが、毎日同じ時刻に冷水を散布するのは、労力がかかり、大変だった。株冷Ⅱ型の農業所得が最も低かったのは、
 2月以降スポット的にハダニの発生がみられ終盤の収量が伸びなかったためである。適正な病害虫管理が重要と思われる。
   (園芸学科野菜コース学生)