【卒論紹介】レタスの育苗方法の違いが生育および収量に及ぼす影響(2月6日)
1.はじめに
 レタスは移植栽培で行われていますが、育苗では一般的に、ペーパーポットによるポット苗をつくる方法や、セルトレイによるセル成型苗をつくる方法があります。ペーパーポットによる育苗は定植時の省力化などの理由から普及していますが、一方で、セルトレイによる育苗はトレイの再利用が可能で、コストの低減などのメリットがあります。そこで、育苗資材を比較することで、苗の生育および定植後の生育や収量を調査しました。

2.材料および方法
 1)供試品種    シニア(ツルタのタネ)
 2)試験区の設定
 (1)220穴ペーパーポット区
 (2)200穴セルトレイ区
   ※育苗資材はレタス栽培で一般的に使用さているもので、ペーパーポットとセルトレイの穴数の近いものを使用した。
 3)耕種概要
 (1)春レタス
   ①栽培方法  マルチ栽培(暖々マルチ)
   ②栽植密度  畦間170cm、株間30cm、4条植え(7843株/株)
   ③播種日   2023年2月20日
   ④定植日   2023年3月16日
   ⑤収穫日   2023年5月15日
 (2)冬レタス
   ①栽培方法  マルチ栽培(黒マルチ)
   ②栽植密度  畦間170cm、株間30cm、4条植え(7843株/株)
   ③播種日   2023年9月7日
   ④定植日   2023年9月27日
   ⑤収穫日   2023年12月4日
 4)調査項目
 (1)育苗調査
   ①出芽率 ②本葉出葉数 ③草丈
 (2)収穫物調査
   ①全重 ②調整重 ③最大外葉重

3.結果および考察
・育苗時の生育調査では春レタスおよび冬レタスとも、ペーパーポット区の方がセルトレイ区と比較して、草丈は大きく、本葉出葉数はやや多く推移しました(表1、2)。育苗培土の水分や温度が、苗の生育に適した状態で維持されたことが要因と考えられます。
・収穫物調査では春レタスおよび冬レタスとも、ペーパーポット区の方が全重および調整重(出荷時の形状での1個重)が大きくなりました(表3)。ペーパーポット区では定植時に根を傷めにくかったこと等から、定植後の活着や生育が良好になったと考えられます。
・ペーパーポットを使ったレタス栽培は、定植時の省力化だけでなく、収量の増加につながることから、農業所得の向上に有効な技術であると考えられます。 (園芸学科野菜コース学生)