令和5年度ながさき農業オープンアカデミー ~第3回講座(令和5年8月30日)~
 令和5年8月30日(水)、県央振興局を主会場、各振興局をサテライト会場とし、第3回講座を開催し、受講生、関係機関を含め24名が参加しました。
 まず、(株)ファーム・サポーターズ・ラボ 代表取締役 岡部由美子氏より、前回の振り返りを行いながら、経営戦略の立て方についてガイダンスがあり、経営環境が大きく変わる現在、自らの経営の強みと弱みを知ること、脅威やチャンスといった外部環境の変化に敏感に反応しながら戦略を立案していくこと、さらにポイントとして計画の実現に向け、戦略とは、するべきことを明らかに、何をしないかを選択する重要性など、計画を作成するためさまざまな視点のとらえ方について講義いただきました。
 また、今回の基調講演では、大分県由布市から江藤農園 江藤国子氏を講師に迎え、「リアル~小さな農業の道のり~」と題しご講演いただきました。
 江藤氏は宮崎県出身で、短大卒業後、九州農政局に勤務し、休みを利用して数多くのグリーンツーリズムに参加、その中で自ら農業をやってみたいという夢が大きくなり、平成18年に農家のご主人とご結婚、念願の農家になりました。
 結婚当初は義父となかなか意見が合わないながらも、徐々に江藤氏自身がやりたい農業に取り組み、現在は「安定経営」、「楽しく農業をする」という経営理念のもと、田畑併せて約8ha、またハウス30棟を整備し、クレソンやトマトなど約80種類の多くの野菜を生産、販売されています。
 講演では、昔ながらの農業から江藤氏がやりたい農業を行っていく過程の苦労話などご紹介いただきましたが、これまでの苦労を楽しく、ユーモアを加えながら話され、江藤氏の「やりたいことはまず少しでもやってみる」、「人との関係を大事にする」などの熱意が強く伝わりました。
 江藤氏は湯布院の旅館の料理人や農家仲間との関係を強くしながら、各旅館などへのきめ細かな注文対応や配達、マルシェの開設、また他の農家の野菜の出荷も併せて行い、さらに地元や近隣の大手スーパーへの直接販売など、受講生も江藤氏の農業への熱意や地元、関わりのある方への思いに強く刺激を感じたと思います。
 次に、講座修了生2名から現在の経営状況についてお話をしていただきました。H26年度修了生 野原大嗣さん(五島市)から、いちご高単収技術の導入(環境制御装置)や新品種への転換、労力の確保、また6次産業化に取り組みいちごアイスの開発販売の話を、またH29年度修了生 宮田和晃さん(雲仙市)は、馬鈴薯を中心としながら、労力やリスク分散のための他作目も組み入れた作付体系の変更、また雲仙や小浜など観光地を持つ地域ならではの取り組み(地元農産物の地域内利用やPR、体験コンテンツ検討)に積極的に活動され、SNSでの情報発信など、農業や地域を盛り上げているお二人の話に受講生からも多く質問がありました。
 次回の第4回講座では、これまでの講演やグループワークで学んだことを取り入れながら、今後の自身の経営計画を作成していきます。(研修部職員)
(株)ファーム・サポーターズ・ラボ 岡部氏
講義「実行計画」、「経営計画作成」
講師 江藤農園「リアル~小さな農業の道のり~」
(江藤氏の行動力や思いが伝わるものでした)
グループワーク
(市場や売り先は今後どうなっていくか・・)
宮田和晃氏(雲仙市、修了生)へ
受講生からの質問(場所:県央振興局)