【卒論紹介】夏播きニンジンにおけるマルチ被覆による太陽熱処理法の効果(1月23日)
1.はじめに
 作物栽培では、雑草対策が重要な課題である。特に、一般にマルチを使用しないニンジン栽培では雑草対策が重要である。そこで、播種前にマルチを被覆し地温を一定期間高温にすることで、雑草種子を死滅させる太陽熱処理法を行ない、雑草の発生を抑制できるか検証した。また、雑草を抑制することによりニンジンの生育や収量にどのような影響を及ぼすかあわせて検証した。

2.材料及び方法
 1)供試品種 2023年8月25日播種「紅徳」、2023年9月5日播種「時無五寸」
 2)栽植密度:畝間150cm 株間10cm 5条植え 栽植株数33,000株/10a
 3)太陽熱処理法の手順  処理日 2023年8月2日
   ①施肥、耕うんを行う。②畝立てを行う。③十分潅水を行う。
   ④マルチで畝を被覆する。⑤被覆を除去する。(2023年8月25日)
 4)試験区の設定    播種前白黒マルチ被覆区、播種前無マルチ区
             播種前黒マルチ区、播種前透明マルチ区
 5)調査項目及び方法
 (1)地温 測定日時:2023年8月25日午前11時(マルチをはがす前後に測定)
 (2)雑草調査 各区1㎡調査 ①雑草量 ②除草時間 (播種約1か月後調査)
 (3)生育調査 各区10株調査 ①葉数 ②葉長
 (4)収量調査 各区10株調査 ①全重 ②全長 ③根重 ④根長 ⑤根径
 (5)経営調査  経営収支を算出

3.結果
  表1 調査結果のまとめ
  
  播種前に透明マルチや黒マルチを被覆し、地温を十分に確保すると、その後の雑草を抑制し、また収量、所得も確保できた。

4.考察
 地温が高い方が雑草の発生量が少なかったことから、播種前に地温を上昇させることはその後の雑草量の抑制に効果があることがわかった。さらに、初期の雑草量を抑えることで、収量や所得の確保にもつながったので、播種前に透明マルチを被覆し地温を上げることは十分に効果があるものと思われた。大面積で導入することは困難であるが、出荷先のニーズで除草剤を使用できないような場合に、小面積で導入することは、有効な対策と思われる。
  (園芸学科野菜コース学生) 
8月25日:播種前白黒マルチ 8月25日:播種前無マルチ
8月25日:播種前黒マルチ 8月25日:播種前透明マルチ
図 1㎡当たりの雑草量