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意見書・決議

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APECでのTPP交渉参加表明に対する意見書

 

 野田佳彦総理は11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議において、「環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加に向けて関係国との協議に入る」ことを表明した。その後、TPPに関しては国会審議における閣僚間の答弁の食い違いや、日米両国政府の発表に矛盾が生じる等、混乱に拍車がかかっている。
 TPP問題については、関税の撤廃のみならず、福祉、医療、労働、金融など様々な分野の非関税障壁についても検討されている模様であるが、実際に何が協議されているのか明らかにされていない。また、「聖域なき関税ゼロ」が前提とされているにもかかわらず、これに対して国としてどのように対応するのか明確にされないばかりか、その他の分野についても、わが国にとって何が利益となり何が不利益になるのか、何が国益上の危機となり、それに対して、いかなる対応策を検討しているのかといったことも国民に示されていない。
 TPP参加の影響についても各省が試算をそれぞれに出すなど、政府として正確な情報を国民に提供されていないため、国民的な議論も全く熟していない段階であり、このような中、参加に向けて関係国との協議に入ることを表明されたことは、拙速のそしりを免れない。
 さらに、与野党を問わずAPECでの拙速な表明には慎重な意見が続出し、地方議会においても交渉参加に反対や慎重な対応を求める意見書が相次いで可決されているにもかかわらず、政府は交渉参加に向け関係国との協議に入ることを表明した。
 今後、国におかれては、TPPに対する国民的議論が熟すよう、協議の過程で得られた情報を速やかに明らかにし、TPPでわが国の利益となる点、不利益となる点、国益上の危機、それに対する対応策について、分かりやすく国民に説明するよう強く求める。

 

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


平成23年12月16日


長 崎 県 議 会

(提出先)
衆議院議長    横路 孝弘  様
参議院議長    平田 健二  様
内閣総理大臣   野田 佳彦  様
外務大臣     玄葉 光一郎 様
農林水産大臣   鹿野 道彦  様
内閣官房長官   藤村  修  様

国家戦略担当大臣 古川 元久  様

サイバー攻撃・情報保全対策に関する意見書

 

 衆議院や参議院、政府機関を狙ったサイバー攻撃が明らかになり、サイバー攻撃に対する国民の不安はこれまでになく高まっている。
 わが国の重要な情報がサイバー攻撃で海外に流出することは、国益に大きな影響があり、政府が一体となってサイバー攻撃・情報保全対策を構築することが求められている。
 特に現在、不定期開催となっている情報セキュリティ政策会議を定期開催することや、情報保全の危機分析、内外情勢分析、諸外国の政策動向等を定期的に国会に報告することで、わが国の情報保全対策に対する決意を内外に示すこととなる。
 よって、国におかれては、下記の事項について積極的に実現を図り、サイバー攻撃に対する国民の安心・安全を守るよう強く求める。       

 

  1. 国家としての安全保障の観点から、情報保全の基本戦略を早急に構築すること。
  2. 防衛省はわが国の防衛調達に関する情報管理、保秘体制を強化すること。
  3. 政府は重要な社会基盤に対するサイバー攻撃の可能性を評価・検証し、地方自治体に対するサイバー攻撃対策についても、早急に戦略を構築すること。
  4. 民間の優れた人材の技術を活用し、官民一体となった情報保全対策を構築すること。

 

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


平成23年12月16日


長 崎 県 議 会

(提出先)
衆議院議長    横路 孝弘  様
参議院議長    平田 健二  様
内閣総理大臣   野田 佳彦  様
総務大臣     川端 達夫  様
防衛大臣     一川 保夫  様
経済産業大臣   枝野 幸男  様
内閣官房長官   藤村  修  様
国家公安委員長  山岡 賢次  様



介護福祉士等修学資金貸付制度の拡充・継続並びに介護福祉士養成に係る離職者訓練及び働きながら介護福祉士等の資格を取る介護雇用プログラムの継続を求める意見書

 

 本格的な少子高齢社会の到来を迎え、介護サービスに対する需要が増大する中、質の高い介護人材の安定的な確保・養成が課題となっている      
 この課題に対応するため、平成20年度補正予算で措置された介護福祉士等修学資金貸付制度は介護福祉士養成施設への入学を志す者の経済的負担を軽減する制度として活用されている。
 しかし、本制度では、貸付に係る返還免除の要件として、貸付を受けた都道府県の区域内において介護等の業務に5年間従事することとされており、福祉・介護分野に就業しようとする者にとってはこの要件が精神的な負担となっている場合がある。
 一方、雇用対策として、平成20年度補正予算及び平成21年度補正予算でそれぞれ措置された介護福祉士養成に係る離職者等再就職訓練事業と働きながら介護福祉士等の資格を取得する介護雇用プログラムについては、事業効果が高く、当該事業で学んだ者は、介護分野において中核的な存在として活躍が期待される。
 以上のように、いずれの制度も質の高い介護人材の安定的な確保・養成に資するもので、長崎県においても取組を進めてきたところであるが、これらについては平成23年度までの措置となっている。
 よって、国におかれては、下記の項目について措置を講じられるよう強く要望する。      

 

  1. 介護福祉士等修学資金貸付制度の拡充・継続
    (1) 平成24年度以降も確実な継続的貸付ができるように貸付原資となる資金の積み増しを行うこと。
    (2) 貸付を受けた都道府県の区域内において介護等の業務に5年間従事することとされている返還免除の要件を緩和すること。
  2. 介護福祉士養成に係る離職者等再就職訓練事業を平成24年度以降も継続して実施すること。
  3. 働きながら介護福祉士等の資格を取る介護雇用プログラムを平成24年度以降も継続して実施すること。

 

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


平成23年12月16日


長 崎 県 議 会

(提出先)
衆議院議長    横路 孝弘  様
参議院議長    平田 健二  様
内閣総理大臣   野田 佳彦  様
厚生労働大臣   小宮山 洋子 様

内閣官房長官   藤村  修  様

国民皆保険制度を堅持するための「受診時定額負担導入及び医療の営利産業化反対」に関する意見書

 

 本年3月11日に発生した東日本大震災は未曾有の国難であり、被災地では国民が当然受けることができるはずの医療も十分に提供できないなど復興へ向けては未だ道半ばの状況である。
 このような中、政府は、6月30日「社会保障・税一体改革成案」において、高額療養費の負担減の財源として、医療機関を受診するたびに新たな負担を求める「受診時定額負担」を提案している。医療が高度化する中、高額療養費の負担軽減は必要であるが、受診時定額負担は国民皆保険制度の基本概念である、「加入者の共助」に反する考え方であり、その財源は保険料や税金でまかなうべきである。我が国の一部負担金は、先進諸国と比べても高い水準にあり、新たな負担を求めることは、特に受診回数の多い高齢者等の受診抑制へとつながり、症状の重篤化など健康被害を招くことも懸念される。
 また、政府はTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉参加を表明したが、仮に無条件参加が決まり、医療が営利産業化されると、高い収益が見込める自由診療、自由価格の医療市場が拡大し、混合診療の全面解禁を後押しすることにつながり、その結果、公的医療保険の給付範囲が縮小していくことになる。

 よって、国におかれては、世界に誇れる日本の国民皆保険制度の堅持・発展のため、受診時定額負担の導入及び医療の営利産業化の方針を撤廃するよう強く要望する。

 

 

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


平成23年12月16日


長 崎 県 議 会

(提出先)
衆議院議長    横路 孝弘  様
参議院議長    平田 健二  様
内閣総理大臣   野田 佳彦  様
厚生労働大臣   小宮山 洋子 様

内閣官房長官   藤村  修  様

子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業に関する意見書

 

 国は平成22年度予算事業として「子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業」を創設し、これにより県内すべての市町において子宮頸がん予防ワクチン及びヒブワクチン並びに小児用肺炎球菌ワクチンの公費負担による予防接種がスタートした。
 また、現在、厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会において、予防接種法に位置づけられていない、これら3ワクチンを含めたワクチンの定期接種化などに関する検討が進められており、厚生労働省は来年通常国会での予防接種法改正の方針を示している。
 しかしながら、今回の事業は平成23年度末を終期としており、また、平成24年度概算要求では予算編成過程で検討するとして、現時点では平成24年度以降の事業実施が確定していない。
 本来、必要な予防接種は住んでいる地域や所得に関係なく希望するすべての子どもが受けられるようにすべきであり、予防医学の観点からも時限を切った臨時的な対応でなく恒常的に実施することが必要である。

 よって、国におかれては、これら3ワクチンを含め検討されているワクチンを早期に定期接種化するとともに、その際は地方財政措置を確実に行うこと。なお、定期接種となるまでは今回の事業を継続し、必要な財源を確保するよう強く要望する。

 

 

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


平成23年12月16日


長 崎 県 議 会

(提出先)
衆議院議長    横路 孝弘  様
参議院議長    平田 健二  様
内閣総理大臣   野田 佳彦  様
厚生労働大臣   小宮山 洋子 様

内閣官房長官   藤村  修  様


「子ども・子育て新システム」の拙速な導入に反対するとともに子育て支援の充実を求める意見書

 

 「子ども・子育て新システム」は、幼保一体化を含む今後の子ども・子育てを社会全体で支援する一元的な制度構築を目指すなど、これまでの子育て支援の取り組みを大きく転換しようとするものである。
 「子ども・子育て新システム」について、政府は、7月29日の少子化社会対策会議において『「子ども・子育て新システム」に関する中間とりまとめ』を決定し「平成23年度中に必要な法制上の措置を講じることとされている税制抜本改革とともに、早急に所要の法律案を国会に提出する」との方針を示した。
 しかしながら、新システム導入のために必要と言われている約1兆円の財源は、未だ明確になっておらず、円滑に新システムが導入できるのか懸念されるところである。さらに、11月24日に開催された政府の第16回「基本制度ワーキングチーム」において、幼稚園への私学助成を続けることが明らかにされるなど、政府が目指してきた幼保一体化の考えは、大幅に後退している。
 このような状況にもかかわらず、政府は今年度中の法案提出を目指しており、大変遺憾である。
 また新システムが導入されるか否かにかかわらず、子ども・子育てを国民全体で支えていくことは当然であり、その財源確保は、国の責任において行うべきである。
 よって、国におかれては、我が国の未来を担う子どもたちの健やかな育ちを保障し、子育て支援の充実が図られるよう、下記の事項について強く要望する。

  1. 「子ども・子育て新システム」については、
    ・保護者や保育所、幼稚園、放課後児童クラブなど子育て関係者の意見を十分に尊重すること。
    ・拙速な導入は行わないこと。
    導入にあたっては、
    ・財源措置を早急に明確にすること。
    ・子育て支援の質を確保すること。
  2. 子育て支援の充実については、来年度の予算編成に向けて、「安心こども基金」の延長と拡充等、地方の創意工夫が生かされるようにすること。

 

 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。


平成23年12月16日


長 崎 県 議 会

(提出先)
衆議院議長    横路 孝弘  様
参議院議長    平田 健二  様
内閣総理大臣   野田 佳彦  様
財務大臣     安住  淳  様
厚生労働大臣   小宮山 洋子 様
内閣官房長官   藤村  修  様
国家戦略担当大臣 古川 元久  様
内閣府特命担当大臣(少子化対策)  蓮  航   様




消費者のための新たな訴訟制度の創設に係わる意見書

 

 消費者生活相談の件数は、2010年度で約89万件と依然として高い水準が続いている。これらの消費者被害は被害金額が少額から高額のものまであり、比較的高齢者と若年者に被害が発生する傾向がある。
 一方、現在の訴訟制度の利用には、相応の費用・学力を要するところから、事業者に比べ情報力・交渉力で劣位にある消費者は、被害回復のための行動をとることが困難である。
 そこで、消費者が有する法的請求権の実効性を確保する観点から、できる限り消費者の請求権を束ねて訴訟追行ができるようにすることを企図し、消費者のための新たな訴訟制度の案が本年8月に消費者委員会において取りまとめられ、現在、その法案化が消費者庁において準備されている。
 この制度案は、共通争点を有し、多数発生している消費者被害を対象とし、手続き追行主体を内閣総理大臣が認定する適格消費者団体に限定している。そして、訴訟手続きを二段階に区分し、一段階目の訴訟で共通争点の審理を行い、事業者側の法的責任が認められた場合に、二段階目で個々の被害者が参加し、簡易な手続きで被害額を確定し、被害回復を図るという仕組みとなっている。
 そのため、被害者である消費者は、事業者の法的責任が確定した段階で、適格消費者団体からの通知等に応じ被害回復を申し出ることで救済への道が開かれるという、消費者にとって労力の面でも費用の面でも現行制度より負担が低減される画期的な制度である。
 また、上述のとおり手続き追行主体を適格消費者団体に限定しつつ、制度の対象事案も事業者が紛争全体を見通すことができる契約関係を中心に選定することとするなど、事業者にも配慮のあるものとなっている。
 これまでの消費者団体訴訟制度は、適格消費者団体に、事業者の不当な行為に対する差止請求権を認めていたが、損害金等の請求権を認めていなかった。そのため、消費者被害の未然防止、拡大防止の効果は発揮されていたものの、消費者の被害救済には必ずしも結びつかないという課題を有していた。その課題に応える点からも、この制度案は評価できるものである。
 よって、国におかれては、消費者庁及び消費者委員会設置法附則6項の趣旨にのっとり、次の事項を実現するよう強く要請する。

 

  1. 政府は、本年8月に消費者委員会集団的消費者被害救済制度専門調査会でとりまとめられた報告書の内容を踏まえ、消費者のための新しい訴訟制度の法制化を図ること。
  2. 本制度については、平成24年1月より開催される予定の通常国会で十分な審議を行うとともに、早期にその創設を図ること。
  3. 同制度の実効性を確保する観点から、手続き追行主体となる適格消費者団体への必要な支援を具体化すること。

 

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


平成23年12月16日


長 崎 県 議 会

(提出先)
衆議院議長    横路 孝弘  様
参議院議長    平田 健二  様
内閣総理大臣   野田 佳彦  様
財務大臣     安住  淳  様
総務大臣     川端 達夫  様
内閣官房長官   藤村  修  様

内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全) 山岡 賢次  様

九州電力株式会社玄海原子力発電所3号機の冷却水漏れに関し正確で迅速な情報提供等を求める緊急決議

 

 平成23年12月9日に発生した九州電力株式会社玄海原子力発電所3号機で発生した冷却水漏れについて、九州電力株式会社は、当初「定期点検を行っている3号機の充てんポンプ軸受け温度高の警報が発信した」旨の発表・連絡を行ったが、後になって、ポンプ軸受け部分から1.8トンもの冷却水漏れが発生した事実が判明したことは、誠に遺憾である。
 九州電力株式会社においては、今回の冷却水漏れについて、安全性に影響はなく、安全協定に定める異常時に該当しないと判断し公表しなかったとのことである。
 しかしながら、東北地方太平洋沖地震により、東京電力株式会社福島第一原子力発電所では重大な事故が発生し、今なお、多くの住民が避難生活を余儀なくされている状況にある。
 玄海原子力発電所から最短で、8.3キロメートルの距離に位置し、特に海域においては何ら遮蔽するものがない本県においては、万が一の場合に被害を被ることは佐賀県民と同様であり、県民の多くは不安を抱え、原子力発電所の安全性への関心も高まっている。

 よって、九州電力株式会社におかれては、原子力発電所において放射性物質に関わるトラブルが発生した場合、安全性に影響があるなしにかかわらず、県及び県民に対し正確かつ迅速に情報発信し、併せて、徹底した原因究明を行い原子力発電所の安全確保対策に万全を期すとともに、安全協定を速やかに締結するよう強く要請する。

 

 以上、決議する。


平成23年12月16日


長 崎 県 議 会

(提出先)
九州電力株式会社 代表取締役会長  松尾 新吾  様
九州電力株式会社 代表取締役社長  眞部 利應  様



対馬地域新病院建設に係る実施設計委託業務の適正な執行に関する決議

 

 対馬地域新病院建設に係る基本設計業務の委託発注に関して、受注を希望する業者間において競争入札妨害とも疑いが持たれる事案が発覚した。
 このため、文教厚生委員会において関係者を招致し真相解明を図るべく集中審査を行ったが、関係当事者間での主張が大きく喰い違うものの、捜査権を有しない委員会としては、その真偽を究明するまでには至っていない。
 しかしながら、かかる疑惑がある中において、通常行われるように基本設計を受託した業者が、これに繋がる実施設計及び建設の施工管理に何らかの形で関与することを黙認することは、一点の曇りもなく公正に行われるべき県並びに県関係団体の業務執行方法として看過することはできない。
 特に、本件において問題視すべきは、基本設計を受託した業者が疑惑を持たれるような行為を自ら行った点にある。
 よって、こうした問題がある以上、公平・公正な業務発注について、県民の信頼を一層勝ち得る意味から、今後の実施設計の業務委託においては、今般の疑義の解明が一定なされるまでは中断するよう、県が長崎県病院企業団に対して求めることを、議会として決議するものである。

 

 以上、決議する。


平成23年12月16日


長 崎 県 議 会

(提出先)
長崎県知事  中村 法道  様



株式会社橋本商会の不誠実な対応に抗議する決議

 

 対馬地域新病院建設に係る基本設計業務の委託発注に関して、受注を希望する業者間において競争入札妨害とも疑いが持たれる事案が発覚した。
 このため、文教厚生委員会において真相を解明するための集中審査の実施に際し、株式会社橋本商会を含む関係者に出席を求めその陳述をもとに公平、公正な判断を行うべく努めようとしたところ、3度にわたり株式会社橋本商会は何ら具体的な疎明のないまま出席を拒否した。
 かかる対応は、地方自治法第98条により地方公共団体の事務に関して議会に広く付与された事務検査権を損わせしかねない恐れがあるとともに、民主的な議会活動を阻害するものとして、到底看過することができない。
 こうしたことが、今後他の案件においても平然と行われるとすれば、県議会の本来的な重要な機能が制限されることにもなりかねないことが危惧されるところである。

 よって、今回の不誠実な対応が悪しき前例とならないためにも、株式会社橋本商会に対し、強く抗議することを議会として決議するものである。

 

 以上、決議する。


平成23年12月16日


長 崎 県 議 会



認可外保育施設に対する財政支援を求める決議

 

 県内の認可外保育施設には事業所内保育施設を除き約2000人の児童が入所している。認可外保育施設は、公的な保育サービスの供給が不足している地区において立地し、あるいは、認可保育所があっても特別保育として不十分な一時保育や夜間保育等の保護者のニーズを認可保育所に替わって支え、さらには、児童の成長段階に応じた特色ある教育を行うなど保育に欠ける子に対する子育てにおいて果たす社会的役割は大きなものがある。
 しかしながら、認可外保育施設は、無認可であることをもって保育行政のいわば蚊帳の外に置かれており財政支援もないことから、保護者負担が大きいばかりか、施設を運営するうえで経済的に困窮し施設運営が立ち行かない事態に追い込まれているケースの増大が危惧されるところである。

 このため、保育に関し、認可保育所と同様の社会的役割を果たし、さらにまた、認可保育所の補完的機能を有している認可外保育施設の安定的な運営と保育の質において更なる充実を促進するため、県においては、下記のとおり認可外保育施設に対する一定の財政支援を求めるものである。

  1. 次年度から拡充が予定されている国の待機児童解消先取りプロジェクトにおいて、対象となる認可外保育施設に対して十分な対策を講じること。
  2. 基準日において、待機児童のいない市町の認可外保育施設及び施設の利用定員が20人未満の認可外保育施設においては、合理的・合目的要件のもとに、一定の県単補助を行うよう制度を創設すること。
    このため、これらの補助制度の創設にあたっては、現行の予算要求における枠内経費から除外すること。
  3. 認可外保育施設の名称については、今後、役割・機能等から勘案し、ふさわしい名称に変更すること。

 

 以上、決議する。


平成23年12月16日


長 崎 県 議 会

(提出先)
長崎県知事 中村 法道  様



県有種雄牛凍結精液の適正な管理と流通を求める決議

 

 凍結精液の不適切な管理や流通が相次いで発覚している。平成21年に、壱岐市農協で県有種雄牛の凍結精液紛失問題がおこり、それを受け平成22年3月に「凍結精液の管理体制の整備に関する検討会」が報告書を提出し、県は同年6月に、凍結精液の不適切な管理の再発を防止するための「凍結精液の管理に関する実施方針」を定めた。
 この実施方針の中で凍結精液の適切な管理をうたっておきながら、平成23年4月には、北海道で「平茂晴」の偽造証明書が発覚し、同年11月には、精液証明書の記載誤りが発覚した。これら一連の不適切な管理や流通は、著しく長崎和牛の信用を失墜させるものであり、来年平成24年に控える第10回全国和牛能力共進会の開催への影響も憂慮される事態となっている。本県議会として、看過できるものではない。
 県有種雄牛は、本県の生産者や関係者の努力によって改良された財産であることから、適切に管理することが極めて重要である。よって、本県議会は、以下の事項を強く要請する。

   

  1. 県有種雄牛凍結精液の管理や流通に関する問題が生じた場合は速やかに県議会や関係団体に報告すること。
  2. 北海道で発覚した「平茂晴」凍結精液偽造証明書問題の全容解明に全力を尽くし、再発防止を徹底すること。
  3. 精液証明書の誤記載の再発防止を徹底するとともに、誤記載によって生じている諸問題に迅速且つ真摯に対応すること。
  4. 凍結精液の管理体制を抜本的に見直し、3枚複写式の在り方の検討を含め、バーコード方式の導入等流通経路の検証を可能とするシステムを取り入れ、遺伝資源の流出防止策を実施すること。

 

 以上、決議する。


平成23年12月16日


長 崎 県 議 会

(提出先)
長崎県知事 中村 法道  様



生月大橋等有料道路の料金徴収業務等に関する決議

 

 本県議会では現在、「県議会・県政改革特別委員会」を設置し、「県政改革の推進に資する対策」、「県議会改革の推進に資する対策」及び「県議会の政策立案の推進に資する対策」の3つを付議事件とし、議会改革及び県政改革に向けて取り組んでいる。
 その柱の一つである「県政改革の推進に資する対策」のうち、「政策決定過程・計画決定過程の透明性・合理性・有用性等の検証と改善策及び議会の関与の在り方」について、「有料道路事業」をケーススタディとして取り上げ、これまで委員会において5回に及ぶ審査を継続してきたが、改善の必要がある事象が見受けられる。
 よって、知事におかれては、県政の改革に資するべく、以下の3項目について十分な対応を行うよう、強く要望する。

 なお、県議会においてもこのような事例に関しては、今後、特に慎重な審査を行うものである。

  1. 長崎県道路公社においては、料金徴収業務について随意契約を指名競争入札に移行することにより競争性の発揮による経費削減を図ることができたにもかかわらず、契約方法を変更することについて同じ有料道路にあってバランスを欠いた取扱いが平然となされてきた。
    よって、県はもとより他の公社及び外郭団体においてもかかる不公平で不自然な取扱いが今後なされないよう、契約全般を再度点検するとともに、徹底的に経費削減を行うよう努めること。
  2. 長崎県道路公社の生月大橋に係る料金徴収業務については、離職者対策という大義名分の下、特定の業者(生月道路サービス)と随意契約を継続させてきたが、1で記載するように競争性の発揮による経費削減が行えるところを放置して受託者に便宜を図ってきたと県民から疑われてもいたしかたない運営がなされてきた。
    蓋し、当初同じ離職者対策が講じられた大島大橋では随意契約を指名競争入札に移行したにもかかわらず生月大橋ではそのようにしなかったこと、平戸大橋と同様の夜間自主投入を実施しなかったこと等から、そのように窺知される。
    よって、今後、県民からいかなる疑念を持たれることのないよう、県はもとより他の公社及び外郭団体においても透明性かつ平等性を確保した業務改善に努めるとともに、執行体制についても専門性がより発揮できるよう十分配慮すること。
  3. 有料道路の無料化に至る政策決定過程において、大島大橋については平成22年6月定例会まで無料化が困難である答弁を繰り返してきたが、急遽、方針転換し、平戸大橋及び生月大橋についても、突然、無料化を政策決定した。
    よって、今後、県議会に対する丁寧な説明を心がけ、政策決定過程の透明性をより高めるような手続を踏むこと。
    なお、矢上大橋を始めとする有料道路の無料化の検討については、一貫した取扱いを行うこと。

 

 以上、決議する。


平成23年12月16日


長 崎 県 議 会

(提出先)
長崎県知事 中村 法道  様



財団法人長崎県建設技術研究センターへの業務委託の改善を求める決議

 

 県土木部が所管する事業に関して、現場点検調査業務、監督補助業務、積算施工管理業務及び総合評価審査業務の多数が毎年、恒常的に一者随契により財団法人長崎県建設技術研究センター(以下「ナーク」という。)に委託されており、平成22年度においては、ナークの事業収入9億2,199万3千円のうち、県からの委託料は6億8,452万1千円とナークの事業収入に占める県委託料の割合は、74.2%に達している。
 これは、同年度における熊本県や大分県のナーク類似機関への委託額と比べ、特筆する状況になっているとともに、総合評価審査業務のように、本来行政がその責任において行う業務まで委託されている。
 さらには、監督補助業務の発注単価において、若手県職員の平均給与に比べ人件費や諸経費が高額であり、いわばナークの運営を図らんがために県費が投入されていると指摘されてもいたしかたない実態にある。
 加えて、ナークの理事長以下、正規職員に占める県土木部OBの割合が非常に高い実態は、国・地方を問わず、国や自治体の関係機関への公務員の天下りについて厳しい批判がある中で、これを看過することはできない。
 まさに「第2土木部」と指摘される由縁である。
 よって、県土木部においては、これまで委託していた総合評価審査業務を直営で行うなど、従来からのナークヘの委託の在り方を全面的に見直し、嘱託職員の雇用などによる直営での業務の遂行に要する経費と、多様な受け入れ先の確保見透しによる委託業務の遂行に係る所要経費の比較や、土木職員の業務内容の見直し及び技術力向上に対する積極的な取組等を通じて、現状の在り方を可及的速やかに改善するよう求めるものである。
 また、ナークにおいても、技術者が少ない市町の公共工事の入札手続や現場管理等の支援、病院等の民間建設工事の入札手続や現場管理・検査の支援、建設工事に関する技術や工法の研究開発の拡大、公共施設の維持管理等建設市場における産学官の牽引役や調整役の役割の拡大など、今後の運営の在り方を再検討し、その役割を一層適正に果たしていくことを求めるものである。
 なお、土木部以外においても、本来県が行う業務について直営と委託の振り分けに関し、最少の経費で最大の効果を生じさせるよう自主点検を行うとともに、予算査定においては、かかる視点をもって厳正に対処するよう併せて求めるものである。

     

 

 以上、決議する。


平成23年12月16日


長 崎 県 議 会

(提出先)
長崎県知事 中村 法道  様



委託先選定に係るプロポーザル方式の改善を求める決議

 

 これまで委託先選定について、プロポーザル方式による例が多数を占めている。プロポーザル方式は、基本的に各応募者から発注業務の執行に係る企画提案を求め、その優劣を選考し、委託先を決定する方法であり、発注業務が効率的にかつ最も効果的に実施できるという観点から用いられている。
 また、発注者側に事業執行について、専門的なノウハウがないために専門業者等にその仕様そのものから提案してもらう必要がある事例においても用いられる場合がある。
 しかし、こうした観点から活用されるが故にプロポーザル方式により委託先が選定される場合は、豊富な事業実績や資金・人的体制等に優る企業等に結果として偏重し県外企業に多くの業務が発注されるという実態にある。
 さらに、プロポーザル方式では、企画提案内容が中心的な審査対象となり、受託経費の多寡については、必ずしも十分に考慮されているとは言い難い。
 このため、特に事業費が多額なプロポーザル方式において、県内企業の受注が少なく、県内企業の育成も図られないといったことや価格について競争性がなく、最少の経費で最大の効果を求めるという発注の基本原則が発揮されていない。
 よって、委託先選定に係るプロポーザル方式は、下記のとおり執行を改めるよう求めるものである。

     

  1. 今後プロポーザル方式による随意契約は廃止し、公募型入札方式(総合評価方式)に統一して行うこととし、技術(企画)提案及び価格の評価については、外部の専門家による評価委員会(仮称)において、適正な評価基準及び配点基準を設け厳正に行うこと。
  2. 但し、当分の間、大規模な建築物の建築又は大規模な改修に係る建築設計業務及び仕様書の作成が困難な特殊な業務の委託については、価格についても十分配慮するプロポーザル方式とすること。

  3. 大規模な建築物の建築又は大規模な改修に係る建築設計業務の委託においては、WTO対象業務を除き、県外企業との契約に際しては、県内に主たる営業所を置く企業とのJV方式によるものとすること。
  4. 建築設計業務の委託については、県内に主たる営業所を置く企業の発注ウェイトがより高まるよう可能な限り分離・分割発注に努めること。

 

 以上、決議する。


平成23年12月16日


長 崎 県 議 会

(提出先)
長崎県知事 中村 法道  様



再生可能エネルギーの開発と放射線の恐怖に脅かされることのない社会の実現に関する意見書

 

 本年3月11日、東日本大震災は東北地方太平洋沿岸の広い地域にわたって甚大な被害をもたらした。さらに、地震と津波によって引き起こされた東京電力福島第一原子力発電所の事故により、放射性物質が広域に広がり、周辺地域に住む多くの方々が避難生活を強いられている。
 東日本大震災から9ヶ月が経過する中、東北の太平洋沿岸の被災地では、全力で復興作業が進められているものの、原発周辺半径20キロメートル以内の警戒区域は、現在も立ち入りが禁止され、瓦礫の撤去や除染もなされず、多くの方々が仕事や家を失い、地域社会の復興に向けての取り組みも出来ない状況である。
 原子爆弾による破壊と放射線の恐ろしさを経験した被爆地長崎県として、私たちは今回の事態を深く憂慮し、事故を徹底検証するとともに、その原因究明とさらなる安全対策が講じられることに合わせて、原子力エネルギーに変わる再生可能エネルギーの導入拡大も図りながら、将来、原子力エネルギーに頼ることがない安心して暮らしていける社会を築いていく必要があると考える。
 安定したエネルギー供給は国の重大な課題であり、現在、国は東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて「原子力政策大綱」の見直しを進めている。このような実情を踏まえ、国におかれては、再生可能エネルギーの開発を積極的に進め、国民が放射能の恐怖に脅かされることのない、安全で安心な社会の実現に向けての着実な取り組みを行うよう、下記のとおり強く要望する。

     

  1. 当面、安定的な電力供給を維持しつつ、原子力発電に依存している部分を計画的に再生可能エネルギーへ移行するよう努力するとともに、原子力発電所の新・増設については、福島第一原子力発電所事故の徹底検証を踏まえ、見直しを含め再検討すること。

  2. プルトニウムを利用する高速増殖炉「もんじゅ」の存続についても、福島第一原子力発電所事故の徹底検証を踏まえ、見直しを含め再検討すること。
  3. 福島第一原子力発電所の事故の収束を一刻も早く図るとともに、事故原因を究明し全国の原子力発電所の安全対策へ反映させ、原子力防災体制を整備すること。
  4. 原子力発電にかかわる雇用、経済活動及び労働者等すべての関係者の健康管理に十分配慮すること。
  5. 大気・土壌・食品等の放射線量をきめ細かく測定し、国民に対し、速やかな情報の公開や安全基準の公表など、より的確な対処方法を示すこと。特に子どもたちの学校給食の確保をはじめとした被曝解消のための施策を早急に示すこと。

 

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


平成23年12月16日


長 崎 県 議 会

(提出先)
衆議院議長    横路 孝弘  様
参議院議長    平田 健二  様
内閣総理大臣   野田 佳彦  様
経済産業大臣   枝野 幸男  様
環境大臣     細野 豪志  様
内閣官房長官   藤村  修  様


 

 

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