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平成23年2月1日 臨時記者会見

 ●会見内容●

県庁舎の整備について

県庁舎の整備について


○広報広聴課長  それでは、ただいまより知事の記者会見を始めさせていただきます。

○知事  今日は、本県の懸案事項でありました「県庁舎整備の今後の方針」について考え方を取りまとめたところであり、発表をさせていただきます。
 県庁舎の整備については、現在の県庁舎並びに警察本部庁舎が老朽化、狭隘化、分散化といった課題に加えて、災害発生時の防災拠点施設としての耐震性の確保、そして、適切な機能整備が緊急の課題となっていたところであり、これまで長年にわたって様々な検討が行われてまいりました。
 県におきましては、これまでのそうした経過、特に一昨年、平成21年5月に県議会において採択されました「県庁舎整備に関する意見書」の趣旨を踏まえまして、昨年2月に「県庁舎整備基本構想案」を策定し、公表をさせていだいたところであります。
 その後の経過については、皆様もご承知のとおり、県議会において「県庁舎整備特別委員会」を設置していただき、県内8地域での「県庁舎整備について県民の声を聴く会」の開催とともに、11回の委員会審議により、この基本構想案の内容や建設の是非などについて熱心な審議が行われてまいりました。
 この結果につきましては、去る1月12日の臨時県議会において委員長報告が行われますとともに、長崎魚市跡地において新たな県庁舎の建設に速やかに着手することを求める「新たな県庁舎の建設に関する意見書」が採択されたところであります。
 私は、この県庁舎整備の問題については、先の知事選挙を含めて、一貫してこれまで建設ありきという姿勢ではなくて、県民の皆様方の意見を十分踏まえて検討をしていきたいということを申し上げてまいりました。
 このため、県全体を対象にしたパブリックコメントを実施したほか、各種団体との意見交換会の開催、県議会主催の「県民の声を聴く会」への関係職員の出席、あるいは地元自治会、商店街の方々との意見交換などを含め、さまざまな機会をとらえて、できるだけ広い県民の皆様方の声をお聞かせいただけるよう努力をしてきたつもりでございます。
 また、最終的な判断を行うに当たっても、さらに慎重を期してまいりたいと考え、県議会の意見書が採択された後においても、県・市町スクラムミーティングでの県内の各市町長さんのご意見を改めてお聞きし、そしてまた、各種団体のトップの方々のご意見も改めてお聞かせいただきました。
 そして、昨日は、臨時の部長会議を開催し、各部局長の意見も聞いたところであります。
 そうしたところの状況でありますが、確かに県庁舎周辺の住民の方々をはじめ、この移転に反対される意見はございますが、県民の皆様方の大方のご意見として、長崎魚市跡地での新たな県庁舎の建設に賛成する意見が大勢であったと考えております。
 また、先の県議会の意見書においていくつかご指摘をいただいた点もございました。その点につきましても、次のような整理を行ってまいりました。
 まず、1点目は、将来の行政ニーズの変化への対応についてであります。
 道州制など将来の社会経済情勢に応じた行政ニーズの変化に的確に対応できる庁舎とするために、設計段階においても工夫をするように指示をしたところであります。
 2点目は、工事等の発注方法についてであります。
 県庁舎の建設に当たっては、本県の厳しい経済情勢にかんがみ、県内企業の受注機会の確保、あるいは県内産の資材の使用促進を図り、県内への経済波及効果を高めるということが極めて大切な視点であると考えております。
 県庁舎建設においては、その規模が相当規模にのぼります。WTO政府調達協定によって、県内企業に限定して発注できない工事もあることから、県内企業の受注機会の確保等について最大限の工夫を行うこととし、その具体策を検討するため、庁内の関係部局による検討体制を速やかに整備するように指示をしました。
 3点目は、現庁舎の跡地活用についてでございます。
 この県庁舎建設予定地であります「長崎魚市跡地」は、長崎駅の新駅舎とまちなかをつなぐ場所にあります。一方、また、現庁舎の敷地も史跡「出島」に隣接をし、まちなかの重要な回遊ルートに当たることから、いずれも長崎市のまちづくりの観点から大変重要な土地柄にあると考えております。
 こうしたことから、県庁舎建設に着手する場合には、長崎魚市跡地での県庁舎建設並びに現庁舎の跡地活用を新たなまちづくりの起爆剤とし、かつ、このことを長崎県全体の発展につなげていくような工夫をすることが重要であると考えております。
 このため、県庁舎建設や現庁舎の跡地活用をまちづくり全体の中でとらえることとし、平成22年3月に県と長崎市が共同で策定をしました「長崎市中央部・臨海地域」の都市再生の基本計画に位置付けることとしました。そして、地元長崎市と一体となってまちなかの活性化につなげていきたいと考えております。
 こうした方向性につきましては、先日、私と長崎市長との間で協議の上、そうした姿勢を確認したところであります。
 なお、跡地の活用につきましては、長崎県全体にとってもっともよい活用方策となるよう、県庁舎建設と並行して、地元長崎市と一体となり、検討を進めていきたいと思います。
 加えて、各部局におけるさまざまな事業の実施に当たっても、県土の均衡ある発展に十分意を用いて各種施策に取り組むよう指示をしました。
 以上のとおり、県議会の意見書等において指摘された点につきましても、その対応の方向性を明らかにしながら取り組んでいくこととしました。
 このようなことを踏まえまして、県庁舎の整備につきましては、次のような方針で取り組んでまいりたいと考えております。
 まず、現庁舎が抱える課題、とりわけ災害発生時に県民の安全・安心を守るための防災拠点施設としての機能整備は喫緊の課題であり、県の責任者として、これをいたずらに放置することは許されないことであります。大方の県民の皆様方の意向を踏まえます時、これらの課題を早急に解決するため、長崎市魚市跡地において新たな県庁舎の建設に着手してまいりたいと考えております。
 なお、整備に当たっての基本構想につきましては、県民の皆様からお寄せいただいたご意見や、県庁舎整備特別委員会での審議結果等を踏まえ、現在、最終の修正作業を行っておりますので、近日中に確定をし、改めてお知らせをしたいと考えております。
 今後のスケジュールにつきましては、まず、平成23年度当初予算に、設計費等の関係予算を計上したいと考えております。予算の編成作業が最終段階にあることから、本日、このような形で発表をさせていただいたところであります。
 なお、おおむね2年後には、建設工事費の予算も計上することとなってまいります。また、完成までには約5年3カ月を要することから、平成28年度の新庁舎の完成を目指して、近日中に確定する基本構想をもとに、県民の皆様、県議会の皆様のご意見等をお聞きしながら事業に取り組んでまいりたいと考えております。
 新たな県庁舎は、県民生活の安全・安心を支える防災拠点施設としての整備はもとより、庁舎の整備によって円滑かつ効率的な行政運営が行われ、その成果が県民の皆様に還元されるよう努めてまいりますとともに、広く県民に開かれ、県民の皆様が気軽に訪れて利用していただけるような庁舎として整備を進め、将来の行政ニーズの変化に的確に対応できるような工夫も行いながら、「県民とともに新しい時代を切り拓く庁舎づくり」を実現してまいりたいと考えております。
 以上で、私からの報告を終わらせていただきます。よろしくお願いします。

○広報広聴課長  何かご質問がございましたら、挙手、社名とお名前をおっしゃった上でお願いします。

○記者(読売新聞社)  今月の7日に、反対派の方たちと県庁で、公開で意見交換をされましたけれども、その後、意見交換をされたことはあるんでしょうか。

○知事  一部代表者の方々と改めてお話をさせていただく機会をいただきました。

○記者(読売新聞社)  最近でしょうか。

○知事  そのすぐ後です。

○記者(NHK)  先ほど、予算の編成作業が最終段階にあることから、今の時期でご決断をしたというようなお話があったんですけれども、今の時期でという、基金の程度とか、財源が厳しい中でなぜ今というような疑問もあると思うんですが、それも含めて、なぜ今この時期に決断なさったのかということを改めて聞かせていただけますか。

○知事  県庁舎は、これまでもたびたび申し上げてきましたように、いろんな役割があります。私ども県庁職員の仕事の場であるということもありますが、単に執務環境が不便であるということであれば、これは我慢すれば済む話なのでありますが、この間の検討の中でやはり一番大きな課題になりましたのは、一旦地震が発生した場合には、この県庁舎、あるいは警察本部庁舎自体が崩壊、または倒壊する危険性があるという耐震診断の結果でありました。
 ということは、やはり一旦災害が発生した場合には、ここは防災拠点施設として大切な役割を担っていかなければいけない。これを放置するというのは、やはり行政の責任者として許されざる側面がある。
 そしてまた、確かにいろいろご議論をいただいてきましたように、非常に厳しい経済・雇用情勢にある。あるいはまた、少子・高齢化を迎えて県民生活の充実のために県庁舎整備の財源を積極的に活用すべきではないかというご指摘があるのも事実であります。
 しかしながら、財政状況が厳しいという意味では、この整備費相当分の基金の造成が既に済んでいるところでありまして、そうした様々な要素を比較、考慮をした場合にどう進んでいくべきか。この点については、私自身相当悩んできたところでありまして、そういった意味では、最後の最後まで一人でも多くの皆さん方のご意見をお伺いしたいと考えてきたところであります。やはりそうした県庁の防災拠点機能ということに重きを置く場合には、これをむしろこれ以上先延ばしすることなく早期に整備を図ることが、あわせて必要な考え方ではないかと思ったところであります。
 ちょうど来年度の予算編成作業も最終段階にきておりまして、知事査定も終わろうとしているところでありますので、整備をするのであれば、これはできるだけ早く整備をするということが県民の皆様方のお役にも立つことではないかと判断をしたところであります。

○記者(NHK)  耐震性の議論があったりした点も踏まえてということだと思うんですが、一方で、内容をあまりよくわからない県民の方には、魚市跡地は、埋立地に行くのはさらにちょっと危険なんじゃないかというような話もまだ根強く、そういう意見をお持ちの方もいらっしゃるんですが、それに対しては。

○知事  それは県議会の特別委員会でも大きな論点となって、相当の時間を割いて、専門家の方々の意見等もお聞きしながら審議をいただいてきたところでありまして、防災性等についても問題がないという結論が得られたところであります。
 一般的に海岸に面する場所で高潮被害等が想定されるのではないかというようなご心配をいただく向きもありますが、先ほど申し上げたように専門家のご意見等もいただきながら、問題がないという方向性が示されたところであり、私どももそういった視点はこれからも大切にしながら、具体的な庁舎の整備段階で検討を重ね、そして、設計等に活かしていく必要があると思っております。

○記者(朝日新聞社)  浜町に商店街があって、それから、港の方にも大きな商業施設があり、そして駅前にもどんどん進出していっている状況で、そこに県庁がいって、まちの中心が分散化してしまうのではという危惧の声が、反対派の方からも聞かれているかと思うんですけれども、そこに対してはどのようにご回答されるんでしょうか。

○知事  まちの中心を狭く考えると、いろんな表情を持った地域があるというのはご指摘のとおりだろうと思います。
 ただ、先ほども申し上げましたように、これからのまちづくりについては、庁舎以外にもさまざまな要因、要素があります。そういった中で、まち全体としての機能整備を進める中で、これからのまちづくりをしっかりと進めないといけない。既に、例えばそういった商業施設で言うと、大波止周辺にも商業施設はありますし、また、浦上の方にも新たに大きな商業施設ができてきているわけでありまして、もう少し広い観点でとらえ直す必要もあるのではないかと考えております。
 都市再生に向けた総合的なまちづくりの計画の中では、幅広い地域を視野に入れながら、それぞれのまちの魅力を高めるために、今後、どう取り組んでいくのか、計画の策定を進めているところであります。

○記者(朝日新聞社)  では、この県庁舎の整備とあわせて、まちづくりについての具体的な方針とか、計画というものも、同時に何か発表なり、報道なりされるご予定があるんでしょうか。

○知事  もう既に「長崎市中央部・臨海地域」等については長崎市と一体となって、これからのまちづくりについて計画の策定に取り組んでいるわけでありまして、これからまた、それぞれの別の地域のまちづくりのあり方等についても、当然ながら議論を深めていく必要があると考えております。

○記者(西日本新聞社)  先ほど多くの方の声をお聞きしたということですけれども、その議論は尽くされたとお考えでしょうか。つまり、一方の意見が知事の耳に入ってくる、一方の意見が知事の耳に入ってくるだけでなくて、議論が深まった結果、決断されたとお考えでしょうか。

○知事  実は、いろんな方々のお話をお聞きした時に、県庁舎の建設そのものが必要ないのではないかというような意見は非常に少なかったような気がいたします。
 したがって、先ほど私は、災害拠点施設としての機能を大切にしないといけないということを申し上げましたが、そういった状況を踏まえて、県民の皆様方が、「いや、県庁舎を整備するよりも、もっと大切にすべき課題があるじゃないか、県庁は後回しにしなさいよ」というような意見が多ければそういう選択肢もあったのではないかと、そういう方向性で判断をする要素もあったのだろうと思っております。
 ただ、大方の皆様方が、やはり県庁舎の現状、それから県庁舎に期待される点等を踏まえて、やはり場所の問題は別にしても、新庁舎を整備すべきであるといったご意見は、本当に数多くの方々のご意見ではなかったかと考えております。
 地元の皆様方も、一部反対をいただいている方は、県庁舎そのものの建設に反対ということではなくて、現在地にぜひ建て直してくれというお声でありました。したがって、県庁舎に対する県民の皆様方の期待というのは、確かに強いものがあるなと感じたところでありまして、そういった状況を踏まえた上で決断をさせていただきました。

○記者(毎日新聞社)  新しい県庁舎は、5年と3箇月後ということだったんですが、具体的に何年の何月に完成というふうにとらえているんでしょうか。

○知事  順調にまいりますと、平成23年度の当初予算に設計関係経費を盛り込んで約2年程度、次に整備費を予算計上するということで、だいたい平成27年度いっぱいか平成28年度前半くらいの時期になるのではないかと思います。

○記者(毎日新聞社)  その頃建物は完成ということですか。引越とかもありますが。

○知事  そこのスケジュールまでは、まだ組んでおりません。引越のタイミング等も出てくると思います。

○記者(毎日新聞社)  あと、地元の自治会、商店街の方なんですが、現在地建て替えを強く望んでいて、人の流れが変わるというふうに訴えていらっしゃっいました。その懸念に対する知事の対策というか、そういうのは全く今具体化はされていないんですけれども、そこら辺はどのように取り組んでいくおつもりですか。

○知事  先ほども申し上げましたように、現在の庁舎跡地をどう活用していくかというのが、これからの課題の中で非常に大きな課題であると思っております。
 県庁舎は、確かにここに数千人規模の人が入る庁舎があるわけでありますが、ほとんど庁舎内にこもって仕事をするというような状況でありますので、例えば土曜、日曜というのはもう火が消えた庁舎になるわけであります。そういった意味では、ここの跡地を活用して、さらに人が集まってにぎわうような施設ができれば、現庁舎以上に地域への寄与、貢献が期待できるのではないかと考えております。
 したがって、この県庁舎の建設と同時並行しながら、遅れることのないように、この跡地を今後のまちづくりにどう活かしていくのか、特に地元の皆様方が心配されているにぎわいづくりにいかに活用していくかというのは、極めて大切な課題になってくると思っております。

○記者(毎日新聞社)  跡地活用にはお金もかかると思うんですが、そこら辺の財源をどのぐらいを想定、どこから持ってきてどのくらいになりそうなんでしょうか。

○知事  いろんな施設の内容、規模によって、事業費はもとより財源構成も変わってくると考えております。したがって、これから具体的にどういった施設をこの跡地に整備していくかということにかかわってくるだろうと考えておりますが、通常、その施設の性格によって財源構成が大幅に変わりますので、その点について、今、はっきりと申し上げるというのはなかなか難しい状況にございます。

○記者(長崎新聞社)  その地元自治会や商店街の方々の不安というのの一つの要素として、跡地活用策をはっきり示してないから不安があるようなふうに感じるんですが、先に示すことはできなかったんでしょうか。

○知事  この間の検討の経過は、もうご存じのとおり、同時並行しながらいろいろ検討を進め、県庁舎跡地活用懇話会を設けていろいろご議論をいただいてきているところであります。
 基本的な方向性についてのご提言等もいただいているわけでありますので、今後はそういった延長線上にどういう方向で具体化していくかという議論を深めていく必要があるのだろうと思っております。
 したがって、跡地の絵姿がはっきりするまで前に進んではいけないというご意見もあるのかもしれませんが、先ほど申し上げましたように、現庁舎をどうして建て替えていく必要性があるのかといったことを考える時に、どうしてもいざという場合に備えて、しっかり機能整備を果たさなければいけないということが私は原点にあると思います。そういった意味では、片方をそういった要素で止めてしまうというのは好ましくないと判断をしております。

○記者(長崎新聞社)  緊急性があるということですね。そのために移転を表明されたということですか。

○知事  新庁舎の整備というのは、これはやはり整備するのであれば、一刻も早く整備して、県民の皆様方に安心していただく必要があると。
 片や、これまでも検討作業を進めてきましたが、これからも同時並行して、跡地の活用方策等については具体化していきたいと考えております。

○記者(長崎新聞社)  知事には、もうそういう案があるんですか。それとも、また意見を聞いてこれから決めていく、まだ白紙の状態ということですか。

○知事  跡地の活用ですか。

○記者(長崎新聞社)  はい。

○知事  跡地の活用については、懇話会からのご提言等もいただいております。ただ、具体的にこういった施設をこういった規模でというのは、もちろんまだ持ち合わせておりません。いろいろなご提言等もいただいておりますので、そういった中で長崎全体のまちづくりの中で足らざる機能、あるいはにぎわいを創出するのに効果のあるような事業、そういったものを幅広い県民の皆さん方のご意見を引き続き聞きながら検討を進めていく必要があると思います。

○記者(長崎新聞社)  これは県が示すんですよね、跡地活用策は、当然。

○知事  それは皆さんと一緒に検討を進めてつくり上げていかなければいけないと思います。

○記者(長崎新聞社)  主体は県ですね。

○知事  そうです。

○記者(長崎新聞社)  いつ頃を目途にそういうのを出したいというふうに考えていらっしゃいますか。

○知事  まだ細かなスケジュールをそこまで決めている状況ではありません。

○記者(長崎新聞社)  そうすると、2年も、3年も先とかそういうわけでもないのでしょうか。

○知事  これから設計作業に入ると、設計作業だけで2年かかるわけでありまして、さらに、跡地が空いてくるのは5年後でありますので、しっかりと安心していただくためにも、それ以前に構想は考えていかなければいけないと思っております。

○記者(読売新聞社)  跡地活用に関連して、財源の問題なんですが、新庁舎を建設する際にも、一度財源の問題が出てきて、基金を積み上げたという経緯があると思うんですけど、跡地活用について、少なくとも新しい庁舎が建つまでに5年間以上あるということですけど、跡地活用のための基金とか、財源を積み上げていくという考えはあるでしょうか。

○知事  なぜ県庁舎の基金を積み立ててきたのかというと、他県庁舎をご覧いただくとお分かりのとおり、500〜600億円、本県でも、今想定しているのが400億円近く、結局そういった大規模な建設事業になるから、単年度の予算の準備だけではやはり財源が不足するということで基金を造成して準備を進めてきたわけです。例えばこれまで美術館をつくったり、博物館をつくったり、数十億の事業規模のものを建設してきましたが、そうした規模であれば、財源を有効に活用すれば単年度の予算措置でも対応できる状況であります。
 したがって、この跡地に県庁舎とかわらないぐらいの規模のものをつくるということであれば、改めて基金を積み立てるような作業も必要になってくるんだろうと思いますが、さほどの規模というのはなかなか想定しがたい。それだけ大きなものをつくるということは、検討次第によっては過大になってくるかもしれませんが、今のところ、十分に臨機応変に対応できる余地があるのではないかと思っております。

○記者(朝日新聞社)  今、現庁舎の駐車場や掘れるところから発掘調査を進めてらっしゃいます。その中から、例えば江戸時代の遺構とか、前庁舎、厳密に言えば被爆遺構とも言えるものだと思いますけれども、それが出てきたんですよね。そういう歴史的な価値を活かしたもののイメージを持っていらっしゃるんでしょうか。

○知事  そこは、歴史・文化等を活かしたような施設という選択肢も一つあるだろうと思います。あるいは、民間の皆さん方のご提言によると、駐車場にしたらどうかとか、緑地で県民の方々、観光客の方々の憩いの場として活用できるような整備はどうかとか、さまざまな提言があっております。そういったあらゆる可能性を含めて検討をしていく必要があると考えておりますので、そうしたこれまでの歴史性に特化したような施設にするかどうかというのは、選択肢の一つではありますが、そういった方向性で考え方を固めているわけではありません。

○記者(朝日新聞社)  まだ絞る時期ではないと。

○知事  はい。もっともっといろんなご提言をいただいて、県民、市民の皆様方と一緒になって検討を進めていく必要があると思っています。

○記者(長崎新聞社)  長年の懸案であって、これからのまちづくりにものすごく大きな影響があるものだと思うんですけれども、先ほど知事が、「私自身すごく悩んできた」と、「最後の一人まで多くの意見を伺いたいと考えてきた」と言われました。悩んできたということについてもう少し、どのようなことに思いを巡らせて、どういったことを懸案と考えられて、どれぐらい悩んだのかという心情的なことをお聞かせ下さい。

○知事  正直申し上げて、防災拠点施設としての機能がなければ、私は県庁舎整備というのは優先順位はうんと後だろうと考えておりました。したがって、老朽化、狭隘化、分散化、これは職員の皆さん方、県民の皆さん方に少しずつ我慢していただければ克服できると思ってきました。今、非常に厳しい経済・雇用情勢にあるわけでありまして、本当にこうした財源を有効に活用しながら県内経済の活性化、雇用の場の創出、あるいは一人ひとりの県民の皆様方に対するきめ細やかな施策の推進、こういった財源として有効活用できれば、もっと県民の皆さん方が直接喜んでいただけるような施策が展開できるのではないかと、また、そうした声も既にいただいてきたところであります。
 県民の皆さん方が「本当に県庁舎はいいじゃないか、今やらなくても、いざ地震災害等が発生しても、自分たちが我慢するよ」というようなお声をいただければ、今の基金はそういった施策の推進のために大変有意義に使わせていただくことができるのではないかと考えてきました。これは何年に一度発生するかわかりませんが、震度6強の地震が発生する確率がどのようなものか、これはなかなか判断が難しいのですが、そのために、この虎の子の財源を今活用すべきかどうかというのは非常に悩ましい判断でありました。
 ただ、最終的には、やはり県民の皆様方の命に直結するような役割が求められておりますので、やはりそうした役割を先延ばしするということはできないと判断をさせていただいたところです。

○記者(長崎新聞社)  知事になられてもうすぐ1年になりますけれども、これまでの政治活動の中での比重といいますか、この決断についてはどういうふうに考えられますか。

○知事  実は、選挙戦の時からずっと悩んできました。県庁舎を整備しないで済む選択肢があるとすれば、そういう方法があればいいなというのは常々考えてきたところでありますが、結果として、先ほど申し上げたような思いで決断をさせていただいたところです。

○広報広聴課長  最後の質問にしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

○記者(NBC)  第2のポイントとして、県内企業への発注、また県内産の資材を使われるということでしたけれども、これで400億円近くのお金がかかると思いますけど、それ以上の効果が県内経済に与えられるというふうに考えていらっしゃるのか。知事は雇用とか経済対策は一つの重点課題だというふうにおっしゃっていましたので、今後この基金を使って一過性のものとするのではなくて、県内にもっとつなげていくために、こういうことを考えていきたいというようなことが、もしあればお聞かせ願えないでしょうか。

○知事  この370億円の基金は県庁舎の整備に使う金でありますので、その県庁舎整備を通して、できるだけ県内に波及効果をもたらすような手法を考えなければいけない。
 そういった一つの方法が、先ほど申し上げたように、できるだけ県内に受注機会を拡大していく方法。そしてまた、同じものをつくるにしても県内の資材等を重点的に使っていく、そのことによって波及効果を県内に高めていこうということでありますので、そういった枠組みを越えてこの財源が使えるということであれば、いろんな可能性が出てくるんだろうと思いますが、やはり工事の発注を通しての波及効果を期待せざるを得ないという限界はあろうと思います。
 ただ通常、こうした建設事業については、波及効果は非常に高いと考えておりますので、そのうち地元の方で受注していただく機会、あるいは共同企業体として参加していただく中で、地元の方で活用していただけるような機会を増やしていかなければいけないと思います。

○記者(NIB)  先ほど、就任して間もなく1年というような話がありましたが、就任以来、いろいろ決断することがあったと思うんですが、そういう意味では一番大きなものだったのでしょうか。
 それから、それを決断されて発表された今の心境と、これからの心構えというか、意気込みというか、そういったところを伺いたいと思います。

○知事  大きな決断の一つだと思っております。

○記者(NIB)  最大でしょうか。

○知事  最大であったかどうかといえば、最大のうちの一つです。これが群を抜いて一番大きかったかどうかというのは、まだ私の中で順位はついておりません。
 これからの考え方でありますが、やはりどうしても県庁舎の整備というと一般の県民の皆様方は、我々地方公務員が仕事をする場であると、そしてまた、特に市役所庁舎等と比べると、県民の皆さん方が直接出入りされる機会というのはさほど多くないということであろうと思います。そういった意味では、やはり今なお、県庁舎整備をなぜ優先して取り組むのかといったお声は少なくないと思っております。
 問題は、こうした取り組みを通して県民の皆様方に何がお返しできるかということだろうと思いますので、先ほども申し上げましたが、県民の皆様方に開かれた県庁舎、そういう中でやはり我々は、これだけ効率のいい庁舎をつくらせていただくわけでありますので、より組織の連携を深めて、その行政の成果を県民の皆さん方にお返しをして実感していただけるように、一層努力をしていかなければいけないと思っております。
 中途半端な形で、県民の皆様方から、「庁舎をつくったのにちっとも変わっていない」というようなおしかりを受けることがないように、もっともっと効率のよい、そして具体的な成果の上がるような行政の実現を目指していかなければいけないと、これはもう県の職員全体で一緒になって取り組んでいくべき課題であろうと思っております。

○記者(西日本新聞社)  基金の範囲で建設費は賄えますか。それとも少し超えることがあるのでしょうか。考え方としてはどうですか。

○知事  基本的には、これまでの考え方として、基金と国庫補助金の財源の範囲内でという考え方はあります。問題は、逆に今のように厳しい状況であるので、基金を使い切ってしまわなくても別の財源を活用して将来に残せばいいじゃないかという議論もあります。それはこれからの財政状況を十分見極めながら、具体的な対応を検討していく必要があると思っております。

○広報広聴課長  それでは、以上で知事の県庁舎に関する記者会見を終わらせていただきます。

○知事  どうも、ありがとうございました。

★発言内容については、わかりやすいように一部変更している部分があります。
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