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平成25年4月24日 定例記者会見

 ●会見内容●

1.世界遺産登録の推進について
2.燃油高騰について
3.マダニが媒介する感染症について
4.企業の支援について
5.諫早湾干拓事業について
6.衆議院小選挙区の区割りの改定について
7.諫早湾干拓事業について
8.石木ダムについて
9.名誉県民について
10.燃油高騰について
11.諫早湾干拓事業について
12.ソウル〜長崎間の航空便について
13.諫早湾干拓事業について

1.世界遺産登録の推進について

○広報課長   それでは、ただいまより、知事の定例会見を始めさせていただきます。よろしくお願いいたします。

○知事  まず、最初に1点、ご報告をさせていただきたいと思います。
 ご承知のとおり、昨日、「九州・山口の近代化産業遺産群」の世界遺産登録推進協議会総会が開催されまして、推薦書案の決定がなされ、その後、坂本内閣府副大臣に提出されました。
 本県には、「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」と「九州・山口の近代化産業遺産群」の2つの資産が所在しておりますが、いずれの世界遺産候補も本県にとっては極めて大切な資産でございます。
 しかしながら私は、当総会において、まずは「教会群」を先行して登録を進めていってもらいたいというお話をさせていただきました。それは、以下3つの理由からであります。
 その一つは、熟度の問題であります。ご承知のとおり「教会群」の方は、この「九州・山口の近代化産業遺産群」に常に先行する形で所要の手続を進めてまいりました。暫定一覧表に登載されたのも2年先行しましたし、また、推薦書案を提出したのも「教会群」は昨年でした。今年1月22日には、改めて課題を整理し直しまして、推薦書案を提出済みの形になっております。それから、先日、文化審議会に対して推薦可能であるという旨の報告がなされたところであり、高い熟度に達しているものと考えているところであります。
 2点目は、この「教会群」特有の事情でありますが、奇跡の信徒発見から150年という大きな節目に当たるのが平成27年であるということであります。この記念の年に、何としても登録を実現したいというのが幅広い県民の皆様方の思いであると考えておりまして、そのためには今年度の推薦決定が不可欠となっております。
 3点目は、構成資産の所在地域にかかわることであります。この「教会群」については、既にご承知のとおり、厳しい弾圧を逃れて生活の拠点を移し密かに信仰を守り伝えてきた歴史を物語る資産でありまして、そうした集落のほとんどが離島や半島地域、しかも、その先端部に位置しており非常に厳しい条件下にあります。こうした地域は、今まさに限界集落となり、集落の存亡の危機に瀕しているような状況も見られます。一刻の猶予もならないような状況であり、今回の世界遺産登録を大きな契機として、地域活性化に全力で取り組んでいかなければならないと考えているからであります。
 一方、「九州・山口の近代化産業遺産群」の構成資産のうち、本県の分には稼動資産が含まれております。ばりばりの現役の資産で、クレーンと向島の第三ドックが含まれているわけであります。特に、この第三ドックは9万5,000トンの能力を備えた修繕ドックであります。
 三菱重工さんの基本的な考え方は、経営の自由度が100%確保されれば、世界遺産の登録に協力できるという姿勢であります。
 一方、世界遺産というのは、皆様ご承知のとおり、世界遺産としての価値をしっかりと将来にわたって保全していくということが求められていますので、この2つの性格を両立させなければいけないという難しい問題があります。
 これまでも協議を重ねてきたところでありますが、まだまだ調整が進んでいるというような状況に至っておりません。こうしたことを考えますと、本県としては、まずは「教会群」を先行させ、次に「近代化産業遺産群」の登録実現を目指して、引き続き全力で取り組んでいきたいと考えているところであります。
 以上、冒頭1件だけご報告をさせていただきます。あとはご質疑をよろしくお願いします。

○記者(共同通信社)  今お話があった、2つの資産があるということで、特に「近代化産業遺産群」の方は、かなり多県にわたるものだと思うんですけれども、長崎県が「教会群」をまず先行させるという考えについて、昨日、総会でもお話しされたということですが、他県の理解というものは得られたように感じられていますでしょうか。

○知事  これまで、この「九州・山口の近代化産業遺産群」は、産業遺産について協議をする場でありまして、本県としても、他県のそれぞれの資産の状況でありますとか、いろんな諸事情等を含めて共有すべきではないかというような提案等も行ってきましたが、なかなかそれが実現できませんでした。今回、本総会を前に、各県にも本県の実情等をお話ししたところ、大半の方々は、長崎にそういう事情があるというのは知らなかったというようなお話でありました。
 この「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」は、平成13年から具体的な運動推進(平成13年に民間団体による取組が始まりました)に取り組んでまいりましたし、「九州・山口の近代化産業遺産群」がおそらく平成17年以降ではなかったかと思います。それぞれ構成団体によって抱える資産が違いますので、文化遺産であれば、従前のスキームの中で熟度を高めていく形になりますし、稼動資産は全く別のスキームで動き始めるということになっておりまして、それぞれ構成団体によって事情が異なるというような現状にあるわけですので、おそらく、こうした難しい資産を抱えているのは、やはり長崎ならではの事情ではないかと考えております。

○記者(毎日新聞社)  関連してですが、昨日の推薦書の提出は2015年の登録を目指すという趣旨だったかと思うんですが、それに長崎県も参加しているというので、2015年に「教会群」を目指すという点との整合性はどうなるでしょうか。

○知事  一つは、構成団体として、この「九州・山口の近代化産業遺産群」の推薦に反対をするという手法もあったかもしれません。そうすると完全に止まってしまうんですが。
 ただ、これまで長年にわたって、平成27年度を目指すと決定される前から一緒になって、熟度を高めて共同して取り組んでいこうということで、この「九州・山口の近代化産業遺産群」には稼動資産ばかりではなくて通常の文化遺産も含まれておりますので、そういった部分については共同して熟度を高めてきた経過があるわけです。そういう非常に難しい選択の中で、我々は、まずは「教会群」を先行させてくれというお話を申し上げましたが、やはり多くの構成団体が、平成17年から熟度を高めるために一生懸命、作業を続けられてきた経過があります。そういう中で、途中でこの稼動資産の問題が出てきて、なかなかこれの調整が思うように進んでいないという時に反対してしまうということになると、これはもう全体に対して大きな影響を及ぼしかねません。
 そして我々は、来年度以降は必ずこれの実現を目指して、皆さんと協調体制のもと、前向きに進んでいく必要があると考えておりますので、そうした長崎県の状況を各県もご理解いただくという形で、「かがみ(国に提出する推薦書案の頭に付ける公文書)」の中に一部、長崎県の意見を付記していただいている形になっております。

○記者(毎日新聞社)  全体としては、趣旨には賛成だけれども、2015年の登録という点に関しては反対ということですか。

○知事  2015年については、「教会群」を優先してもらいたいという趣旨を明記していただきました。

○記者(NBC)  稼働資産ということでなかなか厳しいだろうということでしたけれども、そうなると、来年度以降もこの問題をずっとひきずって、なかなか次のステップにいけないということも考えられるかと思うんですけれども、そこの部分をうまくかわせるような見通しというか、そういうのは何かあるんでしょうか。

○知事  この稼働資産は、最近出てきた問題なんです。実は、昨年8月に三菱重工におかれては、第三ドックなどは非常に大切な現役資産であるので、経営上、制約を受けることがあってはならないというお考えのもと、構成資産とすることに賛成されなかったんです。したがって、8月以降、具体的な協議が止まっているというような状況でしたが、この構成資産については、内閣官房が責任を持って対応するので、県の方では直接照会等はしないでほしいという状態でありました。
 昨年の11月になって、三菱重工さんも、これに積極的に参加していただくためには、国、県、市、重工の4者で協定書を締結しなければいけない。これは基本合意書というんでしょうか、基本的な枠組みについて合意の上、具体的な事務作業に取り組んでいこうということで考え方が示されたわけでありました。
 当初は、年内にこの協定を結んでほしいというお話があったんですが、実際、県に対して協定書案が示されたのは年が変わって2月13日でありました。したがって、そこから本県の具体的な検討、協議がスタートしたわけでありますが、今、4月で2ヶ月しかたっていない。ほかの資産は17年以降、これまで相当時間がありますので熟度が高まってきておりますが、稼働資産はまさに動き出したばかりの資産でありまして、したがって、まだまだ正式に三菱重工の方も了解されているというような状況に至っていないわけであります。この資産の難しさといいますのは、普通の、例えば「教会群」のような建築物だと、保存管理を行うにしても、一定の財政負担等について想定がつくわけでありますが、このドックというのは、どういった事態が想定されるのか、どういう役割が求められてくるのか、ここをお互いに誤解のないように共通理解をしっかりと醸成しておかなければ、後々になって思惑が外れたというようなことがあってはならないわけであります。
 そしてまた、私ども地方公共団体としても、将来にわたる役割を担うということで一定の負担を担うわけでありますから、県民の皆様方、議会に対してもしっかりと説明をして理解をいただいておく必要があると思っておりますが、まだまだそうした状況に至っていないという現状にあるわけであります。

○記者(NBC)  関連してですけれども、知事が明確に「教会群」を「近代化遺産」よりも先行してということをはっきり言われるのはいいと思うんですけれども、九州各県の中での立場というか、非常に悪くなるんじゃないかと思うんですけど、その辺は余り考慮というか、よろしかったんでしょうか。

○知事  確かに、そういうことも想定されるわけでありますが、やはり先行して取り組んできたというところは大切に評価をしていただきたいなという思いがいたしております。
 後から来た資産が追い越してしまうというのは、これまで恐らく例としてもあまりなかったのではないかと思っております。だから、冒頭申し上げたように、いわゆる熟度の問題で冷静に判断をしていただければ、おのずと方向性は定まってくるのではないかと思っております。
 ただ、残念なことに、一番大きな課題を抱えているのが、まさに長崎県でありまして、これまで他県にこういった実情をご理解いただいていなかったというようなこともあります。構成団体の皆さんには、一部びっくりされた方々もいらっしゃったのではないかと思っておりますが、こうした機会にそういうことも含めて県の考え方を説明をさせていただいたということです。

○記者(NBC)  明記されたと言われていたのは、何に明記をされたんですか。

○知事  (「九州・山口の近代化産業遺産群」の推薦書案の)提出書のいわゆる「かがみ」の文章の中に、教会群を先行させるという旨の表現を長崎県・長崎市の意見として明記させていただきました。

○記者(NBC)  ということは、他県からは理解されたというふうに思われますか。

○知事  なかなか難しかったですよ。いろんな議論がありました。それは、かがみに書くべきではないとかですね、別添の文書でいいではないかとか、いろんなやりとりもありましたが、最終的に議長の方でそういう方向で取りまとめられたということです。

○記者(NCC)  文化庁の中では「教会群」が推薦可能となった段階で、長崎は二兎を追っているのではないかというような話もあったように聞いているんですけれども、このかがみに明記されたということで長崎の意思は示せたというご理解でしょうか。

○知事  長崎が1年に二兎を追っているわけでは決してありません。これまでもいろんな場で私は「教会群」を進めていくというお話は申し上げてきましたし、おそらく議会のご議論の中でも、そういった基本的なスタンスは一貫して説明をさせていただいてきたところだと思います。
 ただ、そうした中で、今回、稼働資産を含む世界遺産候補が出てくるというのは初めての事例になります。従前の世界遺産は文化財としての取扱い等がベースになった資産構成でありました。よって、文化審議会という一つのルートを通れば上に進んでいくという形でしたけれども、今回初めて稼働資産を含む部分ということで全く別のスキームができてしまったわけであります。私どもは非常に悩ましく思っているんですが、いわばダブルスタンダードの制度ができてしまったという状況で、この2つの資産が同時に進んでいるという状況にあるわけであります。
 従前の枠組みの文化遺産の部分については、先ほどお話があったように、「推薦可能」と一定の熟度の評価をいただいたわけでありますが、片方の方はまだ一切評価も得られていない中で推薦書が提出されたということであります。県の姿勢は変わっていないと思っております。

2.燃油高騰について

○記者(NHK)  円安の影響で燃料高騰が進んでいる関係ですが、対馬の方でイカの一斉休漁とかも決まって、水産県としては今の現状の受け止めと対応とか、そこら辺をちょっとお尋ねしたいんですが。

○知事  非常に厳しい状況だと受け止めております。これまでもこの燃油価格の高騰の問題というのは、非常に地域産業に対して与える影響が大きいということで、例えば農業においては暖房用の燃油でありますとか、漁業においてはまさに漁船を動かすための燃料価格が高騰して、出漁しても採算が取れないというような状況があったわけです。
 その段階では、特に本土と離島の間の燃油価格の格差、これが何とかできないか。その後、原油価格が高騰することに伴う燃油(価格)の上昇傾向に歯止めがかからないような非常に深刻な状況になったわけであります。この価格差を補てんすることについては、国策として離島振興対策等の一環としてこれまでも求めてきているわけでありますが、今また円安傾向の中で、さらにそういった状況に拍車がかかるというのは非常に深刻な状況であると思います。
 これを地方の施策の中で対応するというのは、現実的にはちょっと不可能な状態になっておりますので、何とか国策として対応していただけるように、これまで以上にしっかりと取り組んでいく必要があるものと思っております。
 そういう意味からも、離島振興法が改正されましたが、この離島振興法の規定の中に、そういった点に配慮しつつ地域の振興を目指していくといった基本的な考え方は示されておりますが、なかなか具体策まで結びついていない状況もあるわけです。
 これから具体的な形で助成措置を講じていただけるよう、その実現を目指して頑張っていかなければならないと思っています。

○記者(NHK)  これも国に働きかける方向ですね。

○知事  はい。
 こうした燃油の高騰と直接的な関連はありませんが、例えば離島航路の運賃、こういったものも燃油価格が高騰することに伴って影響を受ける要素も出てくると思います。そういった分については国の方で施策を一部講じていただきましたので、離島の貨物の輸送コストの低廉化に向けた関係予算を県の方でも計上しましたが、燃油そのものの価格の低廉化というのは、これは実現できていないという状況です。

3.マダニが媒介する感染症について

○記者(NBC)  マダニが媒介する感染症のウイルスの件で、昨日もまた新たに感染者が見つかっていたようですが、長崎県での調査とか対策等、そういった部分ですね。前の会見の時には新年度にやるようなお話を言っておられましたが、何か具体的に出てきているものなどあるのかなと思いまして。

○知事  昨日は上京しておりましたので拝見しておりませんでした。今日は担当も来ていないようで、状況を調べた上でお知らせしたいと思います。

4.企業の支援について

○記者(長崎新聞社)  午前の県民所得向上の連携会議についてですが、会議の中で有望企業を選んで集中的に支援するような対策が必要じゃないかというような意見があったと思うんですが、あれは行政にとってハードルが高い話だと思いますが、必要性とか実現に向けて取り組むのかどうかといったことに関して、お聞きになってすぐですが、どう思われましたか。

○知事  それは私からも説明をさせていただきましたが、地域産業を担う中核的な企業、中堅企業、そういった企業はどこでもいいよということではないわけです。具体的な戦略を持って市場開拓、製品開発等に取り組んでいただくという取組を示していただいた上で、優先順位をつけながら支援をさせていただくということになると思います。まさにおっしゃったような趣旨の制度にしなければいけないと思っております。
 やはり経済活動を行政が直接やるわけにはいきませんので、いかに戦略性を持って取り組んでいただくのか、それを行政がどう支えていくのかということが一番大切になってくると思います。なので、考え方は私もまったく同様な思いを持っております。

○記者(長崎新聞社)  それが難しい理由として、一般的に言うと、要するに中小企業で戦略性のない企業というところになりますけれども、そういったところの不公平感とか、そういう(企業)に対する説明責任の果たし方だと思うんですよね。そこら辺は裏打ちとしてちゃんとやられるということになるのでしょうか。

○知事  冒頭申し上げたように、企業活動そのものをその成果いかんにかかわらず支援するということではないわけです。私どもの目標は、外から持ってきていただいた仕事を地域の中小企業にしっかりと結び付けていく、それがあわせた目標ですので、もちろん自社完結という計画もあるでしょうし、あるいは先ほど申し上げたような地域の中小企業に仕事を下ろしていただき、その波及を広く及ぼすという考え方で組み立てられる場合もあるでしょうし、我々は当然ながら地域の中小零細企業に対する波及も含めて総合的に判断していく必要があると思っております。むしろそちらの方が優先度は高いのではないかと。
 中小零細企業対策というのは従来から行政のいわばお家芸の分野でしたので、そういった点についてはさまざまな融資対策、支援対策を含めてこれまでどおり、あるいはこれまで以上に積極的に取り組んでいかなければならないと思っています。

○記者(長崎新聞社)  具体的に検討したわけではないんですが、戦略投資というのは裏返せば集中させるわけですから、集中から漏れるところが出ないとお金が戦略的に集中しないと。そのお金が減ったところの会社からすれば、それは支援の成果というか、そういったことになるわけですから不満も出るだろうと思うんですが、そこら辺の問題というのは今後出てきやしないかという感じは。

○知事  これは、今まで講じてきた施策をやめて振り替えるという考え方ではなく、新しくそういった支援施策を予算化しました。おそらくいろいろなところが手を挙げていただけると思いますが、先ほど申し上げたような観点から、どこまで支援できるかという選択の状況になると思います。そうした中で、なぜ我が社の分が採択されないのかといった不公平感は当然出てくると思いますが、そこはやはり専門家の方々のご意見等もお伺いしながら、どちらの取り組みがより波及効果が期待できるのか、そういった観点から選択を進めていく必要があると思っております。
 また、単年度だけの事業と考えているわけでもありませんので、何度でもチャレンジしていただき、そういった具体的な取組が拡大できればと考えております。

5.諫早湾干拓事業について

○記者(長崎新聞社)  もう一点別件ですが、諫早湾干拓事業で国が対策工事の公告をしている関係で、仮定になって申し訳ないんですが、5月には契約というような話になっております。仮に予定どおり契約という事態になった場合、県の方としてはそこに抗議というか、不満を示していらっしゃったと思いますが、県としてどういう対応をとられるのか、現時点でどのように考えられているのかというのを知りたい。

○知事  これは地元の理解がない状況の中で、一方的に開門に向けた準備作業が進められようとしているわけで、入札公告等の段階でも抗議を申し上げたと記憶をしております。これから契約がなされて具体的な工事に着手する段階になっていくかもしれませんが、そうした時に、まずはやっぱり地元の理解が得られないことにはさまざまな事業も進まないと思います。地域の皆様方の理解が不要な分野は進むかもしれませんが、用地の問題など、さまざまな面で実際の事業を推進するには制約を受ける形になるのではないかと思っております。決して、契約がなされたからそのまま前に進んでしまうというような状況ではないと考えております。

○記者(毎日新聞社)  関連してですが、5月に結審する諫干の開門差し止めの仮処分の訴訟があったと思います。結果はまだ先かもしれませんが、仮処分が出た場合、開門差し止めの仮処分と開門しろという確定判決がありますけど、その相反する部分の優劣というのは、知事はどのようにお考えでしょうか。

○知事  これまでこの会見の場でも申し上げたことがあったと思いますが、福岡高裁の方は確定判決になっております。一方、今、係争中の訴訟は、先に仮処分の判断が示されるだろうと思いますが、地裁の仮処分になってくるわけです。私どもは基本的には後者の判断というのが尊重されるべきではないかと。相反する2つの裁判結果が示される形になるわけですが、福岡高裁判決が出された後、新たな調査結果等も示されているわけであります。そうした中で、さまざまな情報を提供し、議論をし、今回の訴訟の結果に結びついていくわけですから、そうした点を踏まえれば諸要素を含めて判断された方を優先していただくべきでないかと考えております。

6.衆議院小選挙区の区割りの改定について

○記者(西日本新聞社)  今、衆議院で0増5減の一票の格差是正が遂に可決されましたが、このままだと新たに佐世保市が分断されると思います。定数削減などを含めて抜本的な改革というのもなかなか進んでいない、その辺についてどんなふうに考えていらっしゃいますか。

○知事  この一票の格差をどう是正、調整していくかというのは、おそらく国政における非常に大きな課題になっているのではないかと思いますが、とりあえず今回の0増5減案は、現状を緊急的にいかに是正するかという観点で判断がなされたのではないかと私どもは受けとめております。
 定数是正ですとか、あるいは制度改革そのものの課題もあると思いますが、やはり少し議論に時間を要するという判断ではないかと思います。そういった中で、我々も言うべきことはたくさんあって申し上げてきたつもりでしたが、今回のような結果になったわけであります。そうした手続の前提としての緊急措置だという受けとめ方を私どもはいたしております。

○記者(西日本新聞社)  国もまた定数を含めて抜本的に改革されるはずだということですか。

○知事  現状を見ますと、3区、4区というのは、非常に人口増加が期待しにくい地域でありますし、これは一生懸命頑張らないといけませんが、長期的な観点から見てどうあるべきかというのは、またしっかりと議論をした上で考えていくべき課題ではないかと思っております。

7.諫早湾干拓事業について

○記者(NBC)  知事、2つお聞きしたいんですが、1つは諫干の関係になるんでしょうね。去年の8月に、開門に賛成する漁業者の方々が、県民として知事とお会いしたいということでお会いされて、最後の時に、現場を見に来てください、視察をしに来てくださいというような話があって、知事も、お伺いしたいと思いますという話をされたかと思います。
 それから8カ月たっていますけれども、まだ現実にそれが実現されていないということで、この件について、今現状どのように考えられているのか、どのように計画されているのかというのを教えていただきたいんですけれども。

○知事  確かに、機会があれば現地を視察させていただきたいと、今もその気持ちは変わっていないんですが、なかなか機会がとれない状況で今日まで至っております。どういった形で現地視察をさせていただいたらいいのか。
 実は、その時も申し上げましたが、私自身、有明海で漁業をやっていた経験もありますので、ノリの養殖もやっておりました。大体わかるつもりですが、まだまだそのほかのカキの養殖、アサリの養殖等の状況もまたあるわけでしょうから、改めてそういった機会を検討していきたいと思っております。

8.石木ダムについて

○記者(NBC)  もう一つ、石木ダムの件です。
 先月、公聴会を開かれて、タイミングが、その後の会見が今日になってしまったので、なかなか公聴会を終えた上での知事のご感想とか、今後の県としての取組というのを聞く機会がなかったので、その点についてお聞かせ願いたいんですけれども。

○知事  事業認定の申請をさせていただいて大分、期間が経ってきましたが、ダムの検証作業が終わって、県としての事業継続の方針が一応、国の方でも認められたと、そういった中での今回の公聴会等が開催されたわけであります。
 社会資本整備審議会だったですかね、そういったしっかりとした機関で、公聴会の状況を踏まえて、公正性、公益性等を判断なされるだろうと思っております。
 ただ、この石木ダム事業というのは、いつも申し上げているように、地権者の皆様方のご理解を得るというのが極めて大切な話でありますので、そうした手続もまた、一つの考え方の要素にはなろうかと思いますが、これまでと同じように誠心誠意、ご理解が得られるよう努めていかなければいけないと思っております。

○記者(NBC)  公聴会自体のご感想という分では、そこまでということになるんですかね。

○知事  さまざまなご意見があったというのは私も聞いておりますが、適正にご判断いただけるのではないかと思います。

9.名誉県民について

○記者(NCC)  先日、市民団体、文化団体から、文化勲章を受けた松尾敏男さんを名誉県民にしてほしいという要望があったかと思うんですが、松尾さんは3年間しか長崎にお住まいではなくて、名誉県民にされる場合、条例改正などが必要だということですが、その点について、知事の今現在のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。

○知事  名誉県民については、他県の状況等を見ますと、居住要件が設けられたり、あるいはそうでなかったり、居住期間もそれぞれバラバラであったりということで、必ずしも統一した考え方でそういった制度が設けられているわけではない状況だと聞きました。
 松尾敏男先生は、長崎でお生まれになっておられ、まさに長崎人であります。例えば県外でお生まれになった方々が、長崎県においでになって10年間居住されて、すばらしい功績を残されたといった場合には一定理解できないこともないのですが、お生まれになった方が10年間こちらで暮らしていただかないと名誉県民になれないというのも、10年間という居住要件は、どうなのかなという思いがあります。
 特に、松尾敏男先生は非常に長崎に深い心を寄せていただいておりまして、私も時々、お話をする機会をいただくのですが、3歳の頃の様子が明確に記憶に残っておられるというのは本当にびっくりします。それだけやはり長崎に対する深い思いを持っていただいていると思っております。
 したがって、条例改正手続も必要になってきますので、これから議会の皆様方を含めてご意見等もお伺いしながら、検討を進めていく必要があると思っています。

○記者(NCC)  知事の思いとしては、いかがですか。

○知事  そうですね、私自身の思いとしては前向きに、ぜひご理解をいただきつつ検討が進められればと思っております。

10.燃油高騰について

○記者(朝日新聞社)  先ほどの燃油価格の話に戻るんですが、県としては、例えば国に働きかける以外に何か独自にしたりとか、そういうふうな取組の考えはあるんですか。

○知事  この燃油価格というのは、相当量の燃油が消費されますので、新聞報道の範囲内ですが、リッター当たり、この間11円か12円ぐらい上がったということだと思います。その上がる前から高かったんですね。そのうち例えば県が財政負担可能な額を、その範囲内で負担をしたとしても、抜本的な解決策になり得ないくらい多額になると思います。したがって、先ほどお答えしたように、まずは国策として取り組んでいただく必要があると考えたゆえんはそこら辺にあるわけです。
 これが例えば燃油を1円、2円下げれば何とかなるという話であれば、負担ができないという額にはならないかもしれませんが、これが根っこのところから含めて50円から100円近くまでという話になると、これはもう到底、地方の負担では対応できないような額になってくると思っております。もっと根本的な対策というのが必要と思っているところです。

○記者(朝日新聞社)  漁民などは、アベノミクスの影響なども指摘しているんですけれども、そういう声も踏まえたアベノミクスへの知事の現在の評価というのはどのようなものになるでしょうか。

○知事  そうですね。安倍首相が誕生して期待感があったんだろうと思いますが、株高・円安に振れてきているわけですね。これから経済政策、引き続き成長戦略を含めて具体化されていくだろうと思いますが、いわゆる実体経済としてしっかりと動きを見極めていかなければいけないと思っております。
 そういった中で、全体として経済がうまく回り始めるような状況になることが好ましいことではないかと思っておりますし、地域経済としても、やはり景気が少しでも上向きに転じるように、県としても、ほかの政策を含めて推進していかなければいけないと思っております。

11.諫早湾干拓事業について

○記者(NHK)  すみません。諫干の関連でちょっと聞きたい点があります。
 先ほど、県としてはなかなか理解できないというところがあって、ただ、時間は半年ぐらいに開門までの期限が迫っているという中で、国からの何か協議を模索するような動きとか、そういうものはないのかということとか、県としては国の不十分なところを指摘し続けていると思うんですけど、今後、何かもっと違った対応とか、そういうのがあるのかどうか、意見を1点聞きたいということ。
 最後にもう1点、別件なんですけど、今、ソウルとの飛行機が通っていない関係で、この間、LCCを検討して誘致しているという動きがあって、その最新の状況だけ教えてもらえますか。

○知事  諫干の話は、地元に対して説明に来たいといった話は事務的に届いているという話は聞いておりますが、基本的には、やはり開門がなされるということになると、地元の方で懸念している事項がこれだけありますというのは具体的に申し上げてきているわけです。それに対して一つ一つ丁寧にお答えいただいていないという状況は変わっておりませんので、そういう中で対策工事だけ進めようとされていることについては、まだ理解が得られるような状況ではないのではないかと考えております。
 確かに、開門期限は12月ということで、残された期間はわずかではありますが、だからといって、そうした地域の皆様方の声なり危惧の念に答えないまま前に進むことが許されるかというと、それは決して許されてはならない。仮に開門がなされると、被害、影響をこうむるのは地元の方々だからであります。

12.ソウル〜長崎間の航空便について

○知事  それから、韓国との航空路線の話について、今の厳しい国際環境も影響しているのではないかと思いますが、大韓航空の路線も運休という話が出てきました。そうであれば、やはり地理的にも歴史的にも非常に深い関係にあり、それからまた新しく韓国に活動拠点を設けようとしている矢先でありますので、この空の便というのは何としても確保しなければならないと、こう考えてまいりました。
 長崎の路線がお休みになったのは、近くに福岡空港があるからということだそうであります。非常に不本意ではありましたが、LCCの方で前向きに検討していただいていると。特に、週3便の運航が確保できるということになると非常に動きやすい形になりますので、やはり多くのお客様方に、この長崎空港を離発着空港として活用していただくには、この週3便の実現が優位性を確保する上で非常に大切な視点だと思いますので、これからも前向きに検討していきたいと思います。

13.諫早湾干拓事業について

○記者(NHK)  では、諫干については内々では、というか、水面下では国が協議したいというような話は来ているということでしょうか。

○知事  (国から)説明したいとかいう話はあるんですが、地元の皆さん方も、こちらからお尋ねしていることに対してご説明もないまま、一方的な説明というのは聞けるかどうか、そういったご判断をなさっておられる分もあるのではないかと思います。

○記者(NHK)  県としても、それには、地元がそういう考えである以上、応じられないということでしょうか。

○知事  そうですね。

○広報課長  以上で知事の定例記者会見を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

○知事  どうもありがとうございました。

★発言内容については、わかりやすいように一部変更している部分があります。
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