●会見内容●
1.九州新幹線西九州ルートについて |
○広報課長 ただいまより、定例記者会見を始めさせていただきます。よろしくお願いします。
○知事 よろしくお願いします。
○記者(朝日新聞社) まず、長崎新幹線についてですけれど、先日の与党の検討委員会の中で、知事は行かれたと思いますが、そこでどのようなことを確認なさったかというのが1点。
それと、フリーゲージトレインによる全面開業が2025年の春以降になる見込みとの情報がありますが、そのことについてどのようにお感じになっているかというのをお聞かせていただければと思います。
○知事 検討委員会での状況については、これは基本的に公表しないというご指示をいただいておりますので、この場で具体的なお話の状況については公表することを差し控えさせていただきたいと思います。
それから、その際、国土交通省から提出されました資料に、今ご指摘のようにフリーゲージトレインの量産車が平成36年度いっぱいかかるというような資料が提出されたということでありますが、提出されたときには既に、私どもは一切、その場におりませんでしたので、具体的な説明の状況等についても承知しておりませんけれども、後刻、国土交通省からお話があった内容によると、やはりフリーゲージトレインの量産車の開発に当たっては、試験走行等について慎重に進めていきたい、台車の状況等を見ながら、その具合をその都度チェックしながら走り込み等を進めていかないといけないというようなお考えではないかと理解をいたしております。その結果、量産車の開発に更におよそ半年程度の期間が必要になってくるということになっているのではないかと思っているところであります。
○記者(朝日新聞社) 全面開業に向けてまちづくり等々が進んでいる中で、改めてこういう工程表に落とし込んだ形で2025年以降になるかもしれないということが出てきたことについては、率直にはどのような感想でしょうか。
○知事 従前から、この西九州ルートについては、開業時期を平成34年から可能な限り前倒ししてもらいたいという要請を重ねてきました。ただし、フリーゲージトレインというのは、国内において初めて開発される技術を集積した車両になるわけでありますので、安全性の確保という点で、両方の課題をどう調整して事業を早めていくのかということであったわけであります。したがいまして、他の新幹線ルートが数年にわたって前倒しするというような方針が示されたのでありますけれども、この西九州ルートだけは「完成・開業時期を平成34年度から可能な限り前倒しする」と。これはまさに我が国にとって初めての技術開発、その中で安全・安心は第一の要件になりますので、それを満たした上で開発を前倒ししていただくという前提で、政府・与党申合せ事項になったものと考えているところであります。
したがいまして、確かに当初は、この走り込み等についても2年半ぐらいの期間を想定されていたんだろうと思いますけれども、これが3年ぐらいかかるということについては、まずは、安全性の確保を第一に考えていただいている結果ではなかろうかと考えております。
ただし、ご承知のとおり、県内では長崎、諫早、大村で新幹線駅の開設を前提にさまざまなまちづくりが進められているところでありますので、そのフリーゲージトレインの量産車の開発を待つということになると相当遅くなってまいりますので、そうなりますと、既に取り組んでおります市街地再開発事業でありますとか、土地区画整理事業、あるいは連続立体交差事業、そういった事業の可能性自体に大きな影響を生じてくることが懸念されるところでありますので、開業の時期については、政府・与党申合せどおり、平成34年度から可能な限り前倒ししていただきたいと考えているところであります。
○記者(朝日新聞社) そうなると、現実的には、いわゆるリレー方式ということが現実味を帯びてくると思うのですが、知事のご認識としては、そのあたりはどういうふうにお考えですか。
○知事 具体的にどういう形で開業を目指していくのかということについては、現在、九州新幹線西九州ルート検討委員会で検討を進めていただいているところであり、国におかれてはそういった結果を以て具体的な形で地元にご提案をいただけるものと考えているところでありますので、私どもはそのご提案を待って、佐賀県とも協議・調整を進めていかなければならないと考えております。
○記者(朝日新聞社) 石木ダムの件で1点、先日、長崎地裁佐世保支部のほうに、全ての工事の差し止めを求める仮処分が500人超規模で申請されましたが、そこに対する受け止めを一言お聞かせください。
○知事 まだそれ(申立書)をいただいておりません。内容についは全く把握できていない状況でありますので、コメントは今の状況ではちょっといたしかねる状況であります。
○広報課長 ほかにございませんでしょうか。
○記者(長崎新聞社) 世界遺産の教会群のことについてお聞きします。
この間、県議会の各派代表者会議に世界遺産登録推進課の方から、14資産を維持していきたいということで説明があったということですけれども、知事としては可能だというふうに考えていらっしゃいますか。
○知事 まだイコモスと具体的な意見交換等を行う機会がございません。今の14資産の整理としては、「伝播期」、「禁教期」、そして「復活期以降」と大きく3つの時期に分けて構成資産を編成しているわけでありますけれども、大まかな文脈からいくと、やはり禁教期、潜伏から復活に至る、その歴史的な文脈に焦点を絞り込んで整理し直すべきではないかというようなご指摘があっているようにお聞きしております。
ただ、いずれの構成資産も、禁教期と全く無関係な資産はないものと考えておりまして、できるだけ現在の14資産でいきたいという思いは強く持っているところでございます。
ただ、イコモスが具体的にどういう課題意識を持って、あのような方向性を示されたのか、これから具体的に情報交換をしてみないとわからない面があります。基本姿勢はそういう思いで臨んでまいりたいと考えております。
○記者(長崎新聞社) イコモスの中間報告では、特に8件の教会建築のほうが問題を残しているというふうに指摘をされています。それで、それぞれ禁教期とのつながりをどう説明するかとなると、例えば周辺のお墓、キリシタン墓碑であるとか、あるいは土地に伝わる絵図とか、宗教具とか、そういうものを用いてつながりを説明していくことになろうかと思いますが、しかし、当然、それぞれの資産でそれが説明できやすいところと、あるいは説明できにくいところが出てくるかと思うんですが、そのあたりについてはどうお考えですか。
○知事 確かに、集落に古くから潜伏されて宗教、キリスト教を守ってこられた集落に建設された教会群、これはもう地域のコミュニティと密接なつながりがある形で、歴史的な文脈等も明らかになっている教会もあるものと思います。
ただ、そうではなくて、禁教令が解かれた後、新たに信仰の地を求めて移住先として教会群を建立されたというような事例もあるわけでありますので、そこはやはりそれまでの歴史的な経過等を含めて、どのような資産で、どういう形で証明できるのか、そういったものも含めてしっかり意見交換、情報交換をしていかなければいけないと思っております。
イコモスの指摘としては、建造物、建築物としての教会群、これは東西文化の融合のさまざまな形態としてこういった教会堂が建設されたというような部分に価値を求めたところもありましたけれども、そういった分野について非常に厳しい見解ではなかろうかと思いますので、改めて集落との関連でありますとか、そういった関係に着目した説明を進めていく必要があるのかなと思っておりますが、個々具体的な案件については、一つひとつイコモスと十分情報交換をした上で判断していかなければいけないと思います。
○記者(NBC) 今の関連で一つ質問ですけれども、イコモスと情報交換もまだできていない状況だとお聞きしましたが、しかし、3月までに推薦書をある程度というところもあるかと思います。本当に間に合うのかというのが、まず普通に我々県民の疑問として残っているのですが、そのあたりはいかがでしょうか。
○知事 100%完成形で今年3月に提出するというのは、なかなか難しいかもしれません。
正式には、順調にいけば来年の1月の推薦書提出となりますので、それまでにはきっちり固めていかないといけません。国内推薦をいただくためには3月までに出さないといけないということでありますので、そういったイコモスの考え方を前提にしながら、現在既に、どういった方針で見直していくべきなのか、そういったところには実務的な作業に着手しているところでありますけれども、併せて、できるだけ早くイコモスとのアドバイザリー契約を結んで協議に入りたいと考えております。
○記者(NBC) 3月までにはある程度まとまるのでしょうか。
○知事 間に合わせるという考え方で臨んでいきたいと思います。
○記者(NBC) 石木ダムの関係ですけれども、(工事差止めを求める)仮処分に500人以上が申立人として参加していますが、川棚町民も佐世保市民も入っています。そのことに対するご見解、そういう500人という規模になったことに対するご見解と、以前、全く逆のパターンでしたけれども、(通行妨害禁止を求める)仮処分を県側が申し立てて受理されるまでに工事を差し止めたという経緯がありましたけれども、今回、その(工事差止めを求める)仮処分の結果が出るまで、石木ダムの関連工事に関して工事を止めるというお考えはないのか、その2点をお伺いしたいんですけれども。
○知事 500名の皆様方が仮処分の申請に参加しておられるということでありますが、先ほど申し上げたように、内容は一切把握しておりません。その中には、当然ながら住民の皆様方、あるいは地元の方々もご参加いただいている形になるのだろうと思いますけれども、そういったお考えをお持ちの方々が500名ほどいらっしゃるのだなと思いますが、ただ、やはり地域の皆様方、石木ダムの必要性について強くご認識していただいている県民の皆様方も、それ以上いらっしゃるものと思っているところであります。私どもとしては引き続き、この石木ダムについては地域の安全・安心確保のためには欠かせない事業であると、こう思っているところでございますので、こういった訴訟等がなされるから工事を止めてしまうというようなことは考えておりません。
○広報課長 ほかにございませんでしょうか。
○記者(共同通信社) 教会群の関係ですけれども、イコモスの指摘で、教会群の資産価値自体について一定の懸念が示されたということで、以前から教会建築遺産については、文化財としての価値というものについては、ある程度心配する声というものもあったと思うのですけれども、知事として、こういった中間報告になったときの初めの感覚としては、「やっぱりか」というような形だったのか、それとも非常に驚きをもって受け入れられたのかということを。
○知事 これまで、世界遺産に非常に造詣の深い専門家の方々、あるいは、国の専門機関であります文化庁の方々含めて、さまざまな助言、指導をいただきながら組み立ててきたところでありますので、正直申し上げて大変びっくりしているところであります。
ただ、私ども地元、あるいは日本としての受け止め方と、世界的な視野で資産価値の証明を進めてこられ、あるいは本来の意味での資産の価値がどこにあるのか、そういった目で審査をされる立場の方々とは、やっぱり若干異なる視点があったのかなという思いもいたしているところであります。
指摘をいただきますと、確かに世界中、キリスト教関連の教会群等についてもさまざまな文化が入り交じった形で建築物として今日に残されているようなものも多数あるものと思っておりますので、そういった部分についてはしっかり専門家としてのご意見もお聞きしながら、そうであれば、禁教期、潜伏期との関連性がどういう形で証明できるのか、そういった方向性等もさぐりながら検討を進めていく必要があるものと思っております。
○記者(共同通信社) 今おっしゃった世界的な視野と長崎、地元の感覚の多少の違いというものがその背景にあったかと思うのですけれども、これはなぜ生まれたのか、どうしてこう世界的な感覚とはちょっと違いが出たのかというところをお伺いしたいと思います。
○知事 そこは、先ほど申し上げた地元の感覚というだけではなくて、日本を代表される世界遺産の専門家の方々、あるいは海外の世界遺産、世界文化遺産にお詳しい方々、文化庁含めて詳細にわたって一つずつ検討を進めてきた結果として推薦書が提出されて、まさにこれは私どもの推薦書でもありますが、同時に日本国としての推薦書でもあるわけでありますので、私どもも、これまで十分な説明ができているものと思っていたところでありますけれども、結果から見るとそういうことではなかったのかなと、こう考えているところであります。
○記者(長崎新聞社) 話は変わりまして、今月で知事は2期目の折り返しになります。前半戦を終えられた感想を、せっかくですのでお尋ねしたい。
○知事 そうですね、これまで、人や産業、地域が輝くような県政の実現ということで、元気な長崎県を目指していかなければいけない、そのために平成25年度からは県民所得向上対策を大きな課題として、さまざまな政策を進めてまいりましたけれども、その目標年次が平成27年度となって、結果はこれから調査の上、把握するという形になりますけれども、そういった県民所得向上対策に向けた流れがある中で、今度、もう一つ、人口減少問題というのが大きな国内の課題となって、地方創生という取組が進められてきたところであります。似て非なる政策課題だろうと思っております。
一人当たり県民所得と、こう考える場合に、人口規模が大きくなると、一人当たり県民所得は低減傾向で進むわけでありますので、政策課題の切り替えを余儀なくされてきているのは事実でありまして、ただ、確かにやっぱり地域の活力という視点から考える場合に、人が住んでいただいてはじめてそれぞれの地域の活力が出てくるということでもありますので、そういったもう一つの課題も抱えながら、県政の活性化もさらに目指していかなければいけない、大変難しい状況になったなというのが率直な感じでありますけれども、いずれの地方においても同様の課題に直面しているわけであります。やはりその課題を切り開く力があるというのは、県民の皆様方といかに思いを共有しながら力を合わせて取り組んでいくことができるかということにかかっていると思いますので、一つひとつの事業の推進を図るということは当然必要ではありますけれども、幅広い県民の皆様方にそうした思いを共有していただく、そして、一人ひとりの皆様方が地域のため、あるいは家庭のため、具体的な形で一つずつ取組を進めていただくということが大変重要ではないかなと思っております。
行政の立場からも、さまざまな機会を捉えて協力をしていただけるように、さらに力を注いでいかなければいけないと思っております。
○記者(長崎新聞社) こに来てですけれど、教会群は厳しいと、新幹線も厳しいと、石木ダムはつくれないと、諫干も解決の糸口は見えない。非常に県政の先行きみたいなのが、2期目、知事がなられてから、うまく回っていらっしゃるのかと思いますが、どういう思いでいますか。
○知事 そうですね、私が1期目に就任させていただいたときの大きな課題というと、県庁舎の問題、諫早湾干拓事業、石木ダム、新幹線、大きく4つの課題があったわけでありますけれども、そうしたいずれの課題も順調にいくのかなと思っておりましたら、それぞれ大きな障壁にぶつかっているということであろうと思います。
ただ、いずれの課題も、だからといってないがしろにすることができない課題、現実的な課題ばかりであるわけです。
新幹線も、さあ急げと言っても、その前提となったフリーゲージトレインの開発がなかなか難しいという状況になっているわけでありますし、しかしながら、やっぱり可能性はあると思いますので、少し時間をかけても、やっぱり前に進めるべきはしっかりと前に進めていかなければいけない。思いを新たにして、一つひとつの課題に全力を注いでいかなければいけないと思っております。
いずれの課題もそうであろうと思っています。されどなかなか、重要課題だから、一朝一夕に片づくというのは難しいなというのをしみじみ実感をしておりますけれども。
○記者(長崎新聞社) 最後に一つだけ。そろそろ人事の季節になってきまして、今回は部長級、次長級、かなり退職者が出られると思っていますが、新しい新年度の人事に取り組む考え方を最後にお尋ねしたいと思います。
○知事 申し上げておりますように、今、最大の課題は地方創生に向けて具体的な成果をどう上げていくのかということだろうと思っております。
それぞれの分野は分野として、責任領域を抱えて積極的な取組が求められているわけでありますので、可能な限り適材適所、全力で課題にぶつかってもらえるように、人事も検討していかなければいけないと思います。
○広報課長 以上をもちまして、知事の定例記者会見を終了させていただきます。
ありがとうございました。