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令和2年5月31日 臨時記者会見

      

 ●会見内容●

1.コスタ・アトランチカ号の出航について

           

1.コスタ・アトランチカ号の出航について

○広報課長  それでは、始めさせていただきます。よろしくお願いします。

○知事  本日、三菱重工長崎造船所香焼工場岸壁に停泊中でありましたコスタ・アトランチカ号が長崎を出港いたしました。
 私も、これまで現場でご支援をいただいた医療スタッフの皆様方とともに、出港を見送ってまいりました。
 去る4月20日に新型コロナウイルス感染者が確認されて以来、船内の感染拡大防止や医療の提供、乗組員の帰国支援、そして何よりも市中への感染が広がることがないよう、国や、長崎大学、関係機関の皆様方のご指導、ご支援を賜りながら、長崎市と一体となって、全力で取り組んでまいりましたが、本日出港の日を迎えひとまず安堵しているところであります。
 既にこれまで495名の方々が帰国の途につかれ、本日、126名の方々が無事出港の運びとなりましたことは、ひとえに関係皆様のお力添えの賜であり、厚生労働省、国土交通省、外務省、防衛省など中央省庁の皆様並びに国立感染症研究所など関係機関の皆様、長崎大学の皆様、自衛隊の皆様、DMATをはじめ、ジャパンハート、ピースウインズジャパン、国境なき医師団等医療支援機関の皆様、更には、長崎県医師会、交通機関等、全ての関係皆様方に改めて、心からお礼を申し上げます。
 また、現在入院中の6名の方々についても、つつがなくご帰国いただけるよう引き続き支援に努めてまいりますとともに、同船の航海中の安全をお祈り申し上げる次第であります。
 今後とも、地域におけるコロナウイルス感染拡大防止に万全を期するとともに、地域経済の回復に向けて全力を傾注してまいりたいと考えているところであります。
 以上、コスタ・アトランチカ号の出港に際して、私からのコメントとさせていただきます。あとは、どうぞよろしくお願いいたします。

○広報課長  それでは、幹事社の方からお願いしたいと思います。

○記者(共同通信社)  3つお伺いしたいことがあります。まず1つ目ですが、今回の感染者の数について、1人が重症化するに留まったという評価と、全体の対応の評価について教えてください。

○知事  比較的乗組員の方々の年齢が若い方々が中心であったということで、重症者が少なくて済んだのではないかと受け止めているところでありますけれども、大規模クラスターが船内において発生するという事態を受け、まずは、ダイヤモンド・プリンセス号の体験をされた専門家の方々をご派遣いただき、それぞれのステージ、それぞれのステップに応じたご指導とご支援をいただいてきたということが、比較的スムーズに感染症対策が進んできたことに繋がったのではないかと、関係の皆様方に大変感謝を申し上げているところであります。地元の体制としては、やはり長崎大学の熱帯医学研究所等、感染症の専門家の皆様方が数多くいらっしゃるということ、そしてまた、PCR、あるいはLAMP法等の検査体制も非常に充実した体制を構築していただき、全面的な協力をいただくことができたということが、こうした結果に繋がったのではなかろうかと考えているところであります。他にも、自衛隊の皆様方、DMATを初め、多くのNGO、NPOの皆様方のお力添えもいただいてきたところであり、そうした全ての関係皆様方のお力添えによるものと、深く感謝を申し上げているところであります。

○記者(共同通信社)  感染拡大や医療体制の崩壊は起こらず、成功したという評価ということでよろしいのでしょうか。

○知事  そうですね、先ほども申し上げましたように、市中への感染拡大、そして、それを通して、県内の医療体制への過大な負荷を与えることがないようにということが最大の使命であると考えてまいりましたけれども、おかげをもちまして、市中への感染拡大も見られず、出港の日を迎えることができたということで、先ほど申し上げたように、ひとまず安心をしているところであります。

○記者(共同通信社)  これは知事と中田部長、両方にお伺いしたいんですけれども。今日、実際に岸壁でお見送りされたということですが、見送った際の様子を含めて実際どうお感じになったかという所感と受け止めをいただければと思います。

○知事  本日は、126名の方々が、同船に乗り込んで、出港された訳でありますけれども、日本語で「ありがとう」という感謝の言葉をいただきましたし、また、岸壁の方からは、「航海の安全を」というメッセージを掲げて、関係の皆様方にお見送りをいただいたところであり、無事出港を見送ることができたことを、本当にありがたく思っているところであります。今後は、こうした取り組みを一つの教訓とし、しっかりと課題の分析、対応策の検討を進め、今後に対応に生かしていく必要があるものと考えております。

○福祉保健部長  今日は、私も岸壁に出向いて、見送りをさせていただきました。昨日まで、DMATを初め、船側の救護所が実際に活動を続けまして、最後の最後まで、船員の健康支援に努めたところでございます。そういった意味では、今回、船員の方々も安心して出港されたのではないかなと理解しております。また、船員の方々も感謝のメッセージがありまして、これもひとえに、県民や市民の方々から、船員に対するいろいろなメッセージが届いておりましたので、それに対する感謝のお気持ちの表れではないかなと理解いたしました。
 以上です。

○広報課長  それでは、各社の皆様から質問をお願いしたいと思います。ございませんでしょうか。

○記者(NHK)  これまでの知事会見でも出ている話ですけれども、今回の教訓、課題というものは具体的にはどういうもので、まず取りかからなくてはいけないことはどういうことかを教えてください。

○知事  やはり、まだ対策の途中でありますので、十分な検証等については今少し時間が必要になってくるものと考えておりますが、これまでのことを振り返って私が感じておりますのは、先に申し上げましたとおり、入港に当たってのクルーズ船内の健康状況の把握ができるような体制を組み立てていく必要があるものと考えております。今回は、入港後、相当の期間を経ての感染症の発生となったところでありますけれども、長崎大学の先生に開発していただきましたアプリによって、日々の体温の状況、健康状況等を把握できるようなシステムも新たに構築していただいたところであり、そうしたことが、将来にわたってクルーズ船内の健康管理に役立てていただくようなことができれば、一定仕組みも整っていく可能性があるんではないかと考えたところであります。
 また、クルーズ船といいますと、数千名の乗客、乗員を乗せてお迎えをするということになる訳でありますけれども、この船内で感染が発生するということになると、大規模なクラスターの発生に繋がってくる可能性が極めて高いということを考えますと、やはりそれぞれの地域のみでこの感染者を受け入れるということは非常に困難な状況にも直面してくる訳でありますので、広域的な医療提供体制の構築が必要不可欠になってくるのではなかろうかと考えております。
 それからまた、先ほど申し上げた、健康状況等も含めて、クルーズ船社と、乗客、乗員の健康状況についての情報交換を常に行いながら、適正な医療の提供に努めていく必要がありますけれども、海外の企業でありますので、そういった情報の意思疎通、伝達というのを十分にできるような体制を整えておかなければいけないと感じたところであります。
 それからまた、今回は特に、国内においても、新型コロナウイルスの感染症が拡大し、それぞれの地域にとって大きな課題となっている状況の中、こうしたクルーズ船における大規模クラスターの発生という事態に直面した訳でありますけれども、やはり、県内での医療スタッフの確保はなかなか難しい状況にあり、DMAT、ジャパンハート、国境なき医師団、ピースウインズジャパンといった医療支援機関の皆様方のお力添えがなければ、スムーズな医療提供も難しかったのではなかろうかと考えているところであり、引き続き、そうした広域的な医療支援体制、人的な確保も重要な要素になってくるものと思っております。
 それからまた、この新型コロナウイルス感染症が全世界に拡大している中で、帰国に向けた支援が非常に難しい状況でありました。国によっては、ロックダウンということで、なかなか帰国者も迎え入れていただけないような状況が続く中で、国において積極的な調整を図っていただき、まとまった形でご帰国をいただくことができたということは、まさに、中央各省庁のご協力、ご尽力の賜であり、引き続き、そういう体制は必要不可欠になってくるものと考えているところであります。
 なお、こうしたクルーズ船における感染症の発症という事態にどう取り組んで、解決に結びつけていくのか、国際的な視点に立った今後のあり方等については、国においても、新たな調査事業に着手される予定であるとお聞きしているところでありますので、今後、県内でのこうした事例を検証しながら、国の皆様方と一緒に、安全・安心していただけるようなクルーズ環境の整備について、引き続き検討を進めていく必要があるんではなかろうかと考えているところであります。
 以上で、感じたところであります。

○記者(NHK)  ありがとうございます。その検討を進めていく上で、長崎県としては、何か協議会であったり、検討委員会であったり、どういった形で検討を進めていく、体制を作っていくとお考えですか。

○知事  まだ、次なるクルーズ船の受け入れに当たっての体制作りというのは、具体的な体制作りまで検討するに至っていないところでありますけれども、入国審査、検疫、関税法上の取り組み、様々な物資の供給に携わっていただく方々、もちろん感染症を防止する上で重要な役割を担う保健所等の関係機関、港湾等の各機関、全ての関係機関の皆様方とも一緒になって、今回の事例の検証を進め、課題対応に向けて協議を進めていかなければいけないと考えているところであります。できるだけ早く、そういった検証、検討の場を設けてまいりたいと考えております。

○記者(NHK)  ありがとうございます。まずは検証をされて、何か報告書等を出されたりするような形になるんですかね。

○知事  具体的な報告書にまとめるかどうかは別にして、検証をし、様々な課題とその対応策について検討を進めていく必要があると思っております。

○記者(西日本新聞社)  先ほど知事から、広域的な医療連係が重要になるというお話がありましたが、ここで言う広域というのは、県内全域なのか、それとも、県境を越えて九州全域といった医療連係の必要があるという意味でおっしゃったのでしょうか。

○知事  確かに、県内での医療体制を強化していくという必要性もあろうかと思いますけれども、今回の陽性者が149名ということでありましたし、しかも、比較的軽症者の方々が多かったということでありますけれども、乗客の皆様方が一緒に入港され、重症患者が数多く発生するということになりますと、1県内での対応というのは非常に難しいという事態も想定されますので、県境を越える形での広域的な調整も必要になってくる可能性が極めて高いのではなかろうかと考えているところでありますので、そうした事態への対応も求められてくるものと考えているところであります。

○記者(西日本新聞社)  もう1点お尋ねします。クルーズ船は今日帰って、その後の検証はこれからということでした。クルーズ船はもちろんのこと、北九州では第2波が起こっている中で、県として次のステージはどういった考えの下、このコロナ禍に対応していこうとお考えでしょうか。

○知事  まず、クルーズ船の受け入れにつきましては、国内のみならず、世界各地で類似の感染事例も発生している状況でありますので、クルーズ船というのは、いましばらく再開に時間があるものと受け止めておりますので、その間において、先ほど申し上げたような受け入れ態勢の諸課題について検討を進めていく必要があるものと思っております。
 国内におけるこの新型コロナウイルス感染拡大防止については、事態の推移に伴って、その都度、県民の皆様方に注意を喚起させていただき、協力要請をお願いしているところでありますけれども、ご指摘のとおり、九州内においても、北九州市で第2波というような動きも生じているところでありますので、引き続き、県民の皆様方に十分注意をしていただき、不要不急の移動を控えていただきますとともに、医療提供体制の充実にさらに力を注いでいかなければならないと考えているところであり、関係各機関のご協力をいただきながら万全の対応を図っていかなければいけないと考えております。

○記者(西日本新聞社)  最後にもう1点。岸壁で見送りをされたということで、長崎市の田上市長は一緒だったのでしょうか。

○知事  田上市長もお見えでありました。

○記者(西日本新聞社)  先ほど来、関係機関の協力、連係の大切さを知事はずっとおっしゃられていましたが、今日、この場に田上市長がいらっしゃらない。最初に感染確認した時には、田上市長も一緒に会見したと思うのですが、この場で、一区切りの記者会見に来られなかったことについてはどのようにお考えでしょうか。

○知事  直接、田上市長のご都合をお伺いしておりませんので、そこは、私の方からはいかんとも申し上げにくいところではありますけれども、これまで、国、関係機関、そして、長崎大学等のご指導をいただきながら、県市連携しながら、事態の対応に取り組んでいく必要があるとの考え方の下、力を合わせて取り組んできたところでありますので、これからも所要の体制については、連係をしながら、感染拡大防止の目標の下、取り組んでいく必要があるものと思っております。

○記者(長崎新聞社)  今日126人の方が出港する船に乗っているということですけれども、この126人の方は、全員エッセンシャルクルーという理解でよろしいでしょうか。事情があって定期便等で帰国できない方も乗っているのんでしょうか。

○福祉保健部長  誰がエッセンシャルクルーなのか、正確な人数はコスタ社に確認しないと分かりません。いずれにしても、船の機関内を動かすエッセンシャルクルーと、帰国をトライしていたのですが最終的には船と一緒に帰るという方もいらっしゃいますので、そのトータルの方としての126人ということでご理解いただければと思います。

○記者(長崎新聞社)  分かりました。それと、まだ長崎市内の医療機関に6人の方が入院されていますが、その方々の退院の目処等は立っている状況なのでしょうか。

○福祉保健部長  最初重症で入られた方については、治療に長い時間を要すると伺っております。それ以外の方は、軽症の方ですので、近いうちに退院の目処が見えるのではないかというような報告を受けております。

○記者(長崎新聞社)  分かりました。最後に今回の感染源の話です。先日から長崎大学等の報道等では、抗体検査の結果3月中旬頃に感染者が出たのではないかというような話もあるのですが、基本、市中感染は起きていないので、長崎市内に出た乗組員の方が感染して船に持ち込んだという可能性は低いと思いますが、その点も含めて、今回の感染源となることについて、現時点でどのように見ていらっしゃるのか教えてください。

○福祉保健部長  感染源につきましては、これまでも申し上げているとおりですが、まず、大学と、感染症研究所等の専門的な方々のご見解をいただかないと、なかなか評価するのは難しいかなと理解しております。私達といたしましても、可能な限り感染源の解明には努めていきたいなと思っております。ただ今回一つの制限として、個室隔離を徹底していた関係もありまして、船内に入っている方の個々人の行動歴を詳細に聞き取れていないということもあり、また、多国籍にわたり、どうしても外国語でのコミュニケーションというところで、情報を取得するにも非常に制限がある中でのデータしかないということでございますので、最終的に様々な分析をして、結果に迫れるかわかりませんが、いずれにしましても、今後専門家の見解をいただいて、判明できるものはきっちり確認していく必要があると考えております。

○記者(読売新聞社)  細かいところの同じ確認になるんですけれども、入院している6人の方は、治療が終わり次第帰国するという流れで間違いなかったでしょうか。

○福祉保健部長  はい、治療が終了し、帰国便がとれた段階で帰国していただくという段取りになります。

○記者(読売新聞社)  もう一つ、今日出港したということなんですけど、今後のスケジュールについて、現地到着時間等コスタ社から何か聞かれているものというのはありますでしょうか。

○福祉保健部長  船に関して、今聞いているのは、マニラに向けて出港し、マニラ到着が6月11日の予定と聞いております。

○記者(読売新聞社)  知事にお伺いしたいんですけれども、先ほど、今回の一連の対応について検証し、今後の感染症対策に生かす方針がある一方で、以前の会見では、今後もクルーズ船の誘致は進めていきたいという考えを示しておりますけれども、その2つの考え方というのは、同時進行でやるものなのでしょうか。検証しつつ誘致も進めていくのか、ある程度検証が済むまで、誘致は止めておくのか。知事はどのようにお考えでしょうか。

○知事  今の状況で、直ちに、クルーズ船を引き続き誘致していくというのはなかなか難しい状況であると考えております。また、世界のクルーズ船事業そのものが、今止まっている状況でありますので、今少し事態の推移を見極めて対応していく必要があるものと考えております。前回、クルーズ船市場については、引き続き拡大傾向で推移していくものとの考え方をお示しいたしましたけれども、それは必要な対策が講じられた上で、利用者の方、乗客の皆様方に、まずは安心していただけるような体制をどう構築していくのか、そういった課題が求められているものと考えておりますので、中長期的な視点に立った、このクルーズ事業の拡大、そして、誘致に取り組む必要があるものと考えているところであります。

○記者(読売新聞社)  前回の会見でおっしゃられた、大きいベクトルとしては、誘致の方向は変わりないけれども、きちんと今回の検証であったり、防疫体制であったりをしっかりした上で進めていきたいというお考えでしょうか。

○知事  そうです。

○記者(読売新聞社)  もう1点、今回の件でいろいろ費用というのがかかったと思います。国、県、色々なところが携わっていると思うのですけれども、費用負担についてはどうなっているのでしょうか。

○福祉保健部長  費用に関しましては、私どもで提供した、コスタ社の船員のために用意した医療支援については、コスタ社で負担をしていただきたいと考えておりまして、今、具体的な協議をコスタ社と行っているところでございます。

○記者(読売新聞社)  いつぐらいまでにまとまるとか、そういう目処はありますでしょうか。

○福祉保健部長  ただいま船が最終出港したところでございますから、我々としても要した費用を最終精算して、協議をするという段階になりますので、具体的な時期についてお示しできる段階にはございません。

○記者(朝日新聞社)  先ほど、知事から今後の課題について、外国の船会社との情報の意思疎通、伝達体制ということを上げられましたけれども、今回の対応について、感染の確認前と確認後で何か難しかったところがあり、それを念頭にお話しなさっているのであれば、具体的なところを教えていただきたいんですけれども。

○知事  毎日、朝夕、対策会議を開催して情報の共有化が図られてきた訳でありますけれども、先ほど、部長からもお話を申し上げましたように、国籍が30カ国に及ぶ乗組員の方々がいらっしゃる訳で、感染経路を推定するにしても、情報が取りにくい環境にあった訳でありまして、そういった面で、国内での発生事例と比べますと、その感染経路、現状の把握については難しい側面があったのは事実ではなかろうかと考えているところであります。その辺の課題について、今後、クルーズ船の寄港、入港、寄港側、受け入れる側含めて、どのような体制づくりを進めていくのか、そういった課題も検討の必要があるんではなかろうかと考えているところです。

○記者(朝日新聞社)  そうすると、課題に上げられたのは、今回、感染が確認された後の調査で、船の中の状況を把握するのに言葉の壁と、個室隔離されている状況の壁があったので、それを念頭に、情報の伝達体制を課題に上げられたという理解でよろしいですか。

○知事  今回の事例発生前の段階では、公共の港に入港したいという申し入れがあれば、具体的な危害が懸念されるという状況でなければ、これを受け入れなければならないというような関係法令の定めがある訳でありまして、したがって、その前に、船内での感染症のリスクの状況等というのは把握できるような状況にはなかった訳であります。一連の新型コロナウイルスの感染事例が拡大するに伴って、国の方でも、検疫サイドから情報を取得し、それぞれのクルーズ船の入港の可否について情報をいただけるというような状況になりましたけれども、これからは、そういったことが非常に重要な手続になってくる部分ではなかろうかと考えているところであります。

○記者(朝日新聞社)  つまり、それは、入国に当たって窓口になるのが、国の機関である検疫なので、そことの情報共有を今後さらに進めていかれたいという趣旨でよろしいですか。

○知事  検疫の方でその情報を収集していただくのか、あるいは、入港受入港のサイドとして情報を受けるのか、仕組みをどう作っていくのかということにもなってくるものと思いますけれども、いずれにしても、その安全性の確認というのは非常に大切な視点になってくるんではなかろうかと思っております。

○記者(朝日新聞社)  そうすると、おっしゃっている中身としては、窓口としての検疫に頼らず、寄港地の行政として自ら情報を入手しにいくというか、寄港地行政の権限強化ともとれるのですけれども、そういったことも視野に入れられているということですか。

○知事  いわゆる、入港の申し入れをいただいた時に、これを受け入れるかどうかというのは、長崎港に入港して接岸される前のことでありますので、検疫は、接岸後にファーストポートとして始まる訳でありますので、その前の状況で、関連情報を入手しておく必要もあるのではなかろうかと考えております。

○記者(朝日新聞社)  念のため確認ですけれども、今回のコスタ・アトランチカに関しては、国立感染研の先生の見立てでも、検疫が済んで入ってきた3月になってから感染が広がったのではないかということで、入る段階では感染の疑いがあるかどうかというのは分からなかったかもしれないのですけれども、それは、今後、例えば、乗客を2,000人、3,000人乗せた船を受け入れるに当たっての予防的な措置としてというお考えでしょうか。

○知事  そうですね。感染拡大の動向を受けて、国の方では、まだ入港していない状況の中で、船内の情報提供を受けて、入港の可否等についての情報をいただいている状況でありますので、今後とも、そうした継続した仕組みというのが必要になってくるんではなかろうかと考えているところであります。

○記者(朝日新聞社)  長くなって申し訳ありません。もう一つ、全般的に、港湾の管理という意味でお尋ねしたいのですけれども、今回、私有岸壁に接岸だったということで、取り扱いは別になると思うのですけれども、船を受け入れる前、あるいは、停泊中に、こういった情報が長崎県、保健所管轄の長崎市側にもたらされていたらよかった等、今回の事例からの教訓というか、港湾の管理に関しての教訓というのは何かありましたでしょうか。

○知事  港湾管理上は、公共埠頭であればもちろん県が所管する業務として対応をしていかなければいけないのですが、今回は、三菱重工さんが所管されている岸壁への接岸ということで、県においては権限がない状況であります。ただし、一連の感染症のリスクというのは考えられたことから、乗下船等含めて、県の取り組み状況等についても情報を提供させていただき、また、三菱重工、並びに港湾関係者、そして、市の保健所当局とも事前にそういった打ち合わせ等が行われてきた経緯があるとお聞きしているところでありますが、船内での感染が疑われる状況の中で、もう少し早く情報を提供していただけるような仕組みを作る必要もあるんではなかろうかと考えているところであり、クルーズ社において、情報提供先、連絡先というのが明確に認識されていたのかどうかということについても、課題として残っているんではなかろうかと思っております。

○記者(西日本新聞社)  クルーズ船の今後の受け入れに関連するところでお伺いしたいのですが、今年度から国交省の予算として松が枝埠頭の2バース化が予算化されたと思うのですけれども、今回の案件が、2バース化に今後何かしら影響を及ぼすのかどうか、そのあたりについてどのように考えているのかお聞かせいただけますでしょうか。

○知事  先ほども申し上げましたけれども、このクルーズ事業というのは、恐らく今回の感染事例の発生を受けて直ちになくなるというような状況にはないのではなかろうかと考えているところであります。ただし、乗船されたお客様、あるいは乗務員の方々の健康維持、管理というのは必要不可決な業務になってまいりますので、そのための体制づくりというのは、これから間違いなく進んでいくものと考えております。松が枝岸壁の2バース化に向けては、今後数年間の期日を要する事業でありますので、その間のうちには、先ほども申し上げた、船内におけるリスクの低減、健康管理の徹底、あるいは情報の共有化に向けた様々な仕組み等について、具体的な形で、関係者間の研究が進められ、1つの方向性が示されてくるものと考えているところであります。また、そうした状況でないと、クルーズ船に乗船され、クルーズを楽しまれる皆様方も、不安感は払拭できない状況になってくるんではなかろうかと考えております。

○記者(西日本新聞社)  今回の一件を受けて、長崎県民、市民の方達も非常に不安に思ったところがあったかと思います。今後、クルーズ船の受け入れが再開された場合、今回の件を受け、市民、県民の中には不安や心配事というのが残るのではないかと思うのですが、県民、市民に対しての対応、フォローというのはどのようにお考えでしょうか。

○知事  それはですね、もちろん感染症に関して、クルーズ船ならではの特別の事情というのもあるのかもしれません。先ほども申し上げたように、感染症が発生をいたしますと大規模クラスターになってくる可能性があるといったところは、普通のインバウンドのお客様とは異なる点であろうと思いますけれども、いずれにいたしましても、これからもやはりインバウンドのお客様は拡大傾向で推移していくと想定していかなければならないと考えております。まずは、様々な事象に伴いまして、インバウンドのお客様をお迎えしていく形になってまいりますので、クルーズ船はクルーズ船としての様々な課題についての検証を行い、その他のインバウンドの拡大に向けて、どういった感染症予防対策等を講じていくのか、あわせて検討を進め、しっかりとした対応策を講じ、県民、市民の皆様に説明をしていく必要があるんではなかろうかと考えております。できるだけ早く、関係者のお知恵も拝借しながら、対応の方向性等について検討を進めてまいりたいと考えております。

○記者(西日本新聞社)  あと、1点、先日も、修繕事業に関しても考えを示されていたと思うのですけれども、修繕事業に関しても、今後も推進していくということで、お考えは変わりないでしょうか。

○知事  修繕事業についてのニーズがどういう形で推移していくのか、今回の事例等も踏まえて、今後、三菱重工様において検討がなされる予定であるとお聞きをしているところでありますが、現時点では、クルーズ事業そのものは、今回の事例発生によってなくなってしまうようなものでもないのではなかろうかと考えているところでありますので、しっかりとした感染症対策をいかに構築し、安心していただけるような環境を作っていくのかというのが、非常に重要になってくるものと思っております。そういった流れの中で、修繕事業について、三菱重工様としてどういうご判断をなされるのか、そういう動きを踏まえて、行政としても必要であればサポート体制、引き続き構築してまいりたいと考えております。

○記者(西日本新聞社)  仮に、修繕事業を今後も続けていくとなった場合には、先ほど、クルーズ船の受け入れの際の課題や、教訓を生かして対応を考えていきたいということでしたが、修繕事業での受け入れに対しても、同じように適用するというような考えということでよろしいでしょうか。

○知事  そうですね、やはり地域経済にとって、多くのインバウンドのお客様をお迎えしていく。そしてまた、本県の基幹産業であります造船関連産業において新たなビジネスチャンスが拡大していく。それは地域経済にとって非常に好ましい形での動きになってくるものと考えております。したがいまして、まずは、その大前提として、いかに安全・安心な体制を構築することができるかということがまずは問われる状況であると受け止めておりますので、そういった点で十分な検討を重ねていきたいと考えております。

○記者(NHK)  出港に当たって見送りに行かれたと思うんですけど、コスタ社さんの方からメッセージや何か言葉とかはあったりしたのでしょうか。

○知事  私は、現時点で承知しておりません。

○福祉保健部長  私の方には、コスタ社日本支社の支社長からは、県の担当の方には大変お世話になりましたということで、感謝のお言葉をいただいております。、まだ入院患者6人残っておりますので、私どもも、コスタ社と連携して、最後の方々が帰国できるまでしっかり対応していこうということを確認をさせていただきました。
 以上です。

○記者(NHK)  それは口頭でということですか。

○福祉保健部長  取り急ぎ電話でいただきました。

○記者(NHK)  それは今日ですか。

○福祉保健部長  出港した後、私の方に連絡がありました。

○記者(NHK)  ありがとうございます。コスタ社さんについてなんですけれども、結局、会見がなかったということがあった一方で、感染症対策については、現場のお医者さん等から、非常に協力してやっていただいているという声もあっているのですけれども、コスタ社さんの一連の対応について、改めてどういった受け止めなのかというのをお聞かせ願えますか。

○知事  コスタ社におかれても、感染が疑われる事例が発生したということを受けて、乗組員の皆様方を、個室管理ということで個々に管理をしていただき、そして、お1人目の感染者の発生以降、一連の対応策を講じるということになってきたところでありますけれども、初動の段階において、船内においてそういった措置を講じていただいていたというのは、その後の一連の対応にとって非常に良いことではなかったかと考えているところであります。コスタ社におかれても、こうした事例が、将来にわたるクルーズ事業に直結するような課題でもありますので、十分な船内の医療体制の整備、健康管理体制の構築に向けて、検討を進められるものと考えているところであり、私達も、今後、動向を見極めていかなければいけないと考えております

○記者(NCC)  お見送りのことについてお話をお伺いしたいんですけれども、県、長崎市の方がいらっしゃったと思いますが、何人ぐらいで、どういう方々が集まってお見送りをされたのか。あと、知事は、乗員の方々と何か直接言葉を交わしたり、お言葉をかけるタイミングがあったのかを教えていただいてもよろしいですか。

○知事  岸壁でお見送りをいただいておりましたのは、全部ではないかもしれませんけれども、私が知り得る限り、税関の関係者の皆様方、長崎大学の医療スタッフの皆様、DMATの皆様方等、最後まで医療支援にお力添えをいただいた方々、三菱重工の関係者の皆様、県の関係者、市の関係者でお見送りをしていたのではないかと考えております。そういった関係の皆様方には、非常にお力添えをいただいてまいりましたので、これまでのご協力に、改めて、私から、感謝の心の意味を込めてお礼を申し上げたところでありますが、もう既に、乗組員の皆様方は、乗船され、デッキに出てお礼のメッセージ等を掲げておられましたので直接言葉をおかけすることはありませんでした。

○記者(NCC)  ありがとうございます。お礼のメッセージを掲げていたと言っていただいたんですけれども、ちょっと具体的に、例えば、英語でとか、どういうふうなメッセージだったかということをもう一度お伺いしてもよろしいですか。

○知事  日本語で、「ありがとうございました」という声を、船上からは掛けていただきました。また、岸壁側からは、イタリア語で、「航海の安全を」というメッセージが掲げられていたようです。

○記者(NCC)  もし知事が、そのとき乗員の方と直接お言葉を交わす機会があったとしたら、乗員の方にはどういうふうなお声を掛けたかった、どういうふうなお気持ちを伝えたかったというのはありますか。

○知事  それは、やはり、長期間にわたって船内滞在を余儀なくされたということに関して、「ご苦労様でした」という声をかけたい気持ちでありましたし、また、出港後も、航海の安全を祈る旨のお声を掛けたいと思ったところであります。

○記者(朝日新聞社)  すみません、2点お尋ねしたいんですけれども、広域的な医療体制の構築について課題に上げていらっしゃったのですが、今回、幸い重症者が最悪の想定の30人まで発生するには至らなかったのですけれども、仮定の話で恐縮なんですけれども、県を越えて、どこかで受け入れてもらうというのは、どれぐらいの実現可能性があったんでしょうか。

○知事  恐らく、今回の事例としては、149人の感染者数に留まって、比較的、クルーズ船内の感染事例としては、先のダイヤモンド・プリンセスと比べても少ない状況ではなかったかと考えております。ダイヤモンド・プリンセスの際にも、医療宿泊施設等の確保については、県境を越えて確保された事例等があったものと考えておりますので、そういう意味では、国の中央省庁の皆様方に支援チームを編成していただいて、専門的な見地からお力添えをいただいたということは、大変心強いことであったと考えているところであります。

○記者(朝日新聞社)  実際に、具体的に、どこか候補に上がったりとかいう段階にはあったのでしょうか。

○知事  いいえ。私どもは、各県、既に感染が拡大している状況にあり、特に、重症者が生じるということになると、多くの医療スタッフが1人の患者様について医療提供を行わなければいけないという状況でありますので、なかなか広域的な、県境を越えて支援をお願いするということは難しい状況であったと理解をしております。そのために、岸壁にまずは、24時間体制で医療支援をしていただく診療所機能も設置をしていただき、スタッフもご協力をいただいてきたところでありますが、ただ、県内の医療機関でどうしても対応できないということになると、これはやはり国のお力添えをいただきながら、広域的な観点での受け入れ先を探す必要も予想されるところではなかったかと考えております。

○記者(朝日新聞社)  今のお話を聞いていると、最悪の状況では、長崎県内では対応できず、他の県でも受け入れてくれるところを探すのがなかなか難しいということになったかと思うのですけれども、それを踏まえると、大人数を乗せたクルーズ船を受け入れるのであれば、県内で対応できる数のベッド、あるいはその医療スタッフを整えていくべきだという議論になるのか、それとも、それは物理的に不可能だということになるのか、そのあたりの判断はいかがでしょうか。

○知事  その辺の判断は、まだ現時点ではいたしかねる面があります。それぞれの受け入れ地域毎にそういった体制をつくって、機能を維持していく必要があるのか、あるいは、別途、何らかの形でそういった医療支援機能を整備し、広域的な形で利用できるような体制を構築するのか、色々な手法があるんだろうと思いますので、そういった点も含めて、今後の体制づくりの中で検討をしていく必要があるのではなかろうかと考えております。

○記者(朝日新聞社)  ありがとうございます。最後に、1点確認させてください。今後の検証についてですけれども、長崎市の田上市長は、29日の定例記者会見の際に、検証についてお尋ねしたところ、市のレベルで情報を集めるのは難しいので、どういった形で検証が行われるかを国にお尋ねしたいというご回答をいただいていたんですけれども、知事がおっしゃっている県の検証というのには、市にも参画していただくというご予定というのはあるんでしょうか。

○知事  恐らく、これまでも対応策については一緒に取り組んできたところでありますので、検証に当たっては、一緒に取り組んでいく必要があるものと思っております。

○広報課長  以上をもちまして、終了させていただきます。ありがとうございました。

○知事  どうもありがとうございました。

 

     
      ★発言内容については、わかりやすいように一部変更している部分があります。      
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