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平成22年11月29日 平成22年11月定例県議会における知事説明

 本日、ここに、平成22年11月定例県議会を招集いたしましたところ、議員の皆様には、ご健勝にてご出席を賜り、厚く御礼を申し上げます。
 開会に当たり、当面する諸課題について所信を申し述べますとともに、前定例会以降、今日までの県政の重要事項について、ご報告を申し上げたいと存じます。

(景気の動向と経済雇用対策の推進)
 我が国の景気は、「このところ足踏み状態となっている。また、失業率が高水準にあるなど厳しい状況にある。」とされており、10月には、急速な円高等の影響により、これまで「持ち直している」とされてきた景気判断が1年8ヵ月ぶりに下方修正されるなど、厳しい状況にあります。
 また、本県の景気については、「着実に持ち直している」とされておりますが、今年9月の有効求人倍率は、前月を0.02ポイント上回ったものの、0.49倍と低い状態で推移しており、県民の雇用・所得環境は依然として厳しい状況にあります。
 このような状況に対応するため、国においては、9月に「新成長戦略実現に向けた3段構えの経済対策」を決定し、ステップ1として「平成22年度経済危機対応・地域活性化予備費」を使用した対策が実施に移されるとともに、ステップ2となる「円高・デフレ対応のための緊急総合経済対策」についても、補正予算により、今後、新たな交付金の創設や各種基金の増額などが実施される見通しとなっております。
 このような動きを受け、県としては、同予備費を活用し、先の9月定例会で議決いただいた公共事業等に加え、緊急雇用創出事業臨時特例基金の増額による雇用対策や、医療施設耐震化臨時特例基金、介護基盤緊急整備等臨時特例基金の積み増しについて、本議会に関係予算を提案しております。
 中でも、来年春の新卒者を含めた若年者の雇用対策は、最優先で取り組むべき課題であると考えており、今回追加された緊急雇用創出事業臨時特例基金の重点分野雇用創造事業分13億 2,000万円を全額活用し、関係部局間の連携のもと、卒業後3年程度までの未就職卒業者や40歳未満の離職者等に重点を置いたきめ細かな対策を実施してまいります。
 また、国の予備費の活用以外にも、中小企業経営緊急安定化対策資金による中小企業への資金繰り支援、本議会に提案している母子寡婦福祉資金の貸付枠の拡大などセーフティネットの確保に努めるとともに、公共事業予算の増額や社会資本整備総合交付金を活用した航路対策にも積極的に取り組んでおります。
 なお、国の補正予算に対応する経済対策については、引き続き情報の収集と予算の確保に全力で取り組み、機動的な対応を図ってまいります。
(新たな総合計画の策定)
 新たな総合計画については、県議会をはじめ、県民の皆様から貴重なご意見をいただきながら策定を進めてまいりましたが、このたび、平成23年度からの5か年計画として、「長崎県総合計画」を取りまとめ、本議会に議案として提出しております。
 本計画では、我が国の人口減少社会への移行やアジアの経済成長などの時代の潮流を捉えながら、「人が輝く、産業が輝く、地域が輝く長崎県づくり」を基本理念として、人を大切にする県政の推進を基軸に据え、本県の産業や地域を担う人づくり、様々な産業における雇用の場の創出、地域発の地域づくりといった取組の方向性や具体的数値目標をお示ししております。
 計画の実現に向けては、県民主役・地域主役の施策を推進するため常に県民ニーズの把握に努め、予算や人員等の行政資源を重点的に投入するとともに、検証と見直しを図りつつ、県民の皆様や地域、団体、大学、企業などと連携しながら、本県の「総合力」を結集して取り組んでまいりたいと考えております。
 今後、県議会でのご議論も十分に踏まえながら、県民の夢と活力にあふれた「輝く長崎県づくり」を目指し、本計画に掲げる政策や施策の方向性に沿って、本県の未来を切り開く様々なプロジェクトや新たな取組を戦略的かつ積極的に展開してまいりたいと考えております。
(平成23年度の重点戦略) 
 本県においては、人口減少や雇用の場の不足、離島などの地域の活力の低下といった構造的課題に加え、景気の停滞や急速な円高の影響等を受け、県民生活を取り巻く状況には大変厳しいものがあります。このような中、来年度は、新たな総合計画の初年度にあたり、「輝く長崎県づくり」に向け、本格的なスタートを切ることとなります。
 このため、平成23年度においては、本県が抱える様々な課題に正面から向き合い、総合計画に掲げる3つの基本理念と 10の政策の実現に必要な基盤を築いていくため、既存事業を思い切って見直し、新たな施策や事業に積極的に取り組んでいく必要があります。一方、厳しい経済情勢や、九州新幹線鹿児島ルートの開業などの状況の変化を踏まえた、県民の雇用・くらし、経済の活性化等に関わる取組については、実効性のある具体的施策を着実に実施していくことが求められております。
 このようなことから、平成23年度は、まず、県政の具体的課題の解決に向け、県内の知恵と力を結集するための仕組みの創設を検討するなど、これまで以上に県民や地域、団体等の皆様との連携を強化しながら、その「総合力」を発揮してまいります。
 その上で、総合計画に掲げる施策の中でも、雇用、医療、子ども・若者、高齢者などの支援をはじめセーフティネットの充実に力を入れるとともに、本年度から先行的に取り組んでいる2011交流拡大プロジェクトやアジア・国際戦略、雇用や所得の確保につながる産業の振興対策などについては、着実な前進や具体的な成果に結び付けることができるよう全力で取り組んでまいります。また、次代を担う新たな産業の育成や地域発の地域づくりへの支援、それらを支える人づくりなど、将来を見据えた取組についても、新たな種まきを行いながら、確かな足掛かりを得ることができるよう戦略的に取り組んでまいりたいと考えております。
 それでは、平成23年度の重点戦略について、「長崎県総合計画」の3つの基本理念に沿ってご説明いたします。

1 人が輝く長崎県
 本県の未来を託す子どもたちを育むため、子どもや子育て家庭を途切れることなく支援する体制づくりを進め、市町や地域
と連携しながら、家庭の養育力・教育力の向上に取り組むとともに、学力調査結果を踏まえた公立小中学校の学力向上対策、私立高等学校等の魅力ある学校づくりへの支援など、子どもたちの個性を生かし、能力を伸ばす教育を推進してまいります。
 また、県民の皆様が安心して暮らすことができるよう、新・鳴滝塾構想による研修医の確保をはじめ、救急医療、離島医療など地域の医療体制の構築に取り組むとともに、子ども・若者を総合的にサポートするワンストップ相談窓口の設置、児童虐待の防止・支援体制の強化、独居高齢者等の見守りや認知症高齢者の支援を地域で行う体制づくりなど、一人ひとりをきめ細かく支える支援の充実を図ってまいります。
 さらに、若年者の就職環境が大変厳しい状況にあることを踏まえ、フレッシュワークの相談員の増員による未就職卒業生への支援拡充、求人・求職情報サイトを活用したミスマッチ解消への支援など雇用対策を一層強化するとともに、女性が活躍できる環境の整備や女性力を活かした地域の活性化、地場産業の人材確保や農林水産業における新規就業者の受入体制の強化など、人を育て、人を活かす取組に力を入れてまいります。

2 産業が輝く長崎県
 働く場の確保は、生活の安心の基礎をなすものであり、厳しい経済状況が続く中、雇用や所得の確保に効果の高い施策を重点的に推進するとともに、将来を見据えた次代を担う力強い産業の育成に全力を挙げて取り組んでまいります。
 力強く豊かな農林水産業を育てるため、規模拡大や付加価値向上、コスト削減等による産業として成り立つ強い経営体の育成を目標に掲げ、認定農業者への徹底したフォローアップ、法人化や農地の集積化、6次産業化、生産性向上対策等への支援の充実を図るとともに、流通対策として、農産加工品認証制度の構築、県外の地域中核量販店等の新たな流通チャンネルの開拓、農産物のテスト輸出の支援などにも取り組んでまいります。
 水産業においては、収益性の高い安定した漁業・養殖業を目指し、コスト削減や経営の安定化を図る認定漁業者等への設備資金の無利子化や融資限度額の引き上げ、クエ等の養殖技術の確立やクロマグロの完全養殖などに取り組むほか、赤潮の監視体制の確立、本県独自の技術を活かした新商品開発や販路拡大による「もうかる水産加工業」の育成、漁業者による藻場・干潟等の保全対策への支援などにも力を入れてまいります。
 次代を担う産業と働く場を生み育てるため、地場産業の育成に向け、産学官金からなるチームの支援等を通じた企業間連携の促進による競争力強化、県内陶磁器産地のブランド確立に向けた販路拡大支援などを推進するとともに、大型の企業誘致に対応できる市町営工業団地の整備支援、低炭素化・グリーン化技術の開発や東京大学生産技術研究所との連携による新産業の創出などにも取り組んでまいります。
 また、「龍馬伝」の放送終了や九州新幹線鹿児島ルートの全線開業に対応し、「食」と各地域の観光資源を融合させたイベントの開催など、2011交流拡大プロジェクトを全力で推進し、「孫文・梅屋庄吉と長崎」の取組、長崎歴史文化博物館の企画展や常設展の充実、スポーツの国際大会を活用した交流拡大など、地域の魅力を磨き上げ、国内外から人を呼び集める取組に力を入れてまいります。
 さらに、アジアと世界の活力を本県に呼び込むため、「龍馬伝」などの本県がロケ地となる映画・ドラマの海外放送の活用や物産と観光が連携したPRの強化による中国や韓国などからの観光客の誘客を推進するとともに、海外からのチャーター便の3倍増を目指してまいります。また、新たに、長崎港におけるクルーズ船受入拡大のための母港化や国際ゲートウェイ機能再構築と併せた上海航路等の開設の可能性調査、観光・物産・産業等の経済交流促進に向けた中国における拠点設置の検討、外国人観光客受入施設の設備改善支援等に取り組むほか、県内企業の中国進出や県産品輸出のサポート、外国人留学生の受け入れ支援などにも力を入れてまいります。

3 地域が輝く長崎県
 地域が輝く長崎県をつくるためには、それぞれの地域に住む方々の思いを地域づくりに活かしていくことが大切であり、本年度創設した「がんばらんば長崎」地域づくり支援事業などを活用して、「地域発の地域づくり」の取組を県を挙げて支援してまいります。
 また、広く県民に、地域づくり活動への理解と参加を促す取組を推進するとともに、地域と地域を応援するNPO等の団体とのマッチングの促進や、自治会などの地域コミュニティを強化するための支援にも取り組んでまいります。
 平成25年3月の離島振興法の改正に向けては、新法制定を目指し総決起大会を開催するなど、機運の醸成と全国に向けた情報の発信に力を入れるとともに、長崎EV&ITSプロジェクトの推進、離島基幹航路の運賃低廉化、さらには、本県のしまの魅力の発信や本土の子どもたちの離島での教育体験活動の促進など、離島地域の活性化と交流拡大を促進してまいります。
 また、安全・安心で快適な地域をつくるため、引き続き、学校の耐震化の推進や地域の防災体制の強化を図り、自主防犯活動などの安全で安心なまちづくりに市町と一体で取り組むとともに、「ナガサキ・グリーンニューディール」の推進に向け、県内企業が有する技術を活かした省エネ設備等の導入促進や環境実践モデル都市の取組に対する支援、県民総ぐるみの運動による地球温暖化対策の推進に力を入れてまいります。
 さらに、地域づくりを支えるネットワークの構築に向け、九州新幹線西九州ルート(長崎ルート)の平成30年4月の武雄温泉〜長崎間フル規格による一括開業を目指すとともに、島原道路をはじめとする幹線道路網の整備、離島地域の航路等の交通対策などを推進してまいります。

(中国への訪問)
 去る11月15日から20日まで、末吉議長をはじめ県議会議員の皆様、中国と縁のある関係市や経済界、華僑関係者等各界の皆様とともに、中華人民共和国を訪問いたしました。
 今回の訪問では、本県と友好県省の関係にある福建省との友好交流をさらに深めるため、長崎歴史文化博物館と福建博物院による交流協定を締結したほか、将来の国際定期便開設に向けた福建省及び香港からの国際チャーター便の誘致活動や、香港・福岡間の直行便の10月31日からの再開を捉えた香港での本県観光のPRなどを行ってまいりました。
 また、今回の訪問では、陳 樺福建省副省長をはじめ、袁 栄祥福州市書記及び蘇 増添福州市長、劉 賜貴廈門市長、イヴォンヌ・チョイ香港特別行政区政府商務経済発展省事務次官と会見することができ、経済、観光、文化など様々な分野における交流の拡大について意見交換を行うとともに、孫文と梅屋庄吉をテーマとした本県の取組を紹介し、皆様のご協力をお願いしてまいりました。
 さらに、洪 荻生廈門航空董事長や、袁 文英EGLツアーズ社董事総経理、袁 士強パッケージツアーズ社ジェネラルマネージャーなど、航空事業者や旅行事業者等の経済界の皆様と会見し、本県への国際チャーター便誘致や本県観光のPRを行うとともに、将来に向けた幅広い交流促進について、意見交換を行ってまいりました。
 また、香港では孫中山記念館や日本人墓地を訪問する機会を得ることができ、孫文と梅屋庄吉との深い縁について改めて実感するとともに、孫中山記念館では、来年度の企画展に向けた資料提供等のご協力についてお願いをしてまいりまいた。
 今後とも、長年築いてきた中国との交流の絆を大切にしながら、友好親善はもとより、観光や物産等の経済交流など幅広い分野での交流拡大に努めてまいります。
(「龍馬伝」を活用した取組)
 本年1月から放送が始まった大河ドラマ「龍馬伝」が、昨日をもって終了いたしました。
 県としては、この機会に、市町や観光業界などと連携した観光客誘致に全力で取り組むとともに、本県の観光・文化・物産を一体としてPRする物産展を全国17都市で開催するなど、積極的な取組を展開してまいりました。
 この間、長崎歴史文化博物館やハウステンボスをはじめ、多くの観光客の皆様に本県を訪れていただくとともに、県内各地で県民も一体となり、龍馬に関わる様々な取組が展開され、地域活性化の機運が盛り上がるなど、「龍馬伝」は、本県に大きな経済効果と活力をもたらしたものと考えております。
 また、「龍馬伝」は、今月15日から台湾における海外放送が開始され、さらに今後も、韓国やタイにおいて放送される予定となっており、県では、既に、台湾での放送開始にあわせて、「2010台北国際旅行博覧会」における現地旅行会社とタイアップした旅行商品の造成・販売、メディアを活用した本県情報の発信などに取り組んでおります。今後とも、「龍馬伝」の海外放送を捉えた誘客拡大に努めるとともに、この流れを「孫文・梅屋庄吉と長崎」の取組へとつなげ、引き続き、本県観光の活性化を図ってまいりたいと考えております。
(九州新幹線西九州ルート(長崎ルート)の推進)  
 九州新幹線西九州ルート(長崎ルート)については、現在、鈴田トンネルなど5つの工区で工事が順調に進んでおります。
 しかしながら、一方で、諫早〜長崎間の整備については、必要な財源の確保等が課題となっており、未だ未着工となっている状況にあります。本県としては、西九州ルートの整備効果を最大限に発揮するためには、武雄温泉〜長崎間のフル規格整備による一括開業が必要であると考えており、これまでも国に対し、強く要望してきたところであります。
 整備新幹線の財源に関しては、事業仕分けや会計検査において、鉄道建設・運輸施設整備支援機構が有する利益剰余金を国庫に返納するべきであるとされ、野田財務大臣も一般会計の財源として活用する方針を示されておりますが、本県としては、利益剰余金が発生した経緯から、ぜひ整備新幹線の整備などの鉄道機能の活性化に活用していただきたいと考えております。
 このため、私は、10月15日には末吉議長と共に、また、今月にも、2日には整備新幹線関係18都道府県期成同盟会、26日には末吉議長や県議会新幹線議員連盟の役員の方々、県内経済団体の皆様と共に、国への要望を実施いたしました。
 要望においては、民主党陳情要請対応本部や国土交通省政務三役などに対し、武雄温泉〜諫早間の整備促進や本年度予算で留保されている90億円の執行に加え、鉄道建設・運輸施設整備支援機構の利益剰余金を活用した、肥前山口〜武雄温泉間の複線化及びフリーゲージトレインの開発促進と、諫早〜長崎間の速やかな認可・着工を、強く訴えたところであります。
 今後とも、県議会のご協力を得ながら、佐賀県やJR九州、沿線自治体、経済界とも連携し、これらの課題の解決を国等にさらに強く働きかけてまいります。
(航路対策の推進)
 本県と熊本県が共同設置者である有明海自動車航送船組合が運航する有明フェリーにおいては、3隻中2隻のフェリーが建造から20年以上経過し老朽化しておりますが、高速道路料金の割引制度の影響等により利用実績が大幅に減少し、自己財源による新船建造が厳しい状況となっております。
 このため、その対応について両県で協議を重ね、先般、安全かつ安定的な運航を継続するうえで緊急的な対応が必要な1隻の建造について、支援を行うことで調整が図られ、本県においては、国から社会資本整備総合交付金7億円を受けて有明フェリーに補助金として交付することとし、本議会に予算を提案しているところであります。なお、熊本県では、交付金の残事業費3億円分について、無利子貸付による支援を行うこととされております。
 今後は、有明海自動車航送船組合と、新船の建造や運賃の割引制度の検討に向けた具体的な協議を進めるとともに、同航路を利用した観光交流の推進にも取り組んでまいります。
(環太平洋連携協定(TPP)の動向)
 環太平洋連携協定(TPP)に関しては、11月1日の臨時会において決議いただいた「農林水産物等の貿易自由化に関する意見書」を、翌2日に末吉議長から関係大臣等に提出していただくとともに、あわせて県としても要望を行いました。
 国においては、11月9日に「包括的経済連携に関する基本方針」が閣議決定され、TPPに関しては、情報収集を進めながら対応していく必要があるとして、交渉に直ちに参加するとの表明はなされなかったものの、国内の環境整備を早急に進め、関係国との協議を開始するとの方針が示されております。
 TPPに参加し、関税が撤廃されれば、競争力が増し輸出が促進される産業分野もありますが、安価な輸入農林水産物が大量に出回ることとなり、農林水産業はもとより、農山漁村の有する多面的機能、地域経済に計り知れない影響を及ぼすものと考えており、本県では、農業産出額が約497億円、水産業産出額が約180億円減少し、極めて深刻な影響が生じるものと試算しております。
 国は、食と農林漁業の再生推進本部を設置し、来年6月を目途に基本方針、10月を目途に行動計画を策定することとしていますが、県としては、持続可能な農林水産業を育てるための道筋を明確にし、国民の合意を得る必要があると考えており、今後も十分な時間をかけ慎重に検討するよう求めてまいります。
(新たな離島振興法の制定実現に向けた取組)
 平成25年3月に期限を迎える離島振興法の改正に向け、新たな離島振興のあり方について検討いただくため、去る9月1日に「長崎県離島振興懇話会」を設置いたしました。これまでに3回の会議を開催し、輸送コストの低減、離島航路対策、ソフト施策への転換、医療従事者の確保、無人島の再評価、離島の優位性を活かした地域づくりなどに関し、活発な議論が交わされており、本年度末までに、国境離島・外洋離島を有する本県の実情にあった思い切った施策をご提言いただきたいと考えております。
 このような中、私は、10月18日に開催された第136回九州地方知事会議において、離島が置かれている厳しい状況やガソリン価格の格差が定住促進や産業発展の阻害要因となっている現状に鑑み、「離島地域における揮発油税の減免」に関する提案を行い、特別決議として採択されました。県議会におかれては、9月定例会において同趣旨の意見書を決議いただいており、揮発油税減免は、離島の不利条件を緩和し、島民の負担軽減と離島の活性化に大きな効果が期待されることから、今後も国に積極的な働きかけを行ってまいります。
 また、10月23日には、対馬市において「国境離島・外洋離島フォーラム」を開催し、国会議員、国土交通省をはじめ、離島関係都県、県議会、県内市町の関係者や地元島民の皆様など約600人の参加のもと、本土との輸送コストの格差是正や社会資本整備などを国に求める共同アピールを発表するなど、盛会のうちに終了いたしました。
 現行法の期限が迫る中、離島の重要な役割や厳しい状況について理解が深まり、国民的な機運が高まるよう、今後とも新たな離島振興法の制定実現に向けた取組を強化してまいります。
(九州各県が連携する取組)
 先の九州地方知事会議において、現在、国が進めている出先機関を原則廃止する取組のなお一層の推進を促すため、国の出先機関の廃止に伴う事務の受け皿となる「九州広域行政機構(仮称)」の設立を目指すことが合意されました。
 この機構は、現行の広域連合とは異なるものを想定していることから、九州地方知事会としては、引き続き検討を深め、政府に対して新たな立法措置を求めていくこととしており、今後、国の動向も踏まえつつ、県議会とも十分にご相談しながら、九州地方知事会を通じた取組を図ってまいります。
 また、新成長戦略のプロジェクトの一つとして国がアイデアを募集した総合特区を活用しながら、九州全体で観光の活性化や産業の振興を図っていく取組として、九州地域戦略会議において本県から、5項目にわたる提案を行いました。このうち「国際観光アイランド九州の形成」と「国際医療ツーリズムの拠点九州の実現」の2つの提案については、九州観光推進機構が国に提案した「九州アジア観光戦略特区」の中に、その趣旨が盛り込まれたところであり、その他の提案についても、引き続き、九州地域戦略会議で研究していくこととされております。
 なお、総合特区については、本県単独の取組としても、地域産業の振興や交流人口の拡大等により離島の再生を目指す離島振興総合特区など、5件のアイデアを提案しております。
(文化・スポーツによる活力の創出)
 去る9月24日から11月21日まで、県内9市1町において、県内各地の地域資源を活かし、地域の皆様の参画を得ながら、音楽によるまちおこしと賑わいづくりを目指す「ながさき音楽祭2010」を開催いたしました。
 今年は、各地のホールや長崎県美術館、長崎歴史文化博物館、商店街、酒蔵などで大小様々なコンサートを行ったほか、初めての取組として、ダンスによるまちのにぎわいづくりを目指す「雲仙音楽祭」を雲仙市と共同して開催するなど、約3万人の方々に参加をいただきました。今後とも、県民の皆様に音楽を身近に楽しんでいただくとともに、地域主体のまちづくりにつなげることができるよう取り組んでまいります。
 来年8月の大村市での開催が決定した「第24回FIBA(フィバ)アジア女子バスケットボール選手権長崎/大村大会兼 2012年ロンドンオリンピックアジア地区予選」の大会運営を行う組織委員会が、11月1日に設立されました。同大会は、本県では初めての国際的な競技大会であり、県としては、地元大村市のほか、長崎市、長崎県バスケットボール協会とともに組織委員会に参画し、大会の成功に向けて、一体となって支援を行ってまいりたいと考えております。
(新たな行財政改革に関する計画の策定)
 地域主権改革の時代においては、国と地方の関係も抜本的に変化し、地方は、国の政策に依存するのではなく、地域の課題について自ら考え判断し、住民が必要とする政策を責任を持って実践していくことが求められます。
 こうした中、本県が自立した行政運営を行っていくには、時代の変化や本県の実態を捉えた行財政システムの見直しが不可欠であり、今後とも、新たな視点から更なる行財政改革に取り組んでいく必要があるものと考えております。
 このため、本年7月から長崎県行財政改革懇話会において活発なご議論をいただき、去る11月19日に、今後県が取り組むべき行財政改革に関する意見書が取りまとめられております。
 これまで県議会からいただいたご意見や同懇話会の意見書を踏まえ、このたび新たな行財政改革に関する計画素案を取りまとめたところであり、県議会でのご議論やパブリックコメントによる県民の皆様のご意見をお伺いしながら、さらに検討を重ね、今年度中の計画策定を目指してまいります。
(道路整備の推進)
 県では、産業の振興や離島・半島などの地域の活性化を支援し、住民生活の利便性の向上を図るため、広域的な幹線道路や生活に密着した道路の整備に積極的に取り組んでおります。
 昭和50年から整備を進めてきた都市計画道路浦上川線については、これまで、完成した区間から順次供用してまいりましたが、残されていた梁川橋東交差点から幸町交差点までの区間が完成し、今月21日に開通いたしました。今回、長崎市松山町から元船町までの全線が開通したことにより整備効果が飛躍的に拡大し、国道206号をはじめとする長崎市中心部の慢性的な交通渋滞の緩和に、大きく寄与するものと期待しております。
 また、24日には、諫早市の国道207号の長田バイパスが全線開通したほか、伊王島大橋や長崎自動車道の長崎インターと女神大橋を直結する唐八景トンネルについても、来年春の完成に向け順調に工事が進展しております。
 一方で、道路整備の今後の見通しについては、国の公共事業の削減により厳しい状況にありますが、県としては、道路整備に対する要望が引き続き地域から多く寄せられている現状も踏まえ、今後とも、地域づくりを支える道路の整備に必要な財源の確保に努めてまいります。
(石木ダムの推進)
 ダム事業については、国の補助により行う事業にあっては、各道府県において検証に係る検討を行うよう9月に国から要請があり、本県においては、石木ダムと浦上ダムが検証の対象とされているところであります。
 石木ダムについては、今回、検証を実施するにあたり国が定めた「再評価実施要領細目」に基づき、関係地方公共団体である佐世保市、川棚町、波佐見町とともに、「検討の場」を設けることとしており、年内には第1回目の会議を開催する予定としております。今後は、この「検討の場」において、川棚川の治水対策及び佐世保市の慢性的な水不足の解消を図るための複数の代替案を立案し、学識経験者や関係住民等のご意見をお聞きするとともに、事業評価監視委員会の審議を経たうえで、県としての対応方針を決定することとなります。
 未だご理解が得られていない地権者の皆様とは、これまで複数回お会いし、直接皆様のお気持ちをお聞きすることができましたが、今後とも、こうした検証とあわせて、話し合いを誠心誠意継続させていくことで、一日も早くご理解をいただくことができるよう、最大限の努力を傾注してまいります。
(会計検査院の検査報告)
 今月5日、会計検査院の平成21年度会計検査結果についての報告が行われました。会計検査院においては、平成19年度から全国の都道府県等における不適正な経理処理について検査を行っており、平成21年度は、本県を含めた10都県で検査が実施されています。
 今回の検査報告において、本県は、物品等の購入や印刷製本費などを主な内容とする需用費のほか、賃金、旅費を合わせ約9,208万円、うち国庫補助金相当額として約3,656万円の指摘を受けております。
 このうち、需用費については、会計検査院が検査した17業者のうち4業者の取引について、不適正な経理処理があったと指摘されました。これは、不適正な経理処理に関する考え方及び事実認定に会計検査院と県で相違があったこと、平成18年度に行った内部調査及び外部調査委員会の検証の際申告されていた額以外に申告漏れがあったこと、業者から提出された帳簿に不正確な点があっても県が反証できなければ不適正な経理処理として指摘されたことなどによるものであります。
 需用費については、今回の指摘額の約9割が1業者に集中しており、県としては、この業者を中心として指摘内容等について、庁内に設置した調査チームにおいて、現在、調査を行っているところであります。
 また、賃金及び旅費については、国庫補助事業の対象としてこれまで認められていたものが対象外とされるなど、会計検査院と県の考え方の相違から生じたものであります。
 県としては、会計検査院からの指摘に対し、主張すべきところは主張し、反論すべきところは反論してまいりたいと考えております。
 需用費については、平成18年度の調査を受け再発防止策を講じた後の指摘はなく、再発防止策の効果が発揮されているものと考えておりますが、今回、このような指摘を受けたことについては誠に遺憾であり、このことを真摯に受け止め今後の調査等に全力を尽くしてまいります。

 以上、当面する県政の諸課題について申し上げましたが、県政全般にわたり、今議会において、さらなるご意見、ご提案を賜りたいと存じます。
 次に、議案関係についてご説明いたします。
 まず、補正予算でありますが、今回は、国の経済危機対応・地域活性化予備費の活用への対応、職員給与費の既定予算の過不足の調整及び給与の改定等に要する経費、その他緊急を要する経費について編成いたしました。

一般会計
45億3,940万8千円
の増額
特別会計
6,675万8千円
の増額
企業会計 336万2千円 の増額
補正をしております。
 この結果、現計予算と合算した本年度の一般会計の歳入歳出予算額は、
 
7,434億6,267万4千円
 
となり、前年同期の予算に比べ、
 
660億2,033万4千円
 

の減となっております。
 次に、予算以外の議案のうち、主なものについてご説明いたします。
 第112号議案「長崎県未来につながる環境を守り育てる条例の一部を改正する条例」は、大気汚染防止法及び水質汚濁防止法の改正に伴い、ばい煙等の量等の測定結果の未記録、虚偽の記録等に対し罰則を創設するなど、所要の改正をしようとするものであります。
 第123号議案「県道路線の認定について」は、都市計画道路「久原池田線」と「池田沖田線」について、新たに一般県道「大村外環状線」として路線の認定をしようとするものであります。
 第135号議案「職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例」は、去る10月8日に行われた県人事委員会の「職員の給与等に関する報告及び勧告」並びに国家公務員の給与の取扱いの状況等を踏まえ、関係条例を改正しようとするものであります。
 その他の案件については、説明を省略させていただきますので、ご了承を賜りたいと存じます。

 以上をもちまして、本日提出いたしました議案の説明を終わります。
 なにとぞ、慎重にご審議のうえ、適正なるご決定を賜りますようお願い申し上げます。

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