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平成28年4月1日 平成28年度知事訓話

 みなさん、こんにちは。
 今日は年度の初めの大変お忙しい時にこうしてお集まりいただきありがとうございます。
 年度の初めに当たりまして私の思いの一端を皆様に直接お話させていただき、課題を解決し長崎県の活性化に向けて改めて全力で取り組んでまいりたいと考えておりますので宜しくお願い申し上げます。
 ご承知のとおり今年は新しい県の総合計画チャレンジ2020のスタートの年を迎えています
 前回の総合計画が完了し計画の基本理念のもと様々な施策を実施してまいりましたが地方創生について、いよいよ国をあげて取り組まねばいけないという状況の中で人・産業・地域をしっかり活性化していくという基本理念はそのまま継続してまいりたいと考えているところであります。
 本県は長く人口減少・県民所得の低迷、地域活力の低下という課題に直面してまいりましたが、特に人口減少問題が大きな課題となっているところであります。
 この50年間で33万人の人口が減少いたしましたが、今後50年間で65万人の人口が減少し、ちょうどこれまでの倍のスピードで人口が減少して参りますので、何としても、こういった流れに歯止めをかけていかなければいけないと思っているところでございます。
 社会減、自然減、それぞれの動きに対して具体的な処方箋を準備し、プロジェクトを立ち上げて取り組んでいく必要があると思いますので、引き続き、関係部局の皆様方のご協力をお願い申し上げる次第でございます。
 こうした流れは、本県にとどまらず、全国同じような流れにあるのではないかと考えております。そういった意味では地方創生に向けて様々な支援施策が準備されておりますけれども、これからは正に地方の知恵比べ、全国的に有益だと思うような事業を優先して採択される時代になってきているわけでありますので、これまでと同じような施策の進め方、課題認識では不十分であると思っております。新しい発想、新しい視点が求められていくものと、こう考えておりますので、これからの知恵の出し比べにしっかり勝ち残っていかなければいけないと思っているところであります。
 これまでも、人・産業・地域の活性化のために様々な施策を推進してまいりました。一人一人の思い、痛みに敏感に反応した政策として、医療、福祉、子育て支援対策の充実、様々な分野の産業の活性化と雇用の場の確保・拡大、そして、地域発の地域づくり、こういった施策を積極的に推進してきたところでありますが、まだまだこういった人口減少を初めとする構造的な課題の解決までには至っておりません。ただ、少しずつ改善の兆しが見えつつあるのは事実ではなかろうかと考えております。
 幾つか例を申し上げますと、一つは、観光の分野でありますけれども、これまでの観光客延べ数は、平成26年には3,265万人、過去最高を記録したところであり、その後もまた増加傾向で推移して、さらなる拡大が見込まれているところであります。
 好調に推移してまいりましたクルーズ客船の入港数、これも平成25年度は48隻でありましたけれども、92隻、180隻、そして今年は約260隻の入港が予定されているところであり、観光客数は順調に推移してきつつあると思っております。
 問題は、そのことが県民所得の向上にどのくらい結びついているのか。確かに、観光業分野においても人材確保難という状況にはなっておりますけれども、これからもっともっと観光産業の付加価値を高めていく必要があるものと考えております。平成25年度からこれまで県民所得向上対策に力を注いでまいりました。にもかかわらず、長崎県が44位、45位、46位、いわゆる日本の中でも一番下位の位置に甘んじていなければいけなかったか反省をしてみますと、やはり産業構造の問題に直面してくるわけであります。
 これは一般的に言われている話でありますけれども、所得の構造を見てみますと、製造業が1人当たり大体500万円ぐらいと言われております。そして、建設産業が約400万円。観光産業が幾らぐらいかというと、300万円ぐらいの所得構造になっております。
 したがいまして、観光業は本県の基幹産業の一つであり、順調な伸びを示していると言いつつも、これからはもっともっと付加価値を高めて、サービスの質を高め、富裕層を呼び込んでいくような、そういう観光産業の構造改革にも力を注いでいく必要があると考えているところであります。
 一方、近年、比較的順調に推移しておりますのは企業誘致であります。これまでも自動車関連産業の誘致に全力を注いでまいりましたけれども、そういった分野にとどまらず、例えば、ホテル業、バックオフィスセンター等の立地が相次いでいるところでありまして、5年間の雇用の場の拡大目標は2,100人でありましたけれども、それを超える約2,600人ぐらいの雇用の拡大に結びつけることができたところであります。
 これからは、好調に推移しているオフィスの誘致に力を注いでいく必要があるわけでありますけれども、残念なことにオフィスフロアが足りなくなっております。そういった中で県の行政が主体的な役割を担って新たなオフィスビルを建設しようと、こう考えているわけでありますけれども、こうした取組はいつまでも続けるわけにはいきません。やはり民間活力を最大限活用しながら、役割分担をしながら、そういった施策を推進していく必要があると考えており、幅広い県民の皆様方との協働・連携体制を構築していかなければいけないと思っているところであります。
 一方、有効求人倍率でありますが、リーマンショック後、0.41倍という非常に厳しい状況がございましたけれども、その後、徐々に改善傾向で推移し、去る2月の就業地別の有効求人倍率は1.16倍ということでありまして、実質的に福岡県、あるいは大阪府とほぼ変わらないぐらいのレベルまで回復したところであります。
 これまで人口減少の最大の要因は若い人たちの働く場がない、職場がないので県外に出てしまうんだということが言われてまいりましたけれども、一定、働く場は確保できているということであります。もちろん、若い人たちのことでありますので、1度は県外に出てみたい、ひとり暮らしをしてみたい、東京に住んでみたいというような希望をお持ちの方々も決して少なくないわけでありますけれども、地元で頑張ってみたいと思っていただいている方々には、しっかりと地元の様々な情報を提供し、定着していただけるような取組をさらに進めていかなければならないと考えているところであります。
 3月の高校卒業予定者の求人状況でございますが、県内就職希望者の2.3倍を超える求人数が寄せられております。そういう意味では県内産業も実は人材確保難に直面しているわけであります。これからは、そういったミスマッチの状態をどう一つ一つ雇用の場に結びつけていくか。さらには、具体的な雇用環境の改善にどう取り組んでいくかというようなことが大きな課題になってくるものと考えております。
 このように様々な分野で改善傾向が進んでいるところでありますが、残された課題も数多くあるのは事実であります。引き続き、所期の目標達成のために本年度は本腰を入れて取り組んでいかなければいけないと思っております。
 国は、「一億総活躍社会の実現」ということで新たな三本の矢に重点的に取り組むこととしております。経済、子育て支援、社会保障、この施策を重点的に推進するとともに、地方創生に対しても多様な支援策を講じることによって、これを深化させていきたいということであります。こういったチャンスをしっかりと生かして県内経済の活性化に結びつけていかなければいけないと思っております。
 いつも申し上げることでありますけれども、こうした様々な課題の解決を図ってまいりますためには、行政がいかに知恵を絞って旗を振っていっても、民間の皆様方の協力なしには、到底、目標達成は不可能なのであります。主体はいつも県民の皆様方なのであります。各市や町、関係団体の皆様方とこれまで以上に連携を強化し、思いを一つにして、一つ一つの課題の推進に力を合わせて取り組んでいく必要がある。雇用を改善するにしても、産業を活性化するにしても、子育てを進めるにしても、各関係の皆様方と連携のもとに目標達成を目指していかなければ、到底不可能な課題ばかりでありますので、是非そういった事業の展開の方法についても、いま一度見直していただいて目標達成を目指していただきたいと考えているところであります。
 今日は折角の機会でありますので、新たな県の総合計画「チャレンジ2020」の柱に沿って少しだけお話をさせていただきたいと思います。
 5つの将来像を掲げております。
 まずその1つ目は、「交流でにぎわう長崎県」であります。
 申すまでもなく、長崎県は、人を呼び、交流の中で発展をしてきたまちでございます。国内にとどまらず、これからも海外との交流をさらに拡大し、県政の活性化に結びつけていかなければいけないと考えております。今年10月には国内最大の誘客キャンペーンであります「長崎デスティネーションキャンペーン」が10月から12月までの期間で展開されるとお聞きしております。加えて、10月15日から18日までは「ねんりんピック」が開催されます。さらには、先ほど申し上げましたけれども、クルーズ船の大幅な寄港数の増加も期待されているところであります。こうした機会を生かしながら、反面、大変残念なことに、「長崎の教会群」の世界遺産登録は、一旦、推薦書を取り下げるということになってまいりましたけれども、その他の仕掛けは健在なのであります。この機会をしっかり生かしながら、県内経済の活性化に結びつけていかなければならないと思っております。
 先ほど申し上げましたように、これまでの誘客対策に併せて、国内外からの富裕層、あるいはリピーターの獲得に向けて仕掛けをつくっていかなければいけません。そして、地域の観光まちづくりを進めるための主体的な推進母体となりますDMOの創設・育成に向けて、しっかりと支援体制を構築し、前に進めていきたいと考えているところであります。ソフト・ハード両面にわたって観光まちづくりを推進し、変わらぬ受け皿体制の充実に向けて努力をしてまいりたいと考えているところであります。
 加えて、去る3月には、東京日本橋に「長崎館」を開設いたしました。ここを首都圏における新たな拠点として長崎県の魅力の発信、そして、誘客の拡大に結びつけていかなければいけないと考えているところであります。
 併せて、「アジア・国際戦略」の観点から申し上げますと、ご承知のとおり、中国においては、上海市との友好交流関係樹立20周年の節目を迎えてまいります。一方、韓国との関係においては、朝鮮通信使の関係資料の世界記憶遺産登録の手続が進められているところであります。こういった交流のチャンスを生かしながら、情報発信と誘客拡大に結びつけていかなければならない。そしてまた、ベトナムとの新たな友好関係が進展していきつつありますので、そういった海外、東南アジア等にも目を向けた誘客確保対策に力を注いでまいりたいと考えております。
 一方、海外との交流基盤でありますが、航空路線の整備充実が大きな課題になっております。ご承知のとおり、韓国の定期航空路線は、今、運休中であります。同じような形で料金で競争すると、これはやはり福岡との競争には負けるということでありますので、先ほど申し上げましたように、長崎ならではのコンテンツを準備し、特色ある旅行商品を開発し、誘客に結びつけていきたい、こう考えているところであります。
 こういった努力に併せて、上海線のさらなる活用、そして、香港便等の開設に向けた取組、加えて長崎空港の24時間化の達成に向けて、これは民間の皆様方の知恵と力をお借りしながら、しっかり取組を進めていただきたいと考えているところであります。
 また、人口流出に対する取組でありますけれども、長崎は決して他県に引けをとらない魅力ある地域であると思っております。これまで以上に長崎の住みやすさに目を向けていただき、相談・移住・定住に至るワンストップの支援体制を整備していくことといたしております。
 近々、「移住サポートセンター」を開設することになっておりますが、大都市圏等の移住希望者の掘り起こし、そして、具体的な移住の実現、受け皿の整備に結びつけてまいりたいと考えております。
 移住対策と定住対策を一体的に推進できるような取組を進めていただきたいと思っております。
 また、「CCRC」の構想等についても、現在、国の制度改正等が予定されておりますので、その動きを注視しながら積極的な対応を図っていただきたいと思っているところであります。
 併せて、文化、スポーツを生かしたまちづくりと交流人口の拡大対策、先般は、「スポーツコミッション」を民間の皆様方と一緒に立ち上げたところであります。そのようなチャンスを生かして交流人口の拡大を目指してまいりたいと考えております。
 2つ目の将来像は、「地域のみんなが支えあう長崎県」であります。
 人口減少は、暫らくは続いていくものと思っております。合計特殊出生率が2倍を超えたとしても、子どもを生んでいただくお母さん方の数が相当数減ってきているわけでありますので、一挙に人口が回復することは難しい。したがって、暫らく人口減少は続くと覚悟しなければいけないと思っておりますが、そうした中でやはり地域活力の低下は、大きな問題になってくるものと思っております。
 したがいまして、若い人も年をとられた方も、男性の方々も女性の方々も、障害のある人もない人も、共に守り合い、助け合って、地域をしっかりと支えていく、そういう社会づくりを進めていかなければいけないと考えております。
 先の総合計画においても、医療、福祉、子育て支援対策の充実に力を注いでまいりましたけれども、いよいよ2025年問題も目前になってまいります。現在、地域医療構想の策定に向けた手続が進められていると思っておりますが、より効率的で質の高い医療提供体制の構築、さらには、地域包括ケアシステムの構築に向けて、医療・介護の連携体制、看護・介護人材の育成対策の充実を進めていただきたいと思っております。
 加えて、先の佐世保事案の際に大きな課題となりました発達障害児に対する見守り体制の整備・充実、これも大きな課題になっております。教育や福祉、医療等の関係分野、あるいは同じ教育の分野での幼稚園から小学校、中学校に至るまで、様々な情報の共有を図り、連携体制の構築を進めていかなければならないと思っているところであります。
 併せて、全国的な課題ともなっておりますが、いわゆる貧困の連鎖、こういった課題にもしっかり目を向けながら、支援対策の充実に力を注いでいかなければいけないと思っております。
 長崎県の大学進学率は、平均いたしますと41%程度です。全国平均が50%前後であったと思います。教育県長崎の実現のために力を注いでまいりましたけれども、まだまだ全国平均に至らない。これは確かに大学等教育機関の存在が大きな要素になってきますけれども、先ほどの貧困対策を含めて、しっかりした人材の育成対策にも力を注いでまいりたいと考えております。
 併せて、人口減少がますます進んでいくことを考えますと、女性の皆様方のさらなる活躍の場、高齢者の方々の社会参加の場の充実を図り、積極的な役割を担っていただけるよう、環境整備を進めていく必要があると思っておりますので、そういった点でのご尽力をお願いしたいと思っております。
 3つ目の将来像は、「次代を担う「人材」豊かな長崎県」であります。
 地域を守り、産業を支えるのは人であります。心豊かな、たくましい人材を育成し、地域に定着し、活躍をしていただけるような社会を実現していかなければならないと思っております。
 本県の合計特殊出生率は1.66ということで、全国でも3番目に高い県なのでありますけれども、県民の皆様方の希望出生率2.08にははるかに及ばない状況であります。先の総合計画では、向こう5年間のうちに合計特殊出生率1.8人を達成しようという目標も掲げております。これまで以上に少子化対策に力を注いでいかなければいけないと思っております。
 そのためには、国の制度を積極的に活用しながら、家族を持つことの意義、その魅力等についてしっかりと若い人たちに理解していただけるような取組を進めていかないといけないと考えておりますし、さらなる結婚支援施策の充実、妊娠・出産に対する意識の啓発、あるいは不妊治療支援等の拡充にも力を注いでいくことにいたしております。様々な機会を捉えて情報を発信し、私どものそうした思いもお伝えしながら、その希望をかなえていただけるような環境を整えていかなければいけないと思っております。
 併せて、保育士の修学に対する支援措置の充実、あるいは子育て環境に役立つと考えられます三世代の同居・近居を促進するためのリフォーム支援などの新しい子育て環境の整備にも力を注いでまいりたいと考えているところであります。
 一方、産業を支える人材の育成であります。県内産業の活性化を図り、そういう場をつくるということはもちろんでありますけれども、県内産業に期待される人材、それに沿った人材をしっかりと育成・確保していくことが極めて重要になってまいります。昨年度、「長崎県産業人材育成産学官連携コンソーシアム」も立ち上げました。人材の育成、雇用環境の整備、さらには各産業分野の人材確保・育成戦略の策定、実践に取り組んでいくことといたしているところでありまして、そうした場を通して産学官連携しながら議論を深め、具体的な形で地域の若い人たちに県内企業の魅力を発信していく必要があるものと考えており、既に「Nなび」という情報発信サイトも立ち上げたところであります。
 県内の高校生の皆様方の就職支援体制の充実、そのためのキャリアサポートスタッフのさらなる拡充、県内に定着していただける大学生の方々に対する奨学金の返還支援制度の創設、さらには、産業人材の育成支援、雇用環境の改善・拡充等の様々な取組を進め、若い人たちの県内就職、県内定着を進めていきたいと考えております。
 4つ目の将来像であります。「力強い産業を創造する長崎県」であります。働く場を確保し、優秀な人材を受け入れるに足りる産業を育てていかなければいけません。これまで同様に中堅企業に焦点を当て、その商品開発力、市場開拓力を生かした付加価値の向上、そして、外から仕事を持ってきていただいたものを県内の中小・小規模企業におろしていただくビジネスチャンスの拡大等に力を注いでいかなければいけないと思っております。
 また、本県の産業構造の特徴であります食品産業の高付加価値化、これにも各部局が連携して力を注いでいただきたいと思います。
 さらに、本県の特徴を生かした海洋再生エネルギー関連産業の拠点形成に向けて、これも着実な歩みを進めてまいりたいと考えているところであります。
 併せて、企業誘致については、先ほど申し上げましたように、金融バックオフィスセンター構想の実現に向けた具体的な取組を進めてまいりたいと考えているところであります。
 併せて、地域の大切な基幹産業であります農林水産業の活性化に向けた様々な施策の充実を図ってまいりたいと考えております。力強い経営体の育成、これまで以上に生産効率を高め、流通・販売対策の充実を図っていかなければならないと考えております。付加価値向上に向けた六次産業化、あるいは新規就業者の確保・育成対策に力を注いでいきます。
 特に、農業分野においては、新たにオランダ型農業の本県への導入可能性についても調査研究を進めることにいたしております。
 さらに、水産業分野については、地域にとって大切な役割を担う雇用型漁業の育成、さらには、さらなる流通拡大に向けた取組を積極的に推進してもらいたいと考えているところであります。
 5つ目の将来像は、「安心快適な暮らし広がる長崎県」ということで、安全・安心はもとより、快適な暮らしを送ることができるような地域社会、環境の充実を図っていく必要があると考えております。
 しまを初め、地域活力の低下が大きな課題となっておりますが、今後は地域が一体となって離島ならではの様々な資源を有効に活用しながら、特色ある地域づくり、産業興しに継続して力を注いでいかなければいけないと思っております。新たに「しまねこ」プロジェクトに力を注ぎ、しまならではの特産物等を大消費地に直接紹介するような取組もスタートしてまいります。
 また、水産物を活用した町おこし、あるいは様々な海洋レジャー等を生かした新産業づくりについても、これから地元とも協力をしながら、さらに力を注いでいかなければならないと考えております。
 併せて、長年の悲願でありました国境離島新法が今国会に法案提出がなされております。本県出身の国会議員の皆様方に大変なご努力をいただいているところであります。何としても、今国会内で成立をしていただいて県の活性化のために積極的な活用をさせていただきたいと願っているところであります。
 この国境離島新法が実現いたしますと、施行は来年の4月からということになりますので、こういった法案にもしっかり目を通していただいて、どのような準備、活用を進めていけばいいのか、今のうちから戦略をつくっておかなければいけません。様々な分野に関連が出てまいりますので、国境離島新法の内容を十分把握していただいて、有効活用に向けて今から施策をつくり上げておいていただきたいと考えているところであります。
 また、最後に様々な社会資本の整備でありますけれども、地域の活性化、交流人口の拡大、産業、経済の振興を図る上でも、こういった計画的な社会基盤の整備を進めていくことが極めて重要であります。交通体系の整備を初め、様々な事業が必要となっているわけでありますので、今後とも積極的に国に働きかけ、一歩でも二歩でも前進させていかなければいけません。西九州自動車道、島原道路、西彼杵道路、東彼杵道路、国道34号、様々な課題が残されているわけでありますので、積極的な取組を引き続きやっていただきますようお願いをいたします。
 以上、総合計画の5本の将来像に沿ってかいつまんでお話をさせていただきましたけれども、触れた以外にも様々な課題があろうかと思います。いずれにいたしましても、向こう5年間の計画の新たなスタートを迎えるわけでありますので、県の総力を挙げて、民間の皆様方との連携体制を強化して目標達成を目指してまいりたいと思いますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。
 次に、県政の重要課題のうち幾つかについて触れさせていただきます。
 その一つは、「ねんりんピック長崎2016」の開催です。
 来る10月15日から18日までの4日間、60歳以上を中心とした健康と福祉の祭典「ねんりんピック」が本県で開催されます。
 この大会には、全国各地域の皆様方を含めて50万人の方々の参加が見込まれているわけでありまして、世代や地域を超えた交流の機会に結びつくものと考えております。また、本県の魅力を全国に発信する絶好の機会であります。先の「がんばらんば国体」等では大変なご努力をいただき、本当に成功のうちに幕をおろすことができました。準備に万全を期してまいりたいと思いますけれども、くれぐれも油断のないように、各部局の連携体制、支援体制を是非整えて、我がこととして取り組んでいただきますようお願いを申し上げます。
 2つ目は、世界遺産の登録問題であります。
 これについては、経過についてはご承知のとおり、大変残念なことながら、今年の7月の世界遺産委員会での登録実現を目指してまいりましたけれども、イコモスの中間報告は大変厳しい状況であり、一旦、推薦書を取り下げることとなりました。しかしながら、既にイコモスとアドバイザリー契約を締結し、情報交換を進め、昨日付で推薦書を提出させていただきました。しかしながら、まだまだ内容については磨きをかけていかなければいけないと考えております。引き続き、来年1月の正式な推薦書の提出ができるように、まずは国内の推薦候補資産としての生き残りをかけて全力を注いでいかなければいけません。そして、来年1月の提出後は、再度、イコモスの現地調査を受け、再来年の実現のために引き続き全力で取り組んでいかなければいけません。皆様方には、是非、受け入れ体制の整備を含め、気を許すことなく、様々な取組を進めておいていただきたいと考えております。
 次は、諫早湾干拓事業の開門問題であります。
 これについても既に皆様ご承知のとおり、諫早湾干拓事業の開門問題については、去る1月18日、長崎地裁から和解協議が勧告されました。これは開門によることなく有明海全体の漁業環境の改善を図る方策を検討し、協議を進めるという勧告でございます。これまでも仮に開門がなされると様々な分野に影響、被害が生じることが懸念されたところであり、これまでも開門することなく有明海の再生を目指すために積極的な取組を進めていただきたいというお願いを繰り返してきたところでありますが、今回の和解協議が一つのきっかけとなって真の有明海の再生に結びつけることができるように、関係の皆様方のご協力をお願いしたいと考えているところであります。
 今後の和解協議の進展に重大な関心を持って、その後の動向を見極めてまいりたいと考えております。
 次の課題は、石木ダムの建設問題であります。
 これについても、もう既に40年以上に及ぶ県政の重要課題となってきているわけであります。いまだ合意が得られない地権者の皆様方がいらっしゃることから、現在、土地収用法に基づく手続を進めているところであり、併せて県道の付け替え工事の進捗についても力を注いでいるところであります。
 申すまでもなく、昨年は関東・東北豪雨があり、河川氾濫がありました。一昨年は広島の土砂災害が発生いたしました。近年、予想しないような豪雨による災害が頻発する傾向であり、こうした災害は、いつ起きてもおかしくないとさえ言えるような状況であるわけであります。
 行政として地域の安全・安心を確保するということは、重要かつ必要最小限の責務である、こう考えているところであります。川棚川の抜本的な治水対策、あるいは佐世保市の慢性的な水源不足の解消を図るためにも、この事業は欠かせない事業であると考えておりますので、引き続き、佐世保市や地元川棚町の皆様方と連携しながら、推進に向けて全力を注いでまいりたいと考えているところであります。
 次に、九州新幹線西九州ルートの問題でございます。
 これについても平成34年、できるだけ早い時期に開業を目指すという姿勢が示されておりましたけれども、フリーゲージトレインの開発そのものに課題が生じ、間に合わないということになりました。そうであれば、どういった形で開業するのか。与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームの中に西九州ルート検討委員会を設けていただき、開業のあり方等について検討を進めていただいてきたところでありますが、去る3月29日、この検討委員会の長、そして、国土交通省、鉄道運輸機構、JR九州、そして佐賀県と長崎県の関係6者において、開業についての合意に至ったところであります。
 ご承知のとおり、対面方式によるリレー方式をもって開業を目指すこととなったところでございます。新幹線の開業の平成34年度は確保するということになってまいりましたので、この開業を前提とした様々なソフト・ハードのまちづくり、観光客の受け入れ体制の整備等に変わらぬ力を注いでいかなければいけないと思っておりますので、関係部局のさらなる尽力をお願いしたいと考えております。
 最後の課題は県庁舎の整備であります。
 新しい県庁舎は順調に工事が進められておりまして、平成29年秋頃の竣工を目指しており、平成29年末ぐらいの移転を予定しているところであります。この新庁舎は、防災拠点施設として重要な役割を担うこともあり、円滑な行政を推進する拠点施設として、さらに有効な活用を進めていかなければいけないと考えております。
 これまでと異なり、オープンフロアとなって執務環境も大幅に変わってまいります。ということは、皆様方の仕事の進め方も変えていかなければいけないということになってまいります。しっかり仕組みや働き方も変えていかなければなりませんので、今の段階から具体的な仕事の取組を想定して整理をしておいていただきたいと思います。
 さて、こうした機会をいただく前に新採職員の皆様方に辞令を交付し、職員スピリットについて話をさせていただきました。もう改めて申すまでもありません。繰り返し申し上げておりますように、様々な県政の課題を解決するためには、幅広い県民の皆様方との協働関係をしっかりと構築し、同じ思いのもと、力を合わせて取り組んでいかなければ実現できないわけであります。
 5つの「C」、Chief、Catch、Change、Challenge、Cost&Crisis、もう既にご承知のとおりでございます。こういった基本姿勢のもと、これからの職務に積極的に力を注いでいただきますようお願いを申し上げる次第であります。
 新たな総合計画のスタートの年でもあります。改めて皆様方のお力添えを賜りながら、この総合計画の達成のために、引き続き全力を注いでまいりたいと思いますので、まずは職員の皆様方の一丸となった取組、そして、幅広い県民の皆様方の積極的な参加を求めて頑張ってまいりたいと思いますので、どうぞ、今後ともよろしくお願いを申し上げます。
 年度が始まるに当たってのお願いとさせていただきます。
 ありがとうございました。

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