正月といえば初詣。年が明けたら神社やお寺に参拝しないと一年が始まらないという人も多いでしょうね。
初詣が現在のような形になったのは明治中期頃で、それまでは家長が大晦日の夜から元日の朝にかけて神社にこもる「年ごもり」という行事が行われていたようです。
正月は元来、年神様を迎える日とされていたようですから、社寺にお参りするのは一般的ではなかったのかもしれませんね。
江戸時代の長崎で毎年行われていた正月行事といえば絵踏(えぶみ)。
キリシタンを摘発するために人々に聖画像を踏ませるというこの制度は、1628年に長崎奉行水野河内守が始めたといわれています。
まず1月3日に町年寄が行い、4日から7日までは町民を対象に、さらに8日には丸山の遊女たちの絵踏みが行われたそうです。
美しく着飾った遊女たちの絵踏みには見物客も多く、役人の読み上げる源氏名の順に遊女たちは素足で聖画を踏んだそうです。
そして絵踏みが済むと、厄払いの盛大な祝宴が行われました。正月のめでたさもあって宴はさぞかし賑やかだったのでしょうね。
その一方で心の痛みを感じながら聖画に足を下ろした人々もいました。
できるだけ真ん中をはずしてそっと踏むんだ。そう言って子どもを諭した信徒もいたそうです。
絵踏みが終わらないと正月がきた気がしない。そんなふうに思っていた人は多かったかもしれませんね。
2020年になりました。今年も「おらしょーこころ旅」をよろしくお願いいたします。
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)
長崎と天草地方のキリスト教関連歴文化遺産群ウェブサイト(おらしょ-こころ旅-)・おらしょ通信(vol-284)
より(毎週月曜日更新)
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