1月20日から2月3日までは大寒。冬の季節の最後の節気で、文字通り寒さもピークに達する時期です。
寒稽古など耐寒のための様々な行事が催される一方、寒気を利用して凍り豆腐や寒天、酒、味噌などの仕込みもさかんに行われます。
この時期になると思い浮かぶのが、1597年2月5日に長崎の西坂の丘で殉教した二十六聖人のこと。
前年、京都や大坂で捕らえられた24人は、3人ずつ荷車にのせられて京都のまちを引き回されたあと、見せしめのために長崎へ送られました。
道中で2人が加わり26人となったキリシタンたちは、約1ヵ月にわたって旅を続けたのです。
ある文献によると、1月20日は広島県三原市あたりを歩いていたようで、そこには両手を後ろで縛られた人々が海辺の松林を裸足で歩くようすが描かれています。
船で移動できたのは下関から小倉まで、志賀島から博多まで、彼杵から時津まで。
途中で誰かが命を落としてもおかしくないほどの過酷さだったに違いありません。
長崎に着いた彼らはすぐに十字架に縛り付けられ、両手は鉄の輪で固定されました。
それでもある者は「たいしたことではありません」と静かに応え、ある者は「死刑に関わるすべての人を許します」と語り、詩を唱え、高らかに歌う者もいたそうです。
迫害に屈することなく長い旅の試練を乗り越えた彼らの心には喜びと寛容だけが宿っていたのかもしれません。
何かを信じることの素晴らしさと難しさ—。
二十六聖人の過酷な道行きがそれをおしえてくれます。
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)
長崎と天草地方のキリスト教関連歴文化遺産群ウェブサイト(おらしょ-こころ旅-)・おらしょ通信(vol-286)
より(毎週月曜日更新)
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