今年最初のコラムで絵踏みについてご紹介しましたが、江戸幕府はこのほかにもキリシタン取り締まりのためにさまざまな制度を実施していました。
そのひとつが密告者に賞金を与える懸賞訴人制度。この制度は、1618年に銀の延べ棒30本を賞金としたのが始まりとされていますが、賞金は幕末まで増額されていったそうです。
1710年頃の高札には、伴天連(宣教師)の訴人には銀500枚、いるまん(修道士)の訴人には銀300枚を与えると記されていたようです。
さらに、一旦棄教したものの再びキリシタンとなった者や、キリシタンを匿っている者、宣教師と寝食をともにしている協力者も対象になっていたとのこと。いかに摘発に力を入れていたかがわかります。
銀500枚とは今のお金に換算するとどれくらいなのでしょうか。
銀1枚は43匁(もんめ)。銀500枚なら2万1500匁。銀60匁で金1両なので銀2万1500匁は金358両。当時の金1両は今の金額で10万円前後なので約3580万円!
江戸時代は初期、中期、後期などで貨幣価値が変動するためこれが正確な金額とはいえませんが、それにしても想像を超える高額賞金。それなら!と躍起になって探した人も多かったかもしれません。
これに加えて幕府が行ったのが5戸をひと組として監視させる五人組連座の制。
五人組はもともと相互扶助を目的に設立された制度でしたが、統治のための末端組織としてキリシタン禁制にも利用されるようになりました。
組内からキリシタンが摘発された場合は、組全員が連帯責任で死刑になることもあったというから怖いですねぇ。
学生時代、「連帯責任!」と先生に言われてクラス全員で運動場を走ったり、廊下に立たされたりした記憶がありますが、あれはその名残だったのでしょうか。
絵踏み、密告制、連帯責任・・・・・・口にするだけでなんだかため息が出てくるこの言葉たち。もうそんな時代に戻ることはないですよね?
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)
長崎と天草地方のキリスト教関連歴文化遺産群ウェブサイト(おらしょ-こころ旅-)・おらしょ通信(vol-287)
より(毎週月曜日更新)
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