3月16日は国立公園指定記念日。
1934年のこの日、当時の内務省が瀬戸内海、雲仙(現在の雲仙天草)、霧島(現在の霧島屋久)を国立公園に指定し、日本で初めて国立公園が誕生しました。
国立公園とは、日本を代表する自然の景勝地を保護し、その利用促進を図ることを目的に環境大臣が指定する自然公園。現在、全国に34箇所の国立公園があります。
日本初の国立公園のひとつである雲仙は、701年に僧侶行基によって開かれ、多くの修験者が訪れる日本有数の霊山として知られていました。
16世紀半ばになると、島原半島にキリスト教が伝来し、領主であった有馬晴信がこれに改宗。仏僧への弾圧や寺社仏閣の破壊が行われるようになりました。
のちに始まるキリシタン弾圧、教会破壊にはこんな背景もあったのですね。
1616年、島原に入ってきた松倉重政は、当初キリスト教の布教を黙認していたのですが、徳川家光から叱責されたのを機にキリシタンに厳しい弾圧を加えるようになりました。
そして1627年、雲仙地獄で拷問を実施。長崎奉行も捕らえていたキリシタンを雲仙に連行し、煮えたぎる熱湯に何度もつけて棄教を迫ったそうです。
当時は、長崎から茂木に出て船に乗り、小浜に上陸してから雲仙に上っていたようで、雲仙に入った信徒たちは脱走してもわかるように片耳をそぎ落とされていたといいます。
その後、シーボルトの著書『日本』で紹介されたことをきっかけに雲仙は海外に知られるようになり、明治、大正期には欧米人の避暑地として大いに繁栄しました。
雲仙地獄には殉教した人々をたたえる記念碑があり、雲仙に向かう小浜側入口には殉教者に捧げられた雲仙教会が建っています。
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)
長崎と天草地方のキリスト教関連歴文化遺産群ウェブサイト(おらしょ-こころ旅-)・おらしょ通信(vol-294)
より(毎週月曜日更新)
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