ビルの建設や道路工事などの騒音で悩まされたことがあるという人はけっこういるかもしれませんね。
騒音公害の苦情は年間1万件以上もあるらしく、不眠や頭痛、イライラなど人体への悪影響も指摘されています。
こういったことから住まいづくりに遮音性の高い素材を使うケースも多いようですし、一方で騒音に音を重ねて消すという技術も確立しているようです。
音に音を重ねるという点では、好きな音楽をかけて騒音をしのぐというのも一つの方法かもしれません。
これと同じように、禁教期、潜伏キリシタンたちは葬儀のとき僧侶が読み上げるお経を消すためにあることを行っていました。それが「経消し」です。
当時、キリシタンの家に死者がでると、表面上は寺請制度にしたがって僧侶にお経をあげてもらい納棺していました。
しかし、信徒たちは僧侶に背を向けるようにして死者を棺におさめ、読経のあいだ隣の家に集まってオラショを唱えたそうです。
そして僧侶が帰ったあとに棺から頭陀袋(ずだぶくろ)や六文銭といった仏教的なものを取り除き埋葬したといいます。
キリスト教スタイルで行うことが信仰を貫くことでもあったのでしょうね。
熊本県天草市にある天草ロザリオ館には、お経を封じ込めるために使われた「経消しの壺」がのこされています。
消すだけではなく封じ込めるという徹底ぶりに意志の強さを感じますね。
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)
長崎と天草地方のキリスト教関連歴文化遺産群ウェブサイト(おらしょ-こころ旅-)・おらしょ通信(vol-301)
より(毎週月曜日更新)
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