緊急事態宣言が出されて以来、休日はいつも自宅で過ごしています。
本を読んだり、映画を見たり、音楽を聴いたりするだけでなく、掃除をしたり、庭の手入れをしたりもするのですが、それでも体が動くことを要求するのでよく散歩に出かけます。
決まったコースがあるわけではなく、その日の気分で人気のない裏通りを片道20分くらい歩いて帰ってきます。
ときには公園のベンチに座ってぼんやりと時間を過ごしたりすることもあります。
先日、久しぶりに訪れたのは日本二十六聖人殉教地、西坂公園。1597年2月5日、外国人宣教師6人と日本人信徒20人が処刑された場所です。
さすがに人は少なかったのですが、広場では幼い男の子とお父さんがおもちゃのバットとボールを使って野球をしていました。
プレイの邪魔にならないように端を通って記念碑のそばに行くと、少しだけ視線を上に上げた聖人たちのレリーフがありました。
陽光に浮かび上がる凜々しい姿、何にも屈しない強さを漂わせたその表情が勇気を与えてくれているようでした。
こんなときだからそう感じたのかもしれませんが、いろんな行動が規制されるなか、信仰の自由を奪われた人々の想いが今までよりも少しだけ理解できたような気がしました。
ふと視線を港のほうに向けると、ベンチに腰掛けた若いカップルの姿がありました。
二人のあいだを隔てた微妙な距離。人ひとり座れるほどの空間がなぜか初々しくもあり、ちょっぴり切なさを感じさせるのでした。
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)
長崎と天草地方のキリスト教関連歴文化遺産群ウェブサイト(おらしょ-こころ旅-)・おらしょ通信(vol-302)
より(毎週月曜日更新)
このページの掲載元
- 文化振興・世界遺産課
- 郵便番号 850-8570
長崎市尾上町3-1 - 電話番号 095-895-2761
- ファックス番号 095-829-2336