昭和を代表する名曲のひとつに「上を向いて歩こう」という歌があります。
作詞は永六輔、作曲は中村八大、歌は坂本九。1961年10月にレコード発売され爆発的なヒットとなりました。
それから2年も絶たない1963年6月15日、この歌はアメリカの音楽誌ビルボードのヒットチャート週間ランキングで1位を獲得。坂本九はアジア圏の歌手として初めての快挙を成し遂げたのでした。
その後「上を向いて歩こう」は、東日本大震災など災害で被災された方々を勇気づける応援歌としても歌い継がれてきました。
この歌に限らず、あのときはあの歌に救われた。そんな経験がある方はけっこういらっしゃるかもしれませんね。
禁教期、潜伏を余儀なくされたキリシタンに誇りと勇気を与えたのはどんな歌だったのでしょうか。
キリスト教とともに日本に伝わったとされるラテン語の聖歌だったのかもしれません。
しかし信仰が禁じられていた時代、おおっぴらに歌われることもなく、口伝によってひそかに受け継がれた聖歌。
それはいつしかオラショという祈りの歌となって人から人へと伝えられていったのです。
無伴奏で歌うグレゴリオ聖歌を聴いていると、まるで澄み切った水が乾いた心の奥底にゆっくりと浸透していくような感覚をおぼえます。
苦境にあればあるほど、それは深く、そしてやさしく感じるのかもしれません。
まだまだ大変なときですが、あなたに勇気を与えてくれる歌を聴きながら、心は上を向いて歩いていきましょう。
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)
長崎と天草地方のキリスト教関連歴文化遺産群ウェブサイト(おらしょ-こころ旅-)・おらしょ通信(vol-307)
より(毎週月曜日更新)
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