羽田空港に着いた旅客機から降りてきたのは、法被(はっぴ)を着たマッシュルームカットの4人の青年でした。
その姿を見たとき、親にこっぴどく叱られてもいいから、学校から謹慎処分を言い渡されてもいいから、どうして東京に行かなかったのだろうと、悔やんだ地方の高校生は少なくなかったと思います。
今日はビートルズ記念日。1966年の今日6月29日、人気絶頂のイギリスのロックバンド、ザ・ビートルズが初来日しました。
彼らは翌6月30日から3日間で5回の公演を実施。コンサートの模様はテレビでも放映され、視聴率は50%を超えたそうです。
その後もビートルズの人気は衰えることはなく、ジョン、ポール、ジョージ、リンゴの4人がつくりだす革新的な音楽に世界中が驚き、魅了されました。
日本のキリシタン史に名を残す4人の若者といえば、1582年、キリシタン大名の名代として長崎の港からローマへと旅立った天正遣欧使節でしょうね。
伊東マンショ、千々石ミゲル、原マルチノ、中浦ジュリアンの4人は、出発当時、まだ13歳前後の少年でした。
ヨーロッパに着いた彼らは熱狂的な歓迎を受け、ローマ教皇やスペイン国王に謁見。多くの書物や冊子にも紹介されたそうです。
彼らが再び長崎に戻ったのは、出発してから8年以上も経ってからのこと。4人はすでに20歳を過ぎていました。
しかし、禁教下においてその存在は封印されたままとなり、彼らが脚光を浴びるようになったのは明治時代に入ってからだといわれています。
ビートルズのアルバムに「ヘルプ! 4人はアイドル」という映画のサウンドトラック盤があります。
東方からやってきた神秘的な4人の少年たちも、ヨーロッパの人々にとっては出会ったことのない、ある種アイドルのような存在だったのかもしれませんね。
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)
長崎と天草地方のキリスト教関連歴文化遺産群ウェブサイト(おらしょ-こころ旅-)・おらしょ通信(vol-309)
より(毎週月曜日更新)
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