言いようのない不安を感じるのは、心に小さな隙間があるからだと思うことがあります。なくしてしまったジグソーパズルのピースのようにぽっかりとあいた空間のたよりなさ、せつなさ・・・。
そんな想いを埋めてくれるのはきっと誰かの慰めや励まし、抱きしめたり抱きしめられたりしたときに感じる温もりなのでしょう。
15世紀末から16世紀末にかけての日本は戦乱の時代。群雄割拠する武将たちの争いに人々は将来への不安を抱えながらも心の安寧を求めていました。
そんなときに海を渡ってきたのがキリスト教でした。フランシス・ザビエルに始まり、そのあとに続いた宣教師たちの伝道は人々の心の隙間を埋めるに十分な力を持っていたのでしょう。やがてやってくる禁教期に潜伏してまでも信仰を貫いた人々がいたことがそれを物語っています。
今回の感染症予防のための自粛生活のなかで心の隙間を埋めてくれるものを見つけた人もけっこういるかもしれませんね。
運動不足解消のために始めたランニング、それまで聴いたこともなかった音楽、ふと手にしてページをめくった本・・・。私たちに与えられた試練はある意味、新たな発見の入口だったともいえそうです。
パラグライダーにのって飛び立ったものの、突風にあおられて隣国に不時着した財閥令嬢と、国境地帯の警備にあたる青年将校とのラブロマンス。
どうやらこの人気の韓国ドラマは女性だけではなく、還暦を過ぎたおじさんをも簡単にとりこにしてしまう魅力があるようです。
話題だからということでなんとなく観はじめてから二話、三話へと続き、気付いたらいつのまにか全十六話を制覇。爽やかな感動のピースが心の隙間にピタリとおさまった瞬間でした。
見返りを求めない純愛の美しさ。もう、すっかり忘れていましたね。
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)
長崎と天草地方のキリスト教関連歴文化遺産群ウェブサイト(おらしょ-こころ旅-)・おらしょ通信(vol-312)
より(毎週月曜日更新)
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