今日で8月も終わりですね。例年行事が多い月ですが、今年はそのほとんどが中止や延期になったり、規模が縮小されて開催されたりしたようです。
夏になれば収束しているだろう。そんな私の読みははずれ、7月から再びウイルスの感染が拡大している状況です。
いつどこで誰がかかるかわからない感染症の脅威。それにも関わらず、無防備に振る舞う人々がいる一方で、感染者が出るたびに人物を特定してあぶり出す誹謗中傷がインターネットを賑わせています。
いつ収束するかわからない不安やいらだちが怒りへと変容し、その憂さ晴らしが差別を生みだし、誰かを傷つけ、追い込んでいる、そんな気がします。
日本の禁教下において、厳しい弾圧にさらされていた潜伏キリシタンも同じような痛みを感じていたかもしれません。
表向きは仏教徒や神社の氏子として振る舞い、既存の住民との軋轢を避けるためにあえて人里離れた場所へと移住する。それでも差別を受け、密告されて捕まり、迫害を受けたのでした。
宗教、民族、思想の違いや、疫病への罹患などが要因で生まれた偏見や差別。その悲しい歴史は残念ながら現代も続いています。
もし自分があの人と同じ境遇だったら・・・。そう思うことで消し去ることができるかもしれない差別意識。
いつでも、どこにいても自らの想いや考えを発信できる社会だからこそ、より慎重に謙虚に伝える努力をしなければならないのだと思います。
いつもと違う夏は、いつもと違うことを考えさせてくれるようです。
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)
長崎と天草地方のキリスト教関連歴文化遺産群ウェブサイト(おらしょ-こころ旅-)・おらしょ通信(vol-318)
より(毎週月曜日更新)
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