【おらしょ通信】 vol.324「さびしい秋」

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【おらしょ通信】 vol.324「さびしい秋」

長崎市のおくんち、佐世保市のYOSAKOIさせぼ祭りをはじめ、全国各地で予定されていた祭りやイベントが軒並み中止や延期となり、さびしい秋になりました。

威勢の良い神輿行列や、郷土芸能を披露しながら練り歩くパレードなどは秋祭りの見どころのひとつ。

しかし、終戦の年でさえみんなで頑張って開催した祭りも、感染症には勝てなかったと肩を落とす関係者の方の悲痛な声を聴くと、胸が締め付けられる想いがします。

農作物の収穫に感謝し、翌年の豊作を祈願する秋祭り。古くから各地で行われてきたこの行事は地域の人々の親睦と連帯を深める良い機会にもなっています。

1614年、全国に禁教令が出されたあと、信仰を悟られないよう表向きは神社の氏子となって生きていた潜伏キリシタンたち。

天草の崎津集落に住む信徒たちは崎津諏訪神社の氏子となり、参詣の際はひそかにオラショを唱えて信仰を守り続けていました。

また、外海の大野集落では宣教師の代わりとなる指導者を中心に、地域内の三つの神社を日々の信仰の対象として祈りを捧げていたそうです。

そんな信徒たちのなかには毎年秋祭りを楽しみにしていた人もいたのでしょう。神輿をかつぎ、郷土芸能を披露していた祭り好きもいたかもしれません。

来年、祭りが実施できるかどうかはわかりませんが、地域文化を守るという視点からもみんなで知恵を出し合い、どうにか開催できるようになればいいなと思います。

 

(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)

長崎と天草地方のキリスト教関連歴文化遺産群ウェブサイト(おらしょ-こころ旅-)・おらしょ通信(vol-324)
より(毎週月曜日更新)

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