今日1月11日は鏡開き。正月に神様や仏様に供えた鏡餅を雑煮や汁粉にして食べ、一家の無病息災などを願う行事です。
もともと武家から始まった行事なので、堅くなった鏡餅を小さくするために刃物を使うのは切腹を連想させることから禁物とされていました。
そこで木槌などを使って割ることになったのですが、ここでも「割る」という表現は縁起が悪いということで末広がりを意味する「開く」となり、「鏡開き」と呼ぶようになったようです。
禁教期、キリシタンの家でも信仰を隠すために鏡餅やしめ縄を飾ったのではないかと想像しますが、天草市今富集落には、かくれキリシタン独特の正月飾りがあったらしく、今もその伝統を受け継いでいるお宅があるそうです。
それが「幸木(さわぎ)」と「臼(うす)飾り」。
幸木は、天井からつるした樫の木に大根やニンジン、昆布といった作物のほか、クワやスキなどの農機具をかけて五穀豊穣や無病息災を願うというもの。
臼飾りは、幸木の下に逆さにした臼を置き、その中にマリア様へのお供え物であるご飯と煮しめを隠し、その上に十字架に見立てた数本の杵を置き、正月用の飾り付けと思わせるために鏡餅をのせたのだそうです。
幼い頃、1月15日の小正月には地域で松飾りやしめ縄などを一箇所に集めて燃やす「どんど焼き」という火祭りの行事あり、そこで焼いた餅を食べた記憶があります。
その後、危険だということで取りやめになった地域も多いようですが、できれば火の取り扱いや安全性などに配慮して続けてほしいなぁ、なんて勝手に思ったりもします。
子どもたちにとっては焦げた餅の苦みも貴重な思い出になりますからね。
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)
長崎と天草地方のキリスト教関連歴文化遺産群ウェブサイト(おらしょ-こころ旅-)・おらしょ通信(vol-337)
より(毎週月曜日更新)
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