3月もあと少しで終わり。4月からは新年度が始まりますね。
進学や就職、転勤などで環境が変わる人にとっては慣れるまでが大変かもしれません。
そもそも「年度」とは、ある目的に合わせて定められた1年間の区切りのことで、官公庁や企業が予算に沿って業務を行う会計年度や、学校などにおいて学年が変わる学校年度などがよく知られています。
年度の概念が導入されたのは明治時代以降のことで、会計年度が定められた1869年(明治2年)がその始まりだといわれています。
当時は現在のように4月から翌3月までの期間ではなく、10月から翌年9月までだったようで、年度の始まりが4月になったのは1886年のことでした。
最初に会計年度が決まった1869年といえば、明治政府が誕生した翌年。政府は江戸幕府が行っていたキリシタン禁教政策を継続する一方で、神道を国教化する政策を本格的にスタートさせました。
その重要な取り組みが「宣教使(せんきょうし)」の設置でした。これには神道の布教によってキリスト教の進出を抑えるという狙いがあり、長崎地方には中央から宣教使が派遣されたそうです。
キリスト教を布教した「宣教師」、神道の国教化を図ろうとした「宣教使」。ひと文字違いというのがなんとも興味深いですね。
世界には1月、3月、6月、9月、10月など、いろんな月から新年度が始まる国がありますし、穀物、米穀、砂糖、醸造といった食料や資材ごとに異なる年度もあるようです。
ともあれ来月からスタートするあなたの新年度。すばらしい一年になるといいですね。
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)
長崎と天草地方のキリスト教関連歴文化遺産群ウェブサイト(おらしょ-こころ旅-)・おらしょ通信(vol-348)
より(毎週月曜日更新)
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