4月5日は「ヘアカットの日」。1872年(明治5年)のこの日、東京府が女性はみだりに髪を切ってはいけないという「女子断髪禁止令」を出したことにちなんでいるようです。
髪を切ることが禁止された日が記念日というのは不思議な感じもしますが、そんな時代もあったのだということを忘れないためにあえてそうしたのかもしれませんね。
一方、男性については、明治政府が前年に「散髪脱刀令」、つまり男性は髷(まげ)を結わなくて散髪してもいいですよ、士族でも刀を持たなくていいですよ、というお達しを出したばかり。
これを知った女性たちが「それなら私も・・・」と髪を切り始めたことから世の猛反発が起こり禁止令の布告に至ったようです。
しかしその後、日本髪は結髪の際に金銭的負担が大きいことや、衛生面に問題があることなどからしだいに衰退。
それに代わって洋髪の影響を受けて誕生した束髪が流行し、さらに大正期にかけてモダンガールに代表される断髪の女性が増えていったのでした。
長い間の禁教も解かれ、キリスト教の信仰が自由に認められるようになった時代なのに、なぜ髪を切ってはいけないの? 女性たちの多くは内心こう思っていたかもしれません。
最近もクローズアップされた男女間の不平等、格差問題。
日本におけるヘアカットの歴史からも学ぶことは多いような気がします。
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)
長崎と天草地方のキリスト教関連歴文化遺産群ウェブサイト(おらしょ-こころ旅-)・おらしょ通信(vol-349)
より(毎週月曜日更新)
このページの掲載元
- 文化振興・世界遺産課
- 郵便番号 850-8570
長崎市尾上町3-1 - 電話番号 095-895-2761
- ファックス番号 095-829-2336