日本にキリスト教が伝えられて以降、多くの宣教師や神父たちが海を渡ってやってきました。
その中でも布教活動にとどまらず、自らの知識を活かして人々の暮らしを支えた人物といえば、マルコ・マリー・ド・ロ神父の名前が真っ先にあげられるのではないでしょうか。
ド・ロ神父は、1840年にフランスの貴族の次男として生まれ、神学校卒業後、東洋布教のためパリ外国人宣教会に入会。
キリシタン弾圧が続いていた1868年(明治元年)に来日し、長崎や横浜で数々の功績をのこしました。
1879年に外海(そとめ)に赴任してからは、フランスで学んだ幅広い知識を活かし、私財を投じて授産場やマカロニ工場、いわし網工場などを建設。素麺、マカロニ、パンづくりなどによって女性たちの自立を支援しました。
ということで今週はパンの話。
日本で初めて本格的にパンが製造されたのは1842年の今日4月12日のことです。
兵学者の江川太郎左衛門が伊豆韮山(静岡県)で「兵糧パン」を作ったのが起源らしく、このときのパンは乾パンのようなものだったといわれています。
それから数十年が経って誕生したド・ロ神父直伝のパンはどんな味だったのでしょうか。
長崎市外海地区ではグリーンツーリズムの体験プログラムとして小麦粉、水、塩だけを原料とした石窯パンづくりを実施しているようです。
感染症の影響で今は行われていないかもしれませんが、ドライブがてら外海まで足を伸ばし、直売所などで購入した石窯パンを頬張りながら、ド・ロ神父の人生に想いを馳せるのもいいかもしれませんね。
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)
長崎と天草地方のキリスト教関連歴文化遺産群ウェブサイト(おらしょ-こころ旅-)・おらしょ通信(vol-350)
より(毎週月曜日更新)
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