明日4月20日は二十四節気のひとつ「穀雨」。
穀雨とは、読んで字のごとく、穀物の成長を助ける雨のこと。潤った田畑が種まきに適した状態となることから農家では田植えの準備をする目安の時期としてきました。
昔は一家総出、親類縁者などを集めて行われていた田植えや種まき。
これが無事に終わると、村人たちは神社などに参拝して五穀豊穣を祈願したのでしょうね。
潜伏キリシタンの中にも表向きは神社の氏子として振る舞っていた人や、信仰対象を神社に祀っていた人もいたようですから、みんなと同じように神社で手を合わせていたのだと思います。
日本の禁教期において潜伏キリシタンたちが祈りの対象としたのは、ひそかに伝承されてきた信心具や、古くから崇められてきた山岳、そして聖母マリアに見立てた貝殻の模様などでした。
やがてその祈りの方法が繰り返され、受け継がれていくうちに、いつしか目を閉じれば胸の奥に信仰の対象が自然と浮かび上がってくる、そんな空間を作り上げていったのではないかと想像します。
まさにそれが「心の中の聖堂」だったのでしょう。
弾圧が厳しければ厳しいほど高められた信徒たちの想像力と信仰への想い。外からさとられることのない心の世界を築くことができたからこそ、彼らは250年以上もの禁教期を乗り越えることができたのかもしれません。
さて、穀雨が終わると八十八夜。季節はやがて春から夏へと向かいます。
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)
長崎と天草地方のキリスト教関連歴文化遺産群ウェブサイト(おらしょ-こころ旅-)・おらしょ通信(vol-351)
より(毎週月曜日更新)
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