6月といえば「ジューンブライド(June bride)」という言葉を思い浮かべる人も多いでしょうね。
古くからヨーロッパでは、この月に結婚する花嫁は幸せになれるという言い伝えがあることから、日本でも1960年代後半からしだいに浸透、定着してきたようです。
その由来などについては諸説があるようですが、ひとつが結婚や出産を司る女神の守護している月が6月であったこと。
また、かつてヨーロッパでは農作業で忙しい3月から5月にかけては結婚が禁じられていたため、6月に結婚式を挙げるカップルが多かったことなどがあげられるようです
日本ではどうだったのでしょうか。歴史をさかのぼって婚礼事情をみてみましょう。
1563年に来日したイエズス会の司祭 ルイス・フロイスの書簡『日本史』には「日本では結婚式を行わない」と記されているそうです。
しかし、この時代にも武家などでは婚礼が行われていたらしく、江戸時代に入ると新郎の自宅に身内の人たちが集まり、おめでたい掛け軸や鶴亀の置物を飾り、その前で盃を取り交わす、いわゆる「祝言」が行われていました。
日本で最初に西洋式の結婚式が行われたのは、キリシタン禁制の高札が撤廃された1873年のこと。外国人貿易商と日本人女性のカップルだったといわれています。
そして戦後、高度成長期と時代が進むにつれてキリスト教式の婚礼が増えていきました。
今はコロナ禍ということで、結婚式を延期、中止するカップルも多いと聞きます。両親や友人、知人に晴れ姿を披露できないのは寂しく残念なことでしょう。
しかし、これも二人で乗り越えるべき試練のひとつだと思い、前を向いてスタートすることができれば、きっと素晴らしい家庭を築くことができるのではないでしょうか。
無責任なことを言うようですが、長い結婚生活を振り返りながら私はそう思ったりもするのです。
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)
長崎と天草地方のキリスト教関連歴文化遺産群ウェブサイト(おらしょ-こころ旅-)・おらしょ通信(vol-358)
より(毎週月曜日更新)
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