障害のある人もない人も共に生きる平和な長崎県づくり条例(平成25年5月31日長崎県条例第25号)   目次   第1章 総則(第1条―第8条)   第2章 障害のある人に対する差別の禁止(第9条―第19条)   第3章 障害のある人に対する差別をなくすための施策    第1節 障害のある人の相談に関する調整委員会(第20条―第28条)    第2節 相談体制(第29条―第31条)    第3節 対象事案の解決のための手続(第32条―第38条)   第4章 障害及び障害のある人に対する理解を深めるための施策(第39条・第40条)   第5章 障害のある人もない人も共に生きる平和な長崎県づくり推進会議(第41条―第48条)   第6章 雑則(第49条・第50条)   附則   私たちが住む長崎県は、美しい自然に恵まれ、歴史と文化に育まれた県として、また、被爆地を有する県として、平和の大切さを何よりも重く受け止め、その実現に寄与する役割を担っている。   平和の実現のためには、単に争いをなくすというばかりでなく、誰もが基本的人権を有する個人として尊重され、共に生きていくことのできる社会を作り上げていく必要がある。しかしながら、現状は、社会的に弱い立場にある障害のある人が、依然として、物理的な障壁、偏見や誤解といった意識上の障壁など、様々な社会的障壁による制約を受け、その自立と社会参加を十分に果たせていない。   私たちは、障害のある人が合理的配慮により自らの力を十分に発揮することができ、障害のある人と障害のない人とが互いに優しく接し合うことができる社会環境を整えることによって、障害のある人と障害のない人とが対等な関係となり、誰もが排除されることなく安心して共に生きていくことのできる平和な社会を作り上げていくことができる。   ここに、私たちは、障害及び障害のある人に対する理解を深め、障害のある人に対する差別をなくすことを通じて、共生社会を実現することにより、もって平和を目指すことを決意し、この条例を制定する。 第1章 総則 (目的) 第1条 この条例は、障害及び障害のある人に対する県民の理解を深め、障害のある人に対する差別を禁止し、差別をなくすための施策の基本となる事項等を定めることにより、障害の有無にかかわらず、誰もが住み慣れた地域で、社会を構成する一員として、あらゆる社会活動に参加することができる共生社会の実現に寄与することを目的とする。 (定義) 第2条 この条例において「障害のある人」とは、身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、難病を原因とする障害その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的又は断続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。 2 この条例において「社会的障壁」とは、障害があることにより、日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。 3 この条例において「差別」とは、客観的に正当かつやむを得ないと認められる特別な事情なしに、不均等待遇を行うこと又は合理的配慮を怠ることをいう。 4 この条例において「不均等待遇」とは、障害又は障害に関連する事由を理由として、区別、排除若しくは制限し、又はこれに条件を課し、その他の異なる取扱いをすることをいう。 5 この条例において「合理的配慮」とは、障害のある人の求め又はその家族等の求め(障害のある人がその意思の表明を行うことが困難である場合に限る。)に応じて、障害のある人が障害のない人と同等の権利を行使するため又は障害のない人と同等の機会及び待遇を確保するために必要かつ適切な現状の変更又は調整を行うことをいう。ただし、社会通念上相当と認められる範囲を超えた人的負担、物的負担又は経済的負担その他の過度な負担になるものを除く。 (基本理念) 第3条 第1条に規定する共生社会の実現は、次に掲げる事項を旨として図られなければならない。 (1) 障害のある人は、障害のない人と同等の権利を有しており、合理的配慮により社会の様々な分野に参加し貢献できること。 (2) 障害のある人は、どこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々と共生することを妨げられないこと。 (3) 誰もが障害を有することとなる可能性があることから、障害を障害のある人だけの問題としてではなく、障害のない人も含めた全ての人の問題として認識し、障害のある人と障害のない人とが共に学び合い理解を深める必要があること。 (4) 差別する側と差別される側とに分けて相手側を一方的に非難し制裁を加えようとするものであってはならないこと。 (県の責務) 第4条 県は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、障害者基本法(昭和45年法律第84号)その他の法令(条例及び規則を含む。以下同じ。)との調和を図りつつ、障害及び障害のある人に対する理解を深め差別をなくすための施策を総合的かつ主体的に策定し、及び実施するものとする。 (県と市又は町との連携) 第5条 県は、市又は町がその地域の特性に応じた、障害及び障害のある人に対する理解を深め差別をなくすための施策を実施する場合にあっては、当該市又は町と連携するとともに、当該市又は町に対して、情報の提供、技術的な助言その他の必要な措置を講ずるものとする。 (市及び町の役割) 第6条 市及び町は、基本理念にのっとり、県との適切な役割分担を踏まえて、その地域の特性に応じた、障害及び障害のある人に対する理解を深め差別をなくすための施策を策定し、及び実施するよう努めるものとする。 (県民等の役割) 第7条 県民、事業者及び関係団体は、基本理念にのっとり、障害及び障害のある人に対する理解を深めるよう努めるとともに、障害のある人及びその家族その他の関係者が障害による生活上の困難を軽減するための支援を周囲に気兼ねなく求めることができる社会環境の実現に寄与するよう努めるものとする。 2 県民、事業者及び関係団体は、基本理念にのっとり、県又は市若しくは町が実施する障害及び障害のある人に対する理解を深め差別をなくすための施策に協力するよう努めるものとする。 (財政上の措置) 第8条 知事は、障害及び障害のある人に対する理解を深め差別をなくすための施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるものとする。 第2章 障害のある人に対する差別の禁止 (差別の禁止) 第9条 何人も、次条から第19条までに定めるもののほか、あらゆる分野において、障害のある人に対して、差別をしてはならない。 (福祉サービスの提供における差別の禁止) 第10条 障害福祉サービス、介護保険サービスその他の福祉サービス(以下「福祉サービス」という。)の提供を行う者は、障害のある人に対して、障害を理由として、福祉サービスの利用に関する適切な相談及び支援を行うことなく、障害のある人の意思又はその家族等の意思(障害のある人の意思を確認することが困難である場合に限る。)に反して、障害者支援施設その他福祉サービスを行う施設への入所(入居を含む。)又は通所を強制してはならない。 2 福祉サービスの提供を行う者は、障害のある人に対して、障害のある人の生命又は身体の安全の確保のためやむを得ない場合その他の客観的に正当かつやむを得ないと認められる特別な事情がある場合を除き、福祉サービスの提供に関し、不均等待遇を行ってはならず、又は合理的配慮を怠ってはならない。 (医療の提供における差別の禁止) 第11条 医師その他の医療従事者は、障害のある人に対して、障害を理由として、法令に別段の定めがある場合その他の客観的に正当かつやむを得ないと認められる特別な事情がある場合を除き、障害のある人の意思又はその家族等の意思(障害のある人の意思を確認することが困難である場合に限る。)に反して、医療を受けるよう強制してはならない。 2 医師その他の医療従事者は、障害のある人に対して、障害のある人の生命又は身体の安全の確保のためやむを得ない場合その他の客観的に正当かつやむを得ないと認められる特別な事情がある場合を除き、医療の提供に関し、不均等待遇を行ってはならず、又は合理的配慮を怠ってはならない。 (商品及びサービスの提供における差別の禁止) 第12条 商品及びサービス(第10条の福祉サービスを除く。以下同じ。)の提供を行う者は、障害のある人に対して、サービスの本質を著しく損なうこととなる場合その他の客観的に正当かつやむを得ないと認められる特別な事情がある場合を除き、商品及びサービスの提供に関し、不均等待遇を行ってはならず、又は合理的配慮を怠ってはならない。 (労働及び雇用における差別の禁止) 第13条 事業主は、障害のある人に対して、当該障害のある人が合理的配慮をなされてもなおその業務を適切に遂行することができない場合その他の客観的に正当かつやむを得ないと認められる特別な事情がある場合を除き、労働者の募集若しくは採用に関し、不均等待遇を行ってはならず、又は合理的配慮を怠ってはならない。 2 事業主は、障害のある人に対して、当該障害のある人が合理的配慮をなされてもなおその業務を適切に遂行することができない場合その他の客観的に正当かつやむを得ないと認められる特別な事情がある場合を除き、次に掲げる事項について不均等待遇を行ってはならず、又は合理的配慮を怠ってはならない。 (1) 賃金 (2) 労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇 (3) 昇進、配置転換、休職及び復職 (4) 訓練及び研修 (5) 福利厚生 (6) その他の労働条件 3 事業主は、障害のある人が合理的配慮をなされてもなおその業務を適切に遂行することができない場合その他の客観的に正当かつやむを得ないと認められる特別な事情がある場合を除き、障害を理由として、当該障害のある人を解雇してはならない。 (教育における差別の禁止) 第14条 教育委員会及び校長、教員その他の教育関係職員は、就学に関して、法令等の趣旨に反し、障害を理由として、次の各号に掲げる行為を行ってはならない。 (1) 障害のある人及びその保護者(学校教育法(昭和22年法律第26号)第16条に規定する保護者又は就学に要する経費を負担する者をいう。以下同じ。)に対して必要な情報提供を行わないこと。 (2) 障害のある人及びその保護者の意見を尊重せず、障害のある人及びその保護者との間で学校教育の場において必要な支援等について合意形成を図ろうとしないこと。 2 教育委員会及び校長、教員その他の教育関係職員は、学校教育の場において、障害のある人が、その年齢及び能力に応じ、かつ、その特性を踏まえた十分な教育を受けられるよう、障害のある人に対して、客観的に正当かつやむを得ないと認められる特別な事情なしに、不均等待遇を行ってはならず、又は合理的配慮を怠ってはならない。 (建築物の利用における差別の禁止) 第15条 多数の者の利用に供される建築物の所有者、管理者又は占有者は、障害のある人に対して、当該建築物の構造上やむを得ない場合その他の客観的に正当かつやむを得ないと認められる特別な事情がある場合を除き、当該建築物の利用に関し、不均等待遇を行ってはならず、又は合理的配慮を怠ってはならない。 (交通機関の利用における差別の禁止) 第16条 公共交通事業者等(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(平成18年法律第91号)第2条第4号に規定する公共交通事業者等をいう。)は、障害のある人に対して、その管理する旅客施設及び車両等の構造上やむを得ない場合その他の客観的に正当かつやむを得ないと認められる特別な事情がある場合を除き、当該旅客施設及び車両等の利用に関し、不均等待遇を行ってはならず、又は合理的配慮を怠ってはならない。 (不動産取引における差別の禁止) 第17条 不動産の売買、交換又は賃貸借その他の不動産取引(以下「不動産取引」という。)を行おうとする者は、障害のある人に対して、法令に別段の定めがある場合その他の客観的に正当かつやむを得ないと認められる特別な事情がある場合を除き、不動産取引契約の締結に関し、不均等待遇を行ってはならず、又は合理的配慮を怠ってはならない。 (情報の提供等における差別の禁止) 第18条 多数の者に対して情報の提供又は発信を行う者は、障害のある人に対して、障害のある人が受けることができる手段による情報の提供又は発信を行うことに著しい支障がある場合その他の客観的に正当かつやむを得ないと認められる特別な事情がある場合を除き、当該情報の提供又は発信に関し、不均等待遇を行ってはならず、又は合理的配慮を怠ってはならない。 (意思表示の受領における差別の禁止) 第19条 障害のある人が用いることができる手段による意思表示ではその意思を確認することに著しい支障がある場合その他の客観的に正当かつやむを得ないと認められる特別な事情がある場合を除き、当該意思表示を受けることに関し、不均等待遇を行ってはならず、又は合理的配慮を怠ってはならない。 第3章 障害のある人に対する差別をなくすための施策  第1節 障害のある人の相談に関する調整委員会 (委員会の設置) 第20条 障害のある人に対する差別をなくすための施策を推進し、障害のある人に対する差別に該当する事案(以下「対象事案」という。)を解決するため、障害のある人の相談に関する調整委員会(以下「委員会」という。)を置く。 (所掌事務) 第21条 委員会は、次に掲げる事務をつかさどる。 (1) 対象事案について、助言又はあっせんを行うこと。 (2) 次節に規定する相談体制に関する重要事項を調査審議すること。 (3) 第30条第2項及び第31条第2項の規定により、知事に意見を述べること。 (委員会の組織) 第22条 委員会は、委員20名以内をもって組織する。 (委員会の委員の任命等) 第23条 委員会の委員は、知事が任命する。 2 委員会の委員は、次に掲げる者で構成する。 (1) 医療、保健、福祉、教育及び雇用に関する業務を行う関係機関及び民間団体を代表する者 (2) 障害のある人又はその家族その他の関係者が組織する団体を代表する者 (3) 学識経験者 (4) その他知事が必要と認める者 3 委員会の委員の任期は、3年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。 4 委員会の委員は、再任されることができる。 5 知事は、委員会の委員が心身の故障のため職務の執行ができないと認める場合又は委員会の委員に職務上の義務違反その他委員会の委員たるに適しない非行があると認める場合においては、これを罷免することができる。 (委員長及び副委員長) 第24条 委員会に委員長及び副委員長を置き、委員会の委員の互選によってこれを定める。 2 委員長は、委員会の会務を総理し、委員会を代表する。 3 副委員長は、委員長を補佐し、委員長に事故があるときは、その職務を代理する。 (会議) 第25条 委員会は、委員長が招集する。 2 委員会は、委員長及び過半数の委員の出席がなければ、会議を開き、議決をすることができない。 3 委員会の議事は、出席者の過半数でこれを決し、可否同数のときは、委員長の決するところによる。 4 委員長に事故がある場合の第2項の規定の適用については、副委員長は、委員長とみなす。 5 委員会の委員は、自己、配偶者若しくは三親等内の親族の一身上に関する事案又は自己若しくはこれらの者の従事する業務に直接の利害関係のある事案については、その議事に参与することができない。ただし、委員会の同意があるときは、会議に出席し、発言することができる。 (守秘義務) 第26条 委員会の委員は、この条例に基づき職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。 (小委員会) 第27条 委員会は、委員会における付議事項中特定の事項について事実の調査をし、又は細目にわたる審議を行うため、小委員会を設けることができる。 (庶務) 第28条 委員会の庶務は、福祉保健部障害福祉課において処理する。    第2節 相談体制 (特定相談) 第29条 何人も、県に対し、障害のある人に対する差別に関する相談(以下「特定相談」という。)をすることができる。 2 県は、特定相談があったときは、次に掲げる業務を行うものとする。 (1) 特定相談に応じ、必要な助言及び情報提供を行うこと。 (2) 特定相談に係る関係者間の調整を行うこと。 (3) 関係行政機関への通告、通報その他の通知を行うこと。 (4) 第32条第1項又は第2項の申立てに関する援助を行うこと。 (地域相談員) 第30条 知事は、次に掲げる者に、前条第2項各号に掲げる業務の全部又は一部を委託することができる。 (1) 身体障害者福祉法(昭和24年法律第283号)第12条の3第3項に規定する身体障害者相談員 (2) 知的障害者福祉法(昭和35年法律第37号)第15条の2第3項に規定する知的障害者相談員 (3) 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法律第123号)第48条第1項に規定する精神保健福祉相談員 (4) 前3号に掲げる者のほか、社会的信望があり、かつ、障害のある人の福祉の増進に熱意と識見を持っている者であって、知事が特に適当と認めるもの 2 知事は、前項の委託を行うに当たっては、あらかじめ、委員会の意見を聴かなければならない。ただし、前項第1号、第2号又は第3号に掲げる者に委託する場合は、この限りでない。 3 第1項の規定により委託を受けた者は、地域相談員と称する。 4 地域相談員は、この条例に基づき職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。 (広域専門相談員) 第31条 知事は、次に掲げる業務を適正かつ確実に行うことのできる者を、広域専門相談員として委嘱することができる。 (1) 地域相談員に対する指導及び助言 (2) 特定相談のあった事例の調査研究 (3) 第29条第2項各号に掲げる業務 (4) 第33条第3項の規定による調査 2 知事は、前項の委嘱を行うに当たっては、あらかじめ、委員会の意見を聴かなければならない。 3 広域専門相談員は、この条例に基づき職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。    第3節 対象事案の解決のための手続 (助言又はあっせんの申立て) 第32条 障害のある人は、自己に対する対象事案の解決を図るため、知事に対して、当該対象事案の解決のための助言又はあっせんの手続の申立てをすることができる。 2 障害のある人の家族その他の関係者は、当該障害のある人の権利利益を保護するため必要な場合に限り、知事に対して、当該障害のある人に対する対象事案の解決のための助言又はあっせんの手続の申立てをすることができる。 3 前2項の申立ては、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)その他の法令に基づく不服申立て又は苦情申立てをすることができる行政庁の処分又は職務執行については、することができない。 (事実の調査) 第33条 知事は、前条第1項又は第2項の申立てがあったときは、当該申立てに係る事実の調査を行うものとする。 2 地域相談員及び広域専門相談員は、知事からの要請があったときは、前項の規定による調査に協力しなければならない。 3 知事は、必要があると認めるときは、広域専門相談員に、第1項の規定による調査の全部又は一部を行わせることができる。 4 地域相談員は、前項の規定よる調査に関し、広域専門相談員からの要請があったときは、当該調査に協力しなければならない。 5 前条第1項又は第2項の申立てがなされた対象事案に関係する者(当該申立てを行った者を含む。以下「対象事案関係者」という。)は、正当な理由がある場合を除き、第1項又は第3項の規定による調査に協力しなければならない。 6 第1項の規定による調査を担当する県職員又は第3項の規定による調査を担当する広域専門相談員は、その調査をする場合には、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならない。 7 第1項又は第3項の規定による調査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。 (助言又はあっせん) 第34条 知事は、第32条第1項又は第2項の申立てがあったときは、委員会に対して、当該申立てに係る事実の調査の結果を通知するとともに、助言又はあっせんの手続を開始するよう求めるものとする。 2 委員会は、前項の求めがあったときは、次に掲げる場合を除き、助言又はあっせんを行うものとする。 (1) 助言又はあっせんの必要がないと認めるとき。 (2) 対象事案がその性質上助言又はあっせんをするのに適当でないと認めるとき。 3 委員会は、前項の規定による助言又はあっせんを行わないときは、知事に対して、その旨を報告するものとする。 4 委員会は、助言又はあっせんのために必要があると認めるときは、対象事案関係者に対して、その出席を求めて説明若しくは意見を聴き、又は資料の提出を求めることができる。 (勧告) 第35条 委員会は、対象事案関係者が助言案又はあっせん案を受諾しない場合、知事に対して、当該対象事案関係者に対する当該助言案又は当該あっせん案の受諾の勧告を行うよう求めることができる。 2 知事は、前項の求めがあった場合において、必要があると認めるときは、勧告を行うものとする。 (公表) 第36条 知事は、前条の勧告を受けた者が、正当な理由がなく、当該勧告に従わないときは、その旨を公表することができる。 (意見の聴取) 第37条 知事は、第35条の勧告又は前条の公表をしようとする場合には、あらかじめ、期日、場所及び対象事案の内容を示して、対象事案関係者又はその代理人の出席を求めて、意見の聴取を行わなければならない。ただし、当該対象事案関係者又はその代理人が正当な理由なく意見の聴取に応じないときは、意見の聴取を行わないで勧告又は公表することができる。 (助言又はあっせんの手続の終了) 第38条 助言又はあっせんの手続は、次に掲げる事由のいずれかが生じたときに、終了する。 (1) 全ての対象事案関係者が助言案又はあっせん案を受諾したとき。 (2) その他助言又はあっせんを行う必要がなくなったとき。 2 委員会は、助言又はあっせんの手続が終了したときは、知事に対して、その結果を報告するものとする。 第4章 障害及び障害のある人に対する理解を深めるための施策 (表彰) 第39条 知事は、障害及び障害のある人に対する理解を深め差別をなくすための取組に関し顕著な功績があると認められる者に対して、表彰を行うことができる。 (県民の理解と関心の増進) 第40条 県は、障害及び障害のある人に対する理解を深め差別をなくすことの重要性に関する県民の理解と関心の増進が図られるよう、障害及び障害のある人に関する知識の普及啓発のための広報活動、障害のある人と障害のない人との交流の機会の提供その他必要な施策を講ずるものとする。 第5章 障害のある人もない人も共に生きる平和な長崎県づくり推進会議 (推進会議の設置) 第41条 障害及び障害のある人に対する理解を深め差別をなくすための取組を推進するため、障害のある人もない人も共に生きる平和な長崎県づくり推進会議(以下「推進会議」という。)を置く。 (建議) 第42条 推進会議は、次に掲げる事項に関し、知事の諮問に応じ自ら調査審議し、必要と認められる事項を知事に建議することができる。 (1) 対象事案の発生の原因及び背景となっている社会的障壁に関する事項 (2) 障害及び障害のある人に対する理解を深め差別をなくすための取組を担う人材の育成に関する事項 (3) この条例の施行の状況に関する事項 (4) その他障害及び障害のある人に対する理解を深め差別をなくすために必要な事項 2 知事は、前項の規定により推進会議が述べた意見を尊重しなければならない。 (推進会議の組織) 第43条 推進会議は、委員35名以内をもって組織する。 (推進会議の委員の任命等) 第44条 推進会議の委員は、知事が任命する。 2 推進会議の委員は、次に掲げる者で構成する。 (1) 医療、保健、福祉、教育及び雇用に関する業務を行う関係機関及び民間団体を代表する者 (2) 障害のある人又はその家族その他の関係者が組織する団体を代表する者 (3) 学識経験者 (4) その他知事が必要と認める者 3 推進会議の委員の任期は、3年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。 (座長及び副座長) 第45条 推進会議に座長及び副座長を置き、推進会議の委員の互選によってこれを定める。 (分科会) 第46条 推進会議に、特定の分野における第42条第1項各号に掲げる事項を調査審議するため、分科会を置く。 2 前項の分科会の開催、構成及び運営に関し必要な事項は、座長が推進会議に諮って定める。 (長崎県障害者施策推進協議会等との連携) 第47条 推進会議は、第42条第1項各号に掲げる事項を調査審議するに当たっては、必要に応じ、長崎県障害者施策推進協議会、長崎県精神保健福祉審議会等と連携を図るものとする。 (準用) 第48条 第23条第4項及び第5項の規定は推進会議の委員について、第24条第2項及び第3項の規定は座長及び副座長について、第25条の規定は推進会議の会議について、第26条の規定は推進会議の委員の守秘義務について、第28条の規定は推進会議の庶務について準用する。 第6章 雑則 (規則への委任) 第49条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。 (罰則) 第50条 第26条(第48条において準用する場合を含む。)又は第31条第3項の規定に違反して秘密を漏らした者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。 附 則 (施行期日) 1 この条例は、平成26年4月1日から施行する。ただし、第3章第1節の規定は、公布の日から施行する。 (適用) 2 第29条及び第32条の規定は、平成26年4月1日以後になされた差別に係るものについて適用する。 (見直し) 3 障害及び障害のある人に対する理解を深め差別をなくすための施策については、この条例の施行後3年を目途として、この条例の施行の状況等を勘案し、その全般に関して検討が加えられ、その結果に基づき、必要な見直しが行われるものとする。