概要 |
1.島原手延べそうめん製造工場「(有)手のべ陣川」の衛生管理について(南島原市)
県が実施している食品衛生自主管理促進事業について、事業所の取組状況を調査した。
(1)事業所の概要 |
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島原手延べそうめん製造及び販売
・法人名 :有限会社 手のべ陣川
・代表者 :代表取締役 陣川利男
・職員数 :10名
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(2)衛生管理の取り組み等 |
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(有)手のべ陣川調査状況
有機JAS認定(有機加工食品、生産行程)
H23年度長崎県食品衛生優秀施設知事表彰受賞
長崎県HACCP 評価 6(★★★)
- HACCPの管理項目及び衛生基準に則り、マニュアルの作成、生産履歴の記帳、衛生管理の徹底(従業員教育など)、食品衛生に関する研修会(年1回、外部講師を招き)の実施。
- 特に重要管理項目として、製造工程の計量・結束の部分について、目視検査に加えて、金属探知機による異物混入防止の措置を講じている。
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●長崎県の衛生管理の取組 |
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HACCP方式は、国連の国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機構(WHO)の合同機関である食品企画(Codex)委員会から発表され、各国にその採用を推奨している国際的に認められた食品の衛生管理の手法。
長崎県は、県立保健所の食品衛生監視員が、施設の衛生管理状況を評価し、その結果に応じて、県で作成した手引書を用いて個別に技術的助言を実施。評価段階は8段階に分けられており、一つずつ上の評価段階を目指し、4段階以上の評価を受けた施設は、取り組み施設として、県のホームページ上での公表、製品や広告等にロゴマークを表示することができる。 |
2.国土交通省 雲仙復興事務所 大野木場監視所(南島原市)
直轄砂防事業による溶岩ドーム崩壊に対するハード・ソフトの「防災・減災」対策の状況等について調査を行った。
(1)火砕流による被害と現状 |
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平成3年に大火砕流が発生した雲仙・普賢岳においては、噴火により形成された溶岩ドーム(1億立方メートル)や堆積された火砕流堆積物(1億7,000万立方メートル)が雨により削られ流れ出しており、25年を経過してもなお、土石流が発生している。平成28年6月の土石流では、約6.5万立方メートルと推定され、赤松谷川上流の砂防施設で食い止められ、下流の人家、国道まで流下することなく、被害はなかった。 |
(2)溶岩ドーム崩壊ハード対策 |
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○砂防施設整備の状況(H29.4月現在)
・水無川流域 …… 砂防堰堤 6基、床固工 25基、背割堤 1基、赤松導流提 1基、
下流導流提 30基
・中尾川流域 …… 砂防堰堤 8基、背割堤 2基、下流導流工 4km
・湯江川流域 …… 砂防堰堤 1基
○平成29年度施設整備について
① |
溶岩ドームが崩壊した際に想定される土石流対策として、水無川 1号、2号砂防堰堤の嵩上げを行う。 |
② |
土石流を貯めるポケットを増やすため、水無川4号砂防堰堤の嵩上げや赤松谷川1号砂防堰堤付近の掘削を行う。
※掘削土石流などは、県や南島原市が港湾整備を進めている口之津港・堂崎港に提供し、事業を支援。 |
③ |
土石流により掘れた赤松谷川2号砂防堰堤の補強を行う。 |
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(3)溶岩ドーム崩壊に対するソフト対策〔監視・観測体制〕 |
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溶岩ドームの動きを、光波測距(トータルステーション)、GBSAR(地上型合成開口レーダー)、振動センサー、GPS、監視カメラ、雨量計などで観測している。観測結果は、島原市長・南島原市長の避難判断の目安や工事関係者の工事中止の判断に利用している。また、地域住民への情報配信システムについても整備を進めている。 |
(4)無人化施工の取り組み |
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水無川無人化施工調査状況
現在でも、人の立ち入りが制限されている区域【警戒区域】が設定されており、無人情報化施工システムを用いて、安全な場所から建設機械を遠隔操作する「無人化施工」を用いて工事を実施している。
・無人測量システム
・排土板制御システム
・ガイダンスシステム
・転圧管理システム
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3.大村湾南部浄化センター(諫早市)
大村湾南部浄化センターを訪問し、「流域下水道事業」について調査を行った。
(1)流域下水道について |
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流域下水道とは、2以上の市町村から排出される汚水を1箇所の終末処理場(下水処理場)で処理するもので都道府県が事業主体として整備を行うものである。また、各家庭や事業場等から排出された汚水は流域内の市町村が整備する流域関連公共下水道を経由して流域下水道で処理される。 |
(2)大村湾南部流域下水道の概要 |
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大村湾奥部の諫早市(旧諫早市の西部及び旧多良見町の区域)及び大村市の2市にまたがる流域の1,644haを対象とした県内で唯一の流域下水道事業である。
大村湾は閉鎖性海域であることから、生活排水などによる水質汚濁に対応する必要があり、長崎県では、流域住民の生活環境の改善及び大村湾をはじめとする公共用水域の水質保全を図るため、諫早市及び大村市と協力して平成5年度に事業に着手している。
大村湾南部流域下水道は2つの幹線管渠(多良見幹線、大村幹線)と終末処理場(大村湾南部浄化センター)からなり、平成12年3月31日に一部供用を開始し、順次供用区域を拡大している。
・下水道処理人口:37,640人(計画処理人口[H5~H42]:41,700人)
・汚水処理量:28,100立方メートル/日(計画人口41,700人)
・流域幹線延長:約5.3km
・処理方法:ステップ流入式多段硝化脱窒法
※標準活性汚泥法から順次改修予定
・処理場面積:約5ha |
(3)大村湾南部浄化センターでの汚水処理について |
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大村湾南部浄化センター調査状況
汚水処理方式については標準活性汚泥法をとっており、薬品で処理するのではなく、自然界に存在するいろいろな微生物の働きによって浄化を行っている。具体的には、汚水の中の大きなごみや土砂を取り除いた後、小さなごみや泥などを沈殿させる。その後、汚水に活性汚泥を加え、空気を送り込んで長時間かき混ぜると、活性汚泥中の微生物が汚れを取り込み、固まりになった活性汚泥を沈殿させて上澄み水と分離する。分離した上澄み水を消毒剤(次亜塩素酸ナトリウム)で消毒し、河川へ放流している。分離された活性汚泥については、一部再利用され、余剰分については肥料などに作りかえられ、有効に活用されている。また、その過程で発生したメタンガスは、施設内の電力の燃料として活用されている。
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(4)今後の取り組み(高度処理事業) |
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平成26年度末に策定された「大村湾流域別下水道整備総合計画」において、赤潮の原因である窒素及びリンの処理(高度処理)を速やかに実施すべきとされたため、平成27年度に事業計画を変更し、処理場を高度処理化するための改修事業を進めている。
(平成29年度実施内容)
事業費 2億9,200万円
①水処理施設高度処理化工事
②汚泥貯留槽攪拌機増設電気工事
③耐震化設計
④設備劣化調査・ストックマネジメント計画作成
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以上のほか、諫早市において「諫早湾干拓調整池における水質保全の取組み」、「諫早駅周辺再開発事業の状況」及び「県営バス諫早ターミナル再整備計画」、雲仙市において「小浜温泉バイナリー発電所の状況」、大村市において「池田沖田線街路改修工事の進捗状況」について、調査を行った。
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