概要 |
1.シーヴイテック九州(佐世保市)
ウエストテクノ佐世保の立地企業であるシーヴイテック九州(自動車部品製造)を訪問し、企業誘致、雇用創出等について調査を行った。
(1)会社概要
・社 名:株式会社シーヴイテック九州
・設 立:2014年11月
・資 本 金:4億9千万円
・事業内容:自動車用無段変速機(CVT)の金属ベルトの製造・販売
・従業員数:約200名

シーヴイテック九州現地調査状況
(2)建屋拡張について
・現状延床面積:11,000㎡
・拡張延床面積: 7,600㎡
・合計面積 :18,600㎡
・着工:2017年4月
・竣工:2018年2月(予定)
・拡張に伴う追加採用人数:120名
(3)ウエストテクノ佐世保への立地について
シーヴイテックは、自動車用無段変速機(CVT)の要となる金属ベルトを製造する国内唯一の専門メーカーとして愛知県に誕生。その後、拡大するニーズと安定供給を果たすため、北海道に続き長崎県佐世保に工場を建設した。
長崎県への進出のポイントは震災リスクの低さなど。県のトヨタ自動車への熱心な誘致活動が縁で、長崎県へ立地。
(4)UIターン者との意見交換会
他県からUIターンで戻ってきた社員と意見交換を行った。
大学で県外に出て、そのまま他県で就職したが、トヨタ自動車系列の優良企業であるシーヴイテック九州の地元進出を機に、給与、福利厚生等、安定した待遇を期待して転職を決めた、とのこと。
長崎県に対しては、長崎-佐世保間のアクセスの改善や、充実した休日を過ごせるような施設整備を求める声などがあった。
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2.佐々町役場
人口減少が著しい長崎県内で、人口を維持している自治体である佐々町の人口減少対策について調査した。
(1)人口の推移 |
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H22(単位:人) |
H27(単位:人)
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増減数(単位:人)
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増減率
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佐々町 |
13,599
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13,626
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27
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0.20%
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佐世保市 |
261,101
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255,439
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-5,662
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-2.17%
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長崎県 |
1,426,779
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1,377,187
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-49,592
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-3.48%
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(2)子育て支援の取組 |
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 佐々町役場現地調査状況
[小中学校給食費負担軽減事業]
保護者からの申請に基づき、小中学校に在籍する子どもの人数に応じて給食費の一部を助成する。
1人・・・・給食費の20%
2人・・・・1人目20%、2人目40%
3人以上・・1人目20%、2人目40%
3人目80%を補助
[コミュニティスクール(佐々モデル)]
平成29年10月から小・中学校において、コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)の導入を予定。本制度の導入によって、従来の「学校評議員会」、「学校関係者評価委員会」、「学校支援会議」などの諸会議を一つにまとめ、既に取り組んでいる「佐々っ子応援団」活動とともに、学校運営に地域住民や保護者からの幅広い意見が生かされるようになることが期待されている。
[導入検討中の事業]
・福祉医療費助成
小中学生対象分を償還払いから現物給付化と高校生対象分の助成開始を検討中
・給付型奨学金制度
町独自の大学生を対象とした奨学金制度を検討中
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(3)高齢者福祉の取組 |
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[給付の適正な利用]
・介護認定新規申請事前点検の徹底
・認定者でサービス利用のない方への訪問活動
・「地域ケア会議」における自立支援型ケアマネジメント支援と
給付適正化事業を実施
[介護予防を含む地域支援体制の確立]
・出前講座の実施、介護予防ボランティア育成
・団塊世代を対象とした「地域デビュー講座(仮称)」
・インフォーマルサービスの確立・推進
・認知症サポーター養成
[地区割り担当制の導入]
・5人の町職員で32ヶ所の高齢者を分けて受け持つ
・担当地区からの相談にはなんでも対応する
・初期段階での問題解決に大きな効果を発揮
・職員の地域づくりへの自覚が芽生え、個の支援から地域づくりを考えるように
なり、地域によって職員が育つようになった
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3.FUKUOKA growth next
九州各地から流入が続き人口増加が著しい福岡市。経済誌等の調査では「起業しやすい都市」の上位にランクされている。その福岡市が設立した官民協働型のスタートアップ支援施設の取組を調査した。
(1)設立に至った経緯と施設概要 |
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○経緯
福岡市がスタートアップ支援を強化する大きなきっかけとなったのは、高島福岡市長の米シアトル訪問。その直後の若手企業家達との出会いを経て、福岡市は「スタートアップ宣言」を行い、福岡市内3か所(香椎浜、福岡商工会議所、百道浜)に点在していたインキュベート施設とスタートアップカフェを、天神の中心部にある大名小学校跡地1か所に集約するなど、スタートアップムーブメントを更に強固なものにステージアップさせている。 |
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○運営体制
福岡市、福岡地所、さくらインターネット、アパマンショップホールディングスの4者が主体。10数名のスタッフを配置し運営しているが、福岡市から人件費についての支援はなく、全て各企業の負担(派遣等)により賄われている。 |
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○施設概要
・場 所:旧大名小学校(福岡市中央区大名 繁華街の真ん中に位置)
・延床面積:南校舎2970.67㎡、東校舎886.14㎡
・元教室を改装した貸室、レンタルオフィス
チームルーム(個室):賃料1200円/㎡、水道光熱費600円/㎡
シェアオフィス (共同部屋・固定席) :12000円/月
コワーキングスペース(共同部屋・フリー席): 8000円/月 |
(2)起業家支援について |
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起業家の、①創業前、②シード、③アーリー、④ミドル、⑤レイターという各段階に応じ、それぞれの事業の成長軸、時間軸に則した支援を実施している。
No
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種別
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内容
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1 |
カンファレンス
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上場企業や成功企業の代表者を招き、成功 / 失敗体験を学ぶ場を設ける
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2 |
ピッチコンテスト |
連携VCやメンターに対して、プレゼンを行う場を設け、投資機会を生み出す
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3 |
メンタリング
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メンターや連携VCのキャピタリストなどがメンタリングをおこない、成長機会を増やす
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4
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スキルアップ&
モチベーションアップ
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スタートアップに必要となる専門的な知識を深め、実現性を高めるためのセミナーを開催する
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5
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交流会やミーティング
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入居者同士または会員と外部企業の交流会やミーティングを行う
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6
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awabarミートアップ
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入居者、先輩起業家、外部企業、学生とのミートアップの場を日常的に設ける
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(3)その他特徴的な取組 |
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スタジオでの説明
○ものづくりスタジオ
地元ホームセンター企業と協力し、デジタルファブリケーション機材を利用したスタジオを設置。起業家が思い立ったアイデア、デザインをすぐにカタチにできる。
○ハニー珈琲・awabar fukuoka
起業家、デザイナー、エンジニア、ベンチャー投資家、一般来訪者、様々な人々が交流し、人と人を繋ぎ新たなチャンスが生まれるようなコミュニティスペースを提供している。
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以上のほか、長崎短期大学(佐世保市)で「保育人材育成について」、みやまスマートエネルギー(福岡県みやま市)で「新産業創出・雇用創出」について調査を行った。
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