概要 |
1.沖縄県庁
沖縄県職員から、離島航路・航空路対策及び地域・2次交通対策について説明を受けた後、意見交換を行った。
(1)陸上交通の利用改善 |
自動車から公共交通への転換、離島を含むバス路線の確保
①公共交通利用環境改善事業 H30年度事業費298百万円(国費198百万円)
・ノンステップバスの導入補助 100百万円(補助上限14百万円/台)
・多言語対応機器等導入補助 58百万円(9/10補助)
・公共交通利用促進に関する広報活動 45百万円
・IC乗車券システム拡張利用等検討 12百万円 など |
(2)離島交通の確保・負担軽減 |
離島航路(船舶)・航空路の確保、離島の割高な交通コストの低減
①離島航路運航安定化支援事業
H30年度事業費680百万円(国費604百万円)
航路事業者が船舶を確保する際の建造費又は購入費を補助
・久高航路 H29~30 60,995千円(国64%、県8%、市8%、事業者20%)
・粟国航路 H30~31 618,367千円(国80%、県10%、市10%)
②離島交通ヘリコプター活用支援事業
H30年度事業費31百万円(国費25百万円)
航空路線がない離島(又は運休している粟国路線)において、船舶の欠航時等におけるヘリのチャーター料金に対し、市町村と協調補助
・対象離島:座間味、渡嘉敷、渡名喜、粟国 補助率:1/3
例)座間味(那覇~慶良間 約43キロ、約15分)5人乗りチャーター料金9万円
県補助3万円、村補助3万円、利用者負担3万円
③沖縄離島住民等交通コスト負担軽減事業
H30年度事業費2,084百万円(うち国費1,485百万円)
航路はJR地方線並みの運賃まで低減、航空路は新幹線運賃相当並みまで低減
・対象航路:24航路 割引率:3割~7割 対象者:離島住民
・対象路線:11路線 割引率:4割(5割) 対象者:離島住民(高校生)
※高校や中核病院のない小規模離島や人口減少が著しい久米島は離島住民以外も対象 |
(3)その他 |
- 平成30年度内閣府の沖縄振興予算3,010億円、うち沖縄振興一括交付金1,188億円
- 沖縄県は観光業が好調で外国人観光客、国内観光客とも増加、那覇空港の需要が高まっており、滑走路増設等那覇空港の機能強化を図っている。
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2.南城市役所
南城市職員から、デマンド交通及び地域公共交通再編について説明を受けた後、意見交換を行った。
(1)デマンド交通「おでかけなんじい」について |
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既存の路線バスで対応できないエリア、時間帯の移動を補完するため、平成25年度からドアtoドアのデマンドバス「おでかけなんじい」の実証運行を開始、平成28年度から本格運行。
利用対象:観光客及び南城市民(年齢制限なし) 利用料金:1回300円
導入台数:10人乗り4台 運行時間帯 8時~20時
①運行便数 1日概ね31便
②平均乗車人員 2.7人/便
③登録者数 4,731人(H30.2月)
④利用者数 84.1人/日(H29有償)
⑤収支見込 H29年度23,900千円の赤字、収支率47% ※市補助8,500千円
課題:平均乗車人員が10人乗りに対し2.7人であるにも関わらず、遠距離利用等により予約を断るケースが増えており、利用状況が飽和状態となっている。
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(2)南城市地域公共交通再編について |
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平成34年度前後に地域高規格道路「南部東道路」供用が予定され、平成30年度に新庁舎供用及び大規模公共駐車場が一部供用され、中核地における新たなまちづくりが展開されている。それに合わせて、自立・持続可能な公共交通体系を構築するため、平成29年3月に「南城市地域公共交通網形成計画」を策定、平成31年10月を目標に、公共交通の再編を実施。
<公共交通再編の考え方>
① |
公共交通網のハブの整備
3箇所に分散しているバスターミナルを中核地の1箇所に集約 |
② |
定時・速達性の高い幹線バスの導入
南部東道路を経由し、中核地に整備するバスターミナルと市外を結ぶバスを定時・速達性の高い幹線バスとして整備 |
③ |
ハブとまちの拠点等を結ぶ支線バスの導入
まちの拠点等とハブを結ぶ支線バスを導入、支線バスでの対応が難しいエリアは、デマンドバスで対応 |

《おでかけなんじい》

《南城市役所》
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3.株式会社しまバス
しまバスの職員から、ご長寿パスの発行等交通弱者対策の取組について説明を受けた後、意見交換を行った。
(1)ご長寿パスの概要 |
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70歳以上の方を対象とした定期券で平成28年5月に販売開始。
例)奄美市名瀬に居住している方
・しまバス全線乗り放題
・料金 免許返納カードなし5,000円/月、免許返納カードあり4,500円/月
・利用人数 H28:1,111人→H30:2,287人
・売上額 H28:3,333千円→H30:6,860千円 |
(2)今後の課題と展開 |
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・大型2種免許所有者の人材不足
・社員の高齢化(平均年齢55歳)
・車両設備の老朽化
・利用者の少ない路線を切り離し、その路線はジャンボタクシー等で運行 |
(3)その他 |
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《しまバスとの意見交換》 自力で経営改善に努めながら、交通弱者の足の確保等に取り組まれていた。人材不足や社員の高齢化、車両の老朽化など行政と連携した取組も検討する必要がある。
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4.奄美市役所
奄美市職員から、ご長寿応援券及び地域公共交通網形成計画について説明を受けた後、意見交換を行った。
(1)ご長寿応援券について |
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市議会での一般質問をきっかけとして、平成27年度に地方創生関係交付金を活用し、高齢者交通機関利用ニーズ調査を実施し、平成28年度から事業開始。
・予算規模:32百万円
・対象者:75歳以上高齢者、70~74歳で運転免許自主返納者
・事業目的:5千円の補助券を交付し、外出機会の増加などによる高齢者生活
活性化と介護予防を図る。
・対象者数:平成29年度6,762人
・発行数・率:平成29年度4,847人、71.7%
・利用種別割合:バス利用22.8%、タクシー利用70.6%、健康・入浴6.7% |
(2)奄美市地域公共交通網形成計画について |
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・対象区域:奄美市全域
・計画期間:平成30年4月~平成35年3月
・将来イメージ
①公共交通不便地域における新たな公共交通サービスの検討
②路線バスとコミュニティバスの役割分担の明確化
③重複区間の解消等によるバスネットワークの効率化
④バスターミナル、乗り継ぎ拠点の整備 |
5.日本エアコミューター株式会社(JAC)
JACの職員から、離島航空路線の維持拡充施策について説明を受けた後、意見交換を行った。
(1)会社概要 |
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昭和58年、奄美群島の離島路線維持のため、東亜国内航空(当時)と奄美群島の市町村の出資により奄美空港内に設立。
・運行機:ターボプロップ機三機種17機
・就航路線:21路線
・運行便数:77便/日(38.5往復) |
(2)グループの枠を超えた地域航空会社間の共存共栄 |
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①小規模航空会社の課題
・予備機を持たないため、特に重整備時に長期間の減便や欠航
・予備備品や器具配備、管理体制、乗務員や整備士の養成体制等が大きな負担
・機材更新(免許取得)に係る人的リソース不足
・機材更新に係るノウハウ不足
②グループの枠を超えた連携
・新機種導入準備の協力
・整備業務の管理の受委託
・予備部品等の総合管理
・予備機、予備部品の共用(機種の統一)
※JALやANAは機材更新のノウハウを培っているが、大手航空会社のサポートをしっかりやらないと地域航空の支えもできない。 |
(3)JACの支援協力 |
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① |
天草エアラインの機材更新に際して協力支援、約6ヶ月間の全面運休を回避 |
・
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機材更新に伴うパイロットの訓練などで全便運休が見込まれていたが、人的リソース(パイロットや整備士)、技術ノウハウ(マニュアル作成等)を支援協力 |
② |
北海道エアシステムへ予備機を貸出し、重整備期間中の減便を回避 |
・
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機材整備により1機少ない体制となる予定だったが、JACの同型機を貸出すことで、通常体制を維持 |

《新型プロペラ機ATR》

《JACの職員の皆様と》
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6.社会福祉法人クオラ
クオラ及びさつま町役場職員から、高齢者の移動支援施策について説明を受けた後、意見交換を行った。
(1)さつま町概要 |
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鹿児島県北部の山間地域にあり、人口21,853人、高齢化率38.7% |
(2)訪問型サービスDの内容 |
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①目的:高齢者の外出機会を確保、介護予防及び自立支援の推進
②利用条件
・要支援1・2認定者、チェックリスト対象者
・バス停から遠く、近くに送迎できる支援者がいない
・行先は、通院・買い物・金融機関などに限定(利用の可否は判定会議)
③利用料金等
・1回30分以内で料金は510円
・利用登録者:H29末で76人
④利用実績
・187.7件/月、最高は237件/月
⑤町からの補助金
・1台あたり年間324千円 |
(3)課題 |
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《クオラでの意見交換》
- 年間275万円の収入(H29)と少なく、運営は厳しい。地域貢献として事業実施。
- 需要拡大した場合、現行体制での対応が難しい。
- 職員の高齢化に伴う訪問介護員の確保。
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(4)対応策 |
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- 介護職員確保のため、ベトナムで事業説明会実施
- 1人が複数の仕事を担当
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