閉会中の活動 令和2年度分

農水経済委員会

現地調査

委員会名 農水経済委員会
目的 農水経済行政現地調査
日時 令和2年11月19日(木)~20日(金) (2日間)
調査先 西海市・平戸市・佐世保市
出席委員 委員長 近藤智昭、副委員長 中村一三、委員 八江利春、委員 坂本智徳
委員 中島 廣義、委員 山田博司、委員 浅田ますみ、委員 西川克己、
委員 坂本浩、委員 饗庭敦子、委員 山下博史
概要
1.西海市における「水利施設等保全高度化事業」(畑地帯担い手育成型)について調査を行った。
(1)事業概要


【傾斜地から見た樹園】

 西海市は県内有数のみかん産地であるが、近年は生産者の高齢化や後継者不足により栽培面積の減少に伴う生産量の低下が課題となっている。
 また、本地区は急傾斜地で、区画が狭小であるほか、道路・水路も未整備であることから、農地の荒廃が進み、大半が耕作放棄地となっていた。
 本地区では、みかん産地の再生を目的として効率的な営農による生産コストの削減、意欲ある担い手農家への農地集積による営農規模拡大を図る。


(2)事業概要


【3年生苗木の状態】

・事 業 名 水利施設等保全高度化事業 特別型(畑地帯担い手育成型)
・地 区 名 白崎(しろさき)
・所 在 地 西海市 西彼町
・受益面積 17.1ha(普通畑3.8ha、樹園地13.1ha)
・受益戸数 33戸
・事 業 量 区画整理、畑地かんがいA=17.1ha
・総事業費 1,585,000千円(予定)
・工  期 H28~R5(予定)
・補 助 率 国:55%、県:27.5%、
      市:10%、地元:7.5%

(3)閖上地区の復興まちづくり

 産地の維持に危機感を持ったJAが、H23年に果樹農業者の意向調査を行い、農地の斡旋に取り組んだものの、受け手が望むような一定規模のまとまった団地を用意することが難しく、なかなか実績は上がらなかった。
 そこで、JA長崎せいひが県・市の整備事業を担当する部局へ相談したところ、機構整備も絡めながら、農業競争力強化基盤整備事業を活用し遊休農地の整備を行い、整備が完了した園地から国の改植事業等を活用して担い手の入植に繋げていくこととなり、H28年度には遊休農地14haを機構が借り入れ基盤整備事業が開始された。

(4)整備後の営農

 区画整理工事の完了に合わせて、直ちに植栽を実施。
 国の果樹経営支援対策事業の改植事業等を活用し、担い手農家により3年生苗木の植栽に取り組んでいる。

2.平戸市の橋本蜜昭氏のビニールハウスにて、いちごの「長崎県方式高設栽培」について調査を行った。
(1)事業概要

・経営概要 いちご、水稲
・経営経過
 S61年 就農
 H 元 年 いちご栽培を開始
 H14年 長崎県方式高設栽培を導入
 H25年 多収品種「ゆめのか」を全経営面積に導入
 H26年 JAながさき西海いちご部会平戸地区部長(~H29年)
 H28年 いちごの共同選別を行うパッケージセンターを主体的に設立し、センターを利用した省力化に取り組む
 H29年 環境制御技術の導入。生産者同士が意見交換しながら、技術研鑽を図る勉強会「きゃもん会」を設立
 R 元 年 H30年産いちご単収が県域で過去最高単収を記録

(経営の特徴)
 県内で早い時期から環境制御技術(モニタリング装置によるハウス内環境の見える化、炭酸ガス発生装置、自動換気システム)を導入している。

 栽培環境や植物体の状況を記録したデータに基づき、常時最適な管理を実践することで、日照時間が県南地区よりも短い県北地区で、飛躍的な増収を実現し、優良な経営を実践しているほかに、化学農薬の散布回数低減のため、天敵などの生物的防除技術を複数組み合わせた効果的な防除や、有機質肥料を利用する等、環境に配慮した栽培を行っている。また、JA若手営農指導員のスキルアップに向けた実地研修の受け入れや、地域農業の担い手となる県新規就農支援センター研修生の受け入れなど、いちごの後継者の育成も担っている。

 以上のほか、主師町白石地区(平戸市)において「災害関連緊急治山事業」、堀内ファーム(佐世保市)において「マンゴーの鉢植えポット栽培」、長崎県栽培漁業センター(佐世保市)において「クエ種苗生産等」についての調査を行った。