1.県庁舎跡地(長崎市)
「県庁舎跡地の整備・活用」について調査を行った。
(1)県庁舎跡地の歴史
- 1571年の長崎開港当時、県庁舎跡地の周辺は長い岬の先端にあり、「森崎」や「杵崎(きねさき)」と呼ばれ、森崎神社の社や祠の存在を伝える文献も残されている。
- 開港後、この地には教会(岬の教会)が建てられ、幾度かの建て直し等が行われて発展したが、1614年のキリシタン禁制により幕を閉じた。
- 1633年~1868年 長崎奉行所西役所
- 県庁舎
初 代:1874年(明治7年)※7/28~8/21の25日間のみ(台風により崩落)
2代目:1876年(明治9年)~1907年(明治40年)
3代目:1911年(明治44年)~1945年(昭和20年)
4代目:1953年(昭和28年)~2017年(平成29年)
(2)埋蔵文化財の確認状況
- 旧県庁南側:長さ約60m、高さ6~7mの石垣を確認。スロープ付近において、石垣や町屋の礎石などを確認。
- 旧県庁西側:井戸の遺構と石垣の裏込石などを確認。明治時代に盛土して形成された土地であることを確認。
- 旧県庁東側:明治時代の県会議事院の基礎等を確認。
(3)旧第三別館
- 建物の概要:大正12年(1923年)7月に長崎警察署として建築。地下1階、地上2階建て、延床面積 1,407.94㎡(煉瓦、鉄筋コンクリートの混構造)。
- 耐震性:全ての階で判定指標値(Iso=0.64)を下回っている。建物全体でのIsoは0.3を下回る階が無く補強による建物利用は可能。3階部分の構造は木造で耐震診断の対象外。
- 文化的価値:平成10年3月に「近代化遺産(県)」と「被爆建造物(市)」に掲載、登録被爆建造物としてはDランク(被爆当時の建造物等だが、被爆の痕跡なし)。
(4)県庁舎跡地の活用
 県庁舎跡地調査状況
基本構想(素案)の概要
○基本理念
歴史が息づく地で、賑わいと交流による新たな価値を創造する
⇒100年に一度とも言うべき変革の時期を迎えるに当たり、長崎県の将来の発展に資するような利活用を推進
【具体的な機能】
・この地の歴史を活かした賑わいの場
現存する石垣等を活かす(見せる)、日常的に賑わいを創出する広場、この地の歴史や世界遺産など本県の魅力を伝える情報発信機能、空港バス等のバスベイや待合所等。
・本県の発展に資する交流・イノベーションの場
海外を含め多様な人材や分野の交流等の活動拡大を促進する交流支援機能、県警本部跡地では、民間開発を基本としながら、産学官等の連携によるオープンイノベーションを推進。
【今後の進め方】
令和3年度中に基本構想を取りまとめ、広場等から暫定供用を開始し、段階的な整備を推進。
2.長崎大学情報データ科学部(長崎市)
「次世代情報化」について調査を行った。
(1)学部概要
・2020年4月に新設
情報データ科学科(1学科):「インフォメーションサイエンスコース」、「データサイエンスコース」の2コース制。
情報科学を学びIOT、SE分野で活躍する「作る人材:インフォメーションサイエンティストIS」、データ科学を学びビッグデータの応用分野で活躍する「創る人材:データサイエンティストDS」を養成。
(2)実施事業
非接触アプリの開発、IT先端技術応用講座、カーシェア・平和関係VR、実社会課題解決プロジェクト等。
(3)公共交通を活用した都市のセンシング基盤に関する研究
 長崎大学情報データ科学部調査状況
都市における「様々な情報」を連携させることで、新たなサービスの実現を目指した基盤。
・データ連携基盤の課題
現状の連携データの問題点
主に、静的な情報や過去の統計情報に限られる。
・将来:リアルタイム性のある情報の連携が必要
都市の「現在」の状態に応じたリアル連携サービスが実現可能になる。
・研究課題
時空間的に網羅した形で都市の情報の観測を、低コストに実現するにはどうしたらよいか。
・公共交通を活用したセンシング基盤
都市におけるヒト・モノに関する情報・状態をリアルタイムに収集し、データ連携を可能にする基盤。
路面電車等、日常的に市内を巡る既存の公共交通を「動くデータ収集装置」として活用し、低コストに時空間的に網羅性の高いデータ収集を実現する。
3.県南振興局建設予定地(諫早市)
「地方機関再編」について調査を行った。
(1)振興局見直し実施計画
- 長崎、県央、島原の各振興局を集約し、「県南振興局」を設置。
- 県南振興局庁舎の位置は、諫早市永昌東町の諫早市先行取得用地内。庁舎完成・集約は令和8年度頃に実施。
- 県民サービス水準の維持のため、長崎・島原地区にも必要な体制を配置。
(2)県南振興局建設予定地
- 県の中央部に位置し、西部は長崎半島、南部は島原半島の付け根にあたり、長崎県内の交通結節点としての役割。
- 県南振興局管内の中心に位置し、長崎・島原地区への幅広い対応が可能。
- 長崎地区へのアクセスは、高速道路延伸・拡幅や長崎南環状線一部開通等により向上。
- 島原地区へのアクセスは、地域高規格道路「島原道路」の一部供用によりさらに向上。
- JRや島原鉄道、長崎県営バス(県央バス)や島鉄バスの公共交通も充実。
(3)職員数
- 500名程度(会計年度任用職員を含む)※現時点での想定
- 組織体制:管理部門、地域づくり部門、税務部門、農林水産部門、建設部門
(4)取得用地等
建設のために必要な用地6,100㎡程度、床面積13,000㎡程度、庁舎建設費約60億円程度を予定。
 県南振興局建設予定地調査状況
(5)用途地域の変更
県南振興局の必要延べ床面積約13,000㎡を確保するためには、市先行取得用地の容積率200%を300%に変更していただく必要があり、これまで諫早市に要望してきた。
諫早市は令和3年6月25日に用途地域を変更し、容積率300%の建築が可能となった。
(6)今後のスケジュール
事業手法を検討・決定し、令和8年度頃の庁舎完成・移転を目指していく。
以上のほか、新長崎駅舎(長崎市)において「西九州新幹線新長崎駅舎」について調査を行った。
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