新聞報道

    

種ショウガの温湯消毒技術

2016年(平成28年)2月21日

ショウガ栽培に大きな被害をもたらす根茎腐敗病は、いったん発病すると急速にまん延する最重要病害であり、汚染された種ショウガや汚染土壌から伝染する。

被害防止には従来、効果が高く、作業性も簡便な臭化メチル剤が使われていたが、1992年にオゾン層を破壊する物質に指定され、2012年以降は使用できなくなったため代替技術の確立が必要となった。

県農林技術開発センターは、関係機関と連携し、総合的な防除対策の一環として、種ショウガの温湯消毒法の開発を進めてきた。温湯消毒は、お湯で病害虫を防除する環境にやさしい方法で、古くから水稲の種もみ向けに用いられてきた技術である。近年、高精度の温度管理が可能な温湯消毒機が開発され、野菜への活用が広がっている。

処理水温と処理時間効率的な処理工程を検討した結果、水温51.5度の温湯に種ショウガを浸し、50~51.5度の範囲で10分間処理した後、流水で5分間冷却すれば、十分な防除効果を得られることが確認できた=表=。生育への影響も認められなかった。

処理費は、湯量400リットルの温湯消毒機を使うと、1回の消毒で約30キロ、1時間に4回(約120キロ)の消毒が可能である。

根茎腐敗病を畑に持ち込まないためには、まずは、発病していない畑で採種した種ショウガを確保することが望ましい。それが難しい場合に、温湯消毒法を活用することで安定生産につながることが期待される。



    

温湯消毒機



湯温処理と無処理における
根茎腐敗病の発病株率
植付けからの日数 88日目 116日目
湯温処理 0% 0%
無処理 6.7% 20.0%
※試験場所:県農林技術開発センター
 植え付け日:2014年5月2日
 調査株数:各30株


(環境研究部門病害虫研究室 主任研究員 難波信行)