新製茶ハイブリッドラインによる緑茶製造 時間、費用削減に効果
2016年(平成28年)7月17日
本県の2015年の茶栽培面積は750㌶、荒茶生産量は709㌧で、全国11位の産地である。しかしながら近年、緑茶消費の低迷や生産資材価格の高止まりなどにより、生産にかかるコストが増大し、農家所得は減少している。一方、簡便化志向の高まりや菓子の原料など加工業務用への利用は増え、国内外でティーバック用の緑茶や抹茶の需要は増加している。
県農林技術開発センターは、多様化するお茶の需要に対応するため、新製茶ハイブリッドラインを用いて、新たな緑茶製造技術の確立に取り組んでいる。
新製茶ハイブリッドラインとは、紅茶の生産で用いられる茶葉を切り裂いて丸め粒状にする製法と、てん茶(抹茶の前段階)を含む緑茶の製法を組み合わせた技術。従来の緑茶製法とは異なる。今回は、ティーバックや飲料、食品加工向けの利用が期待される「新製茶ハイブリッドライン緑茶製法」の研究成果を紹介する。
三番茶葉(7月中旬収穫)と秋冬番茶葉(10月中旬収穫)を使って従来の製法との製造時間や製造コストを比較したところ、製造時間は、三番茶で約4割、秋冬番茶で約5割削減できた。また製造コストは三番茶で約3割、秋冬番茶で約4割削減となった。緑茶の味や品質についても従来の緑茶製法の茶と比較して同等以上であった。
県では新製茶ハイブリッドラインによる多様なニーズに対応した高品質・低コスト製茶技術の確立により、茶生産農家等への製茶施設と技術導入を促進し、所得向上を目指していく。
新製茶ライン(左)と従来製法で製造した緑茶(秋冬番茶)
新製茶ラインと従来製法との製茶時間と茶1㌔当たりの製造コスト(重油・ガス・電気:秋冬番茶)
(果樹・茶研究部門 茶業研究室 主任研究員 寺井清宗)