新聞報道

    

「白涼」の葉先枯れ症対策 「わい化剤」散布が効果

2017年(平成29年)4月16日

県内花き産出額の約4割を占め、主力品目となっている輪ギク。葬儀や墓参りなどで供える花として年間を通じて需要がある。センターが品種改良で育成した「白涼(はくりょう)」は、夜間に電照することで開花時期の調整ができ、気温が高い夏場に栽培しても奇形が発生しにくいという特徴を持つ。

ただ、白涼は盆の時期に出荷する場合、夜間の電照を打ち切る梅雨ごろに葉先が枯れてしまう症状=写真=が発生しやすく、商品価値の低下が懸念されている。生産現場では「遮光処理」やカルシウム剤の定期散布などの対策をしており、センターでも効果的な対策を検討し、4パターンの検証を実施した。

このうち、最も効果があったのが、夜間の電照を打ち切る時期に合わせ、茎の伸びを抑える効果のある「わい化剤」(ダミノジット80%)を3千倍希釈で散布する方法。まったく処理をしない場合は葉先枯れの「被害なし」が34.3%にとどまったのに対し、わい化剤を使った場合は82.5%と大幅に改善。重度が高い「程度5」の割合は14.1%から0.3%に抑制できた。(表参照)

また、わい化剤を使った場合、葉と葉の距離が短くなり。ボリュームアップの効果も見られた。一方、カルシウム剤の葉面散布は軽減効果がわずかで、遮光処理は葉先枯れ症状をある程度軽減できたものの、茎や葉が小さくなり、商品価値は低くなった。

今後は、わい化剤によって葉先枯れが軽減される作用機構を明らかにしていきたい。


    



    




(農産園芸研究部門 花き・生物工学研究室 研究員 久村麻子)